ストライクウィッチーズ 119航空隊【リメイク】
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欧州へ
訓練
今日はいろいろなことがありました。
朝早くの移動作業。
移動中に千香が隊列から逸れるし。
着いてそうそう坂本少佐に出くわすし。
なんか一日ついていなかったね。
でも、あの宮藤って子は何か言いたげな様子だったけど、いいのかな。
たぶん歳は同じくらいだよね。
同い年ならうれしいな。
私には先輩か後輩しかいなかったからね。
「私も本来なら中等教育を受けてる年齢なんだよね」
軍属である以上は仕方がないことだけど、私も普通の学校に行ってみたかったな。
もし私が学校に通っていたならどんな生徒だったのかな?
すごい手間のかかる生徒だったりして。
"コンコン"
「はぁーい」
私は時計を見ると、時計は二〇時三三分を指していた。
私たち119航空隊の就寝時間は二一時三〇分であるため、すでに就寝準備をしているはず。
となると、昼間にご挨拶に行った杉田艦長か坂本少佐かのどちらかだよね。
お二人とも私より軍属年数が遥かに長いから、失礼のないようにしないと。
「・・・あの、根岸さん」
ドアの前に立っていたのは予想すらしていなかった、宮藤さんだったのです。
私はドアを開けてからしばらく膠着していました。
あれ?私は宮藤さんと何か約束していましたっけ?
昼間に艦橋であったときに少し話をしたのは覚えていますが、約束事はしていなかったはずです。
ましてこんな時間に約束するなんて。
「実は相談があるんです」
「相談?」
「はい、、、」
軍人ではない宮藤さんの相談に私は答えられるの?
仮に学校での友人関係とか話されたときには絶対、対応できないよ!
「あの、私に魔法の使い方を教えてください!
いろいろ頭の中で考える理恵だが、宮藤の聞きに来たことは理恵や坂本さんといった魔女なら誰でも答えてあげられる内容だったのです。
「坂本さんから聞きました!根岸さんも治癒魔法が使えると」
治癒魔法。ある程度の傷なら治すことができるのだけど、ちからの入れ方によってはけが人を傷つけてしまうこともあるため、治癒魔法保持者は力のコントロールをできるようにならなくてはいけない。
宮藤は、当艦に乗る前に地元で負傷した友達の治癒を行ったものの、途中で疲れ、気を失ってしまったのだ。
「はぁ・・・宮藤さん、あなたはどおしてその力を使いたいのですか?」
力には使い道がある。
間違った方向に進んでしまえば、それは危険だ。
宮藤さんは何のために治癒魔法を使えるようになりたいの?
医者になりたいの?
それだけなら医学校に通えばいいはず。
いったい何が目的なの?
「私はみんなを守りたいんです!」
守りたい?
治癒魔法の使い道は怪我を負った人間に使うもののはず。
守ると言うから私たちみたいに空を駆け回り、ネウロイと戦った方がいいのではないかな?
それとも、彼女は全く違うなにかを求めているの?
それはそれで興味深いね。
「一人でも多くの人を助けたいんです!」
守りたいに助けたいか。
私の疑問は今はいいかな。
それよりもこの子の可能性にかけてみようかな。
「わかった。使い方は教えてあげる」
「ありがとうございま「その代わりに、私の部隊にも所属してもらうけどいい?」・・・」
さすがに無理かな?
でも私としてはその潜在能力を使ってほしい。
私たちとともに空を駆け回ってほしい。
そうすれば宮藤さんの願っている守りたいにもつながってくるはず。
「そう深く考えないでよ。世の中はgive&takeでしょ」
「・・・それは戦わないといけないことですか?」
「確かに戦うよ。でも、戦った分だけ人を守れるよ」
「そうですか・・・わかりました。私を根岸さんの部隊に入れてください」
「はいっ!ようこそ119航空隊、通称『はやぶさ』へ」
翌日 赤城 甲板
現在は六時四〇分。
通常の起床時刻よりも早いが、私は昨日の約束を果たすために甲板に来ています。
訓練ということなので私は二種軍装を着てここにいます。
えっ、一種軍装ですか?
あんな堅苦しそうなもの来たくありません。
「根岸さん!おはようございます」
「おはようございます」
昨日の張り切りようから見て、きっとじっとしていられなかったんでしょうね。
入隊直後の私と同じタイプだね。
「それじゃ、訓練しようか」
「はいっ!」
私のやる訓練は至ってシンプル。
治癒魔法を上達させるのなら魔法力のコントロールができるようにならないといけない。
魔法力のコントロールは、意識を一点に集中させる。
決して焦ることなく行うことでうまくコントロールできるようになるはず。
最も大事なのは試行回数だとおもう。
回数を重ねることによって、その分上達するはず。
まぁ、習うより慣れろってことだよ。
このあと一時間ほど訓練した後に私と宮藤さんは分かれた。
そして私たちはこの訓練をブリタニア到着の前日まで行った。
つまり、一か月間もの間も訓練をしてきたのだ。
その間に私は、扶桑海軍に電報を打ち、宮藤さんの入隊の件を伝えた。
上層部としてはそのまま連合軍第501航空隊へ所属させようとしたのだが、そこに待ったをかけさせてもらい、宮藤さんの意思を尊重することにしたのです。
そして私は赤城に宮藤さんを残し、ブリタニア軍部に着任報告を行うために発艦したのです。
着任報告は私だけで行うため、残りのみんなには先に隊舎のあるジャージー島に向かってもらっている。
私もそこに行くかというとそうではなく、ジャージー島近海警備は佐々木さんに任せて私は501航空団とともに活動することとなる。
しきたりかなんかは知らないが、そういう決まりになっているらしい。
「失礼します」
チャーチル首相とマロニー大将のいる部屋はかなり広く、部屋の両サイドに警備の兵士がいることかとから、かなり警戒されていることが簡単に想像できた。
「本日付でジャージー島に配属されました、扶桑皇国海軍第24航空戦隊第105航空隊隊長根岸理恵少佐です。よろしくお願いいたします」
着任である以上、余計なことは不要と考え、すぐさま退室しようとしたところ、
「待ちなさい」
と、マロニー大将より呼び止められたのだった。
嫌な予感はしていたんだけどね。
私を見るなり、薄気味悪く笑っているあの人は要注意だよね。
「何か御用ですか?」
「あとで私の自室に来なさい」
はぁ~、嫌な予感がしないけど、行かなければいけないのかな?
このあと私はマロニー大将の自室に赴き、話を聞かされたのです。
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