英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第115話
~封印区画・最奥~
「突撃開始っ!!」
「オォォォォォ―――――――――――――ッ!!」
ロストフルムとの戦闘を開始したユリア大尉は号令をかけて仲間達の闘志を高め、バダックは咆哮を上げて全身に膨大な闘気を纏った。
「そこやっ!!」
「せいっ!!」
「絶影!!」
ユリア大尉の号令によって闘志が高まったケビンとリース、ヨシュアはそれぞれ物理攻撃を敵に叩き込んだが
「――――!」
「あいたぁっ!?」
「うっ!?」
「っ!?」
巨大の敵に攻撃が命中しても敵は一切怯まず、両手にある巨大な鉄球で範囲内を攻撃する技――双粉砕撃で反撃してケビン達にダメージを与えた。
「断罪の剣よ、七光の輝きを持ちて降り注げ―――プリズムソード!!」
「!?」
その時譜術の詠唱を終わらせたジェイドが敵の頭上から光の洗礼を受けた聖剣を降り注がせ、ジェイドが扱える譜術の中でも強力な威力を秘める譜術をその身に受けた敵は怯んだ。
「獅吼!爆炎陣!!」
「見切れるか!?エクストリーム・スターズ!!」
その隙を逃さないバダックは闘気による炎の獅子を叩き込んだ後大鎌を敵に叩き込んで炎の大爆発を起こし、ユリア大尉は凄まじい勢いで細剣で連続突きを放って追撃した。
「今助けたる―――そらっ!!」
「えいっ!ラ・ティアラ!!」
ジェイド達の攻撃の間にケビンとリースはそれぞれ法術と治癒アーツで自分達が受けたダメージを回復し
「ありがとうございます!行くよっ………!………せいっ!!」
ヨシュアはエステルと共に旅に出る前にカシウスより教わったカシウス直伝のクラフト――雷光撃で反撃を叩き込んだ。
「この重力の中でもだえ苦しむがいい―――グラビティ!!」
「―――!?」
バダック達の攻撃の間に次の譜術の詠唱を終わらせたジェイドは敵の巨体を半球状の過重力空間を発生させて攻撃して再び敵を怯ませ
「もう、しまいにしよか……滅!!」
「行け!………退がりなさい!!」
「双針乱舞!!」
「魔王!炎撃波!!」
「ルナティックスティング!!」
その隙にケビン達は一斉攻撃を敵に叩き込んだ。
「―――――!!」
ダメージを受け続けた敵だったが、ジェイドの譜術によって発生した半球状の過重力空間が消えると鉄球を振り回しながら移動してケビン達にダメージを与えると共にふっ飛ばし
「―――――!」
ジェイドの近くまで移動するとジェイド目がけて鉄球を振り下ろした。
「!!」
敵の攻撃に気づいたジェイドは詠唱を中断して側面に跳躍して回避し
「今助けたる―――そらっ!!」
「女神の御加護を―――ホーリーブレス!!」
「せいっ!シャドウスピア!!」
「スターストローク!!」
「雷光よ貫け、紫光雷牙閃!!」
その間にケビンとリースは法術で仲間達の傷を回復し、傷が回復したヨシュアとユリア大尉、バダックはそれぞれ遠距離からアーツやクラフトを放って敵の注意を自分達に惹きつけ、ヨシュア達の攻撃を受けた敵は3人に突進したがヨシュア達はそれぞれ散開して回避した。
「無数の流星よ!彼の地より来たれ――――――メテオスォーム!!」
するとその時ジェイドの譜術によって天井から無数の流星が降り注ぎ、巨体の為普通の敵よりも多くの流星が命中した敵は大ダメージを受けた。
「――――――!!」
そして状況を逆転する為に敵は咆哮を上げて自分自身に凄まじい闘気を纏い、さらに何かを溜める動作をし始めた!
「無駄です!!」
「おぉぉぉ!!」
「行くぞ!はっ!やっ!せいっ!たぁ!!」
「捕えたぞ!炎牙爆砕吼!!」
その様子に気付いたリース、ヨシュア、ユリア大尉、バダックは行動を中断させるためにそれぞれクラフトを放って攻撃したが、敵は倒れずさらに中断もしなかった。
「我が右手に有りし星の杯よ、天より授かりし輝きをもって我らが盾となれ…………」
一方ケビンは万が一の事に備えて味方全員に絶対障壁を付与する為に聖句を唱え始め
「受けよ、無慈悲なる白銀の抱擁―――アブソリュート!!」
ジェイドは氷の譜術で敵にダメージを与えると共に敵の巨体を氷漬けにして身体の動きを鈍くさせようとしていた。
「グラールスフィア!!」
「―――――!!」
ケビンのSクラフトが発動した事によってケビン達全員に絶対障壁が展開されたその時敵は凄まじい咆哮を上げて全身を覆う氷を吹き飛ばした後凄まじいスピードで戦場を縦横無尽に駆け抜けて、ケビン達を攻撃した。しかしケビンが展開した絶対障壁が早かった為、敵の攻撃は全て無効化された。
「さぁ、いきますよぉ!」
するとその時全身から莫大な魔力を解放したジェイドが譜術の詠唱を始めた。
「天光満つるところ我は有り、黄泉の門開くところに汝有り――――」
ジェイドの詠唱によって敵の足元に巨大な魔方陣が現れた後敵は雷の檻に閉じ込められ、更に敵の頭上に電撃が迸る異空間が発生し
「出でよ神の雷!これで終わりです!インディグネイション!!」
異空間から巨大な雷が落ちた!
「――――――!!??」
異空間から神の怒りに等しい裁きの雷を呼び寄せて敵に落とすジェイドのSクラフト―――インディグネイションを受けた敵はついにダメージに耐えきれず、叫び声を上げながら消滅し、敵の消滅を確認したケビン達はバダックとジェイドを除いて全員今までの探索や戦闘で蓄積した疲労によって地面に跪いた。
「くっ………む、無茶苦茶や…………!」
「信じられない………追い返せたなんて………」
「そ、それよりも………!」
「3人の封印石を……!」
「メリル達を返してもらうぞ……!」
聖典に載る大悪魔の強さをその身で思い知ったケビンは疲弊した表情で呟き、大悪魔に勝てた事にリースは呆け、ユリア大尉とヨシュア、バダックはケビン達と共に立ち上がって影の王を睨んだ。
「フフ………なかなかの見世物だった。おひねりだ――受け取るがいい。」
一方影の王は不気味な笑みを浮かべた後、自分の両手に浮かばせていた封印石をそれぞれユリア大尉とヨシュア、バダックの前に転移させた。
「「あ………」」
「…………」
目の前に現れた封印石に気付いたユリア大尉達はそれぞれ大切に封印石を懐にしまった。
「よかった、これで………」
「後はレーヴェとエステルか……」
「メリル……」
「フン、約束だけはきちんと守るみたいやな。単刀直入に聞く―――あんたの狙いはなんや?オレたちに何を望んでる!?」
それぞれの大切な者が封じ込められている封印石を影の王から取り返した事にユリア大尉達が安堵している中ケビンは影の王を睨んで問いかけた。
「はは、ケビン・グラハム。あまり私を失望させないで欲しいものだ。我が名は影―――なればその真実もまたそなたらの中にのみ存在する。解るかな、この意味が………?」
「………え………」
影の王に怒鳴ったケビンだったが、不気味に笑いながら答えた影の王の言葉を聞き、一瞬ある光景を思い浮かべて呆けた。
「………ケビン?」
その様子に気付いたリースは心配そうな表情でケビンを見つめた。
「フン、戯言を。思わせぶりなこと言って茶を濁そうとしても無駄やで。」
「そう、我が言の葉はすべて戯れでできている………そなたがそう思うのならば私はそういうものなのだろう。」
「ざけんな………」
影の王の言葉を聞いたケビンは暗い表情で身体を震わせて呟き
「フフ、そうだな。いっそ”影の王”改め、”戯言王”と名乗るとしようか?」
「ざけんな言うてるやろ!」
やがて我慢の限界が来たケビンはボウガンの矢を何度も連射して、影の王に矢を命中させ、矢が命中した影の王は地面に膝をついた。
「ケビン………!?ど、どうしていきなり………」
「………落ち着け。それこそ”影”や。」
「え………」
ケビンの言葉を聞いたリースが驚いたその時、影の王は一瞬で消えた。
「あ………」
「分け身………いや、空蝉か。」
「戦いの最中にすり変わったのか………」
「もしくは最初に現れた影の王自身も空蝉だったかもしれませんね。」
それを見たリースは呆け、ユリア大尉とヨシュア、ジェイドはそれぞれ真剣な表情で影の王が消えた場所を見つめた。
「フフ、よくぞ見破った。この『第二星層』におけるそなたらの役目は終わりだ。いざ、白き翼と滅びし里の花、そして偽りの女王を手に入れさらなる深淵へと挑むがいい。はは………次なる邂逅を楽しみにしているぞ………」
そして影の王の言葉が部屋中に響き渡った後、影の王がいた場所に転移陣が現れた。
「フン………芝居がかったやっちゃ。ああいう芸風は寒いだけやっちゅうねん。」
「………ケビン………」
どこか無理をして笑っているケビンに気付いたリースは心配そうな表情でケビンを見つめた。
「さてと、新たな封印石も手に入ったことやし………いったん拠点に戻って中の人達を解放するとしよう。『白き翼』と『滅びし里の花』、『偽りの女王』って言葉でおおよそ見当が付いたし。」
「ええ、確かに。」
「………ああ。そうしてもらえると助かる。」
「うむ……まずは新たな味方を解放する事が先決だな。」
リースの様子に気づかずに提案したケビンの言葉にヨシュアとユリア大尉、バダックはそれぞれ頷いた。
その後ケビン達は一端庭園に戻った――――
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