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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第五十二話 井上大佐!バイオリン重いぞ!!その十五

「ホームランは打たれるがな」
「シンカーを投げられるって言うべきなんだけれどな」
「本来はな」
「実際あの人と鈴木さん本当に打たれてたからな」
「阪急と近鉄の投手陣全体がそうだったな」
 鈴木、山田だけではなかったのだ。
「どっちのチームも打たれる時凄かったな」
「ボールに羽根生えてるのかってレベルでスタンド越えてたな」
「西宮も藤井寺も花火よく上がったぜ」
「敵の方までな」
「この話わかる人もう少ないだろうな」
「この作品読んでる読者でどれだけいるんだよ」
 おそらくわかる人は二〇一六年時点で四十歳以上であろうか。
「作者山田さんが王さんに日本シリーズでホームラン打たれたシーンはっきりと覚えてるけれどな」
「ユーチューブで観たからな」
「打ってバットを片手に持っててな」
「ボールは後楽園のライトスタンドへ」 
 この球場も今はない、今はおぞましい悪の宮殿である東京ドームがある。
「そして飛び跳ねるみたいにしてホームイン」
「あの王さんがそんなホームインしていたんだぞ」
「重厚な人なのにな」
「それだけ嬉しかったってことだな」
 その王さんをあの忌まわしい瘴気さえ放っている巨人のユニフォームを着た選手達が迎えたのだ。巨人九連覇という日本のスポーツ史上最悪の暗黒時代の中の一ページだ。
「その打たれた山田さんだからら」
「ホームラン打たれるって言ったんだな」
「実際に打たれてたしな」
「山田さんも好きな作者にも否定出来ないな」
「ちなみに私は阪神ファンだ」
 池田さんはそうであるのだ。
「阪急や近鉄については好きだがファンではない」
「西宮も関西だしな」
「っていうか甲子園球場西宮にあるからな」
「ファンなのも当然か」
「やっぱり阪神は強いな」
「その通りだ、それでとにかくだ」
 池田さんは冷静なまま二人にまた言った。
「勝負をはじめるぞ」
「バイオリン勝負な」
「これからやるか」
「それでさっさと勝って」
「尾崎ナナさんの写真集とDVDゲットするか」
「用意はもう出来ている」
 井上は既にその手にバイオリンを手にしている、そのうえで言うのだった。
「はじめるとしよう」
「大佐頑張って下さい!」
「私達は貴方の味方です!」
 女の子達の黄色い声が来た。
「そのバイオリンの声を聞かせて下さい」
「今日もまた」
「はい」
 丁寧な仕草でだ、井上は彼女達に応えた。
「では僭越ながら」
「人類史上最高のバイオリン」
「それが今日も聴けるなんて」
「私達幸せです」
「では今から聴かせてもらいます」
「閣下」
 井上は自分と同じくバイオリンの用意を整えた瞬にも声をかけた。
「それでは」
「はい、これよりですね」
「奏でましょう」
「わかりました」
 二人は曲を奏でた、その曲を聴いてだった。
 女の子達は恍惚としてだ、こう言った。 
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