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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第94話

~アクシスピラー第五層・外~



「みんな!ユウナの相手はあたしとヨシュアに任せて、みんなはパテル=マテルの相手をお願い!」

「わかりました!」

「う、うん!」

「うふふ、レンに任せて♪」

「気を付けろよ、エステル!」

戦闘を開始したエステルの指示に仲間達は頷いてパテル=マテルに向かい

「ヨシュア、行くわよ!」

「了解!」

エステルはヨシュアと共にユウナに向かった。



「秘技―――裏疾風!斬!!」

「も、燃えちゃえ!バーニングフォース!!」

パテル=マテルに向かったルークが電光石火の速さで攻撃するとティータも続くように導力砲から炎のエネルギー砲弾を放って追撃した。

「―――――」

しかし通常の人形兵器よりも遥かに頑丈なパテル=マテルには一切怯まずパテル=マテルは振り向いてルークに攻撃した。

「あぶねっ!?」

パテル=マテルの剛腕をルークは間一髪側面に跳躍して回避し

「うふふ、身体は頑丈なようだけどここはどうかしら!?ミスティアーク!!」

ルークに攻撃した為自身に背中を向けたパテル=マテルを見たレンは軽やかな動きでパテル=マテルの機体を利用してパテル=マテルの頭の部分まで移動した後双銃でパテル=マテルの瞳の部分を銃撃した。

「―――――」

瞳の部分を攻撃されたパテル=マテルは両腕でレンを捕まえようとし

「!!ま、あんまり期待はしていなかったから、別にショックでもないけどね。」

パテル=マテルの反撃に気づいたレンはすぐにパテル=マテルから降りてパテル=マテルから距離を取った後冷静な様子で傷一つついていないパテル=マテルの瞳の部分を見つめて攻撃の機会を練り始めた。

「恐慌たる烈風、還れ!虚無の彼方!フィアフルストーム!!」

その時譜術の詠唱を終えたイオンが高火力の譜術を発動し、イオンの譜術によってパテル=マテルに強烈な竜巻が襲い掛かった。



「弧影斬!!」

「行っけ~!エアブレイド!!」

「二の型・改―――双波洸破斬!!」

竜巻に飲み込まれたパテル=マテル目がけてルーク達はそれぞれ遠距離攻撃のクラフトを放って追撃していたが

「――――――!」

「おわっ!?」

「!!」

「危ない、ティータ!」

「はわわっ!?」

パテル=マテルは竜巻から現れてルーク達を踏み潰すかのように突進し、パテル=マテルが現れるとルークとイオンは左右に散開して回避し、レンは一瞬で双剣を鞘に収めると素早い動きでティータを抱き上げてパテル=マテルから距離を取った。



「吹き飛びな!紅蓮襲撃!雷神剣!受けろ雷撃!襲爪雷斬!!」

「オーブメント駆動………」

回避を終えたルークはパテル=マテルに技を連携させて攻撃し、イオンはオーブメントを駆動させた後譜術の詠唱を開始した。

「―――――」

「やべっ!?」

ルークの連携攻撃を受けてもパテル=マテルは怯まず腕を振るい、ルークは咄嗟に剣でガードしようとしたその時

「結界弾、発射!二の型・改―――疾風追連!!」

「サンキュー、レン!秘技―――裏疾風!斬!!」

レンが防御結界を展開する特殊な弾丸――――シールドバレットをルークに放ってパテル=マテルの攻撃からルークを守った後双剣に武器を持ち替えて電光石火の速さでパテル=マテルに攻撃し、ルークはクラフトを放ってパテル=マテルに追撃すると共にパテル=マテルから距離を取った。

「えいっ!ダークマター!!」

ティータはアーツでパテル=マテルの動きを封じ込めようとし、重力によって敵にダメージを与えると共に敵の動きを一時的に封じ込める空属性のアーツはパテル=マテルにダメージを与えると共にパテル=マテルをその場から動けないようにしていた。

「母なる大地よ その大いなる怒りを示せ―――グランドダッシャー!!―――アトラスハンマー!!」

そこにオーブメントの駆動と譜術の詠唱を終えたイオンがアーツと譜術でパテル=マテルの頭上と足元をそれぞれ攻撃し

「そこだっ!スパイラルフレア!!」

「えいっ!ロストメビウス!!」

そしてルークとレンも続くようにアーツを放ってパテル=マテルに追撃した。



「―――――――!」

ルーク達の攻撃が一旦途切れるとパテル=マテルは何と両肩に装着されてある砲口をルーク達に向けてエネルギーをチャージし

「やべっ!?」

「砲口からできる限り横にそれるように散開して回避してください!」

「また失礼するわよ、ティータ!」

「はわっ!?あ、ありがとう、レンちゃん。」

パテル=マテルの行動を見たルークは慌ててイオンと共に大きく側面に跳躍し、レンは再びティータを抱き上げてルーク達とは逆側に大きく側面に跳躍した。

「―――――!!」

するとその時パテル=マテルは主砲――――ダブルバスターキャノンを放ったが、パテル=マテルがエネルギーをチャージしている間にルーク達は攻撃範囲外に逃れていた為パテル=マテルの主砲はルーク達に命中しなかった。

「うふふ、今度はこっちの番ね♪風巻く光よ、レンが綺麗に咲かせてあげる!ヤァァァァァァァ………!」

そしてレンは二振りの小太刀を一旦収めて抜刀したレンは全身に風を纏ってパテル=マテルに飛び込んで一瞬で無数の斬撃をパテル=マテルに叩き込んだ後、二振りの小太刀に凄まじい闘気と風を纏わせながら一瞬でパテル=マテルの背後へと駆け抜けると同時に斬撃を叩き込むと、風の刃による一輪の華がパテル=マテルを中心に咲いた!

「咲き誇れ―――風神烈華!!」

「―――!?」

二振りの小太刀で風神の如き剣気を纏った、圧倒的な超高速居合い攻撃を放つ事で風の刃による一輪の華を咲かせるレンのSクラフト―――風神烈華を受けたパテル=マテルは怯んだ。

「イオン!左右から同時に俺の”超振動”とお前の”ダアト式譜術”を叩き込むぞ!」

「はい!」

「が、がんばらなくっちゃ!ふんふふんふふ~ん♪」

その隙を逃さないかのようにルークとイオンはパテル=マテルの左右に分かれて同時に突撃し、ティータは携帯端末を取り出して操作をし始めた。



「やってやるぜ!うぉぉぉぉっ!レイディアント―――ハウル!!」

「これで決めます!はぁぁぁぁっ!アカシック―――トーメント!!」

「――――――!!??」

ルークの”超振動”とイオンのルーク達の世界―――”オールドラント”唯一の宗教、”ローレライ教団”の最高指導者”導師”のみが扱える術である『ダアト式譜術』を受けたパテル=マテルは大ダメージを受けてしまい、更に怯んだ。

「よぉし!サテライトビーム発射!!」

そこに端末の操作を終えたティータによって宇宙空間にある人口天体から凄まじい威力の光線が解き放たれ、パテル=マテルに命中した!

「――――――――!!??」

ラッセル家が開発し、宇宙空間に打ち上げた人口天体に指示を与えて光線を解き放って戦場を薙ぎ払うティータのSクラフト―――サテライトビームを受けた事によってついにダメージに耐えきれなくなったパテル=マテルは戦闘不能になり、地面に跪いた!



「うふふ、わざわざ殺されに来るなんて手間が省けたわ♪死んじゃえ――ッ!!」

ルーク達がパテル=マテルとの戦闘を開始した同じ頃ユウナは自分に向かってきたエステルとヨシュア目がけて大鎌を投擲し

「!!」

「朧!」

エステルは側面に跳躍して回避し、ヨシュアはクラフトで回避すると共にユウナの背後を取って奇襲をした。

「甘いわよ!」

ヨシュアの奇襲に気づいたユウナは前に跳躍して回避すると共に戻って来た大鎌を手に取り

「ハァァァァァ……金剛撃!!」

「えいっ!」

エステルの強烈な一撃を大鎌で受け止めた。

「それっ!」

エステルの攻撃を受け止めたユウナは反撃し

「!!」

「絶影!!」

「きゃっ!?」

ユウナの反撃をエステルはバックステップで回避し、ヨシュアは凄まじい速さによるクラフトで奇襲してユウナにダメージを与え

「せいっ!!」

「いたっ!?」

ユウナから距離を取ったエステルはクラフト―――捻糸棍で追撃した。



「やあっ!」

「ふっ!」

エステルとヨシュアはレンの左右から同時に突撃して武器を振るって攻撃したが

「うふふ、これでも喰らえッ!!」

「キャッ!?」

「っ!?」

ユウナは大鎌にエネルギーを纏わせて薙ぎ払うクラフト―――アークシックルで反撃して二人をふっ飛ばした。

「クスクス、死んじゃえ!」

「!!」

二人をふっ飛ばしたユウナは続けてクラフト―――ゲイルエッジをヨシュアに放ち、ヨシュアは襲い掛かる鎌鼬を側面に跳躍して回避し

「えいっ!!」

エステルにはクラフト―――クレセントエッジで襲い掛かった。



「翔舞煌爆破!!」

「いたっ!?」

ユウナの強襲をエステルは跳躍して回避すると共に反撃し

「せいっ!シャドウスピア!!」

「!!」

ユウナの注意がエステルに向かっている隙にオーブメントの駆動を終えたヨシュアはアーツを放ち、上空から襲い掛かって来た暗黒の槍に気づいたユウナはバックステップで回避してエステルから距離を取った。

「鷹爪!落瀑蹴!!」

「ウフフ、甘いわよ!これで殺してあげるわ!」

自分から距離を取ったユウナの行動を見たエステルは跳躍して上空からユウナに強襲しようとしたが、ユウナはエステルの攻撃を側面に跳躍して回避した後エステルにSクラフトを叩き込もうとしたが

「おぉぉぉぉ……!」

「っ!?こんなの、すぐに……!」

ヨシュアの魔眼によって動きが封じ込められた為エステルにSクラフトを放つ事ができず、ユウナは魔眼による拘束を解こうとした。

「とっておきを見せてあげるっ!はっ!とりゃあぁぁぁぁ!せいっ!まだまだぁっ!はぁぁぁぁ!奥義、太・極・輪!!」

するとその時全身に闘気を纏ったエステルが回転しながら跳躍してユウナの前に飛び込んだ後のユウナ周りを回転するように駆け抜けながら攻撃し、エステルの回転によってユウナの周りは巨大な竜巻が出来た!

「キャアアアアアッ!?よくもやってくれたわね……!パテル=マテル、レン達は後回しにしてまずはエステルを―――――え。」

回転が生み出すあらゆるエネルギーを打撃に応用したエステルの奥義にしてSクラフト――太極輪を受けた事によって大ダメージを喰らってしまったユウナはエステルを睨んだ後パテル=マテルに視線を向けると、パテル=マテルはルーク達との戦闘によって戦闘不能になっており、それを見たユウナは呆け

「パテル=マテル!?」

すぐにパテル=マテルがルーク達に敗北した事を悟ると血相を変えてパテル=マテルに駆け寄った。


「ど、どうして……どうしてエステル達なんかに”パテル=マテル”が負けるの!?」

「ゴルディアス級の人形兵器はまだ制御系が不安定らしいからね……関節部分に負荷がかかって作動不能になったのかもしれない。」

パテル=マテルの敗北が信じられないかのように悲鳴を上げたユウナの疑問にヨシュアは自身の推測を口にした。

「………そんな………”パテル=マテル”!ねえ、早く立ち上がって!早くエステルやレン達を皆殺しにしちゃってよぉ!」

ヨシュアの推測を信じられない表情で聞いていたユウナはパテル=マテルを見つめて声を上げた。

「――――――」

ユウナの希望に応えるかのようにパテル=マテルは立ち上がろうとしたが、足の関節部分がルーク達の戦闘によって使い物にならなくなっていた為立ち上がる事ができず、ユウナの指示に従うのを止めたかのように止まった。

「……あ………………………」

それを見たユウナはパテル=マテルは立ち上がれない事を悟り、地面に崩れ落ちた。



「ユウナ……」

「なによぉ……エステル達の勝ちなんだからもうどうでもいいじゃない……さっさと端末を解除して上に行っちゃいなさいよぉ……」

自分に近づいてきたエステル達にパテル=マテルの敗北によって戦意を失っていたユウナはエステル達に視線を向けることなく、自分の敗北を認めてエステル達にさっさと自分達の元から去るように促した。

「……そっちも大事だけど後回しにする事にするわ。今はあんたの方が大事だからね。」

「なによぉ……エステルなんてユウナのこと何も知らないくせに……!”ユウナと同じ”おねえちゃんが傍にいるのに、どうしてそんなに……ユウナに構ってくるのよぉ……!」

「フフン、決まってるじゃない。あたしがユウナのこと、好きだからよ。勿論ユウナがレンの妹だからとかそんな失礼な意味じゃなくて、ユウナ個人として好きよ。」

悲鳴を上げたユウナにエステルは胸を張って答え

「!!」

エステルの答えを聞いたユウナは信じられない表情で目を見開いた。



「だからこそ……あたしはユウナにやっておかなきゃならない事がある。悪いけど、軽く行かせてもらうわよ。」

「え………」

そしてエステルはユウナを立ち上がらせてユウナの頬を軽くビンタした。

「あら……」

「………あ……………………ぶった…………」

エステルの行動にレンが目を丸くしている中、ユウナは呆けた表情でビンタされた頬を手で抑えた。

「悪いことしたらぶたれるのは当たり前よ。じゃないと、他の人の痛みが感じられなくなっちゃうからね。あたしも小さい頃は父さんに散々ゲンコをもらったんだから。」

「むう、ユウナはビンタでレンはゲンコツなんて、不公平よ。レンは法律違反ギリギリな事をやっただけで、実際に犯罪を犯しているユウナの方がレンより明らかに悪い事をしているのに、何でレンの方が痛い方なのよ。」

「レ、レンちゃあん……」

「今は黙ってろって……」

頬を膨らませてエステルを睨むレンのエステルに対する指摘を聞いたティータは脱力し、ルークは呆れた表情で指摘した。



「エステルも……同じなんだ……痛がってるのに……ぜんぜん止めてくれなかった……ユウナを……ユウナに酷いことをした……あの人達と同じ……」

「同じかどうかはユウナが自分で考えてみて。どう……本当にそう思う?」

”生き地獄”同然の場所で生きていたかつての自分と周囲の人物達の事を思い出して呟いたユウナにエステルは優しい口調で問いかけた。

「…………………わから……………ない…………」

「だったら……これならどう?」

「………あ………」

エステルに優しく抱きしめられ、エステルのぬくもりを全身で感じていたユウナは呆けた表情をしていた。

「あたしは何も言わない……ユウナが自分の心で感じるままに判断しなさい。」

「…………………頭がモヤモヤしてなんだか良くわからないけど……こんな風に抱きしめられるのは……キライじゃない……かも……」

「そっか……」

ユウナの口から出た答えを聞いたエステルはユウナに自分の気持ちが少しは伝わった事に嬉しい気持ちになった。



「…………………………帰る…………」

「え……」

「”パテル=マテル”!関節部のアクチュエーターを止めてブースターのみで姿勢制御して!」

ユウナの指示によってパテル=マテルはブースターを起動させて滞空した後着地し、ユウナはパテル=マテルの片手に乗った。

「ユウナ……!」

「頭がこんがらがっちゃったから一人でゆっくり考えてみる……エステル達はこのまま屋上まで登っていけばいい……レーヴェが待ってるはずよ……」

「あ……」

「……そうか。教えてくれてありがとう。」

「大丈夫なの……ヨシュア?レーヴェってば本気で通せんぼするみたいだけど……」

「うん……わかってる。でも、僕の方ももう覚悟はできているから……だから、心配はいらないよ。」

ユウナに心配されたヨシュアは優し気な口調で答えた。



「そう……じゃあ、ユウナは行くわね。」

ヨシュアの答えを聞いて頷いたユウナが呟くとパテル=マテルは離陸し始めた。

「ユウナちゃん!?」

「ユウナ……待って!」

「………………」

それを見たティータとエステルはユウナを呼び止めようとしている中、ユウナと血が繋がっている双子の姉であるレンは呼び止める事はせず、静かな表情でユウナを見守っていた。

「……じゃあね。エステル、レン、それにティータ。ユウナはもう行くけど……死んだりしたら許さないんだから!」

そしてユウナはパテル=マテルと共に”アクシスピラー”から去って行った。



「………………………これで……良かったのかな?」

「うん……大丈夫。色々なことが起こり過ぎてあの子も混乱してるだけだと思う。すぐには無理だと思うけど……いずれ自分で答えを出せるはずだ。」

去っていくユウナを見守っていたエステルが不安そうな表情で呟くとヨシュアが優し気な微笑みを浮かべて答えた。

「そっか……」

「えへへ……また会えるといいな。」

「ま、いやでもその内また会えると思うわよ?何せ”元”とはいえレンの妹なんだから、レン達から逃げ続けるなんて情けない選択はとらないと思うし。」

「ふふ、ユウナの考えがわかる貴女が言うと信憑性がありますね。」

「ハハ、実際レンはユウナの考えや行動を読みまくっていたから、マジで洒落になってねぇもんな。」

「うん……そうね。………………さてと……気持ちを切り換えなくちゃ。端末を停止させて先に進みましょ。」

「うん………そうだね。」

気を取り直したエステルの言葉にヨシュアは複雑そうな表情で頷いた。



「あ、そっか……屋上でレーヴェが待っているって言ってたわね。」

ヨシュアの表情を見て、ヨシュアの心境を悟ったエステルは真剣な表情で去り際のユウナの言葉を思い出した。

「うん……執行者No.Ⅱ。”剣帝”レオンハルト。”執行者”たちの中でも一、二を争う戦闘力の持ち主だ。万全の準備をして屋上に向かおう。」

「……了解!」

その後エステル達は端末を操作した後、一端アルセイユに戻って休憩をしてメンバー編成をしなおし、エステル、ヨシュア、ルーク、ステラ、レイス、アガット、アーシアのメンバーで先を進み、ついに屋上に到達した。



~アクシスピラー・屋上~



「……来たか。」

エステル達が屋上に到達すると執行者――”剣帝”レオンハルトが待ち構えていた。

「レーヴェ……」

「……意外と早かったな。もう少しばかり待たされるかと思っていたぞ。」

「ま、あたしたちも少しは成長してるってことよ。さすがに、あなたのお仲間にはかなり手こずらせてもらったけど。」

感心している様子のレーヴェにエステルは口元に笑みを浮かべて答えた。

「(仮面のシスター………奴がエステル・ブライトの話にあった……―――!?)フフ……言うじゃないか。だが、この”剣帝”を彼らと同じには考えないことだ。正面からの対決において俺を凌駕する者はそうはいない。たとえS級遊撃士や”蛇の使徒”といえどな。」

エステル達のメンバーを見てステラを見つけ、ステラから何かを感じ取ったレーヴェは一瞬驚いたがすぐに表情を戻して静かな表情で答えた。



「ケッ……吹いてくれるじゃねえか。」

「………………」

レーヴェの指摘にアガットが表情を厳しくしている中、アーシアは真剣な表情でレーヴェを最大限に警戒していた。

「……あなたの強さはイヤと言うほど分かっているわ。でも、あたしたちも理由があってこんな所までやってきた。”輝く環”による異変を止めて混乱と戦火を防ぐために……。沢山の人たちに助けられてあたしたちは今、ここにいる。だから……退くつもりはないわ。」

「フ……理由としては悪くない。だが、ヨシュア。お前の理由は違うようだな?」

「え……」

レーヴェの言葉を聞いて驚いたエステルはヨシュアに視線を向けた。

「お見通し……みたいだね。僕は……自分の弱さと向き合うためにここまで来た。あの時、姉さんの死から逃げるために自分を壊したのも……教授の言いなりになり続けたのも……全部……僕自身の弱さによるものだった。それを気付かせてくれた人に報いるためにも……大切な人を守るためにも……。僕は……正面からレーヴェや教授に向き合わなくちゃいけないんだ。」

「ヨシュア……」

(本当に立派になったわね……)

「………………………………。……巣立ちの時か。もうカリンの代わりに心配する必要もなさそうだ。」

ヨシュアの決意にエステルとステラが嬉しそうにしている中、レーヴェは静かな表情で呟いた後剣を構えた。



「……これでようやく手加減する必要はなくなった。本気で行かせてもらうぞ。」

「ちょ、ちょっと!どうしてそうなるのよ!?ヨシュアのことを心配しておいてどうして―――」

「いいんだ、エステル。覚悟を決めただけではレーヴェは納得してくれない。その覚悟を貫き通せるだけの力が伴っていないと駄目なんだ。」

レーヴェの行動を見て反論しようとしたエステルをヨシュアは制した。

「フフ、そういうことだ。」

ヨシュアの指摘に不敵な笑みを浮かべて同意したレーヴェは獅子のような姿をした人形兵器――ライアットセイバーを2体呼び寄せた。

「―――俺にも俺の覚悟がある。もし、お前たちの覚悟が俺の修羅を上回っているのなら……力をもって証明してみるがいい!」

「うん……!」

「……望むところよ!」

「―――平和を望むアリシア祖母上とクローディア、そしてリベールの民達の想いをこの剣に乗せ、全身全霊で挑ませてもらう!」

「ヴァン師匠(せんせい)の”アルバート流”……ユン老師の”八葉一刀流”……二人から学んだこの剣で俺の永遠の罪を償う為にもお前をぶちのめす!」

「立場が変わっても私が夢見た世界に少しでも近づくために、例え貴方が相手であろうと絶対に超えて見せる……!」

「ヘッ、今までの借り、利子付けて返してやるぜ……」

「貴方にこれ以上罪を重ねさせない為にも、本気で行くわよ……!」

そしてエステル達はレーヴェ達との戦闘を開始した! 
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