| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界にて、地球兵器で戦えり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十九話 姫殿下は、脅威を知る

ピニャ・コ・ラーダにとってアルヌスは本当の意味で別世界……所謂異世界にでも来たような感覚であった。何もない丘が、城壁が建造されており、自衛隊が作った城壁の建造期間が半年もたっていないと聞いた時には、ピニャ、ボーゼス、パナッシュの三名は驚きが隠せなかったという。ちなみにピニャの同行者で、たった二名なのは、薔薇騎士団の中で比較的に地位が高く、政治的な駆け引きや助言が出来るものを選抜した結果がボーゼスとパナッシュの二名となったのだ。他にもすでに和議派の重要人物が帝国にいては危険という事で、アカツキ帝国本国にて保護している為に、ピニャが大勢を連れてくる必要性もなかった事もある。

アルヌスに到着してピニャが伊丹達が使っている銃が杖ではなく兵器であると知ると「妾達で使えるのか?」と尋ねると使えると通訳として同席しているレレイが伝えた。戦況を一方的にしない為にも、銃の購入と製造法を知ろうと考えるが、レレイによって無意味であると伝えられる。


「『ショウジュウ』の『ショウ』は小さいの意味。ならば対になる『大きいジュウ』がある」

レレイの説明を受けて、ピニャ達は自衛隊やアカツキ帝国軍の戦車を見て驚きが隠せない。そして自衛隊やアカツキ帝国軍が一般兵士達に普及している小銃を作るのにも、一ミリの誤差も許さない高品質な部品を使用して作る事が前提であるため、例え作れたとしても弾薬となる火薬を製造しなければただの鉄の棒だとも伝えた。そのような説明を聞いて更にピニャは衝撃が走る。

鉄の剣、鉄の箱、鉄の蜻蛉に加えて鉄の像を大量に装備して、銃を一般兵士全てに装備している事実を聞くと、どんな方法で大量に揃える事が出来るとピニャは疑問でいっぱいであったが、それは異世界の軍勢はそれを成功させて、ファルマート大陸の海の向こうにあるアカツキ帝国軍も同じような装備を所持している事もあって、こんな怪物を簡単に揃える事ができる軍勢に対して戦争を仕掛けた帝国上層部達が、どのようにして勝利を確信したのかと頭の中身を確認したいと思った程であった。


こうしてピニャは、アルヌスに来て改めて自衛隊もアカツキ帝国軍を相手にすれば滅びの道しかないと感じた瞬間であった。

ーーー。

「ふう~やっと飯だよ」

「武器弾薬の返納と車両洗浄で時間が取られてましたからね」

アルヌス野戦基地の食堂にて晩飯の時間もあり、多くのアカツキ帝国軍兵士が食堂に詰め寄っていた。アカツキ帝国も基本的に民族的に日本に近い為に、主食は米であり、おかずも米と合うように作られている。今日のメニューは焼き魚、から揚げ、サラダといったものである。

ちなみに納豆も食事のメニューに入っていたのだが、アビス大陸から志願した兵士達からは日本食の中でも納豆はどうしても受け入れられないとして不評が高かった為に、最近ではそこまで出している所は少ない。第三偵察隊と同行した島田の部下達もようやく飯にありつけてホッと一息ついている。実際にイタリカで徹夜して睡眠も食事もまともに取る事が出来なかったからだ。そのため、ようやく安心して飯が食えて、睡眠もとれると分かってホッとしているのだ。

「あれ、そういえば大尉は?」

「明日の本国行きの打ち合わせだろ。宮本とクリストフも同行するように言われているし」

「何で私は選ばれないの?警護するならコマちゃんより私のほうが」

((いや、お前を連れていったら問題あるだろ。色々な意味で))

この両刀、腐女子の翼人を連れていったら皇族のピニャや同行者に対してどんな事をするか分かったもんじゃないと、清水、クリストフは二人は心の中でツッコミを入れるのであった。


ーーー。

「ピニャ殿下。私に何の御用ですかな?」

今まで色々とアルヌスの現状について驚き過ぎて話す機会がなかったが、狭間陸相と坂本中将との話し合いが終わってピニャは、アナと話す機会がようやく訪れて話す事が出来た。

口調は丁寧であるがアナがピニャに話す言葉は少し棘があるが、ピニャはそれを理解しているが、あまり気にせず話を続ける。

「アナ将軍。確かアカツキ帝国軍との戦いで戦死したと聞いたが……」

「運よく生き延びて、アカツキ帝国軍に助けてもらったのだ」

ピニャは、イタリカを襲った盗賊達がどのような目にあった事を理解しているために、そんなアカツキ帝国軍の猛攻を受けて生き延びた事に驚きが隠せなかった。そのような表情をしたピニャに対してアナも淡々とした口調で説明した。

「私がアカツキ帝国軍と戦った時は本当に地獄だった。どんな強固な鎧も盾を身に着けてもアカツキ帝国軍の前では無意味であった。戦車という兵器が火を噴けば、十数人の兵士が肉片となって吹き飛び、機関銃という兵器は閃光が走れば鎧と盾を物ともせずに貫通して兵士達を次々と絶命させていく。上空にいるドラゴンライダーも安全ではなく、彼らもただの的でしかなかったのだ。」

「異才将軍と言われたアナタでも勝てなかったと?」

「戦う土俵が根本的に違いすぎる。アカツキ帝国軍と戦ってわかった事は、我々が経験した戦いなど、彼らからすれば遊びでしかなかったと痛感した事だ。シマダ殿にも聞いたが、アカツキ帝国軍が元いた世界では、イタリカで見せた武力もさして珍しくもないそうだ。」

それを聞いてピニャは驚愕する。あんな常識はずれの武力が、アカツキ帝国が元いた世界で珍しくもないという事に……。

「常識はずれの武力が衝突する戦場をアカツキ帝国軍は何度も経験している。そんな地獄のような戦争を経験している国に、帝国は戦争を仕掛けたのだ。属国出身の私が言うのも不愉快に思うかも知れないが言っておこう。下手に帝国式の交渉でもしてみろ。アカツキ帝国軍は帝国領土の全てを草木も残さずに破壊する。アカツキ帝国の寛大な処置がなければ、帝国など簡単に吹き飛ぶような国だという事を忘れるな」

それは帝国は強者ではない。ファルマート大陸という井の中の蛙でしかなかっという事実を突きつけたような内容であったが、ピニャはアナが言った言葉に対して違うと強い口調で返す事は出来なかった。

ーーー。

そして翌日。現在、島田は宮本、クリストフ、アナを連れて自衛隊が使用する飛行場にいた。更に自衛隊側から伊丹、栗林、富田の三人も同行しており、ファルマート大陸組からはピニャ、ボーゼス、パナッシュ、レレイ、テュカ、ロウリィである。島田が今回の本国招集に参加する理由も、ピニャが島田の事を知っている為に、知らない人間に警護されるより顔見知りなら少しは安心できるという理由から警護の目的で同行しており、自衛隊側で伊丹がいるのは、主にお偉方からの希望からである。

伊丹が書いたアカツキ帝国に関するレポートが的を得ているので、首脳会議にて伊丹をオブザーバーとして参加させるべきとの通達があり、同行する羽目になった。これは伊丹は知らない事だが、伊丹レポートが的を得ていたことから本気で転生者や未来人に対する対策の為に、転生系で書物化に成功した人気ネット小説家に対して非公式で対策書を外務省が依頼したという。


「何で俺が外交の手伝いを……」

「しょうがないだろ。この手の事で深く詳しい奴が特地でお前さんしかいなんだよ」

伊丹が落ち込んでいるに対して柳田は苦笑い気味でそう言うのであった。実際に柳田も本気で外務省が転生系に詳しい小説家に対して対策書を依頼するなど思ってもいなかったので、伊丹の影響力がここまで浸透するとは想定外であったのだから。

「まあ、そんな落ち込むな。アカツキ帝国のアニメや漫画を沢山購入できるように自由時間を貰えるように上に言ってやるから」


「うう、ありがとうございます。島田大尉!」

そんな事を知らない島田は伊丹を慰める形でアカツキ帝国を案内してやると約束する島田であった。ちなみにロウリィが参加するのも、ファルマート大陸には沢山の神が存在しており、人間教のような絶対唯一の神など存在しない事をアピールして、一神教に対する精神的なダメージを狙う意味もあった。そしてピニャとは違う意味でVIPなロウリィの要望を聞くために、レレイとテュカの同行を認めたのであった。

こうして全員が揃い、アカツキ帝国が要したジャンボジェット機を飛行場に到着する。ファルマート大陸出身者は、初めて見るジャンボ機に驚く。こうして全員を乗せたジャンボ機はアカツキ帝国に向けて飛び立つのであった。

 
 

 
後書き
今回は話が短くてすいません。そしてネタが尽きた為に、以前のような最新スピードが維持できないので、ご了承ください。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧