英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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第81話
~数時間後・グロリアス・監禁室~
「交替の時間だぞ。小娘の様子はどうだ?」
一方エステルの監禁室を見張っていた猟兵の所に交代の猟兵が来て尋ねた。
「はは、大人しいもんだ。いくら遊撃士とはいえ、所詮は子どもということだな。恐くてベッドで震えているんだろうさ。」
「フン……。ガキの見張りで留守番とはな。まったく、つまらん任務だ。俺も機動作戦に参加したかったぜ。」
「そうボヤくなよ。レオンハルト様の命令なんだから。」
猟兵達が笑い合っていたその時、部屋から何かを叩く音が聞こえた!
「……ん?」
「なんだ、この音は?」
音に気付いた猟兵達はドアを見た。
「おい!いったい何をしている!?」
猟兵がドアを叩いたその時、ガラスが割れるような音が響いた!
「おい、まさか……」
「脱走か!?」
2人は急いで部屋に入った!
「や、やられた……」
「ば、馬鹿な!ここをどこだと思っている!あの娘、自殺でもするつもりか!?」
部屋に入るとエステルの姿はなく、窓のガラスだけ割れていた。
「………………………………。駄目だ、落ちたかもしれん……」
「おいおい、勘弁してくれよ……。レオンハルト様になんて言い訳をすりゃいいんだ?あのクソガキが……余計な面倒を起こしやがって!」
猟兵が嘆いたその時!
「だ~れがクソガキですって?」
エステルが窓の上から現れ、猟兵の1人を足で吹っ飛ばした!
「き、貴様っ!?」
もう一人の無事だった猟兵はエステルに銃弾を放った!
「甘いわよ、オジサン!」
しかしエステルは銃弾をかわし、棒で猟兵を壁まで吹っ飛ばした!
「ぐはっ、ゲホゲホ……」
「ふふん。遊撃士をナメないでよね。だいいち、失礼が過ぎるわよ?乙女をクソガキ呼ばわりなんて。」
「ひ、人違いだ……。俺はそんな風に呼んでないぞ……」
「あれ、そうだったっけ?まあいいや、オジサンも同罪。しばらくオネンネしてなさいよね。」
そしてエステルは棒で猟兵の頭を思いっきり叩いた!
「……う~ん…………」
頭を思いっきり叩き付けられた猟兵は気絶した!
「さ~てと……。すぐに増援が来るだろうし、とっとと逃げるとしますか。何とか脱出方法を見つけないと……ま、いざとなったらカファルーに乗せてもらって、脱出しようっと。カファルー、その時は頼むわね?」
(グオ。)
腕輪を見てある事を言ったエステルは決意の表情になった。
(あたしは諦めない……。もう一度ヨシュアに……あのバカに会うまでは……絶対に諦めないんだから!)
こうしてエステルはグロリアスからの脱出を始めた!
~グロリアス内~
「どきなさ~い!」
部屋を出てエレベーターで下まで来たエステルはサエラブ、パズモ、ニルを召喚し、サエラブに跨って先を進み、前を阻む警備用の人形兵器を
(邪魔だっ!)
「でやっ!」
サエラブは炎の球を吐いてダメージを与え、そしてエステルが棒をふるって、敵を壁に吹っ飛ばして倒した!さらに先を阻むかのように進む先に機械の壁が現れたが
(轟け!轟雷!!)
「爆裂光弾!!」
エステルの肩に止まっているパズモと飛行して、エステル達を追っているニルが放った魔術が壁を破壊した!
「パズモ!ニル!壁が現れない限りは思いっきり魔術やアーツを放って、そこらへんの物をぶっ壊しちゃって!このあたしを攫ったお礼に、少しでも拠点をぶっ壊してやりましょ!出でよ!雷刃!流砂旋刃!!ライトニング!!」
パズモ達に指示をしたエステルは魔術やアーツを放って、周囲の機械を破壊した!
(ええ!滅しなさい!黒ゼレフの電撃!!………スパイラルフレア!!)
「フフ、こんな風に大暴れするのもたまにはいいわね♪………贖罪の光霞!!………プラズマウェイブ!!」
そしてパズモとニルも魔術、アーツを放って、周囲の機械を破壊しまくった!
(フッ。………それにしても騎乗戦も慣れているな?それも受け継いだ記憶の経験か?)
一方エステルを乗せて先に進んでいるサエラブは不敵な笑みを浮かべて尋ねた。
「うん。ラピスは竜騎士でもあったし。」
(クク……我を”飛竜”扱いか………馬なら異論を唱える所だったが、飛竜なら許してやろう。)
そしてエステル達は周りの機械を破壊しながら、先に進んだ!
~グロリアス・甲板~
「ああっ……!」
エステル達が出た所は、甲板の上だった。
「マズったなぁ……。つい甲板に出ちゃったみたい。それにしても……馬鹿馬鹿しいほどの大きさね。」
サエラブから降りて、改めてグロリアスの大きさを見たエステルは溜息を吐いた。
「脱出するためにはパラシュートを探すか飛行艇を乗っ取るしかない……。とにかく先に進まなくちゃ!」
そしてエステル達は先に進もうとしたが、甲板の下の階から大勢の猟兵達がやってきた!
「いたぞ!」
「しまった……!」
猟兵達を見たエステル達は引き返そうとしたが
「よくも好き勝手に暴れてくれたな………!」
(………囲まれたか。)
(対応が早いわね………)
「…………………」
既に後ろも猟兵達がいて、猟兵達を見たサエラブ達は警戒した。
「フッ……ここまでのようだな。」
「さすがS級遊撃士、”剣聖”カシウスの娘か。こんな状況で脱走とは恐れ入る。」
「………………………………」
「抵抗しても無駄なことは分かっているはずだ。大人しく投降するがいい。」
「はは、無様だな。エステル・ブライト。」
猟兵達に好き勝手に言われて黙っているエステルを嘲笑するような声がした後、また猟兵がやってきた。
「……?」
「フッ、この状態では僕のことが分からないか。仕方ない。特別に顔を見せてあげよう。」
自分を見て首を傾げているエステルを見た猟兵は仮面をとって顔を露わにした。
「へ……!?」
「フフ……。ようやく思い出したようだね。こんな所で僕と会えるとは夢にも思っていなかっただろう?」
驚いているエステルに仮面をとった猟兵は不敵な笑みを浮かべて尋ねた。
「えっと………見覚えはあるんだけど……ダルモア市長の秘書だった人だっけ……?」
(ああ。あの時の小物がこんな所にいるとはな………)
「何でそんなに自信が無さそうなんだ!後、誰が小物だ!そう、ダルモア市長の元秘書ギルバートだ!自分が逮捕した人間くらいちゃんと覚えていたまえ!」
猟兵――ギルバートは怒りながらエステルに言った。
「だ、だって意外過ぎるわよ!第一あんた、王国軍に引き渡されたはずでしょ!?なんでこんな所にいるわけ!?」
「フッ、クーデター事件の時、混乱のスキを突いて脱走してね。その後、”結社”に拾われて忠誠を誓うことになったのさ。」
「た、たくましいというか諦めが悪いというか……。そんな格好してるけど、まさか戦ったりするわけ?」
ギルバートの話を聞いたエステルは溜息を吐いた後、尋ねた。
「僕が戦ったらおかしいか?フッ、秀才の僕ではあるが、これでも文武両道なのでね。」
「でも灯台で、特務兵に撃たれてものすごい悲鳴を上げてたし……。あんまり戦いとかには向いてないんじゃないかなって。」
「う、うるさいッ!”結社”に加わってから僕は戦闘強化プログラムを受けた!身体能力は大幅に強化され、最高レベルの戦闘技術も習得した!遊撃士風情が勝てると思うなよ!」
エステルの指摘に焦ったギルバートは怒った後、銃を構えた。
「やれやれ……」
「仕方ない……少し付き合うとするか。」
一方猟兵達は溜息を吐きながら武器を構えた。
「さあ……エステル・ブライト。跪いて許しを乞うがいい。そうすれば許してやらないこともないぞ?」
「そりゃどうも。嬉しくって涙が出てきちゃう。でも悪いんだけどあたし、諦めが悪いのよね。」
ギルバートの提案に不敵な笑みを浮かべて、棒を一振りした!
「う……」
「”執行者”ならともかく雑魚なんかに負けるもんですか。さあ―――かかって来なさいよっ!テトリ、来て!」
「はい!」
そしてテトリも召喚したエステルはパズモ達と共に戦闘を開始した………………!
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