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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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外伝~パンダグリュエル制圧~

~パンダグリュエル・甲板~



「え――――」

「この声は……!」

「何っ!?―――どこにいる、”殲滅天使”!!」

少女の声を聞いたスカーレットは呆け、ヴァルカンは目を見開き、クロウが周囲を見回して声を上げたその時、何と片手にレンを乗せた”パテル=マテル”が”パンダグリュエル”の上空から現れて甲板に降り立った!



「クスクス、ごきげんよう♪昨日ぶりね、”蒼の騎士”さんに”神速”さん?」

レンは小悪魔な笑みを浮かべてスカートを摘み上げた後クロウ達を見下ろしていた。

「なあああああああっ!?パ、”パテル=マテル”に”殲滅天使”!?」

「……まさかたった一人で乗り込んでくるとはな……!だが、幾らそいつがいるとはいえ、俺達全員を相手にするのはキツイんじゃないか?」

レン達の登場にデュバリィは信じられない表情で声を上げ、クロウは厳しい表情でレンを見つめた。



「クスクス、ご自慢の”騎神”は片腕が使い物にならなくなっているのをわかっていて言っているのかしら?さっきのリィンお兄さんとの約束を聞いて疑問に思ったけど、”蒼の騎士”のお兄さんも使い物にならなくなった”騎神”の腕を何とかしないとダメなんじゃないの?」

「……っ!」

レンの指摘を聞いたクロウは唇を噛みしめ

「それに今日の”お茶会”にはレンやパパ達に加えて”ゲスト”のお姉さんもいるわよ?」

「何だとっ!?」

「”殲滅天使”の父親……―――”英雄王”か!まさか”英雄王”達が近くにいるのか!?」

レンの言葉を聞いたクロウとヴァルカンが信じられない表情で声を上げたその時!



「―――その通りですわ。」

何とペガサスに乗ったシグルーンを始めとした多くの翼を持つ騎獣達を駆る騎士達がパンダグリュエルの上空から現れ、その中から数人の人物が跳躍してパンダグリュエルに降り立った!



「……直に顔を合わせて会うのは学院祭以来か。クロウ・アームブラスト。」

「―――また会ったな、”蒼の騎士”。今度は生身で俺の槍と共に”ファラ”の聖炎を受けてみるか?」

「メンフィルの”怒り”が”あの程度”で終わったと思ってもらっては困る。次は我が槍にてメンフィルの”怒り”をお見せしよう。」

クロウ達を包囲したリウイ、エフラム、デュッセルはそれぞれ武器を構えてクロウ達を睨み

「な、ななななななっ!?え、えええええ、”英雄王”―――リウイ・マーシルン!?」

「チッ、どうなってんだよ、これは……!?」

「かなり不味いわね……空からの奇襲に加えてあの人形まで加わったら”全滅”よ!?」

リウイ達の登場にデュバリィは表情を青褪めさせて声を上げ、ヴァルカンとスカーレットは厳しい表情で周囲を見回した。

「フフッ、ちなみに今度は私もいるわよ♪」

するとその時シグルーンの後ろにいた一人の女性が跳躍してパンダグリュエルに降り立った!



「なっ!?貴女は”六銃士”の”微笑みの剣妃”――――ルイーネ・サーキュリー!何でクロスベルでレジスタンス活動をしている貴女がここにいるんですの!?」

「”六銃士”だと!?」

「クロスベルの警備隊の上層部がメンフィルと一緒に行動をしているなんて、一体どうなっているのよ!?」

女性――――ルイーネを見たデュバリィは信じられない表情で声を上げ、ヴァルカンとスカーレットは驚きの表情で声を上げた。



「フフッ、そちらの方はあくまで”協力者”ですわ。貴族連合に協力する貴女達のようにね。それにこの艦は完全に包囲されていますわよ?」

「何だとっ!?」

そしてシグルーンの言葉を聞いたクロウが声を上げたその時、メンフィルの戦艦がパンダグリュエルの全方位から現れ、パンダグリュエルを包囲した!



「なあああああああっ!?」

「チッ、観測は一体何をやっていたんだ!?」

戦艦に囲まれた事にデュバリィは驚きの表情で声を上げ、ヴァルカンが唇を噛みしめたその時

「う、うわあああああっ!?い、一体どうなっているんだ!?」

「メ、メンフィル軍だと!?」

「おい!何故今まで気付かな……え。な、何を……ギャアアアアアアッ!?」

「ヒッ!?お前もどうし―――グアアアアアッ!?」

パンダグリュエルから操縦士の悲鳴が聞こえて来た!



「……!まさか……!」

「艦内の乗員達とメンフィル兵がすり替わっていただと!?」

「クソッ!?だから、あの時ヴィータ達はまんまと嵌められたのか!」

悲鳴を聞いてすぐに状況を察したスカーレットは厳しい表情をし、ヴァルカンは驚き、クロウは悔しそうな表情でリウイ達を睨んだ。



「―――陛下!ブリッジの制圧は完了しました!」

するとその時ブリッジからの放送が聞こえて来た。

「よし―――艦内に潜む誇り高きメンフィルの戦士達よ!雌伏の時は終わりだ!これより”パンダグリュエル制圧作戦”を開始する!今こそ武器を取り、メンフィルの”怒り”、エレボニア帝国に思い知らせろっ!」

「御意ッ!!」

「オォォォォオ―――――ッ!!」

「さて……―――後はお前達か。まさかとは思うがこの戦力差で”無駄な抵抗”をするつもりか?」

通信機で指示を終えたリウイはクロウ達を見回して問いかけた。



「………ッ………!」

「ググググググ……ッ!」

「クッ…………!」

「クソッ、こんな終わり方だけは絶対に認めねぇ……!」

リウイに問いかけられたクロウ達はそれぞれ悔しそうな表情でリウイ達を睨んでいた。



「チッ……この事をカイエンのオッサンが知ったら、エリスに危害を加える可能性が高いとわかっているのか!?」

「その心配は無用だ。既にエリスは我らメンフィルが救出した。」

クロウの問いかけに対してリウイは静かな表情で答え

「何だと!?どうやって警備が厳重な帝都近郊にあるカレル離宮から救出した!?」

クロウは信じられない表情で声をあげた。



「うふふ、”結社”のステルス機能だったかしら?本当に便利ね、あのシステムは♪おかげで帝都近郊を徘徊している飛行艇に気付かれずに帝都の上空から帝都を奇襲する事ができたんだから♪」

「―――!まさか”福音計画”でわたくし達”結社”から奪い取った”グロリアス”のステルス機能を解析して、それらを他の戦艦に搭載したのですか!?」

「何ですって!?」

「チッ、帝都の奇襲で領邦軍が帝都に注意が行っている隙に離宮を襲撃したって訳かよ!」

レンの説明を聞いたデュバリィは目を見開き、スカーレットとヴァルカンは厳しい表情をし

「―――!!まさかお前らヴィータまで……!」

ある事に気付いたクロウは怒りの表情でリウイを睨んだ。



「さてな……運が悪ければお前の予想通りの”結果”になっているかもしれんな。――――かつてお前が通っていた学院の”常任理事”としての”最後の情け”だ。ユミルに引き続き今回も”見逃してやる”。死にたくなければさっさとここから立ち去るがいい。―――ただし、”3度目”はないと思え。」

「……………ッ!オルディーネ!俺を中に入れてくれ!」

リウイの言葉を聞いて焦りの表情をして唇を噛みしめたクロウはオルディーネの中に入り

「――退くぞ、ヴァルカン、スカーレット、”神速”!悔しいがこの戦力差じゃ太刀打ちできねぇ!”パンダグリュエル”は諦めて帝都の状況を確かめるぞ!オルディーネ!”精霊の道”を発動しろ!行き先はヘイムダルだ!」

「承知シタ――――」

「わかったわ!」

「チッ、悔しいがしゃあねえな……!」

「ググググググ……ッ!”鉄機隊”の筆頭騎士たるこのわたくしが敵に2度も見逃されて背を向けて撤退するなど、屈辱ですわ……!申し訳ありません、マスター……!」

そしてオルディーネは自分の傍に駆け寄ったスカーレット達と共に”精霊の道”を使ってその場から消えた!



「これで邪魔者は中にいる兵士達だけか。―――総員、突撃!これより”パンダグリュエル”の制圧を開始する!行くぞっ!!」

「おおっ!!」

その後リウイ達は艦内にいる領邦軍の兵士や魔獣、人形兵器達を殲滅し、整備士やメイド等の非戦闘員は拘束した後地上に降ろして解放した。



~バルヘイム宮跡~



「ああっ……何てことだ……伝統を誇ったバルヘイム宮がこんな無惨な姿に…………おのれえええええええッ!薄汚い簒奪者共が――――――ッ!貴様らに受けたこの屈辱は必ず倍にして返してくれる!」

「……お気持ちはわかりますけど、肝心の”アレ”が封印されている場所まで瓦礫で完全に埋もれてしまいました。少なくとも瓦礫を取り除いて”アレ”が封印されてある場所まで行く道を確保しなければなりません。それまでは絶対にこれ以上メンフィルの逆鱗に触れるような事はしないで下さい!当然メンフィル帝国領の襲撃は絶対に厳禁です!ユミルの件を考えると各領にも軍を展開して本格的に防御を固めているでしょうから、領邦軍に襲撃させても悪戯に兵を消耗するだけです!ただでさえ正規軍も制圧しきれていない状況なのに、そこにメンフィルも加われば状況はひっくり返って、我々が劣勢になる事はお分かりですよね!?」

崩壊したバルヘイム宮の前で怒りの表情で声を上げたカイエン公爵の様子を見たクロチルダは真剣な表情で声を上げて忠告し

「グググググッ……!」

クロチルダの忠告を聞いたカイエン公爵は悔しそうな表情で唇を噛みしめて唸り声を上げた。



「無事だったか、ヴィータ!」

するとその時オルディーネが空から現れ、クロチルダ達の傍に着地した。

「クロウ!?どうしてここに…………」

「……”パンダグリュエル”はメンフィルに制圧されちまった。悔しいが俺やスカーレット達と”神速”は”英雄王”に見逃されて何とか撤退する事ができた。」

「なっ!?」

「何だと!?――――!!”灰の騎士”と皇女殿下はどうなった!?」

オルディーネから聞こえて来たクロウの声を聞いたクロチルダは絶句し、カイエン公爵は血相を変えてオルディーネを睨んだ。



「あの二人なら俺達の守りを潜り抜けてメンフィルが来る前にヴァリマールで撤退したぜ。」

「嘘でしょう!?たった一人で……しかも足手纏いもいるのに貴方達の守りを潜り抜けるなんて、一体いつの間にそんなに成長したのよ……!?」

「なあっ!?みすみすと逃がすなど、何をやっている!?この役立たず共が!」

クロウの話を聞いたクロチルダは驚き、カイエン公爵はオルディーネを睨んだ。



「るせえっ!メンフィルが”パンダグリュエル”の制圧の為に戦艦で”パンダグリュエル”を包囲していたんだ。どの道結果は変わらねぇよ。今はこれからどうするかだろうが!」

「クロウの言う通りです、閣下。まずは”アレ”が封印されてある場所まで埋まっている瓦礫を取り除きつつ、今回の件を知った正規軍に隙を突かれないように対処する事が先決です。メンフィルも肝心の二人を取り返して貴族連合―――いえ、エレボニア帝国に対する”報復”もした事で、しばらくは落ち着くと思われます。口惜しいですが、メンフィルの事は後回しにするべきです。」

「ググググッ………!おのれええええええええええ―――――ッ!!」

クロウとクロチルダの正論を聞いて唇を噛みしめたカイエン公爵は怒りの表情で空を見上げて声を上げた!



こうして……貴族連合の旗艦である”パンダグリュエル”はメンフィル軍によって制圧され、メンフィルの所有戦艦となった………! 
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