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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第10話

~ユミル渓谷道~



「……着いたか。」

「ふう、雪道にも大分慣れてきたか。”騎神”の方は……どうやら昨夜のままみたいだな。」

「見た感じ異常はなさそうね。あの女の事だから、何かちょっかいかけてそうだったけど。」

「確かにお兄様達を騙してエリスお姉様達を誘拐した事を考えると十分にありえることですわね……」

セリーヌの言葉を聞いたセレーネは真剣な表情で頷いた。



「セリーヌ……クロチルダさんの目的は一体なんなんだ?今の所、”騎神”を奪ったり壊すつもりはないみたいだが。」

「確かに……”貴族連合”にしてみれば最も警戒している代物だろうに。」

「しかも昨日の件で”灰の騎神”がどこにあるかもわかりましたよね……?」

「あの女の考えてることはアタシにもサッパリだわ。少なくとも貴族の連中とは別の目的があるのかもしれない。あるとしたら……”蛇”に関係することかしら。」

リィン達の問いかけに明確な答えを返せなかったセリーヌはクロチルダの狙いを想像し、目を細めた。



「クロチルダさんが所属し、レオンハルト少佐やヨシュアさんもかつて所属していたという例の”結社”か…………」

「やれやれ、前途多難だな。あいつら……今度はこの帝国で何をやらかそうってんだ?」

「少なくとも”結社”が暗躍していたという今までの出来事を考えると、多くの人々が傷つくことになる出来事でしょうね……」

セリーヌの推測を聞いたリィンは真剣な表情をし、トヴァルは溜息を吐き、セレーネは考え込んでいた。



「……とにかく、昨日は”彼”に助けられました。あの”魔煌兵”を止められなかったら郷の被害はもっと大きかったはず……彼が起きたら、礼を言わないと――――」

「―――ソレニハ及バヌ。」

リィンがヴァリマールを見つめたその時、ヴァリマールから声が聞こえた後ヴァリマールのコアや目の部分に光が宿った。



「うおっ……!?」

「既に目覚めていたんですか……」

「ヴァリマール……!」

「一晩経って少しは霊力(マナ)が回復したみたいね。まだ自在に動けるほどじゃなさそうだけど。」

ヴァリマールの目覚めにリィン達が驚いている中、ある程度予想していたセリーヌは冷静な様子でヴァリマールを見つめた。



「肯定スル―――完全ナ再起動マデニハ今シバラクノ休眠ヲ要スル―――」

「ん、しばらくはそのまま眠っていてちょうだい。また何かあったら呼び出させてもらうわ。」

「了解シタ―――」

「へえ……マジで意思の疎通ができるんだなあ。(……そういや、”殲滅天使”が結社から奪い取った例の”ゴルディアス級”も一応話せるってことだったか。)」

「え……?」

「トヴァルさん?」

ヴァリマールを見つめて真剣な表情で考え込んでいるトヴァルの独り言が聞こえたリィンとセレーネは不思議そうな表情でトヴァルに視線を向けた。



「ん……いや、こっちのことさ。」

「―――休眠前ノ状況トノ差分ヲ感知。同行者約1名ノ波形ガ消失―――何ラカノいれぎゅらーガ発生シタ模様。」

「え……そ、それって……」

「もしかして……お嬢さんの事を言ってんのか?」

ヴァリマールの報告を聞いたセレーネは目を丸くし、トヴァルは驚いた後セリーヌに視線を向けた。



「ええ、一応状況は理解しているみたいね。」

「―――ヴァリマール、俺達はしばらくこの地を後にする。連れ去られたエリスと皇女殿下を連れ戻すため……そして、離れ離れになった仲間達と再会するためにも。だから……今はゆっくりと休んでいてくれ。」

「―――”仲間”―――”起動者”契約時ノ”協力者”タチヲ指ス言葉ト推定―――」

「え……?」

「………ヴァリマール?」

ヴァリマールの言葉の意味がわからなかったリィン達はそれぞれ不思議そうな表情でヴァリマールを見つめた。



「波形確認―――”蒼”の起動者並ビ1名以外、3方向ニ分散シテイル模様。イズレモ生体反応ニ異常ナシ。」

「おいおい、まさか……!」

「もしかして……みんなの居場所がわかるのか!?」

「……そういうことだったのね。―――覚えてる?”彼”と契約した時のこと。あの時、アンタは仲間達と共に”試練”を乗り越えた。……まあ、あのエステルって娘が強引に結界を破壊したせいで本来”協力者”の”資格”が無かった連中も一緒になって、アンタと一緒に”試練”を越えたようだけど……アンタとの”縁”が深い”仲間”―――つまりエマ達が”準契約者”として認められていたみたいね。」

「あ……!」

「”Ⅶ組”の皆さんの事ですね……!」

セリーヌの指摘を聞いたリィンとセレーネはそれぞれ明るい表情をした。



「そうだったのか……―――教えてくれ、ヴァリマール!みんなは今、どこにいるんだ!?」

「帝国内並びに帝国ニ隣接スルメンフィル帝国地理でーたべーすト照合―――大マカナ位置情報ヲ検出。南東”けるでぃっく”方面ニ5名―――北東”のるど”方面ニ3名―――南南東”れぐらむ”方面ニ3名―――以上、計11名―――ソレゾレ波形ノ乱レハミラレナイ」

「11名……アタシたちと一緒にいる竜を入れても一人足りないわね…………」

ヴァリマールの報告を聞いて何かを察したセリーヌは厳しい表情をし

「まさか……!」

ある事を察したリィンは血相を変えた。



「あの、お兄様。もしかしたら異世界―――メンフィル帝国出身のプリネ様、ツーヤお姉様、エヴリーヌさんの内の誰かが異世界に滞在していて、それが原因でヴァリマールさんでもわからないのではないでしょうか?」

「あ…………」

「さすがに異世界にまで行かれたら、幾ら”騎神”とはいえ、わからないでしょうね。ヴァリマール、1ヵ月前から今日に到るまでリベール方面で消えた反応はある?」

しかしセレーネの推測を聞いたリィンは呆け、セリーヌは頷いた後ヴァリマールを見つめ

「肯定スル―――”りべーる王国”ニテ一名波形ガ消エタ痕跡アリ――――」

「ビンゴみたいだな。リベールの”ロレント地方”にあるメンフィル帝国の大使館に異世界に行く”転移門”だったか?恐らくそれを使って異世界―――メンフィル帝国に帰ったんじゃねえのか?」

「ええ…………みんな…………今も無事でいるのか…………っ…………」

はぐれた仲間達が全員無事でいる事に安堵したリィンは思わず涙を流した。



「お兄様……」

「……よかったな。まさか、こんなとこで無事がわかるとはなぁ。」

「ったく、男のクセにそのくらいで泣くんじゃないわよ。」

「……うるさい。」

リィンの様子をセレーネは微笑みながら見守り、トヴァルは口元に笑みを浮かべてリィンの頭をポンポンと軽く叩き、セリーヌは呆れた表情で指摘した。



「ハハ、そういうお前さんも少しは安心したんじゃないか?あのエマって子もどうやら無事みたいだし。」

「……フン、別に心配なんてしてないわよ。リィンにベルフェゴール達―――魔王達がいるようにエマにも”ソロモン72柱”の一柱がついているんだから。」

しかしトヴァルに指摘されたセリーヌは鼻を鳴らして視線を逸らして答えた。



「……少し安心しました。でも、どこもユミルからかなり離れていますね。」

「だな……各地の要所は貴族連合が押さえてるだろうし。メンフィル帝国領のケルディックに行くにしても、それまでの道のりを考えると辿り着くのはちょっと難しいか。」

「そうだ、ヴァリマール!アンタなら”精霊の道”が使えるんじゃない!?」

「肯定スル―――タダシ霊力ヲ使イ切ッテシマウガ―――」

「精霊の道……?」

「なんだそりゃ?」

「”精霊”と言う事はリザイラさんに関係しているのでしょうか?」

ヴァリマールとセリーヌの会話を聞いていたリィン達はそれぞれ首を傾げてセリーヌに尋ねた。



「大昔から伝わる”古の移動手段”ってヤツよ。それを使えば、離れた場所でも一瞬で移動することができるわ。ただ、リザイラ―――リィンが契約している精霊王が使えるかどうかは知らないわ。話を聞く限り、あの精霊王は元々異世界に住んでいたという話だし。」

(だ、そうだけど、実際はどうなのかしら♪)

(ふふふ、随分と侮られたものですね。”精霊王女”たる私が呼びかければ、例え世界は違えど精霊達は我が呼びかけに応えてくれますよ。)

セリーヌの説明を聞いたベルフェゴールにからかいの表情で問いかけられたリザイラは静かな笑みを浮かべ

(だったら、ヴァリマールさんが霊力を失ってでもリィン様達を目的の場所へと導く必要がない気がしてきたのですが……)

(……まあ、そこは空気を読んで黙っておくのが筋でしょうね。)

リザイラの答えを聞いたメサイアは冷や汗をかき、アイドスは苦笑していた。



「マジかよ……!?」

「騎神って何でもできるんですね……」

「一体どうやって……!?」

「この帝国の各地に”精霊信仰”が残っているのは知ってるわよね?ああいった場所は”霊脈”―――つまり”七耀脈”を通じて互いに繋がっているの。彼なら、それを開くことができるってわけ。」

「よ、よくわからんが……レグラムみたいな場所に通じる”道”があるってことか?」

「ええ、精霊信仰があった場所に限られるだろうけどね。それと一度使ったら、彼の霊力は使い果たされてしまう。また霊力が復活するまではここには戻ってこれ―――いえ、魔王達が転移魔法を扱えるから、いざとなればそれに頼るのもアリね。」

トヴァルの疑問に答えたセリーヌはリィン達に忠告した後ある事を思い出した。



「そうか……俺達にとって希望であるのは間違いないな。早速使わせてもらいましょう、セレーネ、トヴァルさん。」

「はい!」

「……だな。賭ける価値はある上、いざとなった時の為の緊急帰還手段もあるしな。さて、そうと決まれば最初はどこへ向かうべきか。」

「……はい。ケルディック、ノルド高原、そしてレグラム……ここからだと、距離的にはマキアス達がいるケルディックが一番近いはずです。まずはそちらに行ってみませんか?」

リィンは頭の中に目的地までの距離を描いた後提案した。



「”交易町ケルディック”か。人数もそこが一番多いし、メンフィル帝国領だから他の地方と比べると比較的安全だろうから、小手調べとしてはいいかもしれないな。」

「ええ……!もしかしたらお姉様達もそこにいるかもしれませんし……!」

「行き先は決まったみたいね。それじゃあ、こっちへ来て。」

そしてセリーヌはリィン達を石碑の前まで先導した。



「この石碑は……」

「ん……このあたりがよさそうね。アンタたち、準備はいいわね!?」

「……ああ!」

「はいっ!」

「いつでも来いだ!」

「―――ヴァリマール!”精霊の道”を開いて!行き先はケルディック―――アタシもサポートするわ!」

「承知シタ―――」

セリーヌの指示を聞いたヴァリマールは立ち上がり、石碑まで移動した。



「残存スル霊力ヲ展開―――”精霊の道”ヲ起動スル―――」

「こ、こいつは……!」

「ま、魔法陣……!?」

「俺達の身体が……!」

「―――さあ、出発するわよ!」

そしてリィン達はヴァリマールが展開した魔法陣によってその場から消えた!


ヴァリマールの転移魔法によってリィン達は謎の空間内でどこかに向かって飛行していた。



~精霊の道~



「こ、これもヴァリマールさんの”力”ですか……!?」

「オイオイ……何でもアリじゃねえか……!」

(これが”精霊の道”……不思議な感じだ……涼しいような、温かいような……とにかく、この先にマキアス達が待っているはずだ。みんな……絶対に見つけ出してみせるからな――!)

初めて体験する”精霊の道”に二人が驚いている中、リィンは決意の表情で前を見つめた。その後リィン達はヴァリマールの精霊の道によって、ケルディック地方の”ルナリア自然公園”の奥地に転移した!



~ルナリア自然公園~



「っ…………」

「ここは……?」

「着いたのか……?」

リィン達が周囲を見回していると力を使い果たしたヴァリマールが地面に膝をついた。



「ここは……!”ルナリア自然公園”……!」

「ケルディックの北西にある森林地帯の一角だったか。この辺りも見覚えがある……たしか自然公園の最奥のはずだ。」

「じゃあ、わたくし達、無事にケルディックに着いたのですね……!」

リィンとトヴァルの答えを聞いたセレーネは明るい表情をした。



「ええ……俺達が初めての”特別実習”で訪れた場所でもあります。そういえば、ここには古い石碑があちこちに残っていたな……」

「あれは”精霊信仰”の名残ね。どうやら”精霊の道”が上手く繋がってくれたみたい。この場所なら”彼”が見つかる心配も少ないでしょ。」

ヴァリマールから光が消えた事に気付いたリィン達は振り向いてヴァリマールを見つめた。

「ヴァリマール……」

「今ので霊力(マナ)を完全に使い切ったみたいね。再起動まで2~3日はかかるでしょ。」

「それまではこの周辺で何とか頑張るしかないな。ケルディックはメンフィル帝国領の為安全地帯と思うが……ユミルの件を考えると、油断できねぇな。」

「ええ……」

セリーヌの説明を聞いたトヴァルは考え込み、トヴァルの意見にリィンは静かな表情で頷いた。



「というか、前々から言おうと思っていたんだけどアンタが契約している”精霊王”―――リザイラの力を借りれば、ヴァリマールの失った霊力(マナ)の回復を早める事ができると思うんだけど。」

「え……リザイラさんがですか?」

「どういうことだ、セリーヌ?」

セリーヌの言葉を聞いたセレーネは目を丸くし、リィンは不思議そうな表情で尋ねた。



「霊脈―――”七耀脈”はこのゼムリア大陸の”生命力”―――つまりは”自然の力”よ。ここまで言えばわかるでしょう?」

「あ…………」

「リザイラさんは精霊達を統べる存在ですから、精霊―――自然の力を直接借りる事ができますものね……」

「なるほどな……―――で、問題は肝心の本人が力を貸してくれるかだが……」

セリーヌの説明を聞いたリィンとセレーネは目を丸くし、トヴァルは納得した後リィンに視線を向けた。



「みだりに自然の”理”に触れる事はできればしたくないのですがね……」

その時リザイラがリィンの傍に現れて真剣な表情でヴァリマールを見つめた。

「リザイラ……ヴァリマールの力を回復する事は可能なのか?」

「可能か不可能かを聞かれたら可能です。この地にいる精霊達にその人形に力を分け与えるように私が指示をすれば、その人形は失った力を取り戻すでしょう。」

「………………………………」

「ちょっと、何でそこで黙るのよ?アンタが頼めば、聞いてくれるんじゃないの?」

リザイラの答えを聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるリィンの様子を見たセリーヌは不思議そうな表情で指摘した。



「俺達とリザイラが最初に出会った時……リザイラは俺達人間によって自然や精霊達が脅かされ続けている問題があるから、人間達に戦争を仕掛けるって話した後俺達を”試して”、”試練”に合格した俺達に人間達と自然や精霊達が共存する未来を託すって言ってたよな?なのに、俺達”人間”の都合の為だけに自然や精霊達の力を借りるのは間違っているような気がするんだ…………」

「お兄様……」

「そんな経緯があったのか…………」

「………エマからもその話は聞いているわ。―――悪かったわね。確かに貴女の言う通り、みだりに自然の”理”を捻じ曲げる訳にはいかないわね。自然や精霊達の力を借りて”魔法”を扱っているのに余りにもずうずうしい意見ね。」

リィンの説明を聞いたセレーネは静かな表情で驚きの表情をしているトヴァルと共にリィンを見つめ、目を伏せて考え込んでいたセリーヌは自分の非を認めてリザイラを見つめた。



「ふふふ、真っ先に自らの目的の為に自然や精霊達を利用したくないという考えをするとは……―――さすが私が”主”と認めた方ですね。―――いいでしょう。私が満足する答えを口にしたご主人様に免じて、その人形の力の回復に協力しましょう。」

「え…………」

リザイラの言葉にリィンが呆けたその時、リザイラは持っていた笛を口に当てて吹き始めた。



「~~~~~~~♪」

「これは……」

「綺麗な音色ですね……」

「お、おいおい……一体何が起こっているんだ………?」

「周囲に漂う霊力(マナ)がヴァリマールに……!」

笛を吹いているリザイラの行動にリィン達が戸惑っていると、周囲から謎の光が次々と現れた後ヴァリマールに向かって当たると消えた。



「―――この地にいる精霊達や自然に呼びかけ、その人形に精霊達や自然の力を少しだけ分け与えました。少なくとも”精霊の道”とやらを使う前の状態にまでは回復しているはずです。」

「ほ、本当か!?」

リザイラの説明を聞いたリィンは驚き

「肯定スル―――現在ノ残存霊力ハ”精霊の道”起動前ノオヨソ1,2倍ニ当タル霊力値マデ回復シタ。」

「って事は、いつでも戻れる上、いざとなれば戦えるって事か。」

「ありがとうございます、リザイラさん……!」

ヴァリマールの答えを聞いたトヴァルは明るい表情をし、セレーネはリザイラを見つめて微笑み

「ふふふ、礼には及びません。―――それでは失礼します。」

リザイラは静かな笑みを浮かべてリィンの身体に戻った。



「……いつでも、失ったヴァリマールの力を回復できるようになったのはありがたいけど、乱用は避けるべきだわ。乱用した結果自然の”理”がおかしくなったら、下手したら世界にも影響を与えるでしょうし。」

「そうだな……リザイラに頼むのは今回のように仲間達を捜す為に他の地方に行った時くらいにした方がいいな。―――それでは、行きましょう。」

「おう!」

「はいっ!」

セリーヌの意見に頷いたリィンは仲間達を促した後仲間達と共に公園の出入り口に向かって歩き出したが何かの違和感に気付いて立ち止まった。



「………………?この気配、どこかで……?」

「お兄様もですか?わたくしも感じた事があるんです……」

「アンタたちも気付いたみたいね。どうやらここ……”上位属性”が働いているみたいよ。」

セリーヌの意見を聞いたリィン達はそれぞれ顔色を変えた。



「それって……!」

「旧校舎と同じ……!?」

「時・空・幻―――本来なら働くはずのない属性が働いているってわけか。しかし、なんでまたそんなことが起きているんだ?」

「……さあね。何かが乱れている……としかいいようがないわ。」

トヴァルの疑問を聞いたセリーヌは目を伏せて静かな口調で呟いた。



「魔獣も以前いたものより凶暴になっているみたいです。気を付けて進みましょう。」

「合点承知だ。」

「はい……!」

その後時折現れる魔獣を撃退しながら公園を出たリィン達はケルディックに向かった。 
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