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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第138話

ロイド達がビルに戻ると既にルファディエル達がレーヴェと共に戻って来ていた。





同日、21:20――――





~特務支援課~





「えへへ、ティオだー!ねえねえ、ツァイト!ティオが戻ってきたよー!」

嬉しそうな表情で抱きついているキーアはツァイトに言い

「ウォン。」

キーアの言葉に答えるかのようにツァイトは吠えた。



「ただいまです。キーア、ツァイト。セルゲイ課長。ただいま戻りました。」

「ああ、よく戻った。フッ、いきなり仲間のピンチを救ったみたいだな?」

「ええ、本当に助かりました。」

「あそこでティオちゃんが来てくれなかったらどうなっていたことか……」

「うんうん、ゾッとしますね!」

「……今回ばかりは礼を言わざるを得ないようだな。」

「その、別に大した事は。」

セルゲイやロイド達から感心や感謝の言葉をかけられたティオは戸惑った。



「はは、照れるなって。」

「まあ実際。いいタイミングで戻ってきてくれたと思うよ。あんなハッカーが絡んできたら僕達だけじゃお手上げだしね。」

「?そう言えばどうしてレーヴェさんがこの場にいるのですか?」

「あ、ティオちゃんは知らなかったわね。実は――――」

レーヴェの存在に眉を顰めたティオにエリィはロイド達と共にプリネ達が”特別実習”の形で特務支援課に所属している事を説明した。



「そんな事があったんですか……プリネ姫とツーヤさんの学生服姿……ちょっと興味がありますね。」

説明を聞き終えたティオは目を丸くした後静かな笑みを浮かべた。



「―――課長、ダドリーさん、それと局長。明日の通商会議ですが……俺達もオルキスタワーの警備に参加させてもらえませんか?」

「ほう……?」

「あら……」

ロイドの提案を聞いたヴァイスは興味深そうな表情をし、ルファディエルは意外そうな表情でロイドを見つめ

「ロイド、それは……」

「おいおい。いきなりどうしたんだ?」

エリィは驚き、ランディは戸惑った表情で尋ねた。



「ふむ……」

「……会場の警備体制は万全だと言ったはずだが?」

「何か不安材料が出てきたのですか?」

一方セルゲイは考え込み、ダドリーとアルは尋ねた。

「はい。アル警視の仰る通り、今日のハッカーはタワーの図面らしきものを何処かから入手していました。”銀”の言葉ではありませんが何か仕掛けてくる可能性がある―――いえ、むしろその情報を”誰か”に渡した可能性が高いと思います。」

「誰か……」

「一体誰なのかしら?」

ロイドの推測を聞いたノエルは考え込み、エルファティシアは尋ねた。



「”赤い星座”か”黒月”、またはエレボニア政府かカルバード政府……どれもありえそうだけど、より現実味のありそうな連中がいる。2大国のテロリストたちさ。」

「クローディア殿下とオリヴァルト皇子から聞いた……」

「それぞれの国のトップを狙う2グループのテロリストどもか。」

ロイドの説明を聞いたエリィとランディは表情を厳しくし

「確かにビルの構成図があれば死角を狙えるかもしれませんね……」

(ほう?)

ノエルは考え込み、ロイドの推測を聞いたレーヴェは感心した様子で見守っていた。



「もちろん、偽装情報の可能性もあるでしょうが……やはり明日、オルキスタワーで何かが起きる可能性は高くなったと言えると思います。タワー周辺の警備でもいいので参加させてもらえないでしょうか?」

「クク、なるほどな。ダドリー、どうだ?」

「俺はいいと思うぞ?」

「ふう……まあ、いいでしょう。―――明日の正午ちょうどにオルキスタワー1Fに来るがいい。予備の警備要員として通商会議の現場に入れてやる。」

セルゲイとヴァイスに言われたダドリーは溜息を吐いた後ロイド達に言った。



「え……」

「おっと、会場の方かよ。」

「へえ……気前がいいね?」

「フフ、昔の貴方とは大違いね。」

ダドリーの話を聞いたロイドとランディは驚き、ワジとルファディエルは静かな笑みを浮かべた。



「カン違いするな。あくまで予備の要員としてだ。市長暗殺未遂事件でも偶然とはいえ役には立ったし、導力ネットに詳しい人間もいる。万が一の保険程度だからせいぜい弁えておくがいい。」

「りょ、了解しました!」

「謹んで拝命します!」

「フフ、みんな頑張りなさいね。」

「え………」

「エルファティシアさん達は参加しないのですか?」

エルファティシアの言葉を聞いたエリィは驚き、ティオは尋ねた。



「ええ。私やヴァイスハイト達は貴方達とは別行動よ。」

「―――それと明日は俺とプリネ皇女はツェリンダー局長達と共に行動する事になっている。その事を報告する為に俺はここに来た。」

「プリネさんとレーヴェさんが局長達とですか……!?」

エルファティシアと共に答えたレーヴェの説明を聞いたロイドは驚き

「やはり”特別実習”とやらでプリネ姫達がクロスベルに来たのは局長達も絡んでいましたか……一体何をするつもりですか、局長。バニングスからルファディエルの策の話の件を聞きましたが、まさか本当に実行するおつもりなのですか?」

ダドリーは真剣な表情で呟いた後ヴァイスを見つめて尋ねた。



「ああ。―――既にギュランドロス達やセリカ達にも話を通し、それぞれから了解の意を取れてる。これで明日は完璧な布陣で挑める。―――ロイド、感謝するぞ。これほどまでの策略家と共にいる事に。」

「は、はあ……?」

「ええっ!?」

「や、やっぱり局長の話に乗ったんですか、司令~………」

ダドリーの言葉に頷いた後自分を見つめて言ったヴァイスの言葉にロイドは戸惑い、エリィは驚き、ノエルは表情を引き攣らせた後溜息を吐き

「え……?セリカさん達……?あの、一体どういう話になっているんですか??」

事情が全くわからないティオは不思議そうな表情をした。



「フフ、後でロイド達に説明してもらいなさい。……そうそう、ティオ。せっかく帰ってきたのなら、ちょうどいいわ。明日、私や局長は別行動をするから、その時に将軍とラテンニールの力を貸してもらってもいいかしら?後、エリィはメヒーシャを、ランディはエルンストの力を貸してもらっていいかしら?それとロイドはギレゼルを。」

口元に笑みを浮かべたルファディエルがティオを見つめて言った後エリィやランディ、ロイドに視線を向けた。

「は、はあ?別に構いませんが……」

「……わかった。」

「……わかりました。」

「俺はルファディエル姐さんを信じていますので存分にこき使ってやってください!」

ルファディエルの言葉を聞いたティオは戸惑いながら頷き、ロイドとエリィは静かな表情で頷き、ランディは真剣な表情で言った。



「――――ルファディエル。貴様が考えたとかいう策で本当にあの”赤い星座”と”黒月”をこのクロスベルから叩き出せるのか?プリネ姫達も関わっている所を見るとどうやらメンフィルもお前の策とやらに関わっているようだが。」

「フフ、鋭いわね。貴方の推理通り、今回の策……メンフィルの協力も取り付けているわ。後は彼らが罠にかかるのを待つだけよ。」

ダドリーに尋ねられたルファディエルは微笑みながら頷いた。



「ええっ!?」

「メ、メンフィルの協力を取り付けたんですか!?い、一体どうやって……」

「さすがルファディエルさんッス!」

「フフ、一体どんな暗躍をしているのか非常に気になるねぇ?」

「え………一体何がどうなっているんですか……!?」

ルファディエルの答えを聞いたロイドとノエルは驚き、ランディは嬉しそうな表情で声を上げ、ワジは興味ありげな表情をし、ティオは混乱し

「……あの、レーヴェさん。メンフィルはどうして協力してくれるのですか……?」

考え込んでいたエリィはレーヴェに尋ねた。



「――今は明確な答えは教えられないが、一つだけ言っておく。今回の策を考えた”叡智”の策はクロスベル、メンフィルの双方にとって”利益”がある。だからこそメンフィルは”叡智”達の協力要請に応えただけだ。」

「ク、クロスベルとメンフィル双方にとって”利益”がある、ですか……?」

レーヴェの答えを聞いたエリィは戸惑い

「……………―――”ラギール商会”。”赤い星座”と”黒月”がいなくなることは確かにクロスベルにとっても利益になりますが、一番得をするのは彼らの対抗組織がいなくなることはメンフィルにとっても、”利益”になる。―――違いますか?」

考え込んだ後ある事に気付いたロイドは真剣な表情でレーヴェに尋ねた。



「あ……!」

「た、確かによく考えれば”赤い星座”と”黒月”がいなくなれば、一番得をするのは”ラギール商会”ですよね……?」

ロイドの推測を聞いたエリィは目を見開き、ノエルは戸惑いの表情で呟き

「そうなると……―――ルファディエル。黒幕であるお前はラギール商会……いや、メンフィルや局長達を利用してどうやって”赤い星座”と”黒月”をクロスベルから叩き出すつもりだ?まさかとは思うが違法行為をしていないだろうな?」

ある事に気付いたダドリーは真剣な表情でルファディエルを見つめて尋ねた。



「黒幕だなんて人聞きが悪いわね。私は”最善の方法”を取っただけよ?それに私が考えた策は二大国の思惑に対する”対抗策”だから、クロスベルを守る事にもなる上”ギリギリ違法にはならない”わ。何か問題があるかしら?」

ダドリーの質問に呆れた後微笑みを浮かべて言ったルファディエルの答えを聞いたロイド達はルファディエルが今までにないとんでもない事を考えている事を察して冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

(フッ、下手をすれば”白面”をも超える恐ろしい黒幕かもしれんな。)

レーヴェは静かな笑みを浮かべてルファディエルを見つめ

「全く、こんな裏組織の参謀と言ってもおかしくない腹黒い女が警察に入ったのが今でも不思議なくらいだ……局長。当日、私達に出来る事は何かありませんか?」

ダドリーは呆れた表情で呟いた後ヴァイスに視線を向けて尋ねた。

「ん?」

「私達がどんな行動をするのか尋ねなくていいのですか?」

尋ねられたヴァイスは目を丸くし、アルは意外そうな表情で尋ねた。

「……尋ねた所で誤魔化される事はわかっていますし、止めた所で貴方達は行動を止めないのは今までの経験でわかりきっていますので。それに”赤い星座”と”黒月”を纏めて叩き出せる事はこちらとしても本望です。」

「フッ……わかってきたじゃないか。なら、そうだな……―――当日は爆発物処理班をオルキスタワー内に待機させておけ。」

「ええっ!?」

「ば、爆発物処理班をですか!?」

「一体何故彼らを……――まさか!オルキスタワーにテロリスト達が爆弾を仕掛けると予測しているのですか!?」

ヴァイスの指示を聞いたロイドとエリィは驚き、ダドリーは戸惑いの表情でヴァイスを見つめた後ある事に気付いて血相を変えた。



「いえ、私が予測しているのは爆弾を”仕掛ける”のではなく、”持ってくる”と睨んでいるわ。」

「”仕掛ける”のではなく、”持ってくる”、ですか?」

「ルファ姉、どういう事なんだ?」

ルファディエルの推測を聞いたノエルは戸惑い、ロイドは尋ねた。



「―――私は明日の”通商会議”の間にテロリスト達が仕掛けてくると思っているわ。」

「ええっ!?」

「馬鹿なっ!?タワー内、近辺は勿論そうだが、会議中のVIP達に対する警備は完璧の布陣だぞ!?」

「まさか現在予定している警備の配置に隙があるのか?」

ルファディエルの推測を聞いたロイドは驚き、ダドリーは信じられない表情で声を上げ、セルゲイは真剣な表情で尋ねた。



「何を寝ぼけた事を言っているんだ?あるだろうが、空を飛ぶ手段を持っていれば警備の隙をつかなくても堂々とオルキスタワーに入って来れる場所が。」

「空を飛ぶ手段―――飛行艇による屋上からの侵入か!」

「た、確かにクロスベルの警備隊には飛行艇はありませんから、空の守りに関してはがら空きですよね……」

ヴァイスの問いかけを聞いて何かを察したランディは声を上げ、ノエルは不安そうな表情をした。



「いや……そうならないように自治州領空に侵入する不審な飛行船を捕捉するための対空レーダーが設置してあるから空からの侵入等不可能だ。」

ノエルの不安を否定するかのようにダドリーは真剣な表情で答えたが

「とは言っても破壊されたり、ハッキングされては使い物にならなくなりますけどね。」

「!!」

「あ……」

「た、確かに対空レーダーが設置してある施設にハッキングをすればレーダーの設定等も変更できますから、可能ですね……」

「なるほど。もしさっきのハッカーがハッキングをすれば、対空レーダーの施設も無力化されるね。」

アルの推測を聞いて血相を変え、エリィは呆けた表情になり、ティオは複雑そうな表情で答え、ティオの話を聞いたワジは真剣な表情になった。



「クッ、こうしてはいられん!すぐにでも屋上や対空レーダーの施設の警備の強化やハッキング対策をしなくては……!」

そしてダドリーは真剣な表情で叫んで行動を開始しようとしたが

「止めとけ。ハッキング対策を万全にしていたハッカーを相手にハッキングをする相手に対するハッキング対策等現状では不可能の上、飛行艇に搭載されてある導力砲による遠距離砲撃かもしくは狙撃でもされたら無駄な死傷者が出る上、警察、警備隊の歩兵武装では飛行艇を撃ち落す等不可能だ。飛行艇に乗った奴等がタワー内に着陸後侵入して来れば、奴等の攻撃手段は白兵戦に強いられる為、撃退は可能だ。」

ヴァイスが制止した後制止する説明をした。



「なっ!?テロリスト達をタワー内にわざと侵入させるんですか!?」

ヴァイスの考えている通常なら信じられない作戦を聞いたダドリーは声を上げ

「……一理あるな。”通商会議”の場である会議室の窓ガラスなら砲撃にも耐えられる特注のガラスだから飛行艇による砲撃や銃撃は防げるしタワー内の通路なら、即席のバリケードを築けばテロリスト達の侵攻を食い止めてVIP達の避難時間を稼ぐ事は可能だな。」

「警備隊、警察の現状の装備を考えれば確かに”最善の策”と言ってもおかしくないッスね。」

セルゲイは真剣な表情で推測し、ランディは静かな表情で頷いた。



「そう言えばルファ姉。テロリスト達が爆弾を”持ってくる”推測についての説明はまだ聞いていないけど……」

「……もしテロリスト達が自分達の手でオズボーン宰相もしくはロックスミス大統領を討ち取る事が不可能と判断した場合、テロリスト達が乗ってきた飛行艇に仕掛けてある爆弾を爆発させてビルごと葬るつもりだと思っているわ。」

「!!」

「確かにテロリストみたいな狂人の連中ならやりかねないな……しかし、そうなると奴等はどこに逃亡……――――なるほど。タワーに繋がっているジオフロントからの脱出か。」

ロイドの質問に答えたルファディエルの説明を聞いたダドリーは顔色を変え、目を細めて呟いたセルゲイはある事を推測して納得した様子で頷いた。



「なるほどね……って事は局長達が地下に逃亡して、地上を目指すテロリスト達を迎え撃つって寸法かな?」

「ほう?中々鋭いな、ワジ。」

「ええっ!?」

「ま、まさかルファ姉、テロリスト達の行動をそこまで推測して、今回の策を考えたのか……!?」

ワジの推測に感心したヴァイスの答えを聞いたエリィは驚き、ロイドは信じられない表情でルファディエルを見つめ

「ええ、そうよ。ここまでわかれば、私達の明日の行動もわかると思うけど私達はタワーと繋がっているジオフロントでテロリスト達を待ち構えているわ。」

「………………………」

「クク、相変わらず恐ろしい女だ。ルバーチェどころか、ある意味”教団”よりも性質(たち)の悪いテロリスト達の行動すらもお前の(てのひら)の上かよ。ガイの奴も、とんでもない女を見つけてきたものだな……」

「さすがルファディエル姐さんッスね!」

「御見逸れしました……」

「えへへ、よくわからないけど、ルファディエルって、すごいねー!」

ルファディエルの答えを聞いたダドリーは驚きのあまり口をパクパクし、セルゲイは口元に笑みを浮かべ、ランディは嬉しそうな表情で声を上げ、ティオは驚きの表情で呟き、キーアは無邪気な笑顔を浮かべた。



「そう言えばルファ姉。肝心の”赤い星座”と”黒月”をクロスベルから追い出す方法をまだ聞いてないけど……」

「先程聞かせて頂いたテロリスト達の行動の予測とは関係ないと思われるのですが……」

その時ある事を思い出したロイドとエリィは不思議そうな表情で尋ねたが

「フッ、それに関しては当日にわかる。」

「ええ。二大国の政府すらもその二つの組織の逮捕を認めるような出来事が必ず起こるから安心しなさい。それと今回の作戦、くれぐれも二大国の関係者は勿論そうだけど、誰にも話さないようにね。」

ヴァイスとルファディエルはそれぞれ答えを誤魔化した。



そしてロイド達は明日に備えて身体を休めた。



8月31日――――



同日、8:00――――



~特務支援課~



翌朝ツーヤと合流したロイド達はティオが端末を操作して支援要請を確認した。

「……やっぱり幾つか新しいのが来ているか。うーん、どれも結構気にはなるけど……」

「時間に余裕があれば立ち寄ってみましょう。午前中だったら自由に動けそうだし。」

「車を使えば郊外にも移動できそうですね。」

「車ですか……ちょっと楽しみですね。何でもZCFが開発した導力車だとか?」

ノエルの言葉を聞いたティオは静かな笑みを浮かべて尋ねた。



「おお、一課の連中も見返せそうな新型だぜ。」

「ロイドさん達の話ではティータちゃんとの交流を通じて、ラッセル博士に直接交渉して手に入れたそうだよ。」

ティオの質問にランディは嬉しそうな表情で頷き、ツーヤが説明を捕捉した。



「ティータさんですか。なるほど……”影の国”でできた縁を存分に活用しているのですね、ヴァイスさんは。フフ、さすがは元・皇帝と言った所ですか……」

ツーヤの話を聞いたティオは目を丸くして呟いた後、静かな笑みを浮かべて言った。

「え……」

「もしかしてティオちゃんはそのラッセル博士のお孫さんという方を知っているの?」

ティオの言葉を聞いたエリィは呆け、ノエルは驚きの表情で尋ねた。



「はい。ティータさんとも”影の国”で出会い、共に戦った仲間です。……私やレンさんと年齢が近く、色々と話があい、その事が切っ掛けで仲良くなりまして。今でも文通や導力通信で連絡を取り合って、交流があるんです。」

「ハハ、またもや”影の国”とやらの縁か。」

そしてティオの答えを聞いたランディは苦笑していた。

「ティオ、昨日着いたばかりなのに朝早くから動いて大丈夫か?何だったら午前中はゆっくりしててくれても―――」

一方ロイドはある事を提案しかけたが

「ジロッ………」

「スミマセン、つい。」

ジト目のティオに睨まれ、謝罪した。



「……まったく。」

「はは、何だかティオすけが戻ってきたって感じだな。」

「ふふ……そうね。やっぱり端末前にはティオちゃんがいる方がしっくりくる感じだし。」

ロイドの様子を見て溜息を吐いたティオを見たランディとエリィは口元に笑みを浮かべたり、微笑んでいたりした。



「ふふっ、やっぱり皆さん、息が合ってますよね。とりあえず………これで後はセティちゃん達が帰ってくれば、新生・特務支援課のフルメンバーになりますね。」

「フフ、リーダーとしてなかなか感慨深いんじゃない?」

「ああ……そうだな。―――とにかくティオ。改めてよろしく頼むよ。それと大変な時にわざわざ戻ってきてくれてありがとう。」

「はい、こちらこそ改めてよろしくお願いします。」

「はは、何だかテンション、上がってきちまったな。」

「クク……調子が出て何よりだ。ま、その元気がありゃあ通商会議の空気にも呑まれることはねぇだろ。お前達のやり方で警備の役に立ってくるといい。」

「了解です。」

「課長の方はこれから警察本部で待機でしたか?」

セルゲイの言葉にロイドは頷き、エリィは尋ねた。



「ああ、各方面との折衝を押し付けられちまったからな。バックアップには回るがオルキスタワーの警備には直接参加はしないだろう。ただ、何かあったらお前達にも必ず連絡する。」

「……助かります。」

「よろしくお願いします!」

「おお、それじゃあ先に行くぞ。」

そしてセルゲイはロイド達から去って行った。



「それにしても……局長やルファ姉達の秘密行動がテロリスト達の襲撃を防ぐ事はわかったけど、どうやって”赤い星座”と”黒月”を逮捕する口実を作るつもりなんだ?」

「ツーヤさんは何も聞いていないのかしら?プリネさんとレーヴェさんがルファディエルさん達と一緒にジオフロントで待機している事を考えると、知っているとしか思えないのだけど……」

ロイドが考え込んでいる中、エリィは尋ねた。



「ええ、その事に関して皆さんに話す事はできませんが具体的な内容も全て知っていますよ。―――唯一つ、言えるとしたら今回の作戦によって、エレボニア、カルバードの二大国はクロスベルに干渉しにくくなりますね。」

「ええっ!?」

「フフ、一体どんなえげつない作戦を考えているんだろうね?」

ツーヤの推測を聞いたノエルは驚き、ワジは興味ありげな表情をし

「……まあ、”(イン)”をも嵌めたという”あの”ルファディエルさんの事ですからね。”黒月”や”赤い星座”をまんまと罠に嵌めて、ラグタス達で袋叩きしようとしているんじゃないですか?」

「うっ……」

「た、確かにまるで強敵と戦うような布陣で挑むようだし……」

「ハハ、確かにありえそうだな。……さてと!俺達も行くとするか!」

静かな笑みを浮かべて呟いたティオの言葉を聞いたロイドとエリィは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ランディは苦笑しながら頷いた後提案した。



その後ロイド達は外に出てさまざまな支援要請を終わらせる為に行動を開始した。



一方その頃、ガレリア要塞にいるリィン達も行動を開始していた。


 
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