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戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー

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第五十二話 井上大佐!バイオリン重いぞ!!その十

「あれだけの方がおられたことは素晴らしいことでごわした」
「この日本に」
「球史に残る名将でごわした」
「その方のお心を胸に留めてですね」
「戦って来て欲しいでごわす」
「わかりました、そしてこの度はバイオリン勝負ですが」
「出陣は井上潤太郎大佐でごわしたな」
「はい」
「彼は日帝衆随一のバイオリン使いでごわす」
 まさにそうした人物だというのだ。
「彼と共に西宮で勝負をしそのうえで」
「勝利を」
「最終回は近いでごわす」
 西郷達もこのことをよくわかっている、何しろ登場人物である。
「最終回までに決着をつけるでごわす」
「我等日帝衆の勝利で」
「武運長久を祈るでごわす」
「井上大佐は大阪城にいる」
「その正門の前でいつもバイオリンを奏でている」
 陸軍衆を率いる桂と大山が瞬に言う。
「そこに行くのだ」
「そして彼と落ち合うのは」
「畏まりました」
 瞬は二人に陸軍衆の敬礼で応えた。
「それでは出陣の時は」
「まずはあの地面に行き」
「そのうえで西宮に行くのだ」
「わかりました」
 瞬は確かな声で二人にも頷いた、そのうえで。
 出陣するその時に実際に大阪城まで赴いた、そして大阪城の正門の橋のすぐ傍で陸軍衆の軍服を着て椅子に座りバイオリンを奏でている鋭利だが折り目正しい美貌を見せる中背の男に対して声をかけた。
「井上大佐、これよりです」
「はい、時が来ましたね」
「そうです」
 その通りだとだ、瞬は井上に答えた。
「西宮に参りましょう」
「それでは」
「大佐、頑張って下さい」
「あんな奴等すぐに倒して下さいね」
 立ち上がった井上にだ、大阪の女の子達が声をかける。彼女達はいつも井上が奏でるバイオリンの音に聴き惚れているのだ。
「芸術の勝負でもです」
「日帝衆の方々は最高ですから」
「あんな卑怯なだけの奴等なんか」
「あんなドスケベ連中」
「あんな腐れ外道」
「あんなエロガッパ共」
「おい、黙ってたら何だ!」
 ここで例の二人が漫画で言うとコマをぶち破って額に青筋を立てて出て来た。
「誰が卑怯だ!」
「誰がドスケベだよ!」
「腐れ外道とかエロガッパとか好き勝手言いやがって」
「モブの癖に言ってくれるなおい!」
「俺達は只の女好きだぞ!」
「夢がハーレムなだけだ!」
 こう主張しつつ彼女達の前に出た。
「俺達はずっと聞いてたぞ」
「コマの外からな」
「小説の常識破らないの」
「そうよ、それはギャグ漫画の手法じゃない」
 コマを破って出て来るそれはだ。最近の漫画では少ないだろうか。
「漫画化したらこうした演出もあるかも知れないけれど」
「小説でやらないの」
「しかも私達全部事実言っただけよ」
「あんた達のことについてね」
「全部嘘だろ」
「捏造しかねえじゃねえか」
 某左翼新聞の様にだ。
「人間嘘吐いたら駄目だろ」
「嘘吐いたら閻魔様に舌抜かれるぞ」
「だから何処が嘘なのよ」
「全然嘘じゃないでしょ」
 流石大阪の女の子達だ、負けじと言い返す。 
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