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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第65話

ツァイスに到着後、エステル達は初めて見るツァイスの変わった風景や設備を珍しがったり戸惑ったが一端ギルドに行くため、ティータと別れてギルドに向かった。



~遊撃士協会・ツァイス支部~



「「こんにちは~!」」

「「「失礼します。」」」

「失礼するぞ。」

「こんにちは。」

ギルドに入るとエステルとミントは本当の親娘のように2人揃って元気よく挨拶をし、ヨシュアやプリネ、ツーヤは静かに挨拶をし、リフィアは興味深そうにギルド内を見ながら挨拶をし、エヴリーヌは普通に挨拶をした。ギルドの受付には東方風の衣装を着た女性が瞑想をしていた。

「………………………………」

「あの~、あたしたち、」

瞑想している女性にエステル達は近付いて、エステルが声をかけると女性は目を開き、口を開いた。

「……ようやくのご到着ね。エステル、ヨシュア、リフィア姫殿下、プリネ姫、エヴリーヌ。ツァイス支部へようこそ。」

「へっ……」

「僕たちをご存知なんですか?」

エステル達の事をすでにわかっている風に語った女性にエステルは驚き、ヨシュアは尋ねた。

「ルーアン支部のジャンからすでに連絡は受けていたから。栗色のツインテールに黒髪と琥珀の瞳、2つの房が着いている変わった帽子と紅い瞳に腰までとどいている赤髪と紅い瞳、銀色のツインテールに薄緑の瞳……。まさにあなたたちのことね。」

「な、なるほど……」

次々とエステル達の特徴を言った女性にエステルは圧倒されたかのように呆けた。

「私の名前は、キリカ。ツァイス支部を任されている。以後、お見知りおきを。」

「あ、はい、こちらこそ。」

「「よろしくお願いします。」」

「うむ、よろしくな。」

「よろしく。」

「さっそくだけど、所属変更の手続をしてもらうわ。こちらの書類にサインして。」

受付の女性――キリカはエステルとヨシュアに転属手続きの書類を渡した。

「うん、わかったわ。」



「……いいわ。これであなたたちもツァイス支部所属になったけど……。今のところ、すぐにやって欲しい急ぎの仕事は入ってないの。掲示板をチェックしながら自分たちのペースで働くことね。後、一つ聞きたいのだけどいいかしら?」

エステルとヨシュアのサインを確認したキリカはエステル達に尋ねた。

「うん、何かな?」

「そちらの金髪の女の子と黒髪の女の子はどういった経緯であなた達といっしょにいるの?武装している所を見るとただの市民ではないようだけど……それにその子達、恐らく人間ではないわね?」

キリカはミントとツーヤの容姿や2人が装備している剣や刀を見て、エステル達に尋ねた。

「あ、そうね。実は………」

エステル達はキリカにミント達の事情を話した。

「………そう。それでその子達も戦力として常に連れて歩くつもりかしら?」

「う~ん……本当はこんな小さい時からあんまり危ない事はしてほしくないんだけど、ギルドの人達にミント達の面倒を見て貰う訳にもいかないし、かと言って行く先々の街でいきなりこの子を預けられるような信用のある人はいる訳がないし、何よりこの子の親として寂しい思いはさせたくないのが一番の理由なんだけど……やっぱダメかな?」

「ママ……」

「フフ、エステルさんったらもうすっかり、ミントちゃんの本当のお母さんみたいになっていますよ?」

気不味そうな表情でキリカに説明したエステルにミントは感動し、プリネは微笑んだ。

「うっ……いいじゃない!ミントにとってあたしが母親である事は間違いないんだから。……それでどうかな、キリカさん?」

「一つだけ確認していいかしら。もうその子達は戦わせた事はあるの?」

「うん。カルデア隧道の魔獣達を何体か倒していたけど。」

「少なくとも自分の身は守れる腕でした。無茶はしないと約束させましたから大丈夫だと思います。」

キリカの疑問にエステルは答え、ヨシュアが補足した。

「そう、ならいいわ。その2人はリフィア姫殿下達と同じように協力員として登録しておくわね。」

「いいんですか?」

ミント達がエステル達の仕事を手伝う事を反対もせずあっさり許可したキリカにプリネは驚いて尋ねた。

「協力員は年齢制限がある訳ではないし、本人が希望するのなら拒む訳にもいかないから。戦闘能力もカルデア隧道の魔獣を倒せるぐらいあれば十分よ。」

「そっか。よかったね、ミント。」

「うん!」

「いっしょにがんばりましょうね、ツーヤ。」

「はい、ご主人様。」

「後でその2人の戦術オーブメントも用意しておくわ。ジャンからその2人の事の連絡はなかった所から考えると、まだ持っていないわね?」

「はい。……でもいいんですか?戦術オーブメントまで用意するなんて。」

戦術オーブメントまで用意してくれる事にヨシュアは驚いて、キリカに尋ねた。



「ええ。協力員はある程度遊撃士と同じ待遇になるから。それにいくら魔術が使えるといっても、戦術オーブメントがないと戦闘は厳しいでしょう?」

「そうですね……戦術オーブメントには身体能力を高める機能もありますから、あった方がいいですね。」

キリカの説明にヨシュアは頷いて納得した。

「これって、そんな効果があったんだ。……そう言えばこれを持ってからいつもより力が出たり、体が軽くなったの事が不思議に思ったんだけど……」、

エヴリーヌは腰のベルトにつけていたオーブメントを手にとって不思議そうな顔で呟いた。その様子を見たリフィアは溜息をついた後、尋ねた。

「やれやれ……リウイがお主にそれを渡した時、説明しなかったか?」

「エヴリーヌ、難しいお話は嫌いだから聞き流していたもん。」

「お、お姉様……せめて自分が身につけている物の効果ぐらいはわかっておいて下さい……」

「あはは……そうだキリカさん、聞きたいことがあるんだけど……」

リフィア達の会話に苦笑したエステルはキリカに尋ねたが

「カシウスさんのことね。」

「ひえっ!?」

「それもジャンさんからお聞きになったんですか?」

エステルの疑問を先読みしたかのように答えたキリカにエステルやヨシュアは驚いた。

「一通りのことはね。残念だけど、カシウスさんはツァイス地方には居ないわね。少なくとも、ここ数ヶ月はこの支部を訪れていない。」

「は~っ、そっかあ……」

「残りは王都か、それとも……」

カシウスの手掛かりが相変わらず掴めない事にエステルとヨシュアは溜息をついた。



「ねえねえ、ママ。」

「どうしたの、ミント?」

「ママのパパとママってどんな人?」

「へ?父さんとお母さん?………ん~とね。お母さんは美人で凄っごく優しい人なんだけど、父さんはどこをほっつき歩いているかわからない不良中年よ!全くあの不良中年は今頃、何をしているんだか。」

ミントに両親の事を聞かれたエステルは心配する家族に何も連絡してこないカシウスに弱冠怒りを感じつつ説明した。

「ミントちゃん、どうしてエステルさんのお母さん達が気になったの?」

ツーヤはミントが何故エステルの両親の事を聞いたかわからず、尋ねた。

「だって、ミントにとってはお祖父ちゃんとお祖母ちゃんだもん。どんな人達が凄く気になるもん。」

「父さんとお母さんがと、年寄り扱い………もしお母さん達が聞いたらどういう反応をするんだろう……?」

「ハハ……父さんは案外喜ぶかもしれないよ。母さんは……ちょっとわからないや。まあ、可愛がるとは思うけど孫娘として扱うか、娘として扱うかはわからないな……」

「うう……ミントとお母さんを会わした時、何を言われるか聞くのがなんだか怖くなって来たわ……」

ミントの発言にエステルは驚いた後、レナがどういう反応をするかわからず怖くなり、ヨシュアは苦笑した。



「それとあなた達に渡す物があるわ。これを持っていきなさい。」

エステル達の会話が終わるのを見計らったキリカが手紙を渡した。

「え、これって……」

「中央工房の責任者であるマードック工房長への紹介状。このツァイス地方では市長と同じ立場にいる人ね。」

「ひょっとして……黒いオーブメントの件ですか?」

キリカが工房長への紹介状をエステル達に渡した理由を察したヨシュアがキリカに尋ねた。

「市長邸での話を聞く限り、かなり謎めいた代物のようね。まずは工房長に会って相談してみるといいでしょう。」

「な、なんかメチャメチャ用意いいわね~。キリカさん、超能力者とか?」

「あなた達遊撃士のサポートが私の仕事だから。届けられた情報を判断してしかるべき用意をしただけよ。」

「お、恐れ入りました。」

「助かります、本当に。」

(……プリネ、エヴリーヌ。気付いておるか?)

(ん。ただの人間じゃないね。)

(ええ、あの方……恐らく達人クラスの強さを持っていますね。)

キリカの用意の速さにエステルとヨシュアは驚いた後感謝し、リフィア達はキリカがただ者ではない事を悟った。



そしてエステル達は黒いオーブメントを調べてもらうために中央工房へ向かった………… 
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