ドリトル先生北海道に行く
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第十一幕その三
「いけないからね」
「よし、それじゃあね」
「僕達もだよね」
「シホレさんに強力して」
「穴を見つけようね」
「何とかして」
「見付けられないなら」
その可能性についても言った先生でした。
「その時はどうするかもね」
「考えてだね」
「そのうえでだね」
「うん、考えはあるよ」
先生の頭の中にはというのです。
「どうしてもないとね」
「じゃあその時はだね」
「僕達もだね」
「力を使う」
「そうするんだね」
「うん、そうしよう」
是非にと言った先生でした、そうしたお話もしながらです。
山の中に進んでいくとです、遂にでした。
先生達はシホレさんにとても大きな、それこそ立ち上がれば下手な木位の高さがあってとても逞しい身体の羆さんの前に来ました。その羆さんを見てです。
先生もです、思わず驚いて言いました。
「これは確かにね」
「うん、そうだよね」
「大きいですね」
王子とトミーも言います。
「この大きさはね」
「見たことがないです」
「ホッキョクグマ位かな」
「それ位ありますね」
「ホッキョクグマでもね」
熊の中でも一番大きな種類の白い熊でもというのです。
「ここまで大きいのは滅多にないよ」
「それこそだよね」
「滅多にですよね」
「これだけ大きいとなると」
「あの熊でも」
「確かにね」
その真っ黒な毛に覆われた身体も見ています。
「ここまで大きいと大変だね」
「はい、ただ食べるものは木の実等だけで」
シホレさんはその羆の横に来て先生達にお話しました。
「菜食主義といいますか」
「肉は食べないのですか」
「鮭や鱒も食べません」
「そうしたものは口に合わなくて」
羆の方も言ってきました。
「食べないんだ」
「そうなんだね」
「名乗り遅れたけれどウルだよ」
ここで名乗ったのでした。
「この山に住んでいるんだ」
「うん、名前は聞いていたよ」
「シホレさんからだね」
「そうだよ」
先生はにこりと笑ってウルに答えました。
「君が冬眠出来る穴がなくなって困っているとね」
「それで来てくれたんだ」
「シホレさんにお願いされてね」
「実際に今から悩んでいるんだ」
ウルはそのお顔を困ったものにさせて先生に言いました。
「冬のことが心配でね」
「そうだよね」
「若し冬眠出来なかったら」
その時のことを今から心配で仕方がないウルでした。
「どうしようかな」
「そのことをどうにかする為に来たんだ」
「皆はだね」
「そうだよ」
「ううんと、皆のお名前は」
「僕かい?ドリトルというんだ」
「ドリトルというと」
そのお名前を聞いてでした、すぐにです。
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