英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第86話
浮遊都市の探索を開始したエステル達はエレベーターらしき足場を見つけてその足場を使って上昇した先にある駅らしき場所で端末らしきものを見つけた。その端末らしきものを使った結果、まず浮遊都市の名が”リベル=アーク”という名がわかり、さらに”ゴスペル”が”リベル=アーク”に住む市民達にとって馴染み深い物であることがわかり、そして”レールハイロゥ” という乗り物を見つけ、起動させると何かの物体がエステル達の近くに到着した。その物体に乗ろうとしたエステル達だったが、他の場所で起動していないため、動かなかった為、ひとまず諦めて地下道のロックを外して、地下道を進み、新たな地域に到着した。
~リベル=アーク・居住区画”クレイドル”~
「は~、やっと外に出たわね。」
「……ここは……」
地上に出たエステルは溜息を吐き、ヨシュアは周囲を見回した。
「私達が拠点としている区画とはかなり異なりますね……」
「綺麗な街並み……。どうやら古代人が暮らしていた場所みたいですね。」
「確かに家みたいな建物がたくさん建っているし、人が住んでいた雰囲気があるみたいだな。」
「まあ、綺麗な街並みなのは事実だけど、似たような建物ばっかりで面白味がないわね。」
周囲の光景をステラやクローゼ、ルークは興味ありげな様子で見回し、レンは若干つまらなさそうな表情をしていた。
「あんたの街の光景の基準は一体どういう基準よ。……それはともかく、昔の人たちはなんでこんな立派な街を捨てちゃったのかな?」
「……調べて行けば当時の状況が分かるかもね。新たなルートを探す必要もあるし、さっそく周囲を探索してみようか?」
「ん、オッケー。」
その後エステル達は街を調べながら進んで行くと意外な物を見つけた。
「ヨシュア、あれ……!」
「……うん。どうしてこんな所に……。!!」
エステルの言葉に頷いたヨシュアは驚いた後、エステル達と共にアルセイユのように不時着したと思われる”山猫号”を見つめた。
「そ、それ以上近寄るなっ!これ以上”山猫号”を傷付けたら絶対に許さないんだから!」
”山猫号”の傍で人形兵器に囲まれているジョゼットは銃で人形兵器達を牽制していた
「あう!?」
一際大きい人形兵器がジョゼットに攻撃し、攻撃が命中したジョゼットは後退した。
「あうっ……!うう……キール兄……ドルン兄……。………ヨシュア…………」
「ふふん、お困りみたいね?」
絶体絶命の状況にジョゼットが泣き言を呟いたその時エステル達が駆けつけた。
「ノーテンキ女!?……そ、それに……」
「だ~から、誰がノーテンキよっ!」
「話は後だ!まずはこいつらを片付けるよ!」
「う、うんっ!」
「まったくもう……ブツブツ。」
そしてジョゼットに加勢したエステル達は人形兵器達との戦闘を開始した。
「みんな、行くわよ!!」
「力がみなぎる―――剛招来!!」
戦闘を開始したエステルは掛け声で仲間達の闘志を高め、ルークは気功で自身の能力を上昇させ
「ミスティアーク!!」
レンは広範囲の銃撃を人形兵器達に放ってジョゼットから自分達に注意を逸らした。
「刃に更なる力を―――シャープネス!!」
「朧!!」
「どうだぁ!!」
「やッ!!」
「ハアッ!!」
レンが作った隙を逃さないかのようにヨシュアはステラの譜術で自身の筋力が強化された瞬間敵の背後に一瞬で現れて一撃で撃破し、ジョゼットやエステル、ルークも続くようにそれぞれ一体ずつ人形兵器を倒した。
「………」
「やべっ!?」
大型の人形兵器によるレーザー攻撃に気づいたルークは側面に跳躍して回避し
「翔舞煌爆破!!」
「これでもくらえっ!アンカーフレイル!」
エステルは上空から棒を敵に叩き込み、ジョゼットは鋼鉄製の”いかり”を投擲して敵に命中させた。
「………」
「キャッ!?」
「うわっ!?」
二人の強烈な攻撃を受けたにも関わらず敵は怯まず、エステルには体当たりをしてふっ飛ばし、ジョゼットにはレーザーを放ってダメージを与えた。
「見た目通り防御は固いようね。ならこれはどうかしら?―――スパイラルバレット!!」
その様子を見て敵の防御が固い事に気づいたレンは防御能力を低下させるクラフトを放って敵の防御を低下させた。
「おぉぉぉぉ……!」
「せいっ!!」
「そこっ!いくよっ!どうだぁ!!」
「グランシャリオ!!」
ヨシュアのクラフト―――魔眼によって動きを封じ込められている敵にエステルとジョゼット、ステラはそれぞれ遠距離から攻撃するクラフトでダメージを与え
「二の型―――大雪斬!!」
ルークが敵の上空から強襲して敵の機体を真っ二つにし、真っ二つにされた敵はセピスを落として消滅した!
「ふう……何とか片づいたわね。大きいヤツはやたらと固かったけど……」
「結社の重人形兵器、”レオールガンイージー”だ。普通は拠点防衛用に使われることが多いんだけど……」
人形兵器達を全滅させたエステル達はジョゼットに近づいた。
「まあとにかく……本当に無事で良かった。でも、なんで君たちがこんな場所にいるんだい?」
「う、うん……。ボクたち、あんたと別れた後、国境近くに潜伏してたんだけど……。いきなり空に変な物が現れたから近寄って様子を見ようとしたら山猫号の導力が止まっちゃって……」
ヨシュアに尋ねられたジョゼットは状況を思い出しながら答えた。
「それで墜落しちゃったわけね。あれ、そういえば……。……あんたのお兄さんたちはどうしたの?姿が見えないけどどこかに出かけちゃってるとか?」
「…………っ…………。ううう……うぐっ……」
エステルに尋ねられたジョゼットは突然涙を流して泣き始めた。
「わわっ、な、なんなのよ!?」
「ジョゼット……落ち着いて。ゆっくりでいいから事情を話してもらえるかい?」
「ううっ……。ヨシュア……ヨシュアああっ!」
ジョゼットが突然泣き始めた事にエステルが戸惑っている中、ヨシュアは優し気な口調で訊ねると、なんとジョゼットがヨシュアの胸に飛び込んできた。
「………あ………………」
「まあ……」
「うふふ、面白い事になってきたわね♪」
「どこが面白いんだよ……下手したら修羅場に発展するぞ……?」
ジョゼットの突然の行動にクローゼは呆け、ステラは目を丸くし、小悪魔な笑みを浮かべているレンにルークは疲れた表情で指摘してエステルに視線を向けた。
「け、結社の連中に兄貴たちが捕まったんだ!ボクを逃がすためにみんなで囮になって……。ねえヨシュア……。ボク、どうしたらいいの!?」
ジョゼットは周囲の人物達の反応を気にせず、泣きながら自分達の状況を叫んだ。その後エステル達はたちはひとまず無人の家でジョゼットから詳しく話を聞くことにした。
「……ごめん……。驚かせちゃったみたいだね。もう落ち着いたから大丈夫だよ。」
「まったくもう……。色々な意味で驚いたわよ。」
「それでジョゼット……他の人達が捕まった時の状況をもう少し詳しく教えてくれるかな?」
ようやく落ち着いたジョゼットをエステルがジト目で睨んでいる中、ヨシュアはジョゼット達に何があったのかを訊ねた。
「……うん……ボクたち、ここに墜落してから、すぐに”山猫号”の修理を始めたんだ。エンジンは何とか無事だったけど、それ以外の装置は壊れちゃってさ……。修理に使えそうな材料がないかこのあたりを探索してたんだけど……」
「俺達と同じ状況か……」
ジョゼットの話を聞いたルークは静かな表情で呟いた。
「……3日後くらいかな……。足りなかった材料も揃って本格的に修理しようとした矢先にタコみたいな人形兵器が現れてさ……。ボクがそいつを撃った後で紅い飛行艇が飛んで来たんだ……。着陸するなり、例の猟兵たちがわらわら降りてきちゃって……」
「哨戒中の”ヴォーグル”を倒してしまったのか……。多分、破壊された時に発せられる緊急信号が敵に伝わったんだろう。」
「やっぱりそうなんだ……。ど、どうしよう……。ボクが余計な事をしたせいで兄貴やみんなが……」
「ジョゼット……」
自分の推測を聞いて兄や仲間達が捕えられたのが自分のせいである事を悟ったジョゼットをヨシュアは心配そうな表情で見つめた。
「あ~もう!そんな顔するんじゃないわよ!捕まってるんだったら助ければいいだけじゃない!」
するとその時エステルがジョゼットにとって予想外の提案をした。
「え……」
「いくら犯罪者といえど不当に監禁されているんだったら遊撃士の保護の対象だわ。どうせ”結社”とは決着を付けなくちゃいけないんだし……。あんたのお兄さんたちもついでに助けてあげるわよ。」
「エステル……」
「ちょ、ちょっと待ちなよ!どうしてボクたちが遊撃士なんかに助けられないといけないのさ!?」
エステルの説明を聞いたヨシュアが口元に笑みを浮かべている中、ジョゼットはエステルを睨んで反論した。
「へ~、“なんか”にねぇ。だったらあんた、自分1人で助けられるわけ?」
「うぐっ……」
「それに、あんたたちには”グロリアス”を脱出する時に助けてもらっちゃったし……。ここらで借りは勝手に返させてもらうからね。」
「~~~~~っ~~~~」
「ジョゼット……。エステルの言う通りだよ。君が一人でここに居たって何の解決にもならないはずだ。それは分かるよね?」
「………………………………」
「よかったら、しばらくの間、アルセイユで待っているといい。多分、キールさんたちは”グロリアス”に捕まっているはずだ。このまま探索を続ければ停泊場所へのルートが見つかるかもしれない。その時は必ず君に伝えるから。」
「………………………………。……分かった。ヨシュアがそう言うなら。でも、ただ世話になるのはカプア一家の名折れだからね!探索だろうが、船の修理だろうがきっちりと協力させてもらうよ!」
しかしジョゼットはエステルとヨシュアの正論によって反論ができなく、兄や仲間達を納得する為にエステル達と共闘する事を決め、エステル達に仲間になる事を申し出た。
「あー、はいはい。ほんと素直じゃないんだから。」
「ふ、ふん……。どこかのお人好しみたいに単純にできてないもんでね。」
「あ、あんですって~!?」
「ふう、まったくもう……。……何が原因か知らないけど少しは仲良くできないのかな。」
エステルとジョゼットの口喧嘩を見守っていたヨシュアは呆れた表情で溜息を吐いたが
「あのねぇ、ヨシュア……」
「……あんたがそれを言う?」
「え……?」
エステルとジョゼットに睨まれると呆けた表情をした。
(クスクス、見事に踏んじゃったわね♪)
(……………………鈍感。)
(まさかこんな鈍感な子に育っていたなんて……こんな事になるのなら、幼い頃から女の子の気持ちを勉強させるべきだったわね……)
(やっぱ女って怖え~……)
その様子をレンは面白そうに見守り、クローゼとステラは呆れた表情をし、ルークは疲れた表情で見守っていた。
「ねえ、ジョゼット……。ここは一時休戦にしない?」
「……そうだね。どうやら当面の敵はお互いじゃあなさそうだし。」
「えっと、その……。打ち解けられたのはいいんだけど……何かマズイことを言ったかな?」
そして自分を睨みながら打ち解けているエステルとジョゼットにヨシュアは本能的に自分が二人に何か不味い事を言ってしまった事を悟り、二人に理由を尋ねたが
「ううん、ちっとも。」
「気のせいじゃないの~?」
「そ、そう……。(目が笑ってないんですけど……)」
目が笑っていない2人に見つめられると、尋ねる気力も失せて冷や汗をかいて疲れた表情になった。
その後ジョゼットと共にジョゼットに道案内兼護衛としてレンとステラを同行させてアルセイユに向かわせたエステル達は再び探索に戻った。
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