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艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】

作者:Bloo-D
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日常
  第3話 初の顔合わせ Ⅰ

 
前書き
他の艦娘の前に立つところ、そして出来れば艦娘全員との挨拶回りを書きます。 

 
……主人公サイド……



13:00(ヒトサンマルマル)



≪カタカタカタ……≫

あれから落ち着いた俺は長めの休憩と昼食を済ませた後、デスクワークを再開。
そして一方……

ーーーー

≪ガサゴソ……≫

『……』

長門達は執務室近くの放送室で、艦娘達全員にある連絡をするために準備を進めていた。
それは……

≪キーン……!≫

長門『全員聞け、秘書艦の長門だ。これより諸君に重要な報せを告げる。
今夜の18:00(ヒトハチマルマル)に、艦娘全員は食堂に集合だ。多少遅れても良いが、無断欠席のみは許さん。これは決定事項だ、異論は認めん!
以上だ』

俺と他の艦娘全員との顔合わせ。
そのために、今夜みんなが食堂に集合して欲しいと長門にお願いして放送させてもらったんだ……

ーーーー

≪カタカタカタ……≫

座蒲郎「今夜か、一体どうなるかやらだがな……」

放送を聞いて俺は胸が高鳴る気がしたが、同時に無事に顔合わせが出来るかが心配だった。
特に問題なのが天龍と大井の2人。この2人の件は、今朝聞いた真相を掴むためにやった事だから、一応天龍の遠征部隊復帰と大井と北上を同じ艦隊に加える事を明記した書類を本人達に届けることを龍驤に伝えて渡したが、それでも2人が怒りに満ちた顔が目に浮かんで仕方ない……
とはいえ、ここまで来た以上は退く訳にはいかないから、覚悟の上でデスクワークを続ける。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

18:00(ヒトハチマルマル)
食堂



『ザワザワ……』

デスクワークが終わった俺は長門達に先導されて食堂に到着。
食堂と言ってもそこは大学の学食とそっくりで、ここのおよそ180人が入ってもまだゆとりがある程広い空間だった。
食堂の席はカウンターから見て、大きなテーブルが縦2列,横4列の8つに別れていて、前側に戦艦,潜水艦,特務艦,海外艦(左から順)、後側に駆逐艦,軽巡洋艦,重巡洋艦,空母(水上機母艦は空母と同じテーブルで、こちらも前列と同じ順)に分かれて座っている。


座蒲郎「まさかと思ってたけど、驚くほど広いね。しかも大学の学食と全く変わらない内装だな」

長門「まあな。お前のパソコンに保存されてたデータを元に改装したんだ。少しでも現実に近付けるために。
執務室のパソコンも、その保存データから構築したのさ」

座蒲郎「そんな事も出来るの?」

陸奥「ええっ、出来るわよ。とはいえ、殆ど大淀がやってくれてたけどね」

座蒲郎「大淀が?」

大淀「はい。私は主にオペレーターが役目ですが、時にメンテナンスも務めています。提督のパソコンのデータを元に再現するなんて朝飯前ですよ」

座蒲郎「すげ〜、大淀ハンパネェ〜〜」

金剛「全くその通りデース。この前ナンテ、鎮守府の改築を1人で指揮してたデース」

龍驤「ホンマやな……」

その食堂の裏…と言うより、食堂に隣接する厨房近くの廊下で長門達と話す俺。同時に、大淀のハンパなさを思い知らされた。

ーーーー

『ザワザワ……』

長門「提督はここで待っててくれ。みんなはついて来い」

「「「「了解」」」」

それから長門は俺に待つよう言って、陸奥達を従えて食堂内へ入って行った。

ーーーーーーーーー

≪ザッ!≫

長門「注目!秘書艦の長門だ!静かにしろ‼︎」

『……』

座蒲郎「流石は長門だ、秘書艦にして正解だったな」

食堂奥のカウンターの前に立った長門はマイクを手に持ち、陸奥達を後ろにつかせて他の艦娘達に静かにするよう言い、みんなは一瞬で黙りかえった。
影からそれを見た俺は遠くから長門を褒める……

長門「今回諸君等を集めたのは他でもない。我々を指揮して来た提督 沢小路 座蒲郎のことだ」

『ザワ……』

長門の言葉で騒然となり始める食堂。
なんか嫌な予感がする……

長門「1週間ほど前、別次元に干渉する力を得た私はその力を行使し、向こうの世界で指揮を執る本当の提督をこの世界に呼ぶことに成功した」

『⁉︎』

長門「とはいえ、提督をこの世界に呼ぶことは出来ても、元の世界に戻す方法はわからない。おまけに、私は提督の顔が見たくて強引にこの世界に呼んでしまった。
それを言ってしまえば、提督は我々を拒絶するだろうし、ここの士気に大きな影響が出ると察した我々はこの1週間、提督を縛るような行いをして、提督を怒らせてしまった」

『……』

更に長門はこの1週間の出来事を大方話し、今朝の一件を告げるとみんなは静まり返り、どんよりした空気が流れる。 ̄
長門「だが提督は、我々の指揮官として、ここで我等艦娘達の指揮を執ると決めてくれた!」

『!』

そして俺がここで本格的に指揮を執ることを告げると、話を聞く艦娘達から歓声が上がり始める。


長門「それではご登場してもらおう!我等が提督、沢小路 座蒲郎提督だ!」

≪バタンッ!≫

『⁉︎』

座蒲郎「……」

長門の言葉と同時に食堂の大きな出入り口の扉が開き、俺は扉の前に立つ。


≪タッタッタッタッ……≫

俺は中に入って、中央の通路を歩いて行く。
その最中、みんなが俺のことを口々に囁いてそうにみえたが、声が小さくて聞こえないからそのまま歩いて行く。

≪タッタッ……ピタッ≫

長門「提督、これを」

座蒲郎「ありがとう」

長門の側に辿り着いた俺は、長門からマイクを渡され、みんなに告げる。


座蒲郎「長門から聞いた筈だが、改めて自己紹介と行こう。提督の沢小路 座蒲郎だ。以降より、君ら艦娘達の指揮を執る!」

『わあ〜〜!!!!』

軽い自己紹介の直後に一斉に歓声を上げるみんな。しかもさっきとは桁違いの歓声に、俺は耳を塞いでしまったが……

座蒲郎「静粛に!静かにしてくれ‼︎」

『……』

あまりの歓声に声を発してやめさせ、再び沈黙の空気が流れたが……

ーーーーーーーーー

座蒲郎「俺の着任を喜んでくれるのはありがたいが、その前に言わなければならないことがある!
天龍、大井!前に出てくれ!」

≪スッ……≫

「「……」」

歓迎してくれるのは良いけど、それ以外にやる事があって、天龍と大井(雷巡の改二仕様)の2人に前に出てもらった。

座蒲郎「天龍、大井。龍驤から書類は受け取ってると思うけど__」

天龍「わかってるよ。俺の遠征部隊からの除外と__」

大井「そして、北上さんと別の艦隊で行動する件ね?」

座蒲郎「その通りだ」

それは長門達に問い詰めるための材料として、2人を利用してしまった件だ。

天龍「あの件は流石に頭に来たけど、まぁ許すよ。
また海に出られるようになったしな」

大井「ええっ、天龍の言う通りよ。
北上さんとまた同じ艦隊で戦えるようになったんだし、あなたも被害者みたいなものだし。許すとするわ」

座蒲郎「すまない」

けど2人、俺の立場もわかった上か許してくれて、俺はホッとした。

座蒲郎「ありがとう、2人は下がってくれ」

≪タッタッ……≫

「「……」」

許してくれた2人に感謝して、俺は2人を下げた。


そして……

座蒲郎「長門,陸奥,大淀,金剛,龍驤!みんなに言うことがあるだろ?」

「「「「「……」」」」」≪コクッ≫

後残るは、俺のことをみんなによく知らせなかった長門達だ。

「「「「「今まで隠してて、すみませんでした!!!!!」」」」」

≪バッ!≫

俺のことをみんなに隠してたことを謝らせた。
それはみんなの長門達への信頼を回復させるために、前持って伝えておいた事だ。

座蒲郎「と言った感じで、みんな反省している。出来れば、長門達を許してやってくれ!」

『わあ〜〜!!!!』

座蒲郎「……全員、顔を上げて!」

≪バッ!≫

その姿を確認して、みんなに長門達を許してやって欲しいと伝え、みんなが歓声を上げたから顔を上げさせた。


座蒲郎「以上だ!では解散!」

「「「「「了解!」」」」」

俺の言いたい事は終わり、長門達に解散を命令。
それから、俺の歓迎会が始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

長門「立派だったぞ。あれだけの貫禄がなければ、我々の提督なんてやって行けないだろうからな」

座蒲郎「俺はケジメをつけるために、やるべき事をやったに過ぎないよ」

陸奥「でも格好良かったわよ、提督」

さっきの話の事で色々言われながら、長門と陸奥の間で飯を食べる俺。大淀と金剛と龍驤は別の所で食事を摂ってるけど、長門と陸奥に至っては離れる様子がない。出来れば“散らばれよ。”とか言いたいとこだが、相手は艦娘。しかも一方は、ここ1年半も秘書艦を務めてもらっていた長門。今朝のは怒り心頭のあまり口に出てしまったが、あまり強い態度は取りたくない……


けど……

『……』

「「「……」」」

周りからの冷たく鋭い視線には耐えかねない


≪ガラッ≫

座蒲郎「長門、陸奥、悪いけど、暫しここで食事してくれ」

長門「提督はどうするんだ?」

座蒲郎「挨拶回りに決まってるだろ?まだ大半の艦娘とは話してないし、周囲からの視線が痛いし」

陸奥「確かに、それは仕方ないわね」

これ以上は耐えきれないから、長門と陸奥の2人を残して挨拶回りに行くと言ってその場を後にした。

ーーーーーーーーーー

まず最初は……

座蒲郎「やっぱ駆逐艦から行くか、始めた直後から世話になってるんだし」

向こう(現実世界)での3年間で最も世話になって来た駆逐艦から訪ねるとする。

『ザワザワ……』

艦娘とはいえ、ほぼ全員子供の姿をしてるせいか1番活気溢れてる。


電「あっ、提督なのです」

座蒲郎「やあっ……」

最初に声を掛けて来たのは、第6駆逐隊の電。向こう(現実世界)でもそうだったけど、こうして見てみるとやっぱり可愛い……


夕立「ねえ提督〜〜」

座蒲郎「どうした、夕立?」

今度は改二姿の夕立。俺が選んだ初期艦で最初の頃は遠征やら任務やら艦隊から外すことは1度もなかった。

夕立「提督って、いっつもどのくらい仕事してるっぽいの?」
座蒲郎「そんな事言われてもなぁ。ここに来て1週間ずっとデスクワーク続きだったから、どうとも言えないんだけど……さっき大淀から聞いた話だと、“この1週間でおよそ3週間分の書類を片付けちゃった。”っとか言ってたかな……?」

『……』

夕立の場合は、俺がどのくらい仕事してるかだった。ここに来て以来ずっと執務室でデスクワーク漬けだったけど、食堂への移動中に、およそ3週間分の書類をたった1週間で片付けちゃったとか言ってたのを思い出し、その事を話したところ、執務室に出入りしてたメンバーを除いた全員が長門と陸奥の方を睨んだ。理由は大体察しがついたけど、これ以上は悪いと思って話題を切り替える。



座蒲郎「まぁそんなとこだから、誰か1人は執務室に来てくれると嬉しいな。長門と陸奥や大淀はまだしも、出入りするメンバーが固定されてると寂しいし」

『はーい!』

誰か1人は執務室に来て欲しいと伝え、駆逐艦のほぼ全員が元気一杯に答えた。
特に元気なのが……

暁「ならば、立派なレディーになる為に通うわよ!」

雷「私も私も!」

暁型駆逐艦の暁(改二仕様)と雷と……

島風「もっと速くなれるなら私も〜〜!」

鎮守府最速とも言って良い駆逐艦 島風。
それ以外は多過ぎて解らないが……

響「ハラショー……」

秋月「全く、これから忙しくなりそうですね」

照月「ですね」

初月「問題が起こらないと良いのですがね」

反対に落ち着いてるのは、響(Верный仕様)と秋月型3姉妹だった。
よく冷静で居れるものだな……

ーーーー

その後で他の駆逐艦達と話して行ったが……

座蒲郎「あれ?」

吹雪「どうしました、司令官?」

座蒲郎「マックスとレーヴェとリベッチオって、この鎮守府に居たっけ?」

辺りを見回してみると、向こうで仲間にしてたドイツ艦のマックスとレーヴェ、更にイタリア艦のリベッチオの姿が見当たらない。

吹雪「はい。加えて言いますと、司令官がこれまで仲間にした海外艦の方々も全員居ますよ。ただ、それぞれ固まって、少し離れた場所に居ますけど……」

座蒲郎「そっか。じゃあ、ビスマルク達の方を回る際にするか」

俺の疑問に吹雪(改二仕様)が答え、それどころかこれまで仲間にした海外艦もここに居るらしいから、とりあえず後回しにする。

ーーーー

座蒲郎「じゃあ、これから宜しく」

『はーい!』

駆逐艦達全員と会話を交わした俺は、次を回るためにその場を後にした。

ーーーーーーーーーー

座蒲郎「次は軽巡でもあたるか」

次は駆逐艦の次に世話になってる軽巡洋艦を訪ねることにした。
軽巡は駆逐艦達のすぐ隣に固まり、その中には雷巡(重雷装巡洋艦)と練巡(練習巡洋艦)が混ざっていて、そのメンバーには大淀も混ざっていた。


大淀「あら、提督。どうかしましたか?」

座蒲郎「見て解らないか?挨拶回りだよ」

大淀「そうでしたか、ご苦労様です」

大淀から聞かれた俺は、挨拶回りだと答えた。
事実だから……

ーーーー

天龍「よおっ、提督自ら挨拶回りとはご愁傷様だな」

座蒲郎「そりゃどうも」

次に声を掛けて来たのは、初期に秘書艦をやってもらってた天龍だった。第六水雷戦隊の旗艦として遠征部隊の一翼を担ってもらっていたが、この前の件で1時的に遠征から退いてもらって、今日送った書類で部隊復帰させた。

龍田「あらあら、提督自ら挨拶回りとは本当にご愁傷様ですね」

座蒲郎「そうだろね」

今度は天龍の姉妹艦の龍田。天龍と同様に第六水雷戦隊所属の軽巡洋艦だ……


その次は……

神通「提督、お会い出来て光栄です」

川内「宜しくな、提督」

那珂「那珂ちゃんですよ、提督〜〜♪」

座蒲郎「おう」

ウチの鎮守府で、状況偵察と海域の強行突破を得意とする水雷戦の主役を担ってる第三水雷戦隊。
その旗艦を務める神通と、姉妹艦の川内と鎮守府のアイドルの那珂だった(全員改二仕様)……

川内「ところで提督、あたし等には夜戦とか無いの?」

座蒲郎「うーん、そうだな。今のところは……でも、近いうちに北方海域に出てもらいたいからなぁ……その時なら夜戦とか出来ると思うよ」

川内「本当⁉︎ヤッター!」

川内からの質問に俺は悩んだ。向こうでは第3水戦の編成以来から苦の無い任務を任せ続けて来たせいか、第三水戦が夜戦に突入した事は滅多に無い。特に最近はそうだったから、夜戦大好きな川内には辛いとこかもしれない。
けどここ最近、北方海域を放ったらかしにしてたせいで、棲姫が住み着いてる可能性があるとして、近々第三水戦を派遣しようと考えていた。その際なら夜戦を経験出来るかもしれないと川内に伝えて(実際のところはまだわからないけど……。)、それを聞いた川内は喜んでくれた。

那珂「提督、ライブやっても良い?」

座蒲郎「ライブかぁ〜……
やっても良いけど、催し物とかその辺りくらいにして。あとは自主練で勘弁して欲しいけど、迷惑かけない範囲で頼む」

那珂「わかった〜、提督の言う通りにするね〜〜♪」

那珂からの質問は、予想は出来てたものの、やっぱりライブだった。
別に聞きたくない訳じゃないけど、大事な時(作戦展開中など)にやってもらうのは困るから、催し物辺りで妥協してもらうとする。


夕張「じゃあ提督、私は?」

座蒲郎「夕張は五十鈴の指揮する第一水戦で、鎮守府近海にて対潜・対空警戒だ」
夕張「ええ〜、なんでよ〜〜⁉︎」

座蒲郎「ここら(横須賀鎮守府)の近海がどれだけ重要なのか知らないの?」

夕張「それはわかってるけどさ〜〜」

座蒲郎「別の海域に敵潜が出て来たらその海域へ派遣するけど、今はそんな報告は受けてないし。それ以前に、ここ最近深海棲艦が姿を現さないから、暫くはこの近海に張り付きっぱなしだよ」

夕張「……」

今度は第一水雷戦隊所属の夕張(改仕様)。主に強化させた対空・対潜能力で敵潜,敵機の掃討を任せてるけど、今のところ深海棲艦が現れないから、最近は近海の警備が主な任務。
夕張にはそのことを伝えるけど、抗議して来たから鎮守府近海の警備の必要性を話し、敵潜が出ない限りは近海に張り付くことを伝えて本人は魂抜けかけの状態に。
余談ながら、第一水戦を近海に配置する理由は、敵に奇襲されないかというのが大きな理由。有力な艦隊が出撃させてすぐに奇襲なんてされたら生きた心地がしない。だから対潜と対空に強い第1水戦を鎮守府近海に配置している。

座蒲郎「お前達には色々と迷惑をかけるな。五十鈴、木曾」

五十鈴「はい……」

木曾「いいってことよ」

夕張と話した直後に顔を出した五十鈴(改二仕様)と雷巡の木曾に、少し負い目を感じた俺だった。

ーーーー

それから軽巡洋艦全員と話した俺は……

座蒲郎「じゃあ、俺はここで失礼するよ」

『ご苦労様です!』

みんなに声をかけて他を回るとした。


(続く) 
 

 
後書き
全員だとあまりに多過ぎるので、代表としてそれぞれ数人を出しましたが、それでも長いのでここで区切ります。
 
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