転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1333話
サツキミドリ2号でアカツキとの交渉をしてから、数日。
俺達は特にやるべき事もないまま、サツキミドリ2号の近くに滞在していた。
もっとも、これが戦艦の中での滞在だったら色々と息苦しい事もあったのかもしれないが、ニヴルヘイムは機動要塞で、それそのものが1つの街を抱え込んでいるようなものだ。
勿論ホワイトスターの交流区画のようにきちんとした街並みが広がっている訳ではない。
というか、もし街並みが広がっているとしても、ニヴルヘイムに乗っているのは殆どが量産型Wであって、店の類を経営出来る訳じゃない。
やろうと思えば出来るんだろうが、シロガネの面子を合わせても十人程度しかいない以上、店を作れというのも馬鹿らしい。
現在では、シロガネもニヴルヘイムに収納されており、地球からの返事を待ってる状態になっていた。
そんな中、俺達は……
「甘いわ!」
その叫びと共に、空中から放たれる炎の球。
轟々と燃えさかる炎は、真っ直ぐに地上へと向かって突っ込んで行く。
「甘いのはそっちだ!」
イザークが叫び、地面を蹴る。
そのまま虚空瞬動を使って空中に浮かんでいる円へと向かうが……
「さて、それはどうかしら」
円のその言葉と共に、空中を移動するイザークの前へと炎の壁が姿を現す。
「うおっ!」
そのまま突っ込んでは火傷すると、身体に魔力を身に纏って防御しつつ炎の壁を突き破るイザーク。
炎そのものも模擬戦ということでそれ程熱くはなかった為、イザークの身体からは多少の煙が出ているものの火傷の類はなかった。
だが炎の壁を突き破ったイザークが見たのは、円……ではなく、何も存在しない空間。
イザークは炎の壁で足を止めると思い、その虚を突いたついたつもりだったのだろう。
しかし円はその身体にパクティオーカードから召喚したアーティファクト、純炎の涙を装備している。
……同時に、その身体を覆っているのはアラブの踊り子が着るような、シースルーの紫の衣装。
円の成熟したボディラインを包むその姿は、普通の男であればそれだけで目を奪われてしまうだろう。
「残念だったわね」
イザークの真上から告げる円の周囲には、炎で生み出された剣が何本も存在しており、いつでもイザークへと放てるようになっていた。
相手の虚を突いたつもりだったイザークだが、円はそれを見越して次の手を打っていた訳だ。
PTの操縦ではシャドウミラーの中でも上位に位置するイザークだったが、やはり生身での戦いに関してはまだ円には……正確には従者組の4人には勝てないか。
ただ、元々この4人はPTの操縦とかをしていない分生身での戦いの訓練に専念している。
そう考えれば、PTの操縦の方に力を入れているイザークが勝てなくても仕方がないのだろう。
「そこまで!」
俺の言葉で、模擬戦は終了する。
「アクセル! 俺はまだやれたぞ!」
目を吊り上げて叫ぶイザークに、首を横に振る。
「確かにお前はまだやれただろうな。けど、それは円だって同じだ。その上で、このまま模擬戦を続ければイザークが大きな怪我をしかねないと判断した」
「ぐぬぬ」
悔しげなイザークだが……ぐぬぬとか言ってる奴、初めて見たな。
イザークも自分がこのままでは怪我をしてしまったと理解したのだろう。それ以上は何も言わずに大人しく戦闘態勢を解く。
「千鶴」
「ええ、分かってるわ」
小さく頷き、赤いパーティドレスを身につけた千鶴がイザークの下へと向かう。
「イザークを中心に半径1mに領域を指定。橙の石よ、その力を示せ」
その言葉と共に、イザークを中心にして橙色の領域が展開される。
橙色の領域は、常時回復効果……いわゆるリジェネとかそういうので、一度に傷を全て回復させるといった強力な回復能力はない。
だが、身体についている小さい切り傷や軽い火傷の類であれば問題なく回復が可能だ。
模擬戦をやっている上で、千鶴のアーティファクト虹色領域の腕輪は非常に役立つ。
勿論エヴァとの修行を行って回復魔法を使える者は結構いるが、それでもやっぱり俺達の中だと千鶴が回復役としてはトップクラスなんだよな。
……ちなみに、少し前までは断トツで最高の回復役だった千鶴がトップクラスという表現になっているのは、シャドウミラーに近衛が加入した為だ。
元々巨大な魔力を……それこそネギをも上回る魔力を持っている近衛は、その魔法資質も回復魔法に特化している存在だ。
それだけに、回復魔法は得意だが攻撃魔法や補助魔法の類も使いこなす千鶴と比べ、こと回復魔法に掛けては近衛の方が上だ。
まぁ、近衛は今回ホワイトスターに居残りでこっちに来てないから、やっぱりこっちの地球出向組の中では千鶴が最高の回復役だってのは間違いないんだが。
あっという間に身体の傷を回復したイザークを確認し……
「で、お前達が見たがっていた魔法とかをその目にした訳だが。感想は?」
視線の先にいるのは、プロスペクター、エリナ、ゴートといったネルガル一行。そしてミスマルを中心としたブリッジメンバーに、整備を代表してウリバタケや、エステバリスのパイロット一同。……おまけで、映像モニタ越しではあるが、アカツキの姿もあった。
元々はアカツキからの要望によってこの模擬戦の公開は決まったのだ。
連合軍や連合政府にシャドウミラーがどのような存在かをしっかりと知らせる為って事だったけど、実際にはアカツキが見たかったんだろうな。
俺の個人的な戦闘力はゴート辺りから報告は上がっていたと思うが、他の面子はどうなのかと。
『いやいや。凄いですねこれは。もしかしてシャドウミラーに所属する人達は皆が今の人達のように強いんですか?』
アカツキの軽い外見に似合わないような、丁寧な口調。
何だかこのギャップには違和感があるな。
それに、ネルガルとは交渉が上手く纏まれば長く付き合っていく事になるんだし……また、何よりここで俺達と友好関係が進めば、それを崩したくなくて連合軍や連合政府との交渉をより一層頑張ると考えれば……
まぁ、やっぱりアカツキから出てくる敬語に違和感があるってのが強いんだけどな。
「無理して丁寧な言葉使いをする必要はないぞ。お前の外見に合ってないからな。いつも通りの口調にしろ」
『あ、やっぱり? あはは。僕も自分でちょっと苦しいかなって思ってはいたんだよね』
あっさりと敬語をやめて、馴れ馴れしい口調になるアカツキだったが、ネルガルの会長という地位にいる以上、敬語に慣れていないなんて事はないだろう。
多分自分を軽く見せる為の一環なんだろう。……うん、多分だけど。
笑みを浮かべているプロスペクターや、今の戦いを見て驚きの表情を浮かべているゴートと違い、エリナが頭が痛い……いや、頭が頭痛だったり、頭痛が痛いといった様子なのを見れば、アカツキのこの態度は……
「すっげえな。な、なぁ、アクセル! 俺もあんなに強くなれるのか!?」
今の戦いを見ていたナデシコ勢の中で最初に我に返ったのは、ある意味当然なのかもしれないがヤマダだった。
正義のヒーローに憧れているヤマダとしては、生身で空を飛んだりするというのは思うところがあったのだろう。
てっきりスーパー系の主人公のように特機に乗っての自分の強さを求めているものだとばかり思ってたんだが。
……それでいながら、頬を赤くして踊り子の衣装を着ている円をしっかりと凝視出来ない辺り、俺を凌ぐ恋愛巧者としては正直どうかと思うが。
いや、メグミに手を握られているのを見れば、もし目移りなんかしようものなら間違いなくいじけられ、その手を握り潰される未来しかみえないけど。
「どうだろうな。円のようになるにはちょっと難しいと思うぞ。円の手足にあるのはアーティファクトって奴で、ネギま世界の住人の特権みたいなものだし」
実際ネギま世界以外の人間同士で仮契約を試してみた事があったが、結局契約は出来なかった。
つまり、もし仮契約をするのであれば、必ずどちらかがネギま世界の住人である必要がある。
しかも出てくるアーティファクトのレア度は契約をする二人の能力によって決まっている節があるんだよな。
実際麻帆良にいた俺達の後輩の魔法使い……何て言ったか。グッドマンのパートナーの女が持っているアーティファクトは、魔法世界の騎士団で正式採用されている箒だったし。
騎士団で正式採用されているってくらいだから、決して性能が悪いって訳じゃないんだろうが、それでも既製品の量産品なのは間違いない。
つまり、ヤマダが本気で円みたいな強力なアーティファクトを欲するのであれば、ネギま世界の中でもそれなりの能力を持つ相手と仮契約をしないといけない。
だが……と、ヤマダと手を繋いでいるメグミの方を見る。
「それに、もし仮契約をするとなると、その相手とキスをする必要があるんだが……それでも欲しいか?」
「いりません」
一瞬の躊躇もなく、即座に告げてくるメグミ。
ヤマダに何かを言わせる様子もないまま、断言する。
「あー……うん、そうだな。じゃ、じゃあそのアーティファクトって奴はいらねえよ。けど、さっきのイザークって奴は別にアーティファクトを使ってはいなかったんだろ? そっちはどうなんだ?」
完全にメグミの尻に敷かれているヤマダだったが、それでもまだ諦め切れないらしく、そう尋ねてくる。
それだけさっきの戦いは色々と凄かったんだろうな。
「そうだな、そっちは不可能じゃない。ただ、ある程度までは強くなれるだろうが、それ以上となるとやっぱり才能の世界になってしまうな。それに、魔法とかを習得するにしても時間が必要だし」
一番手っ取り早いのは魔法球に入って修行する事だろうが、その辺は取りあえず口に出さない。
今の状況でナデシコ世界から引き抜くってのは色々と問題あるだろうし、ヤマダの性格を考えればシャドウミラーに入っても色々と問題が起きそうだし。
そもそも、シャドウミラーはあくまでも国家だ。
そうである以上、時には後ろ暗い事も普通にやる。
……元々シャドウミラーというのは特殊部隊、それも世界に永遠の闘争をもたらす事を目的として世界の敵になった集団だ。当然その手の汚い行動は普通に行う。
まぁ、それでも国家という形になった以上、形式に則るようになってはいるが。
だが……恐らくヤマダがシャドウミラーに入れば、それを許せないだろう。
そうなれば最終的にこの手で始末するという事にすらなるかもしれない。
それを避ける為には、やっぱりヤマダがシャドウミラーに入らないのが最善の道だ。
「可能性はあるんだな!?」
「そうだな。ただ、イザーク程に強くなるには相当の才能が必要だぞ? イザークは元々色々と能力が高かったのに、その上で文字通りの意味で血を吐くような訓練をしてあそこまでなったんだからな」
「ふんっ、元々能力が高いだ? その能力の高い俺を散々翻弄したアクセルが言っても説得力はないな」
「そうそう、アクセルが何を言っても説得力ないよねー」
俺の方へと近づいてきたイザークの言葉に同意するようにヒカルが告げる。
……イザークも、突然自分の言葉に割り込んできたヒカルに何て言ったらいいのか分からず、少し戸惑っていた。
「あー、うん。そうだな。アクセルはあたし達五人と模擬戦をしても、1人で楽に勝ってしまう実力を持ってるからな。しかも、それで本気を出してるようには見えなかったし、どれだけ強いのやら」
リョーコの言葉に全員が頷いていた。
まぁ、それは否定しないけど。
とにかく、イザークとヒカル、ヤマダ、リョーコを中心にして、オウカが話に入って来たり、メグミやミスマルといった者がそこに入って来たりしていつの間にか話が弾んでいる。
そんな様子を見ながら、俺はハルカとルリの2人の方へと近寄って行く。
「ハルカ、今ちょっといいか?」
「うん? どうしたの?」
「……逢い引きですか?」
ルリの言葉に、ハルカが嬉しそうな笑みを浮かべる。
「そうなの?」
「あー……いや、ちょっと違うか。実はハルカに謝っておきたくてな」
「謝る? 何かしたの? あ、もしかして私じゃなくてエリナに手を出したとか?」
「ちょっと! いきなり何言ってるのよ!」
少し離れた場所でアカツキと何かの相談をしていたエリナが、そう叫んでくる。
今の話、聞こえてたんだな。
「いや、そうじゃなくてだな。今までちょっと勘違いしてたんだよ」
「勘違い?」
「ああ。……ハルカってのは名字だったんだろ? 俺はてっきりハルカが名前だと思ってたんだ。それで、今までハルカって呼んでたんだけど」
その言葉にハルカは一瞬呆気にとられた表情を浮かべたものの、すぐに面白そうな笑顔に変わる。
「あー、なるほど。何で私だけ名字で呼ばれているのか不思議に思ってたんだけど……勘違いしてたんだ」
「疑問に思ってたのなら、言ってくれればすぐに直したんだけどな」
「でも、自分からそう言うのって何だか変じゃない? 自意識過剰っていうか……」
「そうは思わないけどな。……ともあれ、これからハルカが良ければミナトって呼びたいんだけど……いいか?」
その言葉にハルカは……いや、ミナトは笑みを浮かべて頷くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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