英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第140話
同日、16:40―――
~クロスベル市・オルキスタワー~
「こんな時に……」
「ダドリーさんから?」
仲間達と共に会議の進み具合を見守っていたロイドは通信の音に気付いてエニグマを取り出して通信を開始した。
「はい、バニングスで―――」
「俺だ、セルゲイだ。」
「セルゲイ課長?どうしたんですか―――」
「時間がない、手短に話す。―――ソーニャから連絡があった。タングラム、ベルガード両門の付近に設置されたレーダー施設が破壊された。自治州領空に侵入する不審な飛行船を捕捉するための対空レーダーだ。」
「な……!ま、まさか犯人はルファ姉達の推測通り……!」
「ああ……ルファディエルや局長達の推測通り、テロリストの仕業だ。ダドリーにも伝えたからお前達の方でも備えておけ。」
「わ、わかりました!」
通信相手であるセルゲイの忠告を聞いたロイドは通信を止めた。
「ど、どうしたの?」
「まさか叔父貴どもが何かやらかしたのか!?」
血相を変えているロイドにエリィとランディは尋ね
「い、いや、そっちじゃなくて―――」
「―――皆さん、少々よろしいか?」
尋ねられたロイドが答えかけたその時、ディーター市長の声が聞こえ、ロイド達は会話するのを止めて会議室にいるディーター市長を見つめた。
「今、この場で語られている安全保障の議論について……一つ私の方から提案させて欲しい事があります。」
「ほう……?」
「ふむ?」
席から立ち上がりディーター市長の発言を聞いたオズボーン宰相とリフィアは興味深そうな表情をし
「ハハハ、先程から大人しいと思っていたが……何を仰られるおつもりかな?」
ロックスミス大統領は笑顔で笑った後、目は笑っていない状況で尋ねた。
「ええ、それは―――」
そしてディーター市長が答えかけたその時
「―――方々、下がられよ!」
何かに気付いた遊撃士協会・クロスベル支部の遊撃士であり、”風の剣聖”の異名で呼ばれているアリオス・マクレインが大声で警告した!すると軍用飛行艇が2機、ガラスの外に現れた!
「な―――!」
「飛行艇……!?」
「見た事がない機種ね。」
それを見たマクダエル議長やクローディア姫は驚き、レンは真剣な表情で見つめていた。すると2機の飛行艇は怒涛の銃撃を放ってガラスを割ろうとした!
「くっ……!」
「まさか……テロリストどもか!?」
「……………」
「ここで来たか……!」
その様子を見たアルバート大公は唇を噛みしめ、オリヴァルト皇子は声を上げ、オズボーン宰相は真剣な表情で黙り込み、ロックスミス大統領は驚きの表情で声を上げた。
「ご安心を!砲撃にも耐えられる特注の強化ガラスです!ですが念のため全員、おさがり下さい!」
そしてディーター市長の警告を聞いた首脳陣は下がり、飛行艇は上昇し、騒ぎを聞きつけた各国の将校達が会議室に入って来て首脳陣に駆け寄った。
「殿下、ご無事ですか!」
「ええ、何とか……」
ユリア准佐の言葉にクローディア姫は頷き
「リフィア殿下、レン姫。お怪我は?」
「大丈夫だ。」
「レンも大丈夫よ。」
真剣な表情のエリゼに尋ねられたリフィアとレンはそれぞれ頷き
「リフィア殿下、迎撃しますか?」
シェラ元帥はリフィアに判断を仰いだ。
「いや、今は余達の護衛に専念しろ。奴等を相手するのは余達ではない。」
「了解しました。」
「今のは……ラインフォルト社の高速艇か。」
「ああ、間違いないだろう。」
ミュラー少佐の推測にオリヴァルト皇子は頷き
「もう一隻はヴェルヌ社の軍用ガンシップですね……」
「ええ、連中に奪われたことは報告にありましたが……!」
キリカ補佐官の呟いた言葉にカルバード軍将校は頷いた。するとその時ダドリーが部屋に入って来た。
「皆さん、ご無事ですか!」
「ああ、何とか……」
「しかし連中はどこへ……」
ダドリーの言葉にマクダエル議長は頷き、ディーター市長は考え込んだ。するとその時
「……ふむ。聞こえているようだな。―――会議に出席されている方々。我々は『帝国解放戦線』である。」
「―――同じくカルバードの旧き伝統を守るために立ち上がった『反移民政策主義』の一派の者だ。」
共和国のテロリストの声と共にギデオンの声が聞こえて来た!
「なんだと……!?」
「エレボニアとカルバードで活動しているテロリスト集団……!?」
「フフ、まさか白昼堂々と仕掛けてくるとはね。」
「それにこの声は確かヘイムダルの地下で対峙した……!」
「やれやれ……性懲りもなく仕掛けてくるとは呆れたものじゃな。」
相手がテロリストと知ったアルバート大公は声を上げ、遊撃士協会から出向しているアリオスと同じオブサーバーの立場のイアン・グリムウッド弁護士は信じられない表情をし、レンは不敵な笑みを浮かべ、ギデオンの声を聞いたエリゼは血相を変え、リフィアは呆れた表情で溜息を吐いた。
「この度、我々は互いの憎むべき怨敵を討たんがため共に協力することと相なった。―――覚悟してもらおう!”鉄血宰相”ギリアス・オズボーン!」
「ロックスミス大統領!貴方にはここで消えていただく!忌まわしき東方人に侵食されたカルバードの伝統を守るためにはそのくらいの荒療治が必要なのだッ!」
「……愚かなことを。」
「フム、話にならんな。」
ギデオン達の発言を聞いたロックスミス大統領とオズボーン宰相は呆れた表情で呟いた。
「だが……ちょいとマズそうだなァ。」
「ああ……来るぞ。」
「くっ……!」
そしてレクター書記官の言葉にアリオスは頷き、ダドリーは唇を噛みしめた。
一方屋上にはテロリスト達が乗った飛空艇が着地し、テロリスト達が次々と降りて行った後下に向かって行った。
「――こちらにまっすぐ向かっているだと!?クッ、あの図面はこのために……とにかく待機させていた警備隊をこちらの方に急行させて―――なんだとッ!?」
会議室の端で通信で報告を受けていたダドリーは唇を噛みしめた後指示したがある事を報告されて声を荒げた。
警備隊員や警官達は上に上がる為に非常階段に急いだがシャッターが閉じられ
「な、なんだこれは!?」
「ど、どうしていきなり……」
「なんだ、何が起こっている!?」
それを見た警備隊員や警官、警察の副局長のピエール副局長は戸惑っていた。一方エレベーター方面では警官達が何度もエレベーターのボタンを押したが反応はしなかった。
「だ、駄目です!ボタンを押しても反応しません!」
「クッ……何がどうなっている!?」
反応しないエレベーターに警官達は混乱し
「ちょっと、これじゃあ取材ができないじゃないの!?レインズ君、なんとかしなさい!」
「む、無茶言わないでくださいよ~!」
クロスベルの新聞記者の一人であるグレイス・リンは驚いた後後輩の新聞記者に無茶な命令をしていた。
「これは……!」
一方34階の待機場所から部下達と共に非常階段を駆けあがってきた警備隊の女性隊員―――ミレイユ三尉は閉じられているシャッターを見て驚き
「ミ、ミレイユ三尉!と、突然シャッターが閉じてしまって……!これではVIP達の救出に迎えません……!」
下の階層から駆けあがってきたミレイユ三尉に気付いたピエール副局長は表情を青褪めさせて現状を報告した。
「―――ご安心下さい。司令やエルミナ大尉達が予め”この事態が起こる事を予測していた”ので、対策も当然たててあります。」
「なっ!?」
「ええっ!?ギュランドロス司令達がですか!?」
そして静かな表情で答えたミレイユ三尉の話を聞いたピエール副局長は警備隊員達と共に驚いた。
「皆さん、シャッターから離れて下さい。」
そしてエルミナ大尉と共に来た警備隊員達がピエール副局長に警告してシャッターから離れさせた後シャッターに何かを仕掛けた。
「あれは一体……?」
「!まさか……!」
警備隊員が仕掛けている何かにピエール副局長が警官と共に首を傾げている中、何かを察した警備隊員が驚いたその時、ミレイユ三尉はシャッターに何かを仕掛け終えた部下達と共にシャッターから離れ
「”起動”!」
「イエス・マム!」
ミレイユ三尉の号令によって、警備隊員達はライフルを撃った。するとシャッターに仕掛けられた何かは一斉に爆発し、爆発による煙が消えるとシャッターに人一人は余裕で入れる程の大きな穴が開いていた!
「おおっ……!」
「先に進めるぞ……!」
シャッターに開いた穴を見たピエール副局長は警官達と共に明るい表情をし
「け、携帯用の高性能爆薬……」
「い、一体いつの間に用意したんだ、ベルガード門の連中は!?」
警備隊員達は驚きの表情でミレイユ三尉達を見つめていた。
「―――通路に到着次第テロリスト達との交戦に入る!何人たりとも後ろに通すな!」
「イエス・マム!」
そしてミレイユ三尉の命令に答えた警備隊員達は次々とシャッターに空いた穴を通って迅速に通路に向かい始めた!
「あ―――」
「これは……とんでもない事になったね。」
(これも全てルファディエルさんの推測通り……本当に恐ろしい人ですね、あの人は……)
一方テロリスト達の登場にエリィは声を上げ、ワジは厳しい表情をし、ツーヤは真剣な表情で黙り込んでいた。
「……オルキスタワーの制御を奪われたようです。昨日のハッカーの仕業かもしれません。」
ティオは自分の推測をロイド達に言った。
「くっ、俺達も行くぞ!とにかく35Fに降りて首脳達の安全を確保しないと!」
「―――了解です!」
「エレベーターが駄目なら非常階段しかなさそうだな!」
ロイドの指示にノエルとランディは力強く頷いた。そしてロイド達は35Fに向かう為に非常階段に急行したがシャッターによって道を防がれていた。
「さ、さっきまで通れたはずなのに……!」
閉まっているシャッターを見たノエルは信じられない表情で呟き
「ティオ、行けるか?」
「……何とかやってみます。」
ロイドに言われたティオはシャッター脇のコネクタに導力ケーブルを接続した。
「………………少々やっかいですね。でも、これなら何とか……」
ティオが端末を操作するとシャッターが開いた。
「開いた……!」
「さすがティオすけ!」
「こんな短時間で解除するなんてさすがティオちゃんだね……!」
それを見たエリィは明るい表情をし、ランディは称賛し、ツーヤは明るい表情をした。
「いえ、セキュリティが低めに設定されていただけです。ですが今の解除で他の扉のセキュリティが強化されてしまいました。とても全部を開いていられないかもしれません。」
「そりゃまた用意周到な……」
ティオの話を聞いたワジは溜息を吐き
「くっ……とにかく下に降りるぞ!」
ロイドは仲間達と共に走り出し、下に向かって行った。
一方その頃テロリスト達はエレベーターで35Fまで来た後会議室に向かったが既にバリケードを築いて待機していたダドリーや警官達、そして間一髪で駆けつけて来たミレイユ三尉率いる警備隊と銃撃戦を繰り広げていたが銃撃戦の間になんと手榴弾を投げた!
「!総員、退避!!」
投擲された手榴弾を見たミレイユ三尉の指示によって警備隊員達は後ろへと跳躍して回避したが
「うわあ~っ!」
「ぎゃっ!」
「くっ……!」
手榴弾の爆発に巻き込まれた3人は吹っ飛ばされた!するとその時、ギデオンと共に剣や盾を装備した”帝国解放戦線”のメンバーが銃を撃ち続けたテロリスト達の背後から現れ
「今だ……!」
「宰相の首を狙え!」
カルバード側のテロリストと号令をかけたギデオンの指示によってテロリスト達は突撃した。
「させないわよ!エアリアル!!」
「一人たりとも後ろに通すな―――ッ!」
「今こそギュランドロス司令達に鍛え上げてもらったこの力、存分に震う時だっ!!」
「ががっ!?」
「ぐあっ!?」
しかしミレイユ三尉が発動したアーツを合図に次々と解き放たれたライフルを装備する警備隊の一斉銃撃によって怯み、更にアリオスがダドリー達の背後から飛び込んできて、斬撃を放って怯ませた後テロリスト達を吹っ飛ばした!
「―――ここは通さん。」
アリオスはテロリスト達を睨んで呟き
「ぐっ、”風の剣聖”か!」
「ひるむな!波状攻撃を仕掛けるぞ!」
テロリストの一人は立ち上がってアリオスを睨み、他のテロリストは号令をかけた。するとその時ミュラー少佐とユリア准佐、エリゼが駆け付けて来た!
「―――助太刀します!」
「リフィア殿下の命により、未熟ながら私も助力致します!」
「そちらは下がられよ!」
「かたじけない!」
「第1小隊は怪我をした警官の方達を安全な場所に運んでから、戦線に戻って来なさい!」
「イエス・マム!」
ユリア准佐達の助力を聞いたダドリーはミレイユ三尉の指示によって動き出した警備隊員達と共に大怪我を負ってい地面に倒れている警官達を運んで後ろへと下がり始めた。
「ミュラー・ヴァンダール!」
「アルノール家の守護者か……!」
ミュラー少佐の姿を見た”帝国解放戦線”のメンバーは忌々しそうな表情で睨みつけ
「貴様はエリゼ・シュバルツァー!おのれ……!夏至祭の時に飽き足らず、ここでも私を阻むか……!」
「”聖魔皇女の懐刀”か……!」
「同志”G”の腕を切り落した”借り”はここで返させてもらうぞっ!」
「死ね―――ッ!!」
エリゼの姿を見たギデオンは驚いた後怒りの表情で”帝国解放戦線”のメンバーと共にエリゼを睨み、”帝国解放戦線”のメンバーが数人の仲間達と共にエリゼに突撃したその時!
「風巻く光よ……私に大切な人達を守る力を!ハァァァァァ……!」
エリゼは神速の抜刀で無数の斬撃を襲い掛かってきた”帝国解放戦線”のメンバーに叩き込み
「奥義――――風神烈波!!」
「「「ガアアアアアアアアアアア――――――ッ!?」」」
「なあっ!?」
最後に闘気によって発生した風を纏った強烈な一撃を叩き込んで後ろの壁へと勢いよく吹き飛ばして叩きつけ、エリゼの強さを見たギデオンは驚いた!そしてエリゼ達が迎撃を続けているとロイド達が駆け付けてきた!
「凄い……!」
「あの清楚に見えたメイドさんまでテロリスト相手に互角以上に戦うとか、とんでもなさすぎだろ……ってか、34Fから上がって来る所を塞いでいたシャッターを破壊した爆発物をミレイユの奴は一体いつの間に用意したんだ?」
「さすがはエリゼさんですね……」
「ギュランドロス司令が鍛え上げたベルガード門の精鋭部隊も到着しているし、撃退できそうね……」
テロリスト達を圧倒しているエリゼ達の戦闘を見たロイドは驚き、ランディは溜息を吐いた後考え込み、ツーヤとエリィは明るい表情になった。
するとその時会議室の扉が開いてレクターが姿を見せた。
「お、来たか。」
「レクターさん……!」
「出席者の皆さんは無事なんですか!?」
「あー、今のところはな。」
エリィの疑問にレクターが答えたその時、レクターの背後からキリカ補佐官も姿を現した。
「――話は後。後ろから来るわよ。」
「え……」
キリカ補佐官の忠告にロイドが呆けたその時、何かに気付いたティオとワジは振り向いた。
「機械音確認……!」
「何か来たみたいだね。」
ティオとワジが呟くと3体の武装した動く機械が現れた!
「こ、これは……!?」
「夏至祭の時にも放たれた人形兵器……!」
「マフィアのアジトにいたのと似たようなタイプみてぇだな!」
「とにかく撃退しましょう!」
そしてロイド達は戦闘を開始した!
「「……………」」
2体の人形兵器はロイド達を撃破対象にすると一斉に銃撃を放った。
「―――させません。」
しかしティオが展開したドーム型の簡易結界によって防がれ
「ハァァァァァ……!!」
さらに結界を展開し続けるティオが放ったクラフト―――魔眼を受けて動きを封じられた!
「……………」
一方残りの一体の人形兵器は接近戦を仕掛ける為にロイド達に近づいて行ったが
「行くわよ……!ヤアッ!!」
「行きますよ……!ファイアー!!」
エリィの導力銃で集中攻撃を行うクラフト―――三点バーストとノエルの一体の敵にサブマシンガンで集中攻撃するクラフト―――アサルトラッシュによってダメージを受けると共に怯んだ!
「十六夜―――”斬”!!」
そしてエリィとノエルの攻撃によって怯んだ人形兵器にはツーヤが剣技で真っ二つにし
「うおおおおお………ハアッ!!」
その時ロイドはクラフト―――レイジングスピンで魔眼によって動きが止められた敵達を引き寄せると共にダメージを与え
「ハァァァァ……オラァッ!!」
「オォォォォ……セイッ!!」
そこにランディがスタンハルバードで強烈な一撃で敵を怯ませるクラフト―――パワースマッシュで、ワジが闘気を込めた足を斧のように振り下ろすクラフト―――ブロードアックスで止めを刺して破壊した!
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