英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第83話
その後グランセルに到着したエステル達はギルドに向かった。エステル達がギルドに入ると、そこには今までの旅で出会った正遊撃士を含めた4人の正遊撃士達がグランセルの受付――エルナンから応援の言葉をもらっていた。
~遊撃士協会・グランセル支部~
「それでは武運を。まあ、皆さんだったら余裕で通過できると思いますが。」
「へへっ、分かってんじゃねえか。」
「出場するからには全力でいかせてもらうよ。」
「そうですよね!軍の連中には負けられません。」
グラッツやカルナの言葉にアネラスは力強く頷いた。
「さてと……。そろそろ出かけるとしようか。……ん?」
3人を促した正遊撃士――リベールNo2と言われ、数少ないA級正遊撃士クルツはエステル達に気付いた。
「えっと……」
「どうも、お邪魔します。」
エステルとヨシュアはクルツ達に挨拶をした。
「あんたたちは……エステルとヨシュアじゃないか。それにメンフィルのお嬢ちゃん達も。それに確かあんた達は孤児院の………なんでここに?」
エステル達に気付いたカルナはミントやツーヤにも気付いて、首を傾げた。
「あ……ルーアンのカルナさん!」
「こんにちは!」
「お久しぶりです。少し事情があって、エステルさん達といっしょに旅をしているんです。」
カルナがいる事に気付いたエステルは驚き、ミントやツーヤはペコリとお辞儀をした。
「そういや、空賊騒ぎの時に一度会ったことがあったっけな。たしか、シェラザードと一緒にいた新人たちだよな?それになんでメンフィルのお前さん達までいるんだ?」
グラッツはエステル達の顔を見て、思い出した後、リフィア達にも気付いて首を傾げた。
「それについては私から説明させていただきます。皆さんは、早く行かないと間に合わなくなると思いますよ。」
「おっと、それもそうだね……。悪いね、2人とも。積もる話はまた後にしよう。」
「それじゃあ、俺たちはこれで失礼するぜ。」
「またね、新人君たちにエヴリーヌちゃん!」
「……失礼する。」
エルナンに促されたクルツ達はエステル達に声をかけた後、ギルドを出て行った。
「は~、あれだけ遊撃士が揃うとなんだか壮観って感じよね。」
「ええ。それにしても遊撃士があれだけ揃うなんて滅多にないのではないですか?」
エステルは去って行ったクルツ達を見て言った事にプリネは同意した。
「うむ。しかも全員正遊撃士の紋章を付けていた。それに一人一人、中々の強さを感じられたな。」
「………そういえばエステル達がつけている紋章と形がちょっと違ったね。あれがエステル達が目指している正遊撃士ってやつなの?」
リフィアは去って行ったクルツ達を評価し、エヴリーヌはクルツ達がつけていた遊撃士の紋章がエステルとヨシュアがつけている紋章と形が異なる事に気付いて、尋ねた。
「そうだよ……。それにしてもみんな凄腕みたいだね。出場するとか言ってたからひょっとして……」
エヴリーヌの疑問に頷いたヨシュアが言いかけた所をエルナンが続けた。
「ええ、お察しの通りですよ。彼らはこれから武術大会の予選に出るんです」
「へ~っ……って。す、すみません!あたし、ツァイス支部から来たエステル・ブライトっていいます。」
「同じく、ヨシュア・ブライトです。」
「ミントです!よろしくお願いします!」
「あたしはツーヤと申します。精一杯がんばるのでよろしくお願いします。」
「余の名はリフィア!余が来たからには大船に乗った気分でいるがいい!」
「私………エヴリーヌ。よろしく。」
「プリネと申します。お姉様共々よろしくお願いします。」
エルナンにエステル達はそれぞれ自己紹介をした。
「私はエルナン。グランセル支部を任されています。キリカさんから連絡を頂いたのであなたたちの来訪は知っていました。早速ですが、転属手続をしていただけますか?」
「はい、わかりました。」
そしてエステル達は転属手続きの書類にサインをした。
「はい、結構です。遊撃士協会、グランセル支部にようこそ。個人的に、あなた達が来るのをとても楽しみにしていたんですよ。たしか、カシウスさんのお子さんたちなんですよね?」
「あ、うん、そうだけど……。やっぱりエルナンさんも父さんの知り合いなのよね?」
「ええ、カシウスさんにはいつもお世話になっています。聞いた話ですと、旅に出たきりお戻りになっていないそうですが?」
エステルの疑問に頷いたエルナンは逆に尋ねた。
「うん……。しばらく留守にするって手紙はあったんだけど……」
「具体的に、どこに行くかは書かれていなかったんです。ロレントからツァイスまで一通り回ってみたんですけど父の消息は分かりませんでした」
「ふむ、そうなると国内にはいない可能性が高そうですね。しかし、参ったな……。現在、軍のテロ対策で王都で遊撃士のメンバーが活動しにくくなっているんです。キリカさんから聞いた件に対策するためにもできればカシウスさんと連絡が取りたかったんですが………そういえばリフィアさん。貴女達にも尋ねたい事があるのですがよろしいでしょうか?」
カシウスと連絡が取れない事に溜息を吐いた後、リフィア達を見た。
「ふむ。何を聞きたいのだ?」
エルナンの言葉にリフィアは首を傾げて、尋ねた。
「…………皇女である貴女達なら詳しいと思うのですが。………率直に聞きます。今回の件――リシャール大佐達のクーデターに対して、メンフィル帝国はどのように動くのですか?」
エルナンは真剣な表情でリフィア達に尋ねた。
「その件か。リウイも言っていたが特に動く事はせず、今回の件は静観するそうだ。」
「え………なんで!?メンフィルってリベールの同盟国なんでしょう!?助けてくれないの!?」
リフィアの答えにエステルは驚いて、リフィア達に尋ねた。
「エステルさん。………申し上げにくいのですが今回の件はあくまでリベール国内の問題です。他国が侵攻して来た等でしたら援護する必要は出てきますが、国自身の問題はあくまで国自身が解決するべき事が通例なんです。ですからメンフィル軍を派遣して、情報部の者達を拘束………と言った事は現状不可能です。」
「そうなんだ………」
申し訳なさそうな表情で語るプリネを見て、エステルは何も言えず、黙った。
「…………やはりそうですか。貴重な情報をありがとうございます。」
「それで、エルナンさん。僕達はどうすればいいですか?」
ヨシュアはこれからの方針をエルナンに尋ねた。
「遊撃士協会の性格上、軍への介入はできませんが……傍観できる状況でもなさそうです。とりあえず、あなたたちはラッセル博士の依頼を遂行していただけますか?」
「もちろん、そのつもりよ。ただ問題なのは、どうやったら、女王様に会えるかなんだけど……」
エステルはどうやって、リベールの国王――アリシア女王に会うかを悩んだ。
「そうですね……。普段なら、協会の紹介状があれば取り次いでもらえるはずなんですが……」
「え、そうなの!?なーんだ♪心配して損しちゃった。」
口を濁しながら言うエルナンの言葉にエステルは反応して、明るい顔をしたがヨシュアは首を横に振って答えた。
「エステル……。そう簡単にはいかないと思う。何といっても、城を守る親衛隊がテロリスト扱いされているんだ。それが何を意味するか分かるかい?」
「え、それってつまり……紹介状を握りつぶされちゃう?」
「うん、その可能性が高そうだ。レイストン要塞と同じくグランセル城もリシャール大佐に掌握されている可能性が高いと思う。」
「うう、やっぱりそっか~……。そうなると、簡単には女王様に会えそうもないわね。………そうだわ!ここにはリフィア達がいるじゃない!リフィア達が女王様に会いたいって言えば正面から堂々と入れてくれるんじゃない!?」
ヨシュアに言われたエステルは唸った後、名案を思いつたかのようにリフィア達を見て、言った。
「エステル、それはやめたほうがいいよ。」
「なんで?」
「確かにリフィア達が名乗れば城には入れてくれるかもしれないけど………下手をしたら、色々理由をつけられて女王様にも会わせてくれない上、城から出られない状況になってしまうよ。」
「あ、そっか。みすみす大佐達の手の平に乗るようなものね………」
理由がわかったエステルは残念そうな表情をした。
「まあ、わざと敵地に入って目的は果たして、暴れながら脱出というのもいいのだがな。」
「キャハッ♪それ、賛成~。」
「あ、あの………さすがにそれはちょっと………………」
プリネはリフィアとエヴリーヌの物騒な提案に冷や汗をかいた。
「うーん……。ここで考えてても仕方ないから、とりあえずお城に行ってみない?うまくすれば、門番あたりから情報が聞き出せるかもしれないし。」
「それは構わないけど……、一つ注意しておくことがある。僕たちが女王陛下に面会しようとしていることは隠しておいた方がいいと思うんだ。リシャール大佐の耳に入ったら妨害される可能性が高いからね。」
「あ、なるほど……」
「確かに、当面は他の遊撃士にも伏せておいた方がよさそうですね。くれぐれも慎重に情報収集を行ってください。」
「わかったわ、エルナンさん。」
「何か分かったら報告します。」
そしてエステル達がギルドを出ようとした時、リフィアが呼びとめた。
「エステル。余達は少しやる事ができた。悪いがお前達だけで行ってくれないか?」
「お姉様?」
「ハァ…………嫌な予感。」
リフィアの提案にプリネは首を傾げ、エヴリーヌは溜息を吐いた。
「え?う、うん。わかったわ。行くわよ、ミント。」
「はーい!どんなお城かな?ミント、とっても楽しみ!」
「ツーヤ、あなたも行ってらっしゃい。せっかく王都に来たのですから、一度は城を見た方がいいですよ。」
「わかりました、ご主人様。」
そしてエステル達はギルドを出た。エステル達が出たのを見送ったリフィアはエルナンにある事を言った。
「さて………エルナンとやら。余達の用事の件だが…………」
「……………え!?…………いいんですか?そんな事をして。」
エルナンはリフィア達の用事を聞いて、驚いて尋ねた。
「うむ!カーリアンも毎年出場している事だし、余達が出場してもおかしくなかろう!まあ、さすがにマーシルンの名は出さないから安心せよ!」
「ハァ~………やっぱり、めんどくさい事になったよ。………でも、遊べるからいっか。キャハッ♪」
「お、お姉様。私も出場するのですか………?」
「当り前であろう。何をおかしな事を言ってる。」
「フゥ……わかりました。気は進みませんがやるからには全力でやらせていただきます。」
リフィアに何を言っても無駄とわかっているプリネは諦めて溜息を吐いた後、気を取り直した。
「うむ。それでこそ、余の妹だ!では、行くぞ!」
「はいはい。」
「はい。」
そしてリフィア達もギルドを出て、ある場所に向かった。
「………やれやれ………どうやら今年の大会は相当荒れそうですね………」
リフィア達を見送ったエルナンはクルツ達も参加しているある大会がどうなるかわからず、溜息を吐いた…………
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