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真田十勇士

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巻ノ四十一 石田三成その九

「鬼になります」
「そして、ですな」
「鬼の様に戦いますので」
「その大谷殿と比べればですか」
「それがしなぞはです」
 とてもという声でだ、石田は語った。
「とてもです」
「だからですか」
「はい」
「より強い武を備える為に」
「鬼になり関白様をお守りする為にです」
 まさにその為にというのだ。
「それがしはです」
「島殿を迎えられたのですか」
「そう思い誘いをかけて家に来てもらいましたが」
 その石田家にだ。
「妙に気が合いです」
「家臣としてだけでなく」
「友としてもです」
「共におられますか」
「左様です」
 まさにというのだ。
「そうしております」
「そうでしたか」
「左近はまさにです」
「石田殿にとってはですな」
「臣であり友です、しかし」
「しかしとは」
「真田殿もお持ちとは」
 また十勇士を見て言う石田だった。
「お見事ですな」
「そう言われますか」
「では死ぬ時も」
「はい、共にです」
「そう誓い合われているのですな」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうしています」
「お強いですな」90
「その絆が」
「そうです、ではその絆をです」
 石田は幸村にこうも言った。
「大事にされて下さい」
「これからもですな」
「はい、そうされて下さい」
「わかりました」
 確かな声で返した幸村だった。
「そうさせてもらいます」
「是非共、ではです」
「この茶室での話をですな」
「関白様にお伝えします」
 文でというのだ。
「早馬を送り」
「それでは」
「そのうえで大坂に行かれて下さい」
「それでは」
 幸村も応えた。
「都の後で」
「はい、大坂まで」
「大坂はです」
「今はですな」
「人が集まり店も多く」
 そしてというのだ。
「非常にです」
「栄えていますか」
「その賑わいも御覧になって下さい」
「その賑わいはです」
 直江も幸村に話す。
「この都を凌いでいます」
「そうなのですか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「その賑わいも見ましょうぞ」
「わかりました」
「それがしはまだ都におります」
 石田は幸村にまた言った。 
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