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戦国異伝

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第二百五十四話 決着その十一

「葬り弔うことじゃな」
「確かにそうですが」
「それもまた武士です」
「だからですか」
「この者達も」
「葬ってやるのじゃ」
 信長はまた言った。
「そしてそのうえでじゃ」
「安土に戻りますか」
「この者達を葬り弔ってから」
「そうしてな」
 信長はさらに言った。
「それが終わってから安土に人をやるぞ」
「ですな、皆が待っています」
 今度は信忠が応えた。
「それでは」
「帰蝶が待っておるわ」
 信長は笑って言った。
「わしの帰りをな」
「左様ですな」
「そしてじゃ」
 信長は長政に顔を向けて彼に自分から言った。
「御主もじゃ」
「市ですか」
「そして娘が三人共来ておろう」
「はい、安土に」
 嫡子の万福丸以外はというのだ。
「倅は城を守っていますが」
「そうであったな」
「あ奴も近々元服しますので」
「ではな」
「はい、その時は宜しくお願いします」
 元服の儀と名付けをというのだ。
「是非」
「ではな、安土に知らせようぞ」
 人をやってというのだ。
「我等が勝ったことをな」
「魔界衆の者達を葬った後で」
「今すぐでもよいか」 
 ここでこうも言った信長だった。
「そして安土に知らせるか」
「その方がよいやも知れませぬな」
「ではじゃ」
「今すぐに」
「人をやって伝えよう」
 その安土にというのだ。
「これからな」
「それでは」
 こうしてだ、陸にも伝えられてだ。
 海と陸から勝鬨があがった、そして。
 その後で安土に人をやりだ、信長は執念に満ちた顔でこと切れている闇に対してこうしたことを言ったのだった。
「御主も眠るのじゃ」
「この者もですか」
「その様に言われますか」
「怨みに満ちた者はせめてじゃ」 
 共にいる幸村と兼続に言う。
「死ねばな」
「その時はですな」
「眠れと」
「そして怨みなぞ忘れることじゃ」
 眠るそのことによってというのだ。
「そうあるべきじゃ、だからな」
「この者もですな」
「眠るべきですか」
「そうじゃ、怨みなぞいらぬ」
「この天下には」
「そうしたものは」
「いらぬ、死ねばせめてな」
 それこそというのだ。 
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