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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第18話

旧校舎に到着したエステル達はドアに挟まっているカードを見つけて、カードに書かれている意味深な言葉を推理して探索しているとさらにほかのカードがあり、カードをどんどん探して行くと最後には地下への階段を見つけ、エステル達は地下に降りて、進んだ。



~旧校舎・地下~



エステル達が最初の部屋を抜けるといきなり霧のような魔獣が複数現れた!

「えっ……」

「チッ……いきなりかよ!」

「ドロシーさんは下がって!」

「了解~!ミントちゃん達も気をつけてね~!」

そしてエステル達は戦闘を開始した!

「オラァッ!!」

アガットは先制攻撃をしたが、攻撃はすり抜けた。

「何!?チッ。物理は聞きにくいタイプか。」

自分の攻撃がすり抜けた事に驚いたアガットだったが、すぐに状況を理解して舌打ちをした。

「だったら魔法攻撃よ!光よ、槍と化して、敵を貫け!……光槍!!」

エステルが魔術を放つと、魔術によってできた聖なる槍が魔獣の一匹を貫き、そして爆散させた!

「………冷気の雨よ、降りそそげ!………ダイヤモンドダスト!!」

「……開け、黄泉の門!ヘル・ゲート!!」

そしてエステルに続くようにクローゼやオリビエがアーツを放って、ダメージを与えた!

「えいっ!!」

そしてミントがクラフト――ピアスドライブで一匹に止めをさした。

「へっ!?なんでミントの剣はあんなあっさり通ったのかしら?」

(攻撃が通って、当然よ。)

(ニル?ミントの攻撃が効いた理由がわかるの??)

ミントの物理攻撃が効いたことに驚いているエステルにニルの念話がエステルの頭の中に響いて、エステルはニルに尋ねた。

(ミントの持っている剣はエステルも知っていると思うけど、ニル達の世界で作られた魔術効果を秘めた剣よ。加えて”アーナトス”は光――神聖属性の秘印術が込められた剣。相手が霧のような不定形には効果が倍増する上、必ず命中させる効果を持っているわ。)

(そっか。………あれ?じゃあ、なんでアガットの剣はすり抜けたの??アガットの剣もミントが持っている剣と同じなのに………)

ニルの説明に納得しかけたエステルだったが、ある事に気付いて首を傾げた。

(”アーナトス”が他の武器と違って、普段から魔術効果を発しているのもそうだけど、あなたやミントと違って、あの青年は魔力や闘気を流し込んでいる訳ではないからね。それだとただの物理攻撃になってしまうわ。)

(え………じゃあ、魔力や闘気とか込めたら、アガットやクロ―ゼもあたし達みたいに魔術効果を込めた攻撃ができるの!?)

ニルの説明に驚いたエステルは尋ねた。



(さすがにあなたの魔術を込めた技みたいな威力は出せないけど、少なくとも魔力か闘気………どちらかを込めれば武器に込められている属性を呼び起こせるわ。)

「そっか、ありがとう、ニル!」

「おい、エステル!さっきからそこに突っ立ているようだが、何をしているんだ!戦闘中だぞ!!」

エステルがニルにお礼を言ったその時、ニルと念話をしていた事がわからないアガットはエステルを注意した。

「ごめん、アガット!ミントの剣が簡単に通った事をニルに聞いていたんだ!」

「ハァ?誰だそれ??」

「もしかして………念話で聞いていたんですか!?」

ニルの存在を知らないアガットは首を傾げ、クロ―ゼは察しがついて尋ねた。

「うん。ミントの剣には霧を振り払う光の魔術が込められているからああいった魔獣にも効くみたいだって!」

「ミントの剣、そんな効果があったんだ!」

「フム。ならばミント君をサポートする形でいいかな?」

エステルの説明にミントは驚き、オリビエは感心した後尋ねた。

「ううん。それよりいいやり方があるわ!アガット!クロ―ゼ!2人ともクーデター事件の時以降、武器を変えていないよね?」

「ええ。私はエステルさん達みたいに、普段から戦う訳でもないので………」

「俺もだ。この剣、思った以上に使いやすい上威力があるからそのまま使っている。」

エステルの質問にクロ―ゼとアガットは戸惑いながら答えた。



「そっか。ニルが言ってたんだけど、2人の剣もミントと同じ魔術効果を込められている剣だから、闘気や魔力とか込めたらその剣に込められている属性が発揮するんだって!」

「ほお………確か、これを買った時、あの商人がこの剣の名前を言ってたな………『火炎剣ルバニオン』って。………だったら、炎か!オラァッ!!燃えやがれ!!」

エステルの説明を聞いたアガットは自分の得物である両手剣に炎をイメージして、闘気を流し込んだ!すると両手剣がうっすらと赤く輝いた!

「せいやっ!!」

そしてアガットは敵の一匹に襲いかかって攻撃した!すると敵は燃えながら消滅した。

「へっ………普段の攻撃と比べると、少し疲労が多いが大したことねえな。こんな効果があるとは思わなかったな。あの商人………見た目に反して、いい物を売ってやがるな。」

敵を倒し、アガットは自分の持っている両手剣を見て不敵に笑った。

「あの………エステルさん。私の持っているレイピアは何の属性が込められているのですか?」

そしてミントやオリビエが魔獣を相手にしている間にクロ―ゼも自分が持っているレイピアが気になり、エステルに尋ねた。

「へっ!?ちょっと待って!(ニル、クロ―ゼの持っているレイピアには何の属性が込められているの?)」

クロ―ゼに尋ねられたエステルは驚いた後、ニルに尋ねた。

(あの娘の持っているレイピアからは冷却属性の魔力が感じられるわ。)

「ありがと、ニル!クロ―ゼ!そのレイピアからは水か氷の魔術が込められているんだって!」

「水か、氷ですか………エステルさん、魔力を込めるってどうすればいいのですか?」

「魔力を込めるか。……………ん~………難しく考える必要はないって!集中して、何かをイメージすれば、できると思うわ!」

「イメージですか…………………………」

エステルの説明を聞いたクロ―ゼはその場で目を閉じて、集中して水をイメージした。するとクロ―ゼのレイピアがうっすらと蒼く輝いた!

「!!えい、やあ、はあ!」

そして目を見開いたクロ―ゼは蒼く輝いているレイピアでクラフト――シュトゥルムを放った!すると霧の魔獣は大ダメージを受け、霧が消えかかっていた!

「燃えちゃえ~!ファイアシュート!!」

「時の刃よ!ソウルブラ―!!」

そしてそこにミントの魔術とオリビエのアーツが命中して、最後に残っていた魔獣は消滅した。



「フゥ……」

戦闘が終了し、クロ―ゼは安堵の溜息を吐いた。

「凄いじゃない、クロ―ゼ!あたしやシェラ姉みたいに、武器に魔術を込めれたじゃない!」

そこにエステルが興奮した様子で話しかけた。

「そんな…………このレイピアのお陰ですよ。エステルさん達みたいに、魔術は使えませんよ………」

エステルの言葉にクロ―ゼは苦笑しながら答えた。

「そうだ、クロ―ゼ!あたしでよかったら魔術の使い方を教えるよ!」

「あ!ミントも!」

「二人とも…………ありがとうございます。機会があれば、お願いしますね。」

エステルとミントの提案に驚いたクロ―ゼだったが、微笑みながら答えた。



その後エステル達は非戦闘員であるドロシーを連れての探索は危険と判断し、ドロシーは入口に待たせて、奥へと進み、地下を探索したエステル達はどんどん進んで、一番奥に到着するとそこに一人の人物がいた。

~旧校舎・地下・奥~



「あ…………!」

エステルは奥にいた人物の姿を見つけると驚いて声をあげた、その人物の姿は数々の目撃者達が見た白いマントを羽織った人物だった。

「影もあるようだし、幽霊じゃあなさそうだが……。てめえ……何者だ!?」

「フフフ……」

アガットの叫びに白いマント姿の人物は笑いながら、エステル達に振り返った。

「ようこそ、我が仮初めの宿へ。歓迎させてもらおうか。」

「か、仮面……?」

「お兄さん、なんで顔を隠しているの??」

「エステルさんやポーリィちゃんの目撃情報と同じですね……。あなたがルーアン各地を騒がしていた『影』の正体ですか?」

白いマント姿の人物が仮面をかぶっていることにエステルは驚き、ミントは仮面をかぶっている事に首を傾げ、クロ―ゼは今までの情報を整理して真剣な表情で尋ねた。

「フフ……。その通りだ、クローディア姫。お目にかかれて光栄だよ。」

「え!?」

「こ、こいつ……なんでクローゼの正体を!?」

マント姿の人物がクロ―ゼの正体を知っている事にミントとエステルは驚いた。そしてエステル達の様子を見て、不敵に笑った後マント姿の人物は自己紹介をした。

「フフ……。私に盗めぬ秘密などない。改めて自己紹介をしよう。『執行者』NO.Ⅹ。『怪盗紳士』ブルブラン―――『身喰らう蛇』に連なる者なり。」

「『身喰らう蛇』……!」

「…………チッ!…………」

『白い影』の正体――ブルブランが自分達が追っていた組織の幹部という予想外の人物の登場にエステル達は驚いた後、後ずさりして警戒した。



「フフ、そう殺気立つことはない。私はここで、ささやかな実験を行っていただけなのだ。諸君と争うつもりは毛頭ない。」

エステル達の様子を見たブルブランは口元に笑みを浮かべて答えた。

「じ、実験……?」

ブルブランの言葉に首を傾げたエステルだったが、ブルブランの後ろにある黒いオーブメント――ゴスペルを見つけた。

「そ、それは……」

「リシャール大佐が使っていた漆黒の導力器『ゴスペル』……」

「しかもどうやら……あれより一回り大きいみたいだね。」

「本当だ………前のと比べたら大きい…………」

見覚えのあるオーブメント――ゴスペルを見て、エステルやクロ―ゼは驚き、オリビエとミントは以前のゴスペルと比べて大きい事に気付いた。

「ふむ、『彼』の報告通りこれの存在は知っているか。この『ゴスペル』は実験用に開発された新型でね。今回の実験では非常に役に立ってくれたのだよ。」

「実験……。いったい何の実験だ?」

ブルブランの話を聞いたアガットはブルブランを睨みながら尋ねた。

「フフフ……。百聞は一見に()かずだ。実際に見ていただこうか。」

アガットに睨まれたブルブランだったが気にもとめず、ゴスペルが置いてある装置らしき所についているスイッチを押した。すると浮いていて、透けているブルブランの映像がエステル達の目の前に現れた。

「ゆ、幽霊……!」

「お化けさん!?」

「いや、その装置を使って空間に投影された映像のようだね。そんな技術が確立されているとは寡聞にして聞いたことはなかったが。」

透けて浮かんでいるブルブランの映像を見て幽霊と思ったエステルとミントだったが、オリビエが否定した。

「これは、我々の技術が造りだした空間投影装置だ。もっとも、装置単体の能力では目の前にしか投影できないが……。『ゴスペル』の力を加えるとこのようなことも可能になる。」

『ゴスペル』から黒い光があふれだすと、ブルブランの映像が急にエステルたちの後ろに移動した。

「きゃっ……!?」

「わわっ……」

「ひゃぁっ!?」

いきなり自分達の後ろに現れたブルブランの映像を見て、エステル達は驚いた。そしてブルブランの映像はエステル達の周りを何周か廻った後、ブルブランの元に戻り、ブルブランがスイッチを押すと映像は消えた。



「―――とまあ、こんな感じだ。フフ、ルーアン市民諸君にはさぞかし楽しんでもらえただろう。」

「チッ……。つまり、単なる悪ふざけだったわけか。」

「そうだよ!あなたの悪戯のために、ルーアンの人達が怖がっているんだよ!?」

ブルブランの言葉を聞いたアガットとミントはブルブランを睨んだ。

「悪ふざけとは人聞きが悪い。選挙で浮かれる市民たちに贈るちょっとした息抜きと娯楽……。そんな風に思ってくれたまえ。」

アガットとミントの言葉を聞いたブルブランは心外そうな様子で答えた。

「カ、カラクリはわかったけど……いったいどうしてこんな事をしでかしたのよ!?『身喰らう蛇』って……いったい何を企んでいるわけ!?」

ブルブランの話を聞き、呆れながら納得したエステルはブルブランを睨んで叫んだ。

「フフ……それは私が話すことではない。私が、今回の計画を手伝う理由はただ一つ……。クローディア姫―――貴女と相見(あいまみ)えたかったからだ。」

「えっ……?」

ブルブランに名指しをされたクロ―ゼは驚いた。

「市長逮捕の時に見せた貴女の気高き美しさ……。それを我が物にするために私は今回の計画に協力したのだ。あれから数ヶ月―――この機会を待ち焦がれていたよ。」

「え、あの、その……」

ブルブランの話を聞いたクロ―ゼは何の事かわからず、戸惑った。

「……市長逮捕って、ダルモア市長の事件よね。な、何であんたがあの時のことを知ってるのよ!?」

「フフ、私はあの事件の時、陰ながら君たちを観察していた。たとえば……このような方法でね。」

エステルに尋ねられたブルブランは一瞬で執事の姿に変えた!

「ええっ!?姿がいきなり変わった!?」

「まさかあの時いたダルモア家の……!?」

いきなり姿を変えたブルブランを見てミントは驚き、クロ―ゼは察しがついて信じられない表情で変装したブルブランを見た。そしてブルブランはまた一瞬で元の仮面と白マントの姿に戻った。



「怪盗とは、すなわち美の崇拝者。気高きものに惹かれずにはいられない。姫、貴女はその気高さで私の心を盗んでしまったのだよ。他ならぬ怪盗である私の心をね……。おお、何という甘やかなる屈辱!如何にして貴女はその罪を(あがな)うおつもりなのか?」

「あ、あの……。そんな事を言われても困ります。」

「この自分に酔った口調……てめえにソックリじゃねぇか?」

ブルブランの芝居がかかったようなセリフにクロ―ゼは戸惑い、アガットは呆れた表情でオリビエに尋ねた。

「失敬な……。一緒にしないでくれたまえ。」

アガットに尋ねられたオリビエは心外そうな表情で答えた。

「フフ………欲を言えば、かの”姫の中の(プリンセスオブプリンセス)”とも相見(あいまみ)えたかったところだが、以前と違って彼女は君達の傍にいないようだからね。………非常に残念だ。」

「『身喰らう蛇』。何か思っていたのと違うけど……クローゼが狙いと聞いたらなおさら放っておけないわね!おまけにプリネまで狙いなんて、絶対に許せないわ!」

「そうだよ!クロ―ゼさんはミントやツーヤちゃんにとっても大事なお姉さんなんだから!それにプリネさんはツーヤちゃんがずっと待ち焦がれていた”パートナー”なんだから、絶対にあなたなんかに渡さない!」

「エステルさん、ミントちゃん………」

ブルブランの話を聞き、勇ましく武器を構えるエステルとミントをクローゼは心強く思った。

「協会規約に基づき、不法侵入の容疑で拘束する。『ゴスペル』のことも含めて色々と喋ってもらうぜ。」

そしてエステル達に続くようにアガットも武器を構えて、ブルブランを睨んで宣告した。

「やれやれ……。何という無粋な連中であろう。相手をしてやってもいいがせっかく選んだこの場所だ……『彼』に相手してもらおうか。」

「なに……?」

ブルブランの言葉に訳がわからず、アガットは首を傾げた。そしてブルブランは指を鳴らした!



パチッ!!



ブルブランが指をならすと地面が揺れ動きだした。

「な、なんなの……?」

「ふえっ……!?」

「ふむ……。イヤ~な予感がするねぇ。」

そしてエステル達が横を向くと、横にあった大きな扉が開き、そこからトロイメライをも超える大型の人形兵器が現れた!

「な、なにコイツ!?」

「甲冑の人馬兵!?」

「フフ、どうやら『彼』はこの遺跡の守護者のようでね。半ば壊れていたところを私が親切にも直してあげたのだ。せっかくだから君たちが相手をしてあげるといい。」

人形兵器の登場に驚いているエステル達にブルブランは得意げに説明した。

「じょ、冗談じゃないわよ!」

「……来るぞ!」



そしてエステル達は遺跡の守護者――ストームブリンガーとの戦闘を開始した……………!











 
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