転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1335話
俺達の……正確には円とイザークの模擬戦は、予想以上に効果的だったらしい。
「で、具体的にはいつになるって?」
現在俺がいるのは、ニヴルヘイムの司令室。
そこには俺以外にも、地球派遣艦隊の幹部陣全員が揃っていた。
……艦隊と言っても、ニヴルヘイムとシロガネしかいないんだが。
こういう時に無人艦があれば、ハッタリを効かせるって意味では便利なんだけどな。
いよいよもって、木星に行ってヤンマとカトンボ、それとチューリップの生産プラントを確保する必要が出て来た。
『予定日は、三日後。場所はサツキミドリ2号。勿論僕も同席することになってるけどね』
苦笑を浮かべるアカツキだったが、その気持ちは分からないでもない。
散々苦労して俺達と連合軍、連合政府との橋渡しをしようとしていたのに、それを向こうは聞こうとはしなかった。
正直、俺も何でこの状況で向こうが急に俺達と会う気になったのかは全く理解出来ない。
なので、直接その疑問を目の前の映像モニタに映し出されているアカツキへと尋ねる。
「この世界の主戦力は生身じゃないだろ? なのに、何で俺のミロンガ改とか、火星でのシャドウミラーの戦いの映像を見てもこっちと会おうとはしなかった向こうの首脳陣が、生身での戦いの映像を見て心変わりしたんだ?」
『さて、何故だろうね。正直僕にも向こうが急に心変わりをした理由は分からないよ。ただ、あの戦闘を見て何か思うところがあったのは事実だろうね』
そんなアカツキの言葉に、エザリアが口を開く。
「イザークと円の戦闘を見て思うところがあったのは事実でしょう。けど、それでわざわざサツキミドリ2号まで来るというのは、少し疑問ね。しかも、今回の件は交渉ではなくて会談……ようは顔合わせなんでしょう?」
『そうらしいね。連合政府や連合軍としては、表向き異世界の存在を認めてはいない。……ただ、当然彼等が認めていないからって本当にシャドウミラーがいない訳じゃない。それに、サツキミドリ2号の近くにニヴルヘイムだったかな? 君達のその巨大な城が存在しているというのは、少し情報に詳しい者であれば当然耳に入っている。いや、それどころから民間の一般人にすらニヴルヘイムの情報は広がっているんだ。意外と、下からの突き上げに抵抗しきれなくなったというのが正しいかもね』
なるほど。ASRSやミラージュコロイドの類を使わずに堂々とサツキミドリ2号の側にニヴルヘイムを置いておいたというのが、思った以上に連合軍や連合政府に対するプレッシャーになったらしい。
そこにあの円とイザークの戦闘が決定的な決め手となった、と。
……それでもあの戦闘映像がそこまで破壊力を持つとは思わなかったな。
ああ、だからか? この世界の人間にとって、メギロートやシャドウといった風な機動兵器を使った戦闘というのは、自分達が体験してきただけあって性能は圧倒的に違っていても、まだ何とか理解出来る範疇ではあった。
だがこの世界の住人は生身での戦闘は殆ど行われない。
正確には行われないって事はないんだろうが、それでも銃の類がメインだろう。
そこにこれでもかと魔法やアーティファクトを使用している光景を見れば、自分達が全く知らないだけに未知に対する興味を惹かれた……もしくは恐怖を抱いた、か。
実際問題、俺の場合は生身で連合軍や連合政府のお偉いさんの家に忍び込んで暗殺しようと思えば不可能じゃない。
影のゲートを使えば全く問題なく移動出来るし、それ以外にも気配遮断のスキルもあるしな。
いや、機械とかの目は誤魔化す事は出来ないから、そう考えれば影のゲート一択か?
「ま、向こうが会談を希望してきた理由はどうあれ、こっちとしてはやるべき事をやるだけだしな」
「そうですわね。そもそも、連合軍や連合政府との会談や交渉をしている間も火星におけるシャドウミラーの勢力圏は広まっているのですから」
あやかの言う通り、俺達がこうしている間にも火星ではシャドウミラーの実働班が木星蜥蜴の攻略を進めている。
元々シャドウミラーが火星を実効支配する事は交渉前に既に決まっていた……決めていた事なので、事後承諾という形になるのだろう。
アカツキ自身は口にしないが、恐らくその辺の事情も関わっているのは間違いないと思われる。
意外と、ネルガルの研究所の地下にあったチューリップもどきの件を報告したとかいうのもあるかもな。
それらの事と併せて、円とイザークの戦闘がいい切っ掛けになった、と。
『現在、具体的にどのくらいの場所を奪還しているのか、聞いてもいいかな? ネルガルは火星と縁が深くてね。どうしてもその辺は気になるんだよ』
その言葉に、あやかの視線は俺の方へと向けられる。
まぁ、この件は特に隠す必要もないだろうし……寧ろ正直に俺達が火星をどのくらい自分の勢力圏にしているのかというのを明確に示す事で、向こうに軽い焦りを生じさせる事も出来るだろう。
「2割、といったところですわ」
『……この短期間で2割? えっと、僕の聞き間違いかな? 雪広さんだったね、君のような美しい人の声、それこそ美声と呼ぶに相応しい声を僕が聞き間違うとは非常に残念ですが……』
「まぁ、おほほほ。美しいだなんて、そんな。……2割ですわ」
笑みを浮かべつつも2割というのは否定しないあやかに、アカツキは薄らと額に汗を滲ませる。
どうやらアカツキが予想していたよりも随分と事の進み具合が早いらしい。
まぁ、俺達がこのサツキミドリ2号の近くに転移してきてからまだ10日も経っていないのだから、それで火星の2割を木星蜥蜴から奪還したと言われても信じられない……いや、信じたくないと思っても不思議ではない。
だがホワイトスターからの通信によると、それは紛れもない事実だ。
それどころか、木星蜥蜴の機体をなるべく破壊しないようにして鹵獲しながらの戦闘でそれなのだから、もし本気でシャドウミラーが木星蜥蜴と戦っていれば……さて、何割がこっちの手に落ちていたのやら。
『その件は連合軍や連合政府には知らせない方が……いや、どのみち分かる以上、ここは寧ろ知らせた方がいいか? ……アクセル、その件を連合軍や連合政府に報告しても?』
「ああ、構わない。向こうも自分達の許可がない状態で俺達が火星を占拠しようとしているというのを聞けば、色々と手を打たざるを得ないだろうし」
それがどんな手かは分からないけどな。妙手か悪手か……さて、どう出る?
ボールは向こうにある以上、次に行動を起こすのは向こうだ。
『取りあえず、僕もそうだけど連合軍や連合政府が君達を過小評価していたのは認めるよ』
「ふふっ。アクセル君の戦闘を見て、その上でまだその力を甘く見積もるというのは、少し楽観視し過ぎではないかしら」
千鶴の口から笑みと共にそんな言葉が出る。
けど、笑みを浮かべているからといって、それが喜んでいたりするのかと言えば答えは否な訳で。
『はっ、はは。……そうだね、そうさせて貰うよ』
いつも軽い様子で話しているアカツキだったが、今の千鶴を見た瞬間に額に汗を浮かべてそう話す。
千鶴って時々妙なプレッシャーを放つからな。
魔力とか気とかじゃない、どんな力か不明の力。
何気にあのプレッシャーを研究すれば、魔力でも気でもない第3の力が発見されるんじゃないだろうか。
それはそれで面白そうな気もするが……
「アクセル君?」
「いや、何も思ってないぞ。ただ、アカツキがしっかりと仕事をしてくれないと困ると思っただけで」
『ちょっ、ア、アクセル!? 君、僕を見捨てるつもりかい!?』
「別に俺はアカツキの味方になったつもりはないしな」
『ほ、ほら! アクセルも僕も、名前は『あ』から始まるだろ!』
「……それが?」
いや、本気でそれがどうしたって話なんだが。
名前が同じ文字から始まるから助けろと言われても、それだと俺は『あ』で始まる奴全員を助けなきゃいけなくなる。
そもそも、地球の連中のポカを何で俺が助ける必要がある? 向こうのミスは向こうでツケを支払うべきだろう。
既に俺達の戦闘力がどれ程のものかは見せた。それを見せた上でこっちを甘くみているのだとすれば、それは向こうに責任がある。
「ほら、千鶴。あまりアクセル君を困らせないの」
映像越しにアカツキへと凄む千鶴に、美砂が言葉を挟む。
「あらあら、私ったらそんなつもりはなかったのよ? ウフフ」
美砂の言葉で千鶴も一旦は矛を収めたのか、発する圧力はいつの間にか消えている。
「せっかく長ネギを用意しようと思ったのに」
……ポツリと呟かれたその言葉に、映像越しにアカツキは何だか青くなっているように見えたが。
映像越しだってのに、長ネギを用意して何をするつもりだったんだろうな。
少し気になるような、気にしたくないような……
『えっと……ああ! 連合軍から連絡が入ってる! 多分サツキミドリ2号での会談の件だろうから、僕はこの辺で失礼させて貰うよ。じゃあ、また』
「……逃げ足は速いわね」
あっという間に通信を切ったアカツキの行動に、円が呟く。
大企業のトップという立場なんだから、自分が不利な状況だったりしたらすぐに撤退を選べる能力ってのは必要なんだろう。
そういう意味では、アカツキはまだ若いがネルガルという大企業の会長をやれるだけの能力があるって事だ。
まぁ、偉そうに言ってる俺自身、シャドウミラーという国の代表という立場にいるんだから、若さ云々って意味だと俺の方が圧倒的に色々とあるんだが。
「ま、それはいいさ。それより三日か。……出来れば一旦ホワイトスターに戻りたいんだけど、そうもいかないんだろ?」
「ええ。連合軍や連合政府から何らかのリアクションがあるかもしれないから、出来れば最高責任者のアクセルにはここにいて欲しいわね」
いて欲しいという言葉で言ってはいるが、その実はいろ! って感じ何だろうな。
実際問題、いざという時に俺が即座に行動出来るってのは大きい。
勿論ホワイトスターにいてもこの宙域までやって来るのに10分掛からないと思うが、その10分が致命傷になるような自体も想定しているんだろう。
それと、やっぱり戦力的な意味だろうな。
シロガネとニヴルヘイム、メギロート、シャドウ、幹部陣の機体。……イルメヤもいるけど、宇宙ではあまり出番がないんので、取りあえず置いておくとしてもこれだけの戦力があってもシャドウミラーの戦力の象徴であるニーズヘッグがいるのといないのとでは大違いって事か。
「はいはい、分かったよ。俺も言ってみただけだから、気にするな。きちんとニヴルヘイムで会談の時まで待ってるから」
「そうして貰えると助かるわ」
エザリアが満足そうに頷くのを見ると、これからどうするか考える。
三日と、言葉にすればそれだけだが、その間俺が暇になるのは事実だ。
既にシャドウミラーの存在を明らかにしてしまった以上、そう気軽にサツキミドリ2号に遊びに行く訳にもいかないし。
「アクセル、その顔は暇そうだって感じだな。なら、少し俺に付き合え」
そう告げたのは、何だかんだで俺とそれなりに長い付き合いになっているイザーク。
顔に浮かんでいる好戦的な表情を見れば、何を期待しているのかというのは明らかだった。
元々イザークがシャドウミラーに入ったのは、俺に勝つ為という一面がある。
その辺はムラタと似たような感じなんだよな。
ムラタと違うのは、本人がシャドウミラーで暮らしていく内に段々とそういう気分じゃなくなってきたってところか。
それでもこうして時々戦いを挑んでくるんだから、イザークも物好きというか、向上心が高いというか。
「ま、暇しているのは事実だから構わないけどな。生身と機体、どっちだ?」
「機体に決まってるだろう。お前と生身でやり合おうと考える程、俺は物好きじゃない」
ムラタ辺りは、どっちかと言えば生身の方を重視してたりするんだが。
ともあれ、イザークの希望に沿う形で俺達はそれぞれ外へと向かう。
「言っておくが、手加減はするなよ。お前の本気のニーズヘッグと戦って、それでようやく俺の力を見せるという事になるんだからな」
「……分かった。いいんだな?」
本気で戦えというイザークに尋ねる。
俺の本気という事は、即ち一軍……いや、それ以上の性能を持つニーズヘッグの最大戦力を出すという事だ。
その強さがどれ程のものか。それをイザークは今までに幾つもの戦場を共にしたことにより知っている。
それを知った上で、自分と戦えと言っているのだろう。
以前から何度か戦ってはいるが、今回は今までよりもより強い意志があるように見える。
「そうね、たまにはそういうのもいいかもしれないわね。連合軍や連合政府に妙な思いを抱かせない為にも」
エザリアもどうやら賛成らしい。
その言葉通り連合軍や連合政府に対するプレッシャーという意味もあるのだろう。
こうして、俺とイザークはこのニヴルヘイムに被害が出ないように少し離れた場所で模擬戦を行うのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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