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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~”六銃士”~前篇

~マルーダ城~



「た、たった6人で猟兵団を殲滅したなんて正直信じられない話ですね……」

「しかも貴族を失脚させた事もあるだと?そのような者達が一体何故クロスベルに……」

「何だかおとぎ話で出てくるような存在ですわね……」

話を聞き終えたエマとユーシスは信じられない表情をし、セレーネは目を丸くし

「……フィー。僅か6名で猟兵団を殲滅する事は現実的に可能なのか?」

「……どうだろう。猟兵団の規模にもよるけど、罠や作戦も完璧で6人全員が”達人”クラスなら可能かもしれないけど……わたしは”六銃士”に会った事がないから、彼らがどれ程の使い手なのかもわからないから何とも言えない。」

ラウラに尋ねられたフィーは考え込みながら答え

「普通に考えたらたったそれだけの人数で勝つなんてありえないわよね……?」

「いや、でも俺達はエステルさん達という”規格外”を見ているからな。」

「あれを見たら、今のような夢みたいな話でも現実のような気がして来るぞ……」

戸惑いの表情をしているアリサの言葉を聞いたリィンは苦笑し、マキアスは疲れた表情で溜息を吐いた。



「……確かプリネ姫達はクロスベルで”六銃士”の方々と直に会っているのでしたね?」

「ええ。あの時はまさかヴァイスさんが転生しているとは思いませんでしたけど……」

「あの時は本当に驚きましたね。」

エリゼに尋ねられて答えたプリネに同意するようにツーヤは苦笑した。

「……………………」

「ガイウス?どうしたの?」

話を聞いて考え込んでいたガイウスに気付いたエリオットは尋ねた。

「ああ。以前ノルドで魔獣に包囲された父さん達を助けてくれた恩人――――ギュランドロスさんとその仲間の人達からそのヴァイスハイトという名前が出た事があるんだ。ギュランドロスさんの話では自身が認める”最高にして最強のライバル”だと言ってたが……」

「ほう?面白い縁だな。”紅き暴君”ギュランドロス・ヴァスガンも”六銃士”の一人だぞ。」

エリオットの疑問に答えたガイウスの話を聞いたレーヴェは興味ありげな表情をした。



「あの人が……じゃあもしかしてルイーネさん達も……」

「はい。”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダー、”紅き暴君”ギュランドロス・ヴァスガン、”微笑みの剣妃”ルイーネ・サーキュリー、”鋼鉄の剣姫”エルミナ・エクス、”暴風の戦姫”パティルナ・シンク、”蒼銀の魔剣姫”アル・ノウゲート。以上の6名が現在はクロスベルの警察、警備隊の上層部の座にいる”六銃士”です。」

目を丸くしているガイウスにツーヤは説明した。

「フム……その”六銃士”とやらは実際どれ程の使い手なのだ?」

ツーヤとプリネは自分が気になる人物達の事を知っていると判断したラウラは興味ありげな表情で尋ねた。



「個人の戦闘能力は一人一人”達人”クラスでまた指揮官としての能力も相当高く、”弱者”と侮られていたクロスベル警備隊を合同演習の際エレボニア帝国軍を破る程への”強者”の兵へと育てあげる程色々と凄いんです。」

「なっ!?」

「何っ!?合同演習でクロスベル警備隊にエレボニア帝国軍が敗北した等聞いた事がないぞ!?」

「そんな事になったら、間違いなく新聞に載ると思うんですが……」

プリネの話を聞いたリィンは驚き、ユーシスは信じられない表情で声を上げ、マキアスは戸惑いの表情でサラ教官を見つめた。

「まあ、知らないのも無理はないわよ。あの件は”情報局”の連中がクロスベルの”宗主国”の一つのエレボニア帝国軍がクロスベル自治州の警備隊に敗北した失態を隠す為に必死に動いて報道させないようにしていた件だし。―――ちなみに演習に参加したのは”ガレリア要塞”の部隊と”紅毛のクレイグ”率いる”第四師団”の部隊で、ナイトハルト教官も参加していたそうよ。」

「ええっ!?じゃ、じゃあ父さんが負けたんですか……!?」

苦笑しながら答えたサラ教官の話を聞いたエリオットは驚きの表情で尋ねた。



「ええ。何でも話によるとナイトハルト教官が率いる部隊は囮部隊によってまんまと罠にはめられて他のクロスベル警備隊に挟み込まれてナイトハルト教官を含めた部隊は”全滅”。クレイグ中将は”アハツェン”の部隊を指揮していたそうだけど……”紅き暴君”率いるギュランドロス司令の警備隊によって”全滅”状態に陥ったそうよ。――――それも”アハツェン”が破壊され、クレイグ中将自身はギュランドロス司令との一騎打ちに敗れて戦闘不能に陥ったという帝国軍にとっては悪夢のような出来事だったそうよ。」

「………………」

「へえ、帝国軍で指折りの実力持ちを一人で倒したなんて相当の腕前だね。」

「そ、それに今の話を聞いて気になっていましたけど、どうやって”アハツェン”を破壊したんですか!?」

「確かクロスベルは条約の関係で強力な兵器は所持できないはずだぞ……まさか”アハツェン”を破壊できるほどの強力な兵器を隠し持っていたのか?」

サラ教官の口から出た信じ難い話にエリオットは口をパクパクさせ、フィーは感心し、アリサは信じられない表情で尋ね、ユーシスは真剣な表情で尋ねた。



「いいえ。信じ難い事に複数の装甲車で包囲して攪乱した後砲口や車輪を集中攻撃して無力化した話はまだマシなんだけど……なんとギュランドロス司令自身が生身で次々と”アハツェン”を破壊したそうよ。」

「へえ。多分装甲車でできる小回りやスピードを最大限に利用したんだろうね。」

「な、生身で”アハツェン”を破壊するって……!普通に考えてありえませんよ!?」

苦笑しながら答えたサラ教官の話を聞いたフィーは感心し、アリサは信じられない表情で声を上げた。

「相手が”普通”ならな。」

「その”六銃士”がエステルさん達みたいな”規格外”だったら話は別だよな?」

「アハハ……実際エステルさん達も生身で”アハツェン”を破壊していましたものね。」

アリサの言葉を聞いたユーシスは呆れた表情で答え、リィンとエマはそれぞれ苦笑していた。



「話を戻しますが……―――メサイア皇女。何故メルキアの皇女の貴女がメンフィルにいるかは一端置いておきまして……これからどうするおつもりですか?皇女がそのつもりならヴァイスさんと会わせる事は可能ですが。」

「……………………―――いえ、必要ありません。皆様のお話に出て来たお父様は転生していても私のお父様ではありませんから。お父様も私に会っても困惑するだけでしょう。」

プリネに尋ねられたメサイアは複雑そうな表情で黙り込んだ後静かな表情で答えた。

「へ……」

「ヴァイスさんがメサイア皇女の知っているヴァイスさんではないってどういう事ですか?」

メサイアの答えを聞いたリィンは首を傾げ、ツーヤは戸惑いの表情で尋ねた。そしてメサイアはリィン達に自分は転移門の事故の関係で並行世界の過去から来た事を説明した。


「過去………しかも”並行世界”ですか……」

「ひ、非常識な……」

「……まあ、セレーネという例を見なければ信じていなかっただろうな。」

「フフ、つくづく世界は不思議で溢れているな。」

「アハハ……でも、メサイア皇女は何故並行世界から来たとわかったんですか?」

事情を聞き終えたエリゼは目を丸くし、マキアスは疲れた表情をし、ラウラは静かな表情で答えて静かな笑みを浮かべているガイウスと共にセレーネを見つめ、セレーネは苦笑した後尋ねた。



「現在のメルキア帝国の歴史を調べた所お父様がメルキア皇帝であった事は間違いないのですが……―――正妃にリセル様を娶り、更にはお母様とフェルアノ様、そしてネネカ様を側室として娶っているのは私にとってはおかしいんです。私が知るお父様は正妃にリセル様、側室にはエイフェリア様を娶り、残りの多くのかつてメルキアと剣を交えて敗北した国の将や姫君は全て妾の扱いでしたから。ちなみに妾の数はお母様を含めて13人です。」

「ええっ!?め、妾が13人!?」

「信じられない程の好色男だな……」

「皇族なら側室や妾が多くいてもおかしくないと思いますが……さすがに全て合わせて15人は多すぎるような気が……」

メサイアの話を聞いたエリオットは驚き、ユーシスは呆れ、エマは冷や汗をかき

「ア、アハハ……」

(ヴァイスさんならありえそうだから、冗談になっていないわよね……)

(……実際、多くの女性達を侍らす事を夢見ているような発言もあったからな……)

ツーヤは冷や汗をかいて苦笑し、プリネは表情を引き攣らせ、プリネの小声を聞いたレーヴェは呆れた表情で呟いた。



「というか、こっちの”黄金の戦王”も大して変わらないと思うわよ?確か”黄金の戦王”は複数の女性と肉体関係を持って全員と付き合って、ハーレムを作る事を公言している事で有名な話だもの。」

「なっ!?そんな風紀を乱すような事をやっていてよくクロスベル警察のトップでいられますね……」

「普通に考えたら、市民達はそんな警察局長、イヤだと思うんだけど。」

苦笑しながら答えたサラ教官の話を聞いたマキアスは驚いた後呆れ、フィーはジト目で呟いた。



「不思議な事に逆にそれで人気が更に高まったのよねぇ。隠す所か堂々とハーレム発言している事は呆れを通り越してむしろ感心に値するくらいだし、かなりのイケメンで性格も男としてかなりいいそうだから、女性達にとっては憧れの的で、”黄金の戦王”と関係を持っている女性達は羨ましがられているそうよ?」

「い、一体どういう人なんだろう……?」

サラ教官の説明を聞いてそれぞれが冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中、エリオットは呟き

「―――とりあえず兄様とどことなく似た男性である事は間違いないでしょうね。」

(確かにそれは言えてるわね♪)

(ふふふ、そうですね。)

ジト目でリィンを見つめるエリゼの言葉を聞いたベルフェゴールとリザイラはそれぞれ興味ありげな表情で頷いた。



「ええっ!?何でだよ!?今の話のどこに共通する部分があったんだ!?」

エリゼの言葉に反応したリィンは驚き

「ア、アハハ……今の状況になってなお、まだ気付いていないんだ……」

「フッ、あまりにも鈍感すぎるといつか本当に刺されるか、状況が自分にとって余りにも不利と判断したアルフィン皇女殿下が部下達に命じてお前を拉致するかもしれないぞ?」

「さすがにそこまでしないと思うが……」

リィンの様子を見たエリオットは苦笑し、ユーシスはからかいの表情になり、ユーシスの言葉を聞いたラウラは冷や汗をかき

「兄様~~~~?」

「リィン~~~?」

「だ、だから何でそこで俺を睨むんだよ!?」

膨大な威圧を纏って目にも見える程の怒気をメラメラさせているエリゼとアリサに見つめられたリィンは戸惑いながら尋ねたが

「「全部、兄様(リィン)が悪いのです(よ)!!」」

「すみません……(ううっ、俺が何をしたっていうんだ……)」

エリゼとアリサに怒鳴られ、肩を落とし

(アハハハハハ!相変わらずご主人様は期待は裏切らないわね♪)

その様子を見ていたベルフェゴールは腹を抱えて笑い

(ふふふ、そうですね。というかこの調子ならひょっとすれば彼女―――メサイアが私達の”後輩”になる可能性が出てきましたね。)

(あ、そう言えばそうね♪あの娘も私達と同じ王族だし♪)

静かな笑みを浮かべるリザイラの推測を聞いてからかいの表情で頷いた。



「クスクス……でも今の話を聞く限り世界は違ってもやはりお父様はお父様のようですね。」

「?どういう事なのですか?」

「女タラシな所が一緒とか?」

微笑みながら答えたメサイアの言葉が気になったアリサは首を傾げ、フィーはジト目で尋ねた。

「フフ、確かにそれもありますが…………―――何よりお父様が最も大切としている言葉―――”皇族である自覚と誇りを持ち、誰よりも皇族らしくあれ”を守り、常に”上”を目指している事ですね。」

「”皇族である自覚と誇りを持ち、誰よりも皇族らしくあれ”……」

「意味深な言葉ですが……一体どういう意味なのですか?」

メサイアの話からでた意味深な言葉を聞いたユーシスは考え込み、ラウラは不思議そうな表情で尋ねた。



「―――元々お父様は”庶子”だったのですが……国の謀によって謀殺された大切な母君に常に言い聞かされたそうです。『半分であろうと貴方には尊い血が流れており、皇族である事に変わりはないのだと。皇族である自覚と誇りを持ち、誰よりも皇族らしくあれ』と。」

「”半分であろうと尊い血は流れている”、か……」

「ユーシス……」

メサイアの話を聞いて静かに呟いて考え込んだユーシスを見たリィンは静かな表情で見守っていたが

「そしてお父様は母君の言葉を証明する為に努力を重ねて若くして”元帥”に就任と同時にメルキア帝国センタクス領主に任命され、その後メルキアの他の領に戦争を仕掛けて”元帥”達を支配、または撃破してメルキア全ての領を手中に治めて、更に周辺国家にも戦争を仕掛けて全て勝利して後に皇帝となったんです。ちなみにお父様は後にこう称えられました――――”簒奪王”と。」

メサイアの口から出た驚愕の出来事の連続に仲間達と共に絶句し

「……何故、同じ国の方々に戦争を仕掛けたのでしょう……?」

「さあ……並行世界の話だから、あたし達にも並行世界のヴァイスさんが何を考えてそうしたのか、わからないよ……」

不安そうな表情で呟いたセレーネの言葉を聞いたツーヤは重々しい様子を纏って答え

「ヴァイスさんが今の話を聞けば並行世界の自分に対してどう思うかしらね?」

「―――さてな。だが、世界は違えど奴には”覇王”の資質が秘められていたようだな。」

プリネに尋ねられたレーヴェは冷静な様子で答えた。 
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