英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第88話
~双龍橋・中央区画・司令官室~
「(……ゲルドの予知能力を信じるなら、あの魔獣達に連携させたら厄介ね……なら9人もいるから、二手に分散させた方がいいわね。)―――リィン、アリサ、エリス、ゲルド、アルティナで一体相手にしなさい!あたしと残りのメンバーはもう一体の相手よ!」
魔獣達との戦闘を開始したサラ教官はゲルドの警告を思い出した後瞬時に判断をして指示をし
「わかりました!」
「「はい!」」
「わかったわ。」
「―――了解しました。」
サラ教官の指示を聞いたリィン達は頷いて一体の魔獣との戦闘を開始し
「エリオット、ガイウス、バルディエル、あたし達は残りの一体を仕留めるわよ!」
「はい!」
「承知。」
「フッ、いいだろう……!」
サラ教官は残りの一体の魔獣との戦闘を開始した。
「グルルルッ!!」
リィン達と対峙した魔獣はエリスに突撃したが
「バリア展開。」
「――――」
「グルッ!?」
エリスの前に庇うように出て来たアルティナがクラウ=ソラスに反射結界である『ノワールバリア』を展開させて攻撃を跳ね返した。
「ありがとうございます!アークス、駆動……!…………」
「アークス、駆動。…………」
アルティナにお礼を言ったエリスはオーブメントを駆動させて魔術の詠唱を開始し、ゲルドも続くようにオーブメントを駆動させた後魔術の詠唱を開始した。
「燃えつきなさい……ブラストエッジ!!」
「ギャンッ!?」
アリサが炎の魔力を纏った矢を数本頭目掛けて放ち、攻撃が命中すると敵は怯み
「四の型―――紅葉切り!!」
その隙を逃さないリィンが魔獣の背後へと駆け抜けると共に斬撃を叩き込んだ。
「グルルル……!」
リィンの攻撃を受けた魔獣は一瞬自分に背中を向けているリィンに爪を振り下ろして攻撃しようとしたが
「ダークネス、照射。」
「―――――――」
「ガッ!?」
アルティナの指示による暗黒の魔力のレーザーを受けて怯み
「まだよ!――――メルトレイン!!」
そこにアリサが炎の矢の雨を降り注がせた。
「異界の水よ、全てを呑み込め!――津波!!ハイドロカノン!!」
「グギャッ!?」
その時詠唱と駆動を終えたエリスが魔術とアーツによる水の攻撃を敵に叩きつけた。
「天上の怒りよ、御雷となりて、裁きを下せ―――エレクキューブ!!アーツ発動―――――ジャジメントボルト!!」
するとエリスに続くようにゲルドが魔術を発動すると敵を雷の檻が包みこんで包み込んだ敵に雷撃を叩きつけると共にオーブメントの駆動を終えたゲルドは強烈な雷を放った!
「グギャアアアアアアアア―――――ッ!?」
エリスの魔術とアーツによって全身がずぶ濡れになっていた為、感電した敵は悲鳴を上げた。
「メーザーアーム。―――斬!!」
「――――!」
「行くわよ―――ミラージュアロー!!」
「滅せよ……!業炎撃!!」
感電した影響で怯んでいる敵にアルティナやアリサ、リィンは次々と攻撃を加え
「聖なる輝きよ、我らに魔を滅ぼす力を与えたまえ――――ハイインパクト!!」
「行きます――――モータルクレッシェンド!!」
ゲルドの補助魔術を受けた事により物理攻撃が上昇したエリスも魔獣に近づいて荒々しいリズムで次々と攻撃を叩き込んだ。
「ウオオオオオオオオ―――――ンッ!!」
「グッ!?」
「「「キャッ!?」」」
「……ッ!?」
集中攻撃を受けた事により、怒気を纏った魔獣が咆哮を上げると咆哮と共に起こった衝撃波によって吹き飛ばされたリィン達は怯み
「グルルルッ!!」
魔獣はリィン達の中で一番小柄の為真っ先に仕留めやすいと判断したアルティナに鋭い爪で切り裂いた!
「アルティナ!?大丈夫か!?」
それを見たリィンはアルティナを見つめて声を上げた。
「―――問題ありません。私は”霊体”の為、物理攻撃はほとんど効きません。クラウ=ソラス、ドレインアーム!!」
「――――!」
「ガッ!?」
幽霊の為、物理攻撃はほとんど通さなかったアルティナはクラウ=ソラスに吸収魔術の魔力を込めた攻撃をさせて敵から体力を奪い取った。
「忍び寄る混沌の影よ、見えざる鎖となりて、彼の者どもの動きを封じよ――――ハイバインド!!」
「グルルルッ!?」
ゲルドが魔術を発動すると魔獣の地面から発生した影の鎖が魔獣を拘束して魔獣の動きを封じ込め
「動きは封じたわ。――今よ!」
魔獣の動きを封じ込めたゲルドは仲間達に助言を送った。
「一気に決めるわよ!踊りなさい!」
その時数本の矢を番えたアリサが矢を放つと矢は小さな不死鳥となり、魔獣に次々と命中して炎の爆発を起こし
「ミルモ、今こそ力を貸して!」
アリサは高く跳躍した。するとアリサの背にミルモの力によって美しき白き一対の翼が生え
「大いなる輝きよ、我が弓に宿れ!!レディエンス――――アークッ!!」
金色に輝く弓から聖気を纏った槍を番え、敵目掛けて解き放った!解き放たれた聖槍は敵に命中すると天井をも貫く程の凄まじい光の柱が上がると共に大爆発が起こり、敵に大ダメージを与えた!
「これで止めだ!―――エリス、一緒に行くぞ!」
「はい、兄様!」
その時互いのARCUSから強い光を放ちながら互いの手を強く握りしめ、凄まじい闘気を全身に纏ったリィンとエリスは同時に突撃した。する闘気を纏っているリィンは”鳳”の姿を形どり、エリスは”凰”の姿を形どった。
「「比翼―――鳳凰撃!!」」
そして敵に突撃する瞬間一つとなった事で”鳳凰”の姿を形どったリィンとエリスが敵に攻撃を叩きこんで敵の背後で武器を構え直すと闘気の大爆発が起こった!
「グギャアアアアアアアア――――――ッ!?」
リィンとエリスの協力技――――比翼鳳凰撃によって止めを刺された敵は悲鳴を上げながら消滅した!
「成長したな、エリス……」
「兄様……フフッ、兄様に追いつく為にはまだまだ精進が必要です。」
敵の撃破を確認したリィンに頭を撫でられたエリスは嬉しそうな表情で微笑み
「ハア……どこまでシスコンなのよ……」
その様子を見ていたアリサは呆れた表情で溜息を吐いた。
「いいな……いつか私もやってもらいたいな……」
「え”。」
しかしリィン達を見つめながら静かな表情で呟いたゲルドの言葉を聞いたアリサは表情を引き攣らせてゲルドを見つめ
「……帝国解放戦線リーダー”C”―――クロウ・アームブラストの情報通り、『無自覚女タラシ』な男性ですね、マスターは。」
アルティナはジト目でリィンを見つめながら呟いた。
「グルルルッ!!」
サラ教官達を獲物と認めた敵は襲い掛かってきたが
「ヤァァァァッ!!」
「!!」
サラ教官のクラフト―――鳴神を回避する為に後退した。
「届け―――戦いの音色!!」
その時エリオットはクラフト―――アタックシンフォニーで仲間達や自分の攻撃能力を高め
「風よ――――俺に力を!!」
ガイウスはクラフト―――ウィンドガードで自身の身体能力を上昇させた。
「雷光の神槍、受けるがいい!」
「グルルッ!」
バルディエルの魔術によって発生した雷光を纏いし槍を魔獣は側面に跳躍して回避したが
「切り刻め――――紫電一閃!!」
「ギャンッ!?」
サラ教官が強化ブレードを振るって放った紫電を纏いし斬撃波――――紫電一閃によってダメージを受けると共に引き寄せられた。
「アークス、駆動!―――ダークマター!!」
その時オーブメントの駆動を終えたエリオットはアーツで敵にダメージを与えると共にアーツの効果による吸引で敵の動きを封じ込め
「行くぞ―――オォォォォッ!!」
ガイウスは2本の十字槍による高速突き―――ダブルトラセクトスラストでダメージを与えた。
「雷よ!襲爪雷斬!!」
「邪魔だ!闘雷の薙ぎ払い!!」
そこに続くようにサラ教官とバルディエルもそれぞれ別の方向から攻撃を加えた。
「グオオオオオオオオ――――ッ!!」
「わわっ!?」
「クッ!?」
「!!」
「フン、無駄だ……!」
その時怒りに震えた敵は咆哮を上げてエリオットとガイウスを咆哮の際に発生した衝撃波で吹き飛ばし、サラ教官とバルディエルはそれぞれ回避した。
「グルルルルッ!!」
そして敵はエリオットに突撃し
「わわっ!?お、お願い―――跳ね返して!リフレクトレイジ!!」
突撃して来る敵に慌てたエリオットは導力杖に搭載されてある反射結界を展開した。
「ギャンッ!?」
反射結界にぶつかった衝撃によって跳ね返された敵は吹っ飛ばされ
「そこだっ!!」
その隙を逃さないガイウスはクラフト―――ゲイルスティングを放って命中させた。
「逃がさないわよ!―――崩雷殺!!」
たたみかけるようにサラ教官は跳躍して紫電を纏いし強化ブレードを叩きつけて紫電のドームを発生させた。
「アークス、駆動!――――グランシュトローム!!」
「グギャアアアアアアアア――――ッ!?」
紫電のドームに包みこまれた敵はエリオットの水属性の最高位アーツを受けて感電して悲鳴を上げると共に大ダメージを受けた。
「これで終わりだ……!行け!オォォォォ……!」
そこにバルディエルが無数の闘気の槍を叩きつけた後一瞬で敵に詰め寄って集中乱舞攻撃し
「継牙――――双針乱舞!!」
最後に十字を刻み込み、十字に切り裂かれた敵は消滅し、セピスを落とした!
「ば、馬鹿な……」
自分達の”切り札”と言ってもおかしくない軍用魔獣が撃破された事に司令官は信じられない思いでリィン達を見つめていた。
「よし―――!」
「はあはあ……やった……!」
「敵の全滅を確認。」
「フン、他愛ない。」
勝利にリィンとエリオットが喜んでいる中、アルティナは静かな表情で呟き、バルディエルは鼻を鳴らし
「エリオット、みんな……」
フィオナは嬉しそうな表情でリィン達を見つめていた。
「さあ……!大人しく剣を捨てなさい!」
「!待って!まだいるわ……!」
「!生体反応を確認。先程の魔獣と同じタイプですね。」
「ぐぬううっ……!まだだ!まだ終われるものかっ!」
サラ教官が警告したその時何かに気付いたゲルドとアルティナが警告し、唇を噛みしめた司令官が片手を挙げて何かのスイッチを押すと反対方向の壁が地面へと下がり、そこからリィン達が倒した魔獣達と同タイプの魔獣が2体現れた!
「あっ……!」
「あ、新手……!?」
「くっ……まだいたの!?」
新手の登場にエリオットとエリスは不安そうな表情をし、サラ教官は唇を噛みしめた。
「いい加減にしろ!これ以上は無意味なはずだ!」
リィンは司令官を睨んで警告し
「う、うるさい!お前達こそ降伏するがいい!この平民の娘を剣の錆にしたくなければ―――」
司令官はリィン達を睨んで負け惜しみを言った。
「いい加減にするがいい!」
するとその時逞しい声が聞こえ、声が聞こえた方向に視線を向けるとそこにはリィン達やフィオナにとって見覚えのある金髪の軍人がいた。
「え――――」
「あ……!」
「まさか――――」
第三者の登場にフィオナやリィン達が驚いている中、軍人は魔獣達に一気に詰め寄って、剣を振るった!
「はあああああっ!!」
軍人の一撃により魔獣達は一瞬で大ダメージを受け、消滅した!
「なああああっ……!?」
それを見た司令官が驚いたその時
「――――おおおおおっ!!」
「ぎゃんっ!!」
軍人は司令官を殴り飛ばし、壁にぶつかった司令官は気絶した!
「あ……」
その時緊張が解けたフィオナは床に崩れ落ちた。
「ね、姉さん!」
「あ、貴方は……!?」
「――――ナイトハルト教官!?」
「久しいな、お前達。」
軍人―――ナイトハルト少佐はリィン達へと振り向くと腕を組んだ。
「だが、すでに私はお前達の教官ではない。”少佐”とでも呼ぶがいい。」
「まったく、美味しい所を持っていってくれますこと。お久しぶりです。ナイトハルト少佐。」
「君もな、サラ教官。」
サラ教官は苦笑しながらナイトハルト少佐に話しかけていると、エリオットはフィオナに駆け寄った。
「姉さん、大丈夫!?」
「ふふっ……ええ、平気よ。どこも痛いところはないわ。」
立ち上がってエリオットに微笑んだフィオナはエリオットを抱きしめた。
「わわっ……」
「……ありがとう、エリオット。助けに来てくれて……今まで無事でいてくれて……本当に……本当にありがとう。」
「姉さん……グス……よかった……本当によかったよ。」
姉の温もりを感じたエリオットは安堵による涙を流した。
「Ⅶ組のみんな……サラさんに、ナイトハルト少佐も。ありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか……」
「はは……ご無事でよかったです。」
「ふふ、お礼に今度またピアノを聞かせてちょうだい。」
「フフ、じきにこの砦も中将閣下が制圧するだろう。とりあえずは一段落、だな。」
こうして”双龍橋”の攻防は最小限の戦闘をもって幕を閉じ……リィン達は無事、フィオナを救い出すという目的を達成した。
その後、第四機甲師団は”双龍橋”を占拠することとなり……この地の領邦軍は、いったんバリアハート方面へと撤退した。しかし――――
~メンフィル帝国軍・ケルディック地方・双龍橋方面国境防衛地点~
「クソッ!第四機甲師団め……!この屈辱は必ず返してくれる……!」
シュピーゲルに乗って部下達と共にバリアハート方面へと撤退する領邦軍の司令官は唇を噛みしめた。するとその時砲撃が領邦軍の前に放たれた!
「なっ!?一体なん―――――!!」
突然の出来事に驚いて立ち止まったシュピーゲルが視線を向けるとそこにはサフィナ率いるメンフィル帝国軍が領邦軍の撤退先を塞ぐかのように展開していた。
「メ、メンフィル帝国軍!?」
「ケルディックの防衛部隊か……!」
「ケルディックは都市でもないのに、何であんなに大勢いるんだ……!?」
「し、しかも”機甲兵”まで所持しているだと!?」
メンフィル帝国軍の登場に領邦軍の兵士達は驚いたり表情を青褪めさせた。
「――――領邦軍!これより先はメンフィル帝国領だ!貴様らのメンフィル帝国領の通過は認められていない!双龍橋に戻るがいい!それとも我らと剣を交えてでも通過をするつもりか!?ならば容赦はせんぞ!」
飛竜に騎乗するサフィナはメンフィル軍を代表して領邦軍を睨んで警告し
「グッ………!?双龍橋は賊軍に占領された為、我らはバリアハートに撤退しているだけだ!貴国と剣を交えるつもりはない!貴国に危害を加えない事をこの場で確約するゆえ、通過の許可を頂きたい!」
サフィナの警告に唸った司令官はサフィナを見つめて叫んだ。
「宣戦布告もせず、我が国の領であるユミルに2度も襲撃した者達の言葉を我らメンフィルが信用するとでも思っているのか!?――――これが最後の警告だ!大人しく双龍橋方面へと後退せよ!さもなくば、我らメンフィルはケルディックの民達を護る為に貴様らを今この場で殲滅する!」
「グググググ……ッ!」
サフィナの警告を聞いた司令官は唇を噛みしめ
「そ、そんな……!?」
「後退したら第四機甲師団が待ち構えているんだぞ……!?」
「ど、どうすればいいんだよ……!?」
領邦軍の兵士達は表情を青褪めさせた。
「ぐ、ぐぐぐぐっ……!第四機甲師団といい、学生どもといい、誇り高きクロイツェン領邦軍である我らを愚弄しおって……!しかもこの私が頭を下げているにも関わらず、頼みを聞かないだと……!?―――総員、これよりメンフィル軍を突破し、バリアハート方面へと撤退せよ!戦う必要はない!ただ、突破するだけだ!」
その時シュピーゲルの操縦席の中で唇を噛みしめて身体を震わせていた司令官は指示をし
「し、司令!?」
「そ、そんな……!?あの大軍を突破するなんて、無理だ……」
指示を聞いた領邦軍の兵士達は信じられない表情をした。
「……正規軍か私達のどちらかに降伏して生き延びるという手段があったというのに、愚かとしかいいようがないですね。―――総員、戦闘開始!これよりケルディックの防衛並びに領邦軍の殲滅を開始する!一人足りとも後ろに通すな!」
一方呆れた表情で呟いたサフィナは領邦軍を睨んで両手にそれぞれ持つ双鎌の片方を空へと掲げて号令をかけ
「オォォォオォォォオオオオ―――――――ッ!!」
サフィナの号令にはそれぞれの武器を空へと掲げて辺りを轟かせる勇ましい雄たけびを上げたメンフィル兵達は領邦軍との戦闘を開始した!
そして1時間後、領邦軍の追撃をしていた第四機甲師団が到着するそこにはメンフィル軍によって虐殺された領邦軍の兵士達の死体や、装甲車と機甲兵の残骸があたり一面に散らばっていた!
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