英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~それぞれの為すべき事~
~工匠都市ユイドラ~
「これで………最後だっ!!」
ウィルが魔物を倒した頃には、周囲の仲間達も街内や街の上空にいた全ての魔物達を倒し終えた所だった。
「なんとか護りきりましたね、ウィル。」
そこにセラウィがウィルに近付いて来た。
「ああ。今度はこちらから攻める番だね。………うん?」
セラウィに答えたウィルは自分に近付いて来た気配に気づき、振り返った。するとそこには弓矢を持ったエルフ達がいた。
「到着が遅くなり、申し訳ございません、ウィルフレド殿。」
「長!」
エルフ達の中から長を見つけたセラウィは声を上げた。
「お兄様、みんなも今、教会から戻って来ました!」
そこに水那が嬉しそうな表情で教会の手伝いに行っていた水精達が戻って来た事を報告した。
「………どうやら俺達が最後か。」
「あら。早速、父様にいい所を見せようと思っていたのに、もう終わりかしら?」
「リウイ。…………ってその横にいるの誰??」
リウイが戻って来た事に気付いたカーリアンはリウイの横にいる見覚えのない睡魔――セオビットを見て尋ねた。
「我が名はセオビット!父様の新たな僕よ。」
「えっ………!?それじゃあ、お父様の使い魔なんですか!?あれ………でも確かその名前、さっきその名前が裏門を守っている方々を苦しめ、お父様を呼んでいたって聞きましたけど………」
セオビットの名乗りを聞いたプリネは驚いてセオビットを見て尋ねた。
「ええ。さっきまで裏門を守っていた人間達を苦しめた存在よ。………私の僕にするつもりが私がこの方の僕になっちゃったわ♪」
「え、え~と………とりあえず、君はもう敵じゃないんだね?」
悪びれも無く言うセオビットをウィルは冷や汗をかいた後、尋ねた。
「ふふっ………私の敵は父様に仇名す者達だけよ。」
「父様~!?リウイ。貴方、この娘に一体何をしたの?」
「………俺が知るか。こいつが勝手に呼んでいるだけだ。」
セオビットのリウイに対する呼び方に声を上げて驚いたカーリアンはリウイに尋ねたが、リウイは眉を顰めて自分も知らない事を答えた。
「うふふ………あの様子だとあの女の人、パパに惚れているみたいね♪さすがパパね♪あの人もいつかレンのママの一人になるのかしら♪」
「お、お父様………まだ、側室を増やすんですか………?ハァ……喜んでいいのやら、悪いのやら………」
レンはセオビットのリウイを見る目を見て、悪戯が成功したような笑みを浮かべ、プリネは呆れた後、溜息を吐いた。
「…………………」
一方、イリーナはその様子を無表情で見ていた。
「イ、イリーナさん?何をそんなに怒っているんですか?今のイリーナさん、どこか怖いです……」
「え!?な、何でもないのよ!?ツーヤちゃんの気のせいだから!」
どことなく怒っている風のイリーナの様子を見たツーヤは怖がり、ツーヤに尋ねられたイリーナは慌てて弁明をした。
(もう………お父様ったら………よりにもよってイリーナさんが見ている目の前で他の女性と親しくするのはまずいですよ………)
イリーナの様子を見たプリネは冷や汗をかいていた。
「ウィル。街内の魔物達は殲滅した。決着をつけるとしたら、今がその時だぞ。」
「うん、わかっている。………でも、ディアーネはあの大群の奥にいるからな………どうやって、あそこに辿りつこうか……?」
ユエラに言われたウィルは頷いた後、考えた。
「フン……何のために我がいると思っている。」
そこにガプタールが降り立った。
「ガプタール!確かに君の協力があれば行けると思うけど………ディアーネの所まで頼めるかい?」
降り立ったガプタールを見て、ウィルはガプタールに乗って、敵陣を越えてディアーネの所まで行く事を思い付き、ガプタールに尋ねた。
「我を誰だと思っている?そのぐらいの事、造作もない。戦いを終結するためにもさっさと乗れ。」
「わかった………リウイ。街の防衛は君達に任せていいかい?」
ガプタールの答えを聞いたウィルはリウイに尋ねた。
「ああ。本当なら俺も行くべきだが、街の防衛も重要だからな。全力でユイドラの民達を護ろう。」
「ま、お姉さん達に任せなさい♪」
「誇り高き飛天魔が味方にいればどれほど心強いか…………ユイドラの者達にたっぷり見せてあげるわ。」
「皆様にアーライナのご加護を………」
リウイ、カーリアン、そしてウィル達の所にエリザスレイン達と共に降りて来たファーミシルスは力強い返事をし、ペテレーネはその場で祈り
「うふふ♪まだまだお客様が一杯いるし、”殲滅天使”の名にかけて、全て殲滅してあげるわ♪」
「キャハッ♪エヴリーヌもまだまだ遊び足りないしね♪ここは任せといて♪」
「ふふっ………父様に私の力を見せてあげる絶好の機会がこんなにも早く来るなんてね……」
レンやウィル達の所にリフィアやフォーチュラ、エミリッタと共に戻って来たエヴリーヌ、そして新たな仲間であるセオビットは凶悪な笑顔で答え
「まだまだ未熟者ですが民を護るため、全力で行かせて頂きます。」
「ご主人様の”パートナー”として………共にこの街の人達を護って見せます!」
「ツーヤちゃんと同じく、私もプリネ様達と共に最後まで戦わせて頂きます!」
プリネ、ツーヤ、イリーナも決意を持った表情で答え
「ボク達がいるんだから、大丈夫だよ!」
「ご主人様とイリーナ様が夢見る世界を作るためにも………頑張ります………!」
ペルル、マーリオンもそれぞれ戦う事を答え
「”軍神”に仕える者として………この命果てるまで、戦い続けるわ。」
「この私がいる限り、ロカ様を殺させはしません。」
ロカは凛とした表情で答え、イルザーブも続くように答え
「ここは私達が抑えよう。セラウィ。お前達が目指す”道”のためにも、早く決着をつけて来るといい。」
「…………貴方達にルリエンのご加護を………」
フォーチュラは心強い言葉でセラウィ達に行くよう、促し、エルフの長はウィル達の無事を祈った。
「みんな………ありがとう!よし、じゃあ行こうか!」
「はい。」
「はいは~い!この戦いが終わったらご褒美として精気を分けてね、ウィル!」
「はう~………あんなにはっきり言えるなんて、シャルティさんが羨ましいです。………お兄様達は私が絶対に護って見せます!ですから………あの………シャルティさんやセラウィさんの後でいいので私も………あう。………何を言っているの私!!」
「アトもご主人様達のために一杯頑張るぞ~!」
「ほらほら!ユエラも乗って乗って~!」
「う…………やっぱり乗らないといけないのか………」
ウィルの言葉にセラウィやシャルティの言葉を聞き照れた水那、アトは頷き、エミリッタはガプタールに乗るのを渋っているユエラを乗るように促し、ユエラと共に乗った。
「これが最後の戦いか………燃えて来たぞ~!」
「もう、クレールったら…………少しはウィルを見習って落ちついてくれないのかしら?」
クレアンヌは意気込んでいるクレールに呆れながら、共にガプタールに乗り
「フフ…………まるで”破熱の森河”に行く時を思い出しますね………」
「そうね。まさか、またこれだけの種族が集まって戦う時が来るとは思わなかったわ。」
「フフ………相変わらず、わらわの退屈を紛らわせる興味深い男よ。………異世界に行っている奴もこの戦いの事を後で知ったら、参加できなかった事にさぞ悔しがるだろうな……」
「何でもいい………面倒なのは………さっさと終わらせる………」
「精霊王女たるこのわたくしがいるのですから、とっとと終わらせますわよ!」
「ミレーヌは遊べれば、何でもいいさっ!」
メロディアーナの呟きにそれぞれ答えたエリザスレイン、狐伯蓮、ラグスムエナ、ミレーヌもウィル達と共にガプタールに乗った。
「余も共に行くぞ、ウィル!ディアーネに余の力を思い知らさなければならないしな!」
そしてリフィアもガプタールに乗った。
「………よし。じゃあ、行って来るよ、セティ、シャマーラ、エリナ。」
「3人共無理はしないで下さいね。」
「自分の力を過信し過ぎていては死に繋がります。…………決して己の力に過信せず、3人で協力して戦って下さい。………母としてあなた達には傷ついて欲しくありませんし。」
「メロディアーナは心配性すぎ~。………ま、ほどほどに頑張りなさい!」
ガプタールに乗り込んだウィル、セラウィ、メロディアーナ、シャルティは娘達に声をかけた。
「うん!母さん達も頑張って!」
「みなさん………お父さん達の事をよろしくお願いします。」
「………父様達や皆様が無事に戻って来るのを心より祈っています。」
声をかけられた娘達もそれぞれ励ましや応援の言葉をかけた。
「………では、そろそろ出陣るぞ。振り落とされぬよう、しっかり捕まっているがいい。」
そしてガプタールはウィル達を乗せて、空へと舞い上がった。
「敵陣の奥まで頼む、ガプタール!」
「うむ。……………行くぞ!!」
そしてガプタールはウィル達を乗せて、敵陣の奥深くへとすざましい速さで向かった…………!
ウィル達が敵陣の深くへと向かうと同時にリウイ達やユイドラ兵や工匠達、そしてさまざまな種族達はついに進撃を始めた…………!
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