英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第188話
~講堂~
「―――お待たせしました。まもなく、士官学院一年、”Ⅶ組”のステージが始まります。」
トワの放送を合図にステージに明かりがともると共に演奏が始まり、リィン達が演奏している中、マキアスとユーシスのデュオが息ピッタリに合わせて歌を歌って観客達を興奮させた。そして2曲目、バックダンサーのフィーとミリアム、エヴリーヌが歌っている中エマが現れて歌い始め、”美女”といってもおかしくないエマの登場に観客達は更に興奮して声を上げて講堂を揺るがした。そして2曲目が終わり、ついに3曲目に入ろうとしていた。
「最後の曲の前に観客の皆様に前もって説明する事がありますので説明させて頂きます。3曲目は”Ⅶ組”の”特別実習”によって出会い、”Ⅶ組”の生徒達に力を貸す事を決めた異種族の方達による演奏です。なお、異種族の方達は生徒ではありませんが、”Ⅶ組”と共に学院生活を送っていた事から彼らも”Ⅶ組”のメンバーと学院側もみなしましたので、今回特別に学院祭の出し物に手伝って頂きました。」
「ついに来たわね♪アイドスさん達の出番が♪」
「アイドスさん、何の楽器を演奏するんだろうね♪」
トワの放送を聞いていたエステルとミントは興味津々な様子を見せ
「う、う~ん……さっきの演奏を見たら嫌な予感がしてきたよ……」
(同感ですわ……)
冷や汗をかいて呟いたヨシュアの言葉を聞いたエステルの棒に宿っているフェミリンスは疲れた表情をした。
「―――ようやくか。」
(クク、見せてもらうぞ。―――光と闇の者達が共に協力し合う演奏とやらを。)
セリカは静かに呟き、ハイシェラは口元に笑みを浮かべ
「確かセリカさんそっくりのセリカさんの妹さん………でしたっけ?セリカさん似の女性ですからとんでもない美人なのは確実だから、観客の人達が魅了される事間違いないでしょうね。」
「うむ、それに関しては同感だな。セリカでも性別関係なく魅了しているしな!」
「……俺にとっては迷惑だがな。」
エオリアの推測に頷いたレシェンテの話を聞いたセリカは呆れた表情で答え
「アイドス様は一体何の楽器を演奏されるのだ……?」
メティサーナは興味津々な様子でステージを見つめた。
「………………異種族達が先程の演奏をする、か。神殿勢からすれば、信じられない出来事だろうな。」
「アハハ……というか、私達の世界の人達の皆さんなら誰でも驚くでしょうね。」
「ええ……私も最初聞いた時は驚きましたし……」
リウイの推測を聞いたペテレーネとエクリアは苦笑し
「こんな事ならウィル達も誘ってやればよかったな……」
「フフ、そうね。ウィル様達も異種族達が協力して演奏している所を見ればきっとお喜びになるでしょうしね。」
「うふふ、どんなコンサートになるのかしらね♪」
リフィアの言葉を聞いたイリーナは微笑みながら、小悪魔な笑みを浮かべるレンと共にステージを見つめた。そしてトワの放送によって楽器を演奏するメンバーやバックダンサーが次々と紹介され、ついにアイドスが紹介された。
「そして――――ボーカルを務めるのは異世界の”女神”―――アイドスさんです!」
トワの紹介を合図にアイドスにスポットライトが当たるとアイドスの”女神”という信じられない正体を聞くと共にアイドスの容姿に魅了された観客達は凄まじい興奮によって歓声を上げて講堂を揺るがし
「…………………………」
(…………………………)
アイドスの役割を知ると共に衣装を見たセリカは石化したかのように固まり、ハイシェラは口をパクパクさせ
「へえ……よりにもよって主役のボーカルを務めるのね。さすがは”女神”ね。」
「そ、そんな呑気な事を言っている場合か!?」
「め、女神の歌声がこのような事に使われて、本当に良いのだろうか……?」
目を丸くしているエオリアの感想を聞いたレシェンテは疲れた表情で指摘し、メティサーナは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせてアイドスを見つめた。
「ブ―――――――ッ!?コホッ、コホッ、コホッ……!サティアさんの容姿であんな大胆な衣装を着てステージで歌を歌ったなんて事実をサティアさんが知ったらどう思うのかしら?」
一方飲み物を飲みながら紹介を聞いていたエステルは飲んでいたジュースを噴き出して咳き込んだ後表情を引き攣らせてアイドスを見つめ
「ええええええええええええええええっ!?ア、アイドスさんが歌を歌うの!?」
「ハ、ハハ……女神がステージで歌を歌うなんてきっと………いや、間違いなく歴史上初だろうね……」
ミントは信じられない表情で声を上げ、ヨシュアは冷や汗を滝のように流して苦笑し
(わ、私の知るサ、サティアのイメージがどんどん崩れて行く…………まさか、私達に一度滅ぼされた時の仕返しのつもりなの、アイドス…………?)
(ハア……まさか将来サティアの母となるエステルの影響ですか?)
(ク、クー……)
パズモは遠い目をして呟き、フェミリンスは疲れた表情で大きな溜息を吐き、クーは冷や汗をかき
(こ、これはさすがに驚いたわね……)
(わ、私もです……)
(クク、ウィル達がこの事を知れば喜ぶだろうな……)
ニルとテトリは表情を引き攣らせてアイドスを見つめ、サエラブは口元に笑みを浮かべた。
「……よりにもよって堂々と”女神”を紹介するか?ハア……」
「私達の世界でアイドス様が紹介されたら大騒ぎになるでしょうね……ア、アハハ…………」
頭痛を感じたリウイは疲れた表情で溜息を吐いて片手で頭を抱え、ペテレーネは大量の冷や汗をかいて苦笑し
「おおおおおおっ!まさか女神に歌を歌わせるとは余も驚いたぞ!さすがは多くの異種族達との”絆”を結んだ”Ⅶ組”だな!」
「えっと、エクリア姉様、大丈夫ですか?」
リフィアは興奮した様子でアイドスを見つめ、イリーナは石化したかのように固まっているエクリアに話しかけ
「え、ええ。まさかよりにもよってアイドス様が主役になるなんて、私も信じられない思いだわ……」
我に返ったエクリアは疲れた表情でアイドスを見つめた。
「クスクス、もしかしたら未来のサティアお姉さんを産むエステル―――つまりアイドスお姉さんにとって未来のママになるエステルの影響を受けたのかもしれないわね♪」
「え、えっと……」
「洒落になっていないぞ、その推測は……」
「エステルさんはフェミリンスの性格を変えたという前科がありますしね……」
「フフ、相変わらず凄いですね、エステルさんは。」
「うむ!さすが余の友じゃ!」
そしてレンの推測を聞いたペテレーネは苦笑しながらエクリアを見つめ、リウイとエクリアは疲れた表情をし、イリーナは微笑み、リフィアは胸を張って力強く頷いた。
「フフ、まるで夢でも見ているみたいですね?」
「ああ……こんなにも多くの異種族達が共に協力して演奏をするとは正直、驚いた。ヘクトル達も誘えばよかったよ。」
「アイドス様、とっても素敵ですわ♪」
エリウッド公爵夫妻は微笑ましそうに演奏しているアイドス達を見つめ、クラリスはうっとりとした様子でアイドスを見つめた。
その後アイドス達によるコンサートは大成功に終わった。
「これにて”Ⅶ組”のステージを終了します。皆様、ご清聴ありがと―――」
「アンコール!」
「アンコール!アンコール!」
「アンコール!アンコール!」
「アンコール!アンコール!」
演奏が終わるとトワの放送を遮るかのように来場客たちのアンコール宣言が次々と叫ばれ
「え、えっと……ふえっ……?」
来場客たちの反応にトワが困っていると突如スポットライトがいつの間にかステージにいるクロウに当たった。
「皆さん―――ご声援ありがとう。アンコールにお応えして4曲目と5曲目、行かせてもらいます。」
そしてアンコール用に用意していた4曲目の演奏はリィン達が演奏している中、男子女子のボーカル勢全員が歌い、オリヴァルト皇子が歌いだした事をきっかけに来場客達全員が歌い出し、ついには楽器を演奏しているリィン達も歌いだし、その様子をサラ教官やレーヴェが微笑ましく見守り、ミスティも静かな笑みを浮かべて聞いていた。その後5曲目はアイドス達―――異種族達による演奏もアイドスが再びステージに上がると来場客達は興奮して講堂を揺るがせ、演奏は大成功に終わった。
こうして……リィン達による出し物は大成功という形に終わった…………!
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