英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~哀しき戦い~
プリネとレーヴェの戦い。それはアガットの時と違い、一進一退の互角な戦いだった。
~廃坑・露天掘り場所~
「ハアッ!」
「ハッ!」
レーヴェのクラフト――零ストームをプリネは回避し
「ソウルブラー!!」
駆動させていたオーブメントの駆動が完成し、反撃にアーツを放ち
「むん!!」
レーヴェはアーツを剣で斬り飛ばし、そして
「シルバーソーン!!」
プリネのようにアーツを放った!
「フッ!」
しかしプリネは前に飛ぶことでアーツを回避し、そして
「フッ、ハッ、セアッ!!」
クラフト――フェヒテンイングをレーヴェに放った!
「させん!!」
しかしレーヴェはプリネの攻撃を捌き、そして
「ハァァァァァァ…………!!」
激しい連続攻撃をプリネに放った!
「……………………」
しかしプリネは真剣な様子でレーヴェの攻撃を見極めて捌き、そして
「ハアッ!!」
レーヴェの連続攻撃の最後に放った強力な一撃に対し
「ヤアッ!!」
「!!」
プリネはクラフト――フェヒテンバルを放って相殺し、さらに
「ハッ!!」
レーヴェに斬りかかった!
「!!」
プリネの斬撃に対し、レーヴェは剣で受け止め、鍔迫り合いの状態になった!
「フフ…………さすがは”剣皇”の娘だけあるな。一度降した相手に対して油断や慢心をしないとはな…………」
鍔迫り合いの状態をしながら、レーヴェは不敵な笑みを浮かべていた。
「………貴方相手に油断や慢心なんてしたら、それこそ一瞬で斬られるわ。”どんな相手であろうと決して相手を侮るな”。”今の父親”の教えなのだから…………そういう貴方は以前戦った時と違い、感情があふれ出ているわね?」
「……………!!」
プリネに悟られないようにしていた事を言い当てられたレーヴェは一瞬驚き、そして表情を戻して、プリネに尋ねた。
「………姫よ。以前と同じ事をもう一度だけ尋ねる。”カリン”。この人物に心当たりは?」
「……………ありますよ。」
「何………!?」
プリネの答えを聞いたレーヴェは驚いた!
「そこっ!!」
レーヴェが驚いた隙を狙って、プリネはレーヴェに突きを放った!
「チッ!!」
プリネの攻撃に気づいたレーヴェは舌打ちをして、一端後退して回避した。
「ハアアアアアアア…………!」
レーヴェが後退した隙を狙って、今度はプリネが連続で突きと斬撃を混ぜた連撃を放った!!
「………………!!」
プリネの激しい攻撃をレーヴェは捌き、そして
「そこだっ!!」
「ハアッ!!」
2人は同時に攻撃を放ち、また鍔迫り合いの状態になった!
「先ほどの質問の答えですけど…………本当は貴方自身、わかっているのではないの?」
鍔迫り合いの状態でプリネは凛とした表情で”プリネ”と”カリン”の口調を混ぜてレーヴェを見つめて言った。
「……………黙れ…………!そんなふざけた答え……信じると思っているのか………!」
「…………レーヴェの………わからずや…………!」
一方レーヴェは無表情ながらも静かな怒りを見せて、プリネを睨んだ。一方プリネは悲痛な表情をして答えた。そして2人は鍔迫り合いをやめて同時に一端後退し、そして!
「「ハァァァァァァ………………!!」」
常人には見えない動きや剣とレイピアによる激しい剣撃の攻防や回避が続けられた!
「(クソ……俺がぬくぬくと育ったメンフィルの小娘以下だなんて認めねえ………!)グッ………やられっぱなしでいると思うなよ………!」
一方アガットはレーヴェと互角に戦うプリネを見て今の自分はプリネと比べて実力が明らかに下である事を否定した後、武器を構えて立ち上がろうとした。
「ア、アガットさん!大怪我をしているんですから、今はダメですよ~!」
その様子を見たティータは慌てて、アガットを止めていた。
「す、凄っ!プリネ…………!」
「話には聞いていたけど、4人がかりのあたし達が勝てなかったあの”剣帝”と互角だなんて………さすがは”覇王”達に鍛えられているだけはあるわね………」
その一方プリネとレーヴェの戦いを見ていたエステルとシェラザードは驚いて見ていた。
「それより、みなさん!あたし達もマスターに加勢しないと……!」
エステル達が驚きと感心している中、ツーヤは慌てた様子でエステル達に言った。
「それはそうなんだけど、あの竜が厄介なのよね………」
ツーヤの言葉に答えたシェラザードは苦々しげな様子で自分達を威嚇している古代竜を見た。
「だったらあたしが”竜化”して引き付けます!その隙を狙ってマスターの援護をお願いします!」
シェラザードの言葉を聞いたツーヤは決意の表情で提案した。
「それならカファルーも呼ぶわ!”魔神”のカファルーなら、あの竜とも互角以上の戦いをしてくれるだろうし!」
「いえ………その必要はないかもしれないわ。」
「へ?」
何かに気づき上空を見上げて呟いたシェラザードの言葉を聞いたエステルは首を傾げて上空を見上げた。
エステル達が何かに気づいて、上空を見上げる少し前、2人の攻防は互角で双方、お互いに一撃を入れられなかった。
「ハアッ!!」
「セイッ!!」
2人の強力な攻撃が同時にぶつかり、ぶつかった衝撃により、2人は吹っ飛ばされた!
「ハッ!」
「フッ!」
吹っ飛ばされた2人は同時に空中で受け身を取って、着地し、そして!
「(クッ………なぜ、奴が”あいつ”に見える………!幻影は……今ここで……断つ!!)むんっ! 受けてみよ、剣帝の一撃を………………はああああああああああああっ!!」
レーヴェはプリネが”ある人物”に見えてしまう事に心の中で焦った後、プリネを睨んだあと、目を閉じて剣にとてつもない闘気を込め始めた!
「(ここで……決める!)………”私達”の真の力……見せてあげます!出でよ!”今の私”!」
レーヴェの様子を見たプリネは決意の表情になり、異空間から紫に妖しく輝きながらも、決して”魔剣”には感じないレイピアを出して片手に持ち
「輝け!”過去の私”!!」
さらに自分が持つレイピアに神々しい白銀の光を纏わせた!
「(俺を惑わす幻影よ……消えろ!!)鬼炎斬!!」
そして目を見開いたレーヴェはプリネを睨んで、最大限の闘気を込めた事によってすざましい威力になるであろうSクラフト――鬼炎斬をプリネに放った!
「”私達”の魂の叫びを……聞いて!ハアッ!!」
自分を襲うすざましい衝撃波をプリネは両手に持ったレイピアで走りながら自分にぶつかる寸前で斬り裂いた!!
「何!?」
最大限の力を込めたSクラフトが斬り裂かれた事にレーヴェは驚き
「ハアアアアアア…………!!」
プリネは走りながら身体中にすざましい魔力と闘気を纏い、さらに母譲りの夕焼けのような赤い髪は美しい黒髪に、父譲りの紅い瞳は琥珀の瞳になった!
「なっ……………!」
変貌したプリネの容姿を見たレーヴェは驚いた!
「ソウル!クロス!!」
驚いているレーヴェの横を駆け抜けながらプリネは十字に斬った!!
「ガハッ……………!!」
駆け抜けたプリネがレーヴェから離れた距離に立ち止まると、レーヴェの脇腹から大量の血が出て、レーヴェは地面に跪いた!プリネが立ち止まると持っていた片方のレイピアは粒子状になって消え、光を纏っていたレイピアの光も消え、またプリネの髪や瞳も元の色に戻った。
「グッ…………この俺を二度も膝をつかせるとは見事………本来なら最後まで戦いたい所だが、邪魔も入ったようだし、口惜しいが今回はここで退こう…………」
自らに眠る魂の力を解放する技であり『ブラッディクロス』の強化技――『ソウルクロス』をまともに喰らった影響でダメージを受けたレーヴェは脇腹を抑えながら不敵な笑みを浮かべて言った。
「え…………」
レーヴェの言葉にプリネが驚いたその時、突如、古代竜に砲弾が浴びせられた!すると上空から王国軍の警備艇がゆっくりと降下して来た!
「主砲と右舷副砲、竜に照準を固定せよ!着陸と同時に総員、速やかに展開!」
警備艇から重々しいモルガンの指示の声が聞こえ、そして
「イエス・サー!!」
さらに警備艇から兵士達の返事が聞こえた。そして警備艇は地面に着陸した。
「フッ……。ようやくのお出ましか。これで最後の実験を始めることができそうだ。」
そしてレーヴェは竜の背に飛び乗った!
「あ…………」
「ま、待ちやがれ………!」
「待ちなさい、レーヴェ!」
竜の背に飛び乗ったレーヴェを見たティータは声を出し、アガットとプリネはレーヴェを睨んで叫んだ。
「忘れるな。アガット・クロスナー。欺瞞を抱えている限り、お前は何者にもなれない。大切なものを守ることもな。」
「………ッ………………」
レーヴェの言葉によって図星をつかれたアガットは言葉を失くして、レーヴェを睨んだ。
「………プリネ・K・マーシルン。必ず次こそは俺を惑わす幻影ごと貴様を斬る。」
「まだわからないの!?レーヴェ!私は…………!(ダメ………まだ、見つけてもいないヨシュアは”私の死”という”壁”を乗り越えていない………ヨシュアが乗り越えない限り、まだ自分から正体を明かすわけには………!)………クッ……………!」
レーヴェに睨まれたプリネは悲痛そうな表情で何かを言おうとしたが、ある事を思い出して、レーヴェから視線を外した。
「ま、待ちなさいよっ。黙って聞いてたら勝手なことをペラペラと!絶対に逃がさないんだからっ!」
そこにエステルがレーヴェを睨んで叫んだ。
「エステル・ブライト。お前は心しておけ。」
「へ……」
「今回の実験が終われば計画は次の段階に移行する。気を引き締めなければ必ずや後悔することになるぞ。」
「ちょ、ちょっと!それって一体……」
レーヴェの言葉を聞いて驚いたエステルが尋ねようとしたその時、
「おのれ竜め!逃がしてなるものかっ!総員、射撃開始!撃って撃って撃ちまくれ!」
王国軍兵士達を率いたモルガンが飛び立とうとする竜を見て命令した!モルガンの命令によって兵士達の銃撃や警備艇から砲弾や”導力”による主砲が竜に放たれた!
「フッ、伝説の古代竜にそのような攻撃が効くものか。行くぞ―――『古竜レグナート』」
王国軍の攻撃に不敵な笑みを浮かべたレーヴェが古代竜――レグナートに命令をしたその時!
「こんの~!あれだけ酷い事をやったあげく、勝手な事ばっかり言って絶対に無事で逃がしてたまるものですか!カファルー!!」
その様子を見て怒ったエステルは腕輪が装着されてある手を上げて、カファルーの名を叫んだ!
「ツーヤ!”竜化”して、あの竜にドラゴンブレスで攻撃を!パラスケヴァス!!」
「はい!ハァァァァァァァァ……………………!!」
さらにプリネの指示によってツーヤは”竜化”した!さらにプリネはパラスケヴァスを召喚した!
「「グオオオオオオオ―――――ッ!!」」
「………………………」
召喚されたカファルーと”竜化”したツーヤが同時に辺りを響き渡らせる雄たけびを上げた!また、パラスケヴァスは巨大な槌を構えていた!
「なっ!?」
カファルーとパラスケヴァス、”竜化”したツーヤを見たレーヴェは驚いた!
「う、うわあっ!?竜がもう一匹現れたぞ!?」
「それに何だ!?あの巨大な獣と怪獣は!?」
「ええい、落ち着け!今はあの竜に集中攻撃だ!!」
「イエス・サー!!」
一方”竜化”したツーヤと突如現れたカファルーやパラスケヴァスを見た兵士達は驚いて慌てたがモルガンの一喝によって落ち着き、再びレグナートに攻撃をした!
「カファルー!あの竜に攻撃を!!」
「パラスケヴァス!貴方もあの竜に攻撃を!!」
「グオッ!!」
「…………………!!」
エステルの指示に頷いたカファルーは炎を纏わせた足でクラフト――『爆炎スマッシュ』を、プリネの指示に頷いたパラスケヴァスは巨大な槌でクラフト――『水流スマッシュ』を翼を羽ばたかせ、飛び立とうとする竜の腹に命中させた!
「グオオオッ!?」
「馬鹿なっ………!?」
カファルーとパラスケヴァスのすざましい威力を持つ重い一撃により竜は吹っ飛ばされ、竜の背に乗っていたレーヴェは背に掴まりながら信じられない様子でいた。
「グオッ!?」
「グッ………!」
そして吹っ飛ばされた竜は崖にぶつかり、ぶつかった衝撃にレーヴェは呻いた!
「氷金剛破砕撃 (ダイヤモンドアイスバースト)!!」
「グオオオオオオオッ!!」
「……………………!」
さらにツーヤがすざましい吹雪のドラゴンブレスを、カファルーはすざましい炎のブレス――『獄熱ブレス』を、そしてパラスケヴァスはすざましい水圧の力を持つブレス――アクアブレスを竜に放った!
「グギャアアアア――――ッ!?」
「グアアアアッ!?」
3種類のすざましい威力のブレスを3方向から受けた竜は悲鳴を上げて暴れ、竜の背を盾に掴まっているレーヴェは直接ブレスは受けなかったがカファルーとツーヤのブレスにより自分の周囲に伝わる全てを焼き尽くすような熱さと全てを凍りつかせるような寒さに呻いた!
「よし!竜は弱っているぞ!我らも続け!撃って撃って撃ちまくれ!」
その様子を見たモルガンは兵士達にさらに攻撃の指示をした!
「竜と巨大な獣、怪獣が味方にいるぞ!勝てるぞ、この戦い!」
「オオ――――――ッ!!」
兵士達は”竜化”したツーヤとカファルやパラスケヴァスー――”超越した存在”が味方にいる事に士気を高め、竜に激しい銃撃を放った!
「クッ…………アースガード改!!」
そしてレーヴェは呻きながらも竜に絶対防壁のアーツをかけた!絶対防壁によってカファルーとツーヤ、そしてパラスケヴァスのブレスは防がれた!
「グッ…………まさかあんな化物達まで味方にするとは………さまざまな種族と親しくなるエステル・ブライトの人徳……侮れんな………………今度こそ行くぞ、レグナート。」
レーヴェの指示によって竜は今度こそ、飛び去って行った。
その後エステルはカファルーを戻し、プリネはパラスケヴァスを戻し、ツーヤは”竜化”を解き、エステル達はモルガンと今後の事を話し合い始めた……………
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