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戦国異伝

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第二百五十五話 帰りの旅その七

「当分先ですな」
「はい、暫くは政に専念することになるかと」
「ではその様に」
「政に励まれてですな」
「国を豊かにしましょうぞ」
 家康は笑って言った、彼はそうしたことを考えていた。そのうえで長政に言うのだった。
「してご子息の万幅丸殿の元服の際は」
「共にですな」
「祝いましょうぞ」
 二人は親密に話していた、信長を支えていた者として。そしてだった。
 信長は今も酒は飲んでいない、しかし水を美味く飲みつつ幸村達に言っていた。
「御主達にはこれからも働いてもらうが」
「暫くはですな」
「政ですな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「琉球とは交流を深めるか本朝に王として迎え入れ」
「そして美麗の島は」
「そこはですな」
「あの島はな」
 まさにと言うのだった。
「どうも国ですらなく村ごとの様子」
「では速やかにですな」
「兵を送り」
「本朝に組み込む」
「そうされますか」
「そのうえでじっくりと政をしよう」
 美麗島はそうするというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「あの島を足がかりとし」
「さらに南に向かう」
「そうしますか」
「そのつもりじゃ、しかしそれはまだまだ先じゃ」
 こうも言うのだった。
「二十年はな」
「ではその二十年の間に力を蓄え」
「やがては南蛮ともですな」
「出来るなら避けたいが」
 しかしと言うのだった。
「南蛮の者達の話を聞いておるとな」
「耶蘇教を隠れ蓑として」
「そのうえで、ですな」
「国を乗っ取りに来る」
「そうしてきますな」
「耶蘇教は分けて幕府の下に置く」
 この宗教についての考えも言うのだった。
「寺社奉行の下にな」
「他の神仏と同じく」
「そうしてですな」
「勝手はさせぬ」
「そうしますか」
「うむ、耶蘇教がそうしてくるのならな」
 それを隠れ蓑として国を奪わんとしてくるのならというのだ。
「耶蘇教を下に置く」
「南蛮の教皇という者から離して」
「そしてですな」
「そのうえで、ですな」
「南蛮と耶蘇教を切り離し」
「そうしてからですな」
「国をまとめてじゃ」
 宗教の面でもというのだ。
「そしてじゃ」
「攻める」
「呂宋等を」
「そうする、まあそうした話は先じゃ」
 今すぐではないことはまた言うのだった。 
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