英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第61話
~アーライナ領域~
「―――瞬迅槍!!」
「クッ……!」
戦闘開始早々ペガサスと共に突撃し、強烈な突きを放ったシグルーンの攻撃をクロチルダは結界で防御しながら攻撃を受け流し
「まだ終わりませんわよ!秋沙雨!!」
「……ッ!」
更に続けて放たれたシグルーンの槍による連続突き―――秋沙雨を結界で防ぎながら杖に魔力を溜め込み、自分の足元から魔術を発動した。
「凍りつきなさい!」
「!ルチア!」
クロチルダの足元から発生する魔力に気付いたシグルーンが見事な手綱さばきで空へと退避すると連続で氷山が突き上げ、ペガサスに乗るシグルーンを襲ったがシグルーンはクロチルダのクラフト―――無間氷獄の回避に成功していた為ダメージを受けなかった。
「大地の精霊達よ、力を貸して!―――大地の怒り!!」
その時詠唱を終えたシルフィエッタが魔術を発動するとクロチルダの足元から地震が起こると共に衝撃波が起こり
「キャアッ!?クッ……踊れ、剣よ!!」
シルフィエッタの魔術を受けたクロチルダはすぐに立ち直って魔力を込めた杖を掲げ、一瞬で敵の周囲に魔剣を発生させて敵に放つクラフト―――魔剣舞踏を放ち
「……っ!」
シルフィエッタは即座に自分を中心にドーム型の結界を展開してクロチルダのクラフトを防いでいた。
「裁きの槍よ、敵を貫け!―――神槍!!」
その時上空で短い詠唱を終えたシグルーンは魔術によって発生した光の槍をクロチルダ目掛けて放ち
「なっ!?騎士の癖に魔術を使うですって!?……ッ!」
騎士であるシグルーンが魔術を使った事に驚くクロチルダは襲い掛かる光の槍を側面に跳躍して回避したが、その瞬間を待っていたかのようにシグルーンはペガサスを操って再びクロチルダに一気に詰め寄った。
「来ないでっ!」
一気に詰め寄ってくるシグルーンに危機感を抱いたクロチルダは杖を振るって無数の魔力弾を放ったがシグルーンはペガサスを巧みに操って襲い掛かる魔力弾を全て回避し、技を放った。
「旋月槍!!」
「”蛇の使徒”を舐めないでっ!」
闘気を纏った薙ぎ払い攻撃に対し、クロチルダは結界で防御したが
「フフ、かかりましたわね。アークス、駆動!―――ダークマター!!」
「なっ―――キャアアアアアアアッ!?」
攻撃前にオーブメントの駆動をしていたシグルーンがアーツを発動し、アーツによって発生した重力場によって無防備な背中からダメージを受けたクロチルダは怯み、その隙にシルフィエッタの戦術オーブメントと戦術リンクを結んでいたシグルーンはシルフィエッタの行動がわかっていた為、その場から退避した。
「雷の精霊達よ、力を貸して!二つ回廊の轟雷!!」
「クッ……!?」
するとその時詠唱を終えたシルフィエッタの魔術が発動し、クロチルダは咄嗟にドーム型の結界を展開して防御したが結界に伝わる衝撃に表情を歪めた。本来後方からの攻撃や援護に優れ、”唄”による攻撃が得意であるクロチルダは詠唱時間等を稼ぐ前衛がいない為、次々と襲い掛かってくるシグルーンやシグルーンを援護するシルフィエッタのコンビネーションに防戦一方だった。
「あ、あれがクラリスが目指している”天馬騎士”…………」
「人馬一体ならぬ、”天馬一体”の攻撃ですわね……」
「うむ……馬が空を飛べるだけであのような攻め方ができるとはな。」
「おいおい……結社の最高幹部が防戦一方って、どうなってんだこりゃ……」
シグルーン達の戦いを見ていたマキアスとセレーネは呆け、ラウラは真剣な表情で呟き、トヴァルは戸惑いの表情をし
「―――まあ、ある意味当然の結果だと思うわよ?幾ら”魔女”として能力が長けているヴィータと言えど接近戦は得意じゃないはずよ。」
「加えてあの騎士の方が高火力の魔法を放つ為に必要な詠唱や姉さんの得意技である”唄”を歌わせる時間すら与えないように執拗に攻撃を加え続けていますから、姉さんは本来の戦い方を封じられた状態で戦っているようなものです。」
「しかも相手は”達人”クラスの使い手に加え、高火力の魔術を次々と放つ魔術師……けどそれらに対し、防戦一方とはいえ決定打を受けない所はさすがは結社の最高幹部と言った所かしら。」
セリーヌは冷静な様子で複雑そうな表情をしているエマと共に推測し、サラ教官は真剣な表情で戦いを見守っていた。
「火の精霊達よ、邪悪なる者達を焼き尽くせ!メル=ステリナル!!」
「クッ……!なんて霊力……!”闇の聖女”以外でこれ程までの力を持つ術者がいるなんて……!」
シルフィエッタが放った最高位の火炎魔術を結界を展開して防御し続けるクロチルダは結界に伝わる魔力や衝撃に表情を歪めた。そしてシルフィエッタの最高位魔術が終わると疲弊した様子御クロチルダが結界を解いていた。
「ハア……ハア……―――!?あの女騎士はどこ!?」
表情を歪めていたクロチルダは自分の視界にシグルーンがいない事に気付いて血相を変えたその時!
「ふふっ、私はこちらですよ!」
2体の自分と愛馬の分け身と共にいるシグルーンがクロチルダに強襲した。
「!?分け身!?クッ……!踊れ、剣よ!!」
シグルーンの強襲に驚いたクロチルダはクラフト―――魔剣舞踏を発動したが
「氷の精霊達よ、お願い!氷垢螺の吹雪!!」
シルフィエッタの魔術によって発生した猛吹雪によって剣は凍りついて次々と大地に落下して消滅した!
「天馬騎士の真髄、その身に刻みなさい!」
「キャアアアアアアアッ!?」
そしてシグルーンは分け身達と共にクロチルダに集中攻撃を叩き込んだ後、分け身達と共にクロチルダの周囲にそれぞれ三角形を描く位置に移動し
「トライアングルアタ―――――クッ!!」
分け身達と共に同時に強烈な攻撃を叩き込むと闘気の大爆発が起こった!
「キャアアアアアアアッ!?クッ…………――――!!」
分け身達と共に強襲する三位一体のペガサスナイトの奥義であり、シグルーンのSクラフト―――トライアングルアタックによる強烈なダメージを受け、思わず地面に膝をついたクロチルダは自分の喉元に槍の切っ先を突きつけられている事に気付いて目を見開き
「フフ、少しでも怪しい行動をすればその喉を突き、”冥き途”に送って差し上げますわ。勿論”怪しい行動”の中には”唄”を歌う事も入っていますから、死にたくなければ迂闊な行動は止める事ですね。後貴女は暗示の魔術も可能との事ですから、暗示対策もしてありますし、そもそも私を含めたメンフィルの将や英雄達にはそのような小細工は効きませんわよ?」
「クッ……レオンが私の情報を喋ったのね……!」
シグルーンは微笑みながらクロチルダを見つめ。クロチルダは悔しそうな表情で唇を噛みしめた。
「(相手は重装備……ならばそれほど速い動きはできまい!)――――ハァァァァァァァ……!」
ゼルギウスとの戦闘を開始したルーファスは全身に鎧を纏っているゼルギウスの装備を見て、速さなら自分に分があると思いゼルギウスに一気に詰め寄って騎士剣による連続攻撃を放ち
「………………」
ゼルギウスは無言でルーファスの連続突きを全て大剣で防御していた。
「そこだっ!!」
連続突きを放ち終えて一端下がったルーファスは袈裟斬りと共に突撃した。ルーファスのクラフト―――ソウルスライサーがゼルギウスを襲ったが
「甘い!獅子戦吼!!」
「な――――グッ!?」
ゼルギウスは片手から放った獅子の闘気を放つクラフト―――獅子戦吼でルーファスの攻撃を相殺するどころか、吹っ飛ばして反撃した。
「行くぞ―――爪竜連牙斬!!」
そしてゼルギウスは重装備でありながら一気にルーファスに詰め寄って流れるような動きで次々と大剣を繰り出し
「なっ!?クッ……!?」
ゼルギウスの動きに驚いたルーファスは繰り出される大剣を騎士剣で受け流していた。
「叩き潰す!魔皇刃!!」
「ガッ!?」
ゼルギウスは流れるように次々と攻撃を繰り出すクラフト―――爪竜連牙斬から大剣を大地に叩きつけ衝撃波を発生させるクラフト―――魔皇刃でルーファスを吹っ飛ばし
「オォォォォ…………覇道――――滅封!!」
大剣に膨大な闘気のエネルギーを溜め込み吹っ飛ばしたルーファス目掛けて解き放った!
「!!」
襲いかかる闘気エネルギーのレーザーを直感で”不味い”と判断したルーファスは側面に跳躍してギリギリ回避に成功したが
「遅い!魔神連牙斬!!」
「グッ!?」
ゼルギウスが繰り出した3連続の高速の衝撃波―――魔神連牙斬をその身に受けて怯んだ。
「はああっ!―――猛招来!!刹那に沈め!!」
ゼルギウスは自己強化のクラフトで自身の能力を高めた後強襲斬り込みをするクラフト―――邪霊一閃で襲い掛かり
「光よ!セェイッ!!」
対するルーファスはユーシスのクラフト『ルーンブレイド』の上位技である『アークブレイド』でゼルギウスの強襲攻撃を相殺してゼルギウスと鍔迫り合いの状態になった!
「グッ……!これがメンフィルの”力”か………!だが……―――例え相手がいかなる者であろうと私の誇りと信念は揺るがせぬ!」
ゼルギウスの大剣を必死で防御しているルーファスは表情を歪めたがすぐに決意の表情になってゼルギウスを睨み
「笑止!貴様らの”主”である”皇”を己の欲の為に裏切った薄汚い輩の剣等、大恩あるリフィア皇女殿下への我が忠義にて叩き折ってくれよう!」
ゼルギウスはルーファスを睨んで怒鳴った後ルーファスとの戦闘を再開した。アーツを巧みに扱いながらゼルギウスと戦っていたルーファスだったがゼルギウスは余りにも圧倒的な強さだった為防戦一方になっていた。
「す、すごい……」
「私達全員が戦っても勝てなかったルーファスさんを相手に圧倒的に戦っているわ……」
「ユーシス兄は今の所何とか防戦しているけど……―――多分そんなにもたないね。あのゼルギウスって将軍、全然”本気”を出していない。」
「兄上…………」
二人の戦いを見ていたエリオットとアリサは呆け、フィーは真剣な表情で推測し、兄の敗北が濃厚である事にユーシスは辛そうな表情をした。
「グアッ!?ハア……ハア…………我が信念と誇りを護る為、私はこんな所で倒れる訳にはいかぬ!行くぞ――――!」
ゼルギウスの強烈な一撃を騎士剣で受けて吹っ飛ばされて受け身を取ったルーファスが”気”を纏わせた拳を突き出すとゼルギウスは巨大な球体に閉じ込められ
「ハァァァァァァァ……!」
ルーファスが拳を握りしめると球体は締め付けるようにゼルギウスに迫り
「ハアッ!セイッ!セイヤッ!風よ!」
ルーファスが騎士剣を振るうと風の刃が球体を貫いてゼルギウスを襲った!
「――――粋護陣。」
一方ゼルギウスは闘気による絶対防御の結界で襲い掛かる風の刃を防いだ。
「天なる雷よ!ラストレスルーイン!!」
そしてルーファスが雷を球体に解き放ったその時大爆発が起こり、爆発の煙が晴れると大技を受けたにも関わらず無事な様子のゼルギウスが現れた!
「馬鹿……な……っ!?」
自分の大技を受けたにも関わらず平気でいるゼルギウスを見たルーファスが狼狽えたその時!
「この奥義にて我が主に勝利を捧げる!」
ゼルギウスはまるで満月を描くように大剣を動かしてルーファスに剣の切っ先を突きつけた後一気にルーファスに詰め寄り、一撃一撃に凄まじい威力が込められた連撃を放った!
「グッ……!?」
一撃一撃が強烈な連撃を騎士剣を必死に振るって防御していたルーファスだったが剣越しに伝わる衝撃に表情を歪め
「奥義――――月光!!」
ゼルギウスが最後の一撃を振り下ろしすとルーファスの騎士剣の刃は真っ二つに叩き折られた!
「な――――ガハッ!?」
得物が叩き折られた事にルーファスが驚いたその時籠手を装着しているゼルギウスの拳がルーファスの腹に命中した!
「クッ…………どこで、綿密に練った我が計画が狂って……しまった………申し訳…………ん……オズ……………閣下…………」
腹に強烈な一撃を受けた事によるルーファスは表情を歪めながら気絶して地面に倒れ
「――――民を、家臣を大切にし、”光と闇の共存”を目指す偉大なる我が祖国メンフィルに手を出した時点で貴様らは”終わり”だ。」
ゼルギウスは地面に倒れて気絶しているルーファスを見下ろして呟いた後武器を収めてルーファスを拘束し
「兄上………………」
その様子をユーシスは辛そうな表情で見つめて肩を落とした。
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