英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第117話
~金の道~
門の中へと入ったケビン達は分かれ道を見つけ、一端足を止めた。するとケビン達の目の前に妖しげな光陣が現れた!
「チッ………」
「ちょ、ちょっと……!?」
「早速ですか……」
それを見たケビンは舌打ちをし、ジョゼットは焦り、カリンは警戒の表情で武器を構えた。すると光陣から今まで見た事のない魔獣が現れ、ケビン達に自らが持っている槌で襲い掛かった!
「おぉぉぉぉぉ……!」
ケビン達に一斉に襲い掛かった敵達だったがヨシュアの魔眼によってケビン達に攻撃が届く前に動きが封じ込められた。
「歪められし扉、今開かれん―――ネガティブゲイト!!」
そこにアニスが発動した譜術によって敵達は一か所に固められると共に更に動きを封じ込められた。
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
するとその時ミュラー少佐が敵が一か所に固められた事を好機と判断し、多数の敵を相手に巧みな足裁きで陣中を切り抜けるクラフト―――ハウンドゲイルで次々と敵達にダメージを与え
「狂乱せし地霊の宴よ―――ロックブレイク!!」
詠唱を終わらせたジェイドが敵の足元から鋭利な岩を出現させて追撃すると共に宙へとふっ飛ばした。
「そらっ!!」
「そこっ!!」
「どうだぁっ!!」
「えいっ!!」
そして宙へとふっ飛ばされた敵達にそれぞれ遠距離攻撃を得物としているケビンとアーシア、ジョゼットとカリンはそれぞれの得物で追撃して止めを刺した!
「はあ………何とか追っ払ったか。しかし………なんや今のケッタイなんは。」
戦闘が終了し、武器を収めたケビンは安堵の溜息を吐いた後、先ほど戦った今まで見た事のない新しいタイプの魔物の事について考え込んだ。
「……例によってただの魔獣ではなさそうだ。民話に出てくるような人をからかう小鬼……そういった類かもしれん。」
「なるほど………言い得て妙ですな。骸骨、甲冑、亡霊ときておとぎ話の小鬼ときたか………」
「その内竜も出てくるかもしれませんねぇ。」
「ちょ、ちょっと!縁起でもないような事を言わないでよ!?」
「今まで現れた”魔物”を考えると本当に出てきそうで冗談になっていないですよ……」
疲れた表情で溜息を吐いたケビンの後に冗談交じりで答えたジェイドの推測を聞いたジョゼットは焦り、アーシアは疲れた表情で指摘した。
「フン………一筋縄では行かないようだな。」
「うん、面倒だけど慎重に進んだ方がよさそうだね~。」
ミュラー少佐の言葉にアニスは頷いて全員を促した。そしてケビン達は先を進み、しばらく進むと封印石を1つ見つけ、手に入れた。
「フム……恐らくこの中にさっきの女性の話にあったジェイド中将達の仲間の人達――――”聖なる焔の光の真の友”か”最後のユリアの末裔”が封印されているんやろうな。」
「先程の女性は『彼らを解放し、彼らと共に先に進んでください』と言っていましたが、庭園に戻れない状況でどうやって解放すればいいんでしょう……?」
封印石の中に解放されている人物をすぐに解放する方法をケビンとヨシュアが考え込んでいたその時封印石が光を放った!するとそれぞれは光の球になって、そこからある人物が現れようとした。
「手に入れてすぐに解放されるなんて初めてのケースですね。」
「そうですな……女性の宣言通り、あの人は二人の知り合いですか?」
カリンの言葉に頷いたケビンはジェイドとアニスに視線を向けた。
「ええ、間違いありません。」
「後はティアが解放されたら、わたし達の方は全員揃った事になるね~。」
ケビンの言葉にジェイドは頷いてアニスと共に光の球の中にいる人物を見つめた。すると光は消え、光の球の中から金髪の青年が現れた!
「何だったんだ、今の光は……?――――へ。」
地面に跪いていた青年は目の前にいる人物達―――ケビン達に気づくと呆け
「……旦那?それにアニスまで、いつ王宮に来たんだ??というかそいつらは一体誰なんだ??」
「そういう事は周りを見てから聞くもんだよ、ガイ~。」
青年の質問を聞いたアニスは呆れた表情で指摘し
「周り……?…………ハアッ!?何なんだよ、ここは!?さっきまで王宮で陛下のブウサギ達の世話をしていたのに、どうなっているんだ!?」
アニスの指摘に首を傾げた青年は周囲の状況――――自分のいる場所が異空間となっている場所である事に気づくと驚き、信じられない表情で声をあげた。
「ガイ、説明を。」
「また俺かよ!?………って、それは俺の台詞だろうが!?」
そしてジェイドに説明を促された青年は表情を引き攣らせたがすぐに自分が説明を受ける側である事に気づき、疲れた表情で指摘した。
「アハハ、このやり取りも久しぶりで懐かしいよね~。」
「仕方ありませんねぇ……と言う訳でケビン神父、説明を。」
「今度はオレかいな!?えっと………実は――――」
ジェイドと青年のやり取りを見たアニスは昔を思い出し、ジェイドに説明を促されたケビンは疲れた表情で声をあげた後青年に事情の説明をし、更にそれぞれ自己紹介をした。
「い、異世界の存在に加えて、しかもその異世界に死んだはずのラルゴが生きているって……色々と滅茶苦茶だな、オイ……」
事情を聞き終えた青年は疲れた表情で溜息を吐いた。
「まあ、ラルゴが現れた時はわたし達も本気で驚いたからガイが驚くのも無理はないね~。」
「というか驚かなかったら、私は偽物かレプリカのガイだと疑いましたけどね。」
「それはどういう意味だよ……」
アニスの後に冗談交じりで答えたジェイドの言葉を聞いた青年は疲れた表情で指摘した。
「ハハ……そう言う訳でオレ達はそれぞれの世界に帰還する為に協力し合っているんですけど、えっと……兄さんの名前は何て言うんです?」
「っと、名乗るのが遅れたな。―――俺の名はガイラルディア・ガラン・ガルディオス。アニス達からは”ガイ”って呼ばれているから、そっちも俺の事はそう呼んでくれ。”ガイラルディア”って呼ばれるより”ガイ”って呼ばれた方がしっくりくるしな。」
ケビンに名前を訊ねられた青年――――ガイラルディア・ガラン・ガルディオス―――ガイは自己紹介をした。
「貴族としての本来の名前で呼ばれるより、かつて使用人として名乗っていた名前で呼ばれる方がしっくりくる事に恥ずかしくないんですかねぇ?」
「使用人根性が全然抜けていない証拠だよね~。そんなんだから、ブウサギ達の世話係から脱却できないんじゃないの~?」
「悪かったな、使用人根性が抜けていない貴族で。―――それよりも俺も元の世界に戻る為にも今後は協力するから、よろしく頼むぜ。」
呆れた様子で語るジェイドとアニスの指摘に疲れた表情で答えたガイはケビン達に協力を申し出た。
「ええ。こちらこそよろしく頼みますわ。」
その後ガイを仲間に加えたケビン達は時折道を阻む魔物達を協力して撃破しながらどんどん先へと進み、ついに終点らしき場所に到着した。
「あれは………!」
「ふむ……出口ということか。」
先にある大きな扉を見つけたケビンは声を上げ、ミュラー少佐は扉の先を推測した。
「ええ………その可能性は高そうですな。ふう、リース達の方も順調に行ってるといいんやけど………」
そしてミュラー少佐の言葉にケビンが頷いたその時、妖しげな光陣が現れた!
「チッ………」
「お約束の展開ですねぇ。」
「ハア~……頼むから面倒な奴は出て来ないでよ~。」
「何で二人はそんな呑気でいられるんだよ……」
それを見たケビンは舌打ちをし、それぞれ呑気な様子で答えて仲間達と共に戦闘の構えをしているジェイドとアニスの答えを聞いたガイは得物である剣を構えて疲れた表情で指摘した。すると光陣からなんと法剣を構えたリースと法剣とボウガンを構えたリースの容姿によく似た女性が現れた!
「………なっ………!?」
「!?」
「何なんだ、あの二人のシスターは!?」
リースと女性の登場にケビンは驚き、アーシアは血相を変え、ガイは困惑した表情で声をあげた。
「リ、リースさん!?それにもう一人の彼女は一体……」
「よく見たらリース殿の容姿に似ているが……」
「!まさか……彼女が話にあった亡くなったリースさんの……!?」
「あのシスターが敵になっている事といい、死んだ奴まで生き返っている事といい、どうなっているんだよ~!?」
カリンは信じられない表情でリース達を見つめ、ユリア大尉は戸惑い、ある事に気づいたヨシュアは目を見開き、ジョゼットは混乱した様子で声をあげた。
「中将、まさかあの二人は”レプリカ”なのかな……?」
「………まだ何とも言えませんね。とにかくまずはあの二人を無力化する事です。」
アニスの推測を聞いたジェイドは真剣な表情でリースと女性を睨んで答えた。
「何で………ルフィナ姉さんが………ハハ………か………に……する為か……?」
一方ケビンは信じられない表情をした後乾いた声で笑って女性――――ルフィナを見つめたが
「――――しっかりしなさい、ケビン・グラハム!!」
「え………」
アーシアの一喝によって我に返った。
「あの二人をよく見なさい!”星杯騎士”ならあの二人から漂う気配が人間ではなく今までの”星層”で戦ってきた悪魔達の気配である事に気づけるはずよ!」
「へ………―――!!」
そしてアーシアの指摘によって二人を見つめた後二人から漂う気配が人間ではなく悪魔や魔物の類である事に気づき、血相を変えた。するとその時リースが詠唱をし、自分達の周囲に鏡の姿をした魔物達を召喚した!
「クソッ、オレとした事がマジで騙されてしまう所やった……偽物やったら、例えあの二人でも容赦はせんで!」
目の前にいるリースとルフィナが本物でない事をようやく悟ったケビンは疲れた表情で呟いた後二人を睨み
「偽物のルフィナは私が受け持つから、貴方達は他の相手を頼むわ!」
アーシアはケビン達に指示をした後ルフィナへと向かって行き、ケビン達はリース達との戦闘を開始した!
「刃よ、伸びよ―――アークフェンサー!!」
「………」
ルフィナに向かったアーシアは法剣の刃を伸ばして攻撃したが対するルフィナも同じクラフトを放って相殺し
「…………」
「ハッ!!」
続けてボウガンから矢を放って攻撃し、襲い掛かる矢を紙一重で側面に跳躍して回避したアーシアはルフィナのようにボウガンから矢を放って反撃を叩き込んだ。
「…………」
ダメージを受けたルフィナは法剣を天へと掲げ
「!さあ、行くわよ……!」
ルフィナが天へと掲げた法剣の刃を飛び回らせ始めたその時アーシアはボウガンに装着されてある仕込み刃でルフィナに突進して凄まじい速さで連続攻撃を叩き込み
「邪よ、退け!!」
飛び回った法剣の刃がアーシアの元に戻る頃には元の位置に戻ってアーシアの足元から光の槍を発生させて攻撃を叩き込んだ!
「…………」
アーシアのクラフト―――ホーリーパニッシャーを受けたルフィナは反撃にクラフト―――クロスギアレイジで襲い掛かって来たが
「オーブメント駆動………甘い!光よ――――ホーリーセイバー!!」
ルフィナの構えを見てどんな攻撃が来るか悟っていたアーシアはルフィナが飛びかかって来るギリギリまでオーブメントを駆動させた後側面に跳躍して回避した後法剣に聖気を宿らせて薙ぎ払い攻撃を放って反撃を叩き込み
「それっ!ダークマター!!―――貫け、エンジェルアロー!!」
駆動が終えたオーブメントでダメージを与えると共に動きを封じ込めるアーツ―――ダークマターでルフィナの動きを封じ込めた後ボウガンから聖気が宿った矢を放ってルフィナに追撃した。
「!?!?」
アーシアが放ったクラフト―――エンジェルアローには確実に敵を混乱させる効果が秘められていた為、アーシアの攻撃を受けた事によって混乱したルフィナは全身から光を放った。するとルフィナの姿が突如変貌し、宙に浮く何かの物体になった!
「止めよ!!」
そしてアーシアは一気にルフィナの姿を模倣していた物体に詰め寄り、法剣を振るって真っ二つにした!
「”本物”がいるのに、”偽物”に変身するなんて愚かな事をした事がそちらの敗因よ。」
敵の消滅を確認したアーシアは静かな表情で呟いた。
「……………」
アーシアがルフィナと戦っている一方リースはクラフト―――アークフェンサーをケビン達に放ち、鏡達は一斉に凄まじい雷を放った!
「!散開しろ!」
ミュラー少佐の警告を合図にケビン達はそれぞれ散開してリース達の攻撃を回避し
「絶影!!」
「キール兄の特製の爆弾だよ!やーっ、 これでも食らえっ!」
「行くぞっ!はぁぁぁぁぁ!せりゃぁ!」
「鷹爪襲撃!!」
「虎牙破斬!!」
ヨシュアとジョゼット、ミュラー少佐とアニス、ガイはそれぞれクラフトを放って鏡達に攻撃し
「光よ、集え―――フォトン!!」
「荒れ狂う流れよ―――スプラッシュ!!」
「そらっ!」
カリンとジェイドは譜術で鏡達に攻撃し、ケビンはリースにボウガンの矢を放った!
「………………」
しかしリースは法剣で矢を落とし
「っつ!?」
「あうっ!?」
「って!?」
「キャッ!?」
鏡達に攻撃したはずのヨシュアとジョゼット、ガイとカリンの攻撃が鏡達に命中した瞬間鏡達は光、ヨシュア達にダメージを与えた。
「攻撃が跳ね返されているなんて、どうなっているねん!?今助けたる―――そらっ!!」
ダメージを受けた様子の仲間達を見たケビンはクラフト―――セイクリッドブレスで仲間達の傷を回復した。
「恐らく物理攻撃と魔法攻撃、それぞれを反射する特性を持っているのでしょう。現に私や一部の方達が攻撃した鏡達にはダメージが通っています。―――鏡の色で判断してください!先程私が攻撃した青の鏡に魔法攻撃が通った所を見ると青は物理攻撃を反射し、赤は魔法攻撃を反射します!」
「!わかりました……!」
「あー、もう!面倒だな~!」
ジェイドの助言を聞いたヨシュアは頷き、アニスは疲れた表情で声をあげた後仲間達と共に再び鏡達に攻撃を仕掛けた。
「はあっ!はあっ!」
「ドカンと一発、流舞崩爆波!!」
ミュラー少佐がクラフト―――ハウンドゲイルで、アニスがクラフト―――流舞崩爆波で赤色の鏡達に攻撃を叩き込むと、鏡達は攻撃を反射せずそれぞれダメージを受け
「とったぁ!」
「雪月花ってなぁ、氷月翔閃!!」
それを見たヨシュアとガイはそれぞれ追撃をして止めを刺した。
「やあ~っ!アースランス!!」
「えいっ!ブルーインパクト!!」
一方ジョゼットとカリンはそれぞれ単体攻撃をするアーツで青色の鏡達に攻撃してダメージを与え
「業火よ、焔の檻にて焼き尽くせ―――イグニートプリズン!!」
ジェイドが広範囲かつ高火力の譜術を発動して鏡達に止めを刺した!
「…………」
「これでも喰らえや!!」
法剣の刃を伸ばして攻撃したリースの攻撃を回避したケビンは敵を確実に石化させる矢を放つクラフト―――ゴルゴンアローをリースに命中させた。するとリースは石化し始め
「そらっ!!」
その隙を逃さないケビンはボウガンから矢を放って追撃した。するとリースの姿が突如変貌し、宙に浮く何かの物体になった!
「!フン、それがお前の正体か。これで終わりにしたる……滅!!」
そしてケビンはクラフト――デスパニッシャーを放って止めを刺した!するとリースの姿を模倣していた物体が消えた場所に封印石が現れた!
「おっと………」
封印石に気付いたケビンは仲間達と共に武器を収めた後、封印石を懐にしまった。すると閉じられていた大きな門が開いた。
「……どうやらこれで試練とやらは終わりみたいやな。それにしても………まさかリースとルフィナ姉さんそっくりに化けてた魔物やったとはな。」
「さ、さすがに驚いたよ……てっきり操られたのかと思っちゃったし………」
「はい……ヨシュアが操られたという前例がありましたし、本当に心配しました………」
「ハハ…………」
疲れた表情で溜息を吐いたケビンの言葉にジョゼットは同意し、安堵の表情で呟いたカリンの話を聞いたヨシュアは苦笑していた。
「まあ、実際わたし達の時も敵に操られた人がいたから他人事じゃないですよね~?」
「全くもってその通りですねぇ。」
「そこで何で俺を見るんだよ……」
それぞれ意味ありげな笑みを浮かべて見つめるアニスとジェイドにガイは疲れた表情で指摘した。
「ああ、よく知ってるオレですら一瞬騙されかけたくらいや。お供に現れた鏡みたいなもんもかなりヤバイ呪具やったし………やっぱり敵が仕掛けたものに間違いないやろ。」
「そうなると………シスターたちの方が心配だな。先を急いだ方がよかろう。」
ケビンの話を聞いて考え込んでいたミュラー少佐は提案し
「ええ………あ、そうや。アーシアさん、さっきは助かりました。」
「え?一体何の事かしら?」
ケビンにお礼を言われたアーシアは不思議そうな表情で訊ねた。
「リースとルフィナ姉さんの偽物が現れた時、動揺していたオレをアーシアさんが一喝してくれたお陰で、二人が偽物やって判断できたのはアーシアさんのお陰ですわ。」
「アハハ……咄嗟に呼び捨てにしてしまって、ごめんなさいね。」
「いやいや、呼び捨てにしてもらって全然構いませんよ。それにしてもさっきのアーシアさんの一喝、一瞬本物のルフィナ姉さんに一喝されたように感じてビックリしましたわ~。」
「ア、アハハ………そ、そう。(私も他人の事を言えないわね………)―――それよりも、リースさん達が心配だし、さっさと門をくぐりましょう?」
ケビンの答えを聞いたアーシアは冷や汗をかきながら乾いた声で笑った後話を変えるために先に進むように促し
「ええ、そうしましょう。」
アーシアの意見にケビンは頷き、仲間達と共に門をくぐり、先に進んだ――――
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