カップルの失踪
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7部分:第七章
第七章
「そのことはな」
「死者もいませんでしたし」
「本当に何よりでした」
「そしてだ」
ここで、だった。ドトールは話を変えてきた。
その変えた話はだ。こうしたものだった。
「あの男のことだが」
「あの男ですね」
「当の犯人の」
「そうだ。あの男だが」
その犯罪を起こしただ。その男のことをだ。それを話すのだった。
ドトールがだ。自分の前にあるその捜査報告を見てだ。言うのだった。
「一言で言うと狂人だな」
「はい、所謂マッドサイエンティストです」
「それに他なりません」
二人もだ。それだと話すのだった。
「人間を改造して新しい動物にする」
「まさにその行いです」
「実際にいるものなのだな」
ドトールはだ。考える顔で述べた。
「そうした人間がな」
「確かに。日本にもいますが」
「あの博士が」
「天本博士か。そうだったな」
ドトールは考える顔のままでまた述べた。
「あの博士がいたな」
「はい、あの博士とは別にです」
「いたのですね、実際に」
「狂気に取り憑かれた科学者が」
「実在しました」
「そしてだ」
ドトールは二人にさらに話す。
「あの男とその協力者、部下達のことはわかっているか」
「今も捜査しています」
「その数はかなりのものです」
「ですが彼等はです」
「芋づる式に捕まっています」
それはだ。安心していいと言う二人だった。
「ですからそれは」
「順調です」
「大掛かりな捜査になるな。しかしです」
ここでだ。しかしだというのだった。
そのうえでだ。彼等はだ。ドトールに対してだ。
深刻な顔で。こう話すのだった。
「この事件はです」
「やはり」
「そうだな。公表することはな」
それはだ。どうかというのであった。
「できはしないな」
「こうした事件はどうしても」
「公にすれば」
「恐ろしいことになります」
「社会不安につながります」
「その通りだ」
まさにそうだとだ。ドトールも話す。
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