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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第60話

ボースに到着したエステル達はギルドに向かった。



~遊撃士協会・ボース支部~



「いや~、ロレントからわざわざご苦労じゃったな。しかし……『不動』 『風の銀閃』『重剣』に加えて期待のルーキーの揃い踏みか。何とも豪華なメンバーじゃのう。」

エステル達を見て、ルグランが感心していた。

「期待のルーキー??」

ルグランの言葉にエステルは首を傾げた。

「わはは、お前さん達のことじゃよ3つの地方で『結社』の陰謀を立て続けに阻止した驚異の新人……そんな風に噂されておるようじゃ。ミントはかつてのエステル達のように、脅威の速さで次々と推薦状を獲得する優秀な遊撃士として噂されておるぞ。」

「じょ、冗談!陰謀を阻止したなんて買いかぶりもいいところだわ。いつも『実験』が終わってから余裕で逃げられちゃってるし……」

ルグランの話にエステルは謙遜した。

「ミントちゃん、凄いね。準遊撃士なのに、もう噂されるほど、有名になったんだ。」

「フフ……ママ達と同じ風に見られるなんて、嬉しいな♪」

一方ツーヤの感心した言葉にミントは微笑んだ。

「でも、ロレントではいい働きをしてくれたじゃない。胸を張ってもいいと思うわよ。」

「あ、あれはその、偶然が重なったっていうか……」

「はは、照れるなっての。要は評判に見合うだけの働きをすりゃあいいんだからな。」

「もう、簡単に言わないでよ。それはともかく……ボースでの状況はどうなの?」

シェラザードの賞賛に照れ、ジンの言葉に溜息を吐いたエステルは気を取り直して、ルグランに尋ねた。

「うむ、今のところ『結社』が関与していると思しき事件は起こっておらんよ。例の空賊艇の奪還事件以来、軍の警戒も厳しくなっておるしな。あえて言うなら……手配魔獣が増えておるくらいか。」

「フン……そうか。」

「ボースって、手配魔獣が現れるのが他の地方よりも多い気がするわね。前に来た時もそうだったけど何か原因でもあるの?」

ルグランの説明を聞いたアガットは頷き、エステルは尋ねた。



「元々ボース地方は広いし、険しい地形に囲まれておるからの。そういった場所から凶暴な魔獣が降りてくることが多いんじゃが……。それにしても今月に入ってからすでに10件も報告されておってな。」

「それは多いわね……。スティングさんあたりが頑張ってくれてるのかしら?」

「うむ、それとクルツたちも先日立ち寄ったついでに何匹か退治していってくれた。できればお前さんたちにも手伝ってもらいたいんじゃが。」

ルグランの説明に驚いたシェラザードの言葉に頷いたルグランはエステル達に軽く頼んだ。

「ふむ……そうした方が良さそうだな。凶暴な魔獣の増加にしても『結社』が絡んでいるのかもしれん。」

「うんうん、このまま放っておくと危ないし、ここは退治を優先しちゃいましょ。」

「………………………………」

ジンの推測にエステルは頷き、アガットは何も語らず、黙っていた。

「???アガットさん。どーしたんですか?」

「あれ、どうしたの。」

アガットの様子に気づいたティータは尋ね、エステルも不思議そうな表情をして尋ねた。

「いや……何でもねえ。とりあえず、今報告されてる手配魔獣を片っ端から退治するか。」

「フム、そうか。助かるぞい。………それにしてもいつの間にか、サポーターが増えたようじゃな?確かアイナの報告ではメンフィルの嬢ちゃんはなかったのじゃが………」

アガットの言葉に頷いたルグランはプリネ達を見て尋ねた。

「あ、うん。プリネ達は直接空港に来て、そのままボースに来たから。」

「フフ………エステルさん達にはロレントの件で助けて頂いた恩もありますし、エステルさんとヨシュアさんの力になりたいと思いましたから………皆さんの足手纏いにならないよう、精一杯力を出させて頂きます。」

「いやいや、足手纏いなんてとんでもない。こちらこそ、よろしくお願いするぞい。………一応確認しておくがメンフィル大使達の許可は勿論頂いているのかな?」

「ええ。今回の事もお父様達に説明し、許可を頂いてエステルさん達に同行しているので、ご安心下さい。ツーヤとリタさん共々皆さんのお手伝いをさせて頂きます。」

「………プリネ様専属侍女兼護衛騎士、ツーヤ・ルクセンベールです。よろしくお願いします。」

「リタ・セミフです。プリネちゃんやエステルとは縁があって、力を貸すことにしました。よろしくお願いします。」

ルグランの疑問に答えたプリネは軽く会釈をし、ツーヤはプリネに続くように会釈をした。また、リタも軽くお辞儀をした。



「……失礼しますわ。」

その時、ギルドに2名の女性が入って来た。

「メイベル市長……それにリラさんじゃない!」

ギルドに入って来た女性――ボース市長メイベルとメイベルに仕えるメイド、リラにエステルは驚いた。

「うふふ、ご機嫌よう。エステルさん。ようやく再会できましたね。」

「……ご無沙汰しております。」

「うわ~、何だか久しぶりねぇ。生誕祭の時以来だったっけ?」

メイベルとリラを見たエステルは懐かしそうな表情で話しかけた。

「ええ、そうなりますわね。エステルさんのお噂は色々な所で耳にしていますわ。他の皆さんもお久しぶりです。あら?……お久しぶりです、プリネ姫。以前の空賊の件では空輸の件等で色々とお世話になりました。」

エステルに答えたメイベルはプリネに気づいて驚いた後、会釈をした。

「フフ………あの件はリフィアお姉様の提案ですから、私は特に何もしていませんよ。」

メイベルの言葉にプリネは上品に笑いながら謙遜した。

「それでもプリネ姫のお蔭でもあるのですから、謙遜する事はありませんわ。クローゼは……もう休暇に入ったのかしら?」

「いえ、実は一足先に休学にさせて頂いたんです。メイベル先輩とリラさんもお元気そうで何よりです。」

「メイベル……先輩?」

クローゼのメイベルに対する呼び方にエステルは首を傾げた。

「あ、王立学園の先輩でいらっしゃるんです。」

「ふふ、公の場以外では威張らせてもらってるわけですわ。」

「あはは、そうなんだ。」

クローゼとメイベルの意外な関係を知ったエステルは苦笑した。



「それと……アガット・クロスナーさん。お久しぶりですわね。」

「……まあな。」

メイベルに挨拶をされたアガットは複雑そうな表情で答えた。

「あれ、アガットって市長さんと顔見知りだったの?」

「何度か依頼を通じてお世話になっていますわ。それと10年前に……」

「おい……嬢さん。」

エステルに説明したメイベルがある事を説明しようとした時、アガットが制止の声を出した。

「……失礼しました。今日のところは、皆さんがいらっしゃったと聞いたので挨拶に伺わせていただいたのです。聞けば、王国全土を騒がす国際犯罪組織を追ってらっしゃるのだとか?」

「こ、国際犯罪組織……」

「少し雰囲気は違うけれど、そう思ってくれて構わないわ。」

結社の呼び方にエステルは弱冠驚き、シェラザードは真剣な表情で頷いた。

「ボース市としても犯罪組織の暗躍は他人事ではありません。可能な限りの協力をさせて頂きますわ。」

「うん、その時はよろしくお願いします。」

「フン……ま、せいぜい期待してるぜ。」

「では、わたくしたちはこれで失礼させていただきます。何かありましたら市長邸までいらしてくださいね。」

「……失礼します。」

そしてメイベルとリラはギルドを出て行った。



「やれやれ、アガット。お前さん、もう少し愛想良くはできんのか?」

メイベル達が出て行った後、ルグランは溜息を吐いてアガットに指摘した。

「悪いが、これが地でね。サービス業じゃねえんだ。その辺は勘弁してもらうぜ。」

「うーん、確かにアガットって誰に対しても横柄だけど……それでも対応そのものは割と丁寧な感じがするのよね。でも、さっきの市長さんには素っ気なく感じたんだけど。」

「それとクーデターの時、ティアさんを睨んでいたよね?なんで??ティアさん、凄く優しくていい人なのに。」

「………………………………」

エステルとミントの疑問を聞いたティータは心配そうな表情でアガットを見ていた。

「へっ。気のせいだろ。それよりも、さっさと手配魔獣を退治しちまうぞ。爺さん、一通り教えろや。」

「うむ………報告されている手配魔獣は…………」



その後エステル達は手配魔獣が3ヵ所に分かれていたので効率よく倒すためにエステル、ミント、シェラザードの3チームに分ける事にし、エステルはアガット、ジン、クローゼ、、ミントはプリネ、ツーヤ、そしてシェラザードはリタとティータ、オリビエのチームを組み、それぞれの手配魔獣を倒すためにエステル達は霜降り渓谷、ミント達はクローネ峠、シェラザード達は琥珀の塔に向かった………




 
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