無慈悲
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5部分:第五章
第五章
そのまま握り潰した。武田は顔も頭も完全に潰されだ。濁った血に脳漿を肉と骨と共に撒き散らしながら床の上に崩れ落ちた。
振達に鶏超達もだった。
振達は生きたまま首を引き千切られ。その首は窓から放り捨てられた。鶏超は腹から内臓を引き出されもがき苦しみながら死んだ。これで全ては終わった。
与党はすぐに全員が逮捕され裁判の結果全員が銃殺、絞首刑となった。それに連なるマスコミ関係者や労働組合の者達も同じ運命を辿ったのだった。
こうして騒ぎは瞬く間に終わった。全てはハルトマンの功績だった。
だが彼はこのことについて何も言わずにだ。勤務に戻るだけだった。
その彼に対してだ。司令は問うた。
「徹底的にやってよかったんだな」
「そう確信しています」
やはり機械そのものの調子で答える彼だった。
「さもなければ終わらない話でした」
「あそこまで簡単にはだな」
「核爆弾も処理しました」
それもなのだった。敵が使うと言っていただ。
「与党の幹部、それと結託していたマスコミの主要人物百人と共にです」
「渦中の国に放り込んでだったな」
「爆破しました」
つまり核爆弾で消し去ったというのだ。
「そうしました」
「そうか。まあ自業自得だな」
「はい、全員です」
反逆者だからこそ処刑したというのだ。首相もまた。
「それができたのは私だけでしたから」
「ではよかったのか」
「時としてです」
どうだとだ。ハルトマンは司令にそうしたことも話した。
「徹底的にやらねばです」
「ことは解決しないか」
「私はそう確信しています」
「そうだな。今回はな」
そうだとだ。司令も今回は言った。
そうしてだ。あらためてだった。
ハルトマンを見てだ。こんなことも話した。
「私も勉強になったよ」
「人は時として。軍人なら尚更です」
「徹底的に。容赦なくしなければならないな」
「そうです。悪に対しては」
「さもなければその悪がのさばり」
「人々に害を与え続けます」
ハルトマンはこの事実を話した。
「だからこそ私はです」
「悪人には容赦せずに徹底的にやるか」
「全ては世の為人の為に」
無表情だがそれでもだ。率直に言う彼だった。
「そうします」
「そうだな。悪人に容赦してはならない」
これまでは穏健派だった司令もだ。遂に言った。
「そういうことだな」
「それもまた現実ですから」
その現実に基いてだ。ハルトマンはそうしていたのだ。少なくとも彼がいてそうした行動を採ったからこそだ。一連の、首相までも結託したテロ事件は収束した。これは紛れもない事実であった。
無慈悲 完
2011・7・28
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