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レプリカン

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2部分:第二章


第二章

 これに喜んだのはその十三歳からの男子達だった。彼等はこの法案の制定に小躍りした。
「おい、小学校卒業したら結婚するぞ!」
「俺もだよ。学生結婚だよ」
「奥さん何人も持っていいしな」
「クローンの奥さん何人も持って」
「仕事は奥さん達がしてもいいしな」
 クローンの就職も認められた。人口減少は生産力の低下も招いていたからだ。
「じゃあ俺達学校に通いながら子作りだな」
「ああ、学校から帰ったら何人も相手にしてやりまくるぞ」
 中には極めて露骨な言葉もあった。
「やってやってやりまくって」
「子供作りまくるぜ」
 こうしてだった。所謂クローン家族法、クローンの夫や妻なら何人でも持ってよいという法案が世界中で認められた。こうしてだ。
 誰もが夫や妻を何人も持った。そしてその夫や妻がだ。
 スポーツ選手や女優、それに自分の片思いの相手と様々な人物のクローンだった。特にアイドルや女優が人気がありだ。その状況はというと。
「俺マリリン=モンローといエリザベス=テイラーにしたぜ」
「俺オードリー=ヘップバーンな」
「私はクリント=イーストウッドとアーノルド=シュワルツェネッガーとエルビス=プレスリーよ」
 誰もがこれでもかとだ。クローンを作って伴侶にした。そうしてだ。
 日々肉欲の宴に溺れた。その結果確かに少子化は解消された。少子化対策には夫なり妻を多く持てばいい、そうした意味でハーレムは正解だったというのだ。
 人口は急カーブを描いて回復した。しかしだ。
 それと共に深刻な問題が起こった。それは。
 有名人や他人の家族となっている人間でもクローンなら伴侶にできその相手の子供を産んだり生ませたりできるのだ。ある女優は困った顔でこんなことを言い出した。
「私一体何人誰かの子供を産んだのかしら」
 自分のクローン達がどういった風になっているのかを知ったうえでの言葉だ。
「しかも毎日いやらしい格好させられて。この前中学生の男の子が私に派手な水着を着せてその格好でプールでデートしてたらしいのよ」
 どういった水着かさえ言えない位派手だったというのだ。
「私のクローン達がどうなってるか心配だわ」
 こう言ったのだ。しかもだ。
 ある男がだ。妻が浮気をしたと言い出した。他の男とホテルにいたというのだ。
 だが妻はだ。驚いてこう言った。
「私そんな人知らないわよ」
「嘘つけ、じゃあ何で一緒にいたんだ」
「だから。私そんな人知らないから」
 妻は必死で夫に訴える。
「その日子供達とずっと一緒にいたでしょ」
「何っ、そうだったか?」
「家にいたじゃない。何で隣町のホテルにいるのよ」
「そういえばそうだな」
 夫もだ。言われて気付いた。そして冷静になった。
 そのうえで調べるとだ。何とだ。
 その妻はクローンだった。その浮気相手と思われた男がだ。
 丁度そのクローンの伴侶の一人を探す時にたまたま彼女のそっくりの姿の女性が好みでクローンにしたのだ。そしてその結果起こった事件だったのだ。
 相手の男も浮気だと言われてびっくりした。そしてその夫に言ったのだった。
「私貴方の奥さん知りませんから」
「こっちも驚きましたよ」
 夫の方もだ。妻とそのクローンを前にして驚いた顔で返す。
 その妻とクローンも見比べる。その感想は。
「本当にそっくりですね」
「全くですね。これではです」
「いや、妻には悪いことをしました」
「どう言えばいいのか」
 お互いに困惑することしきりだった。そしてだ。
 妻もクローンもだ。お互いを見て言い合うのだった。
「私がもう一人いる様な」
「クローンの私もこう言うなんて」
「何ていうか複雑な気分」
「鏡を見ている様な気持ちだわ」
 四人共お互いに困惑することしきりだった。そしてこうした話が世界各地で頻発した。
 中にはだ。ある女優のクローンばかり何人も妻としている者もいた。その男はベッドの中でだ。 
 居並ぶクローン達を見回しながらだ。困惑して言った。
「誰が誰なのかわからないよ」
「私ミニーよ」
「私はアニーよ」 
 それぞれのクローンが名乗りはする。しかしだ。
 彼にはどちらがどちらかわからない。四人いるが誰が誰なのかだ。
 
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