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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第64話

~旧校舎~



「シャアッ!!」

戦闘開始早々リィンはクラフト―――紅葉切りで攻撃し

「二の型――――大雪斬!!」

エリゼは跳躍して敵の頭に闘気を纏った太刀を叩きつけた!



「―――――」

一方攻撃された敵は大剣をエリゼへと振るい

「っ!!」

エリゼは太刀で防御したが、体重の軽いエリゼは軽々と吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされたエリゼは空中で受け身を取って着地し

「オオオオオッ!!」

リィンは敵の背後からクラフト―――閃光斬りで奇襲し

「―――――」

「オォォォォオオッ!!」

更に敵が大剣を叩きつけた瞬間、上空へと跳躍して回避すると共にエリゼの剣技をコピーするかのように剣技―――大雪斬で追撃した。

「―――――」

リィンに攻撃された敵は片手でリィンを殴りつけようとしたが

「貫け、烈輝の陣!レイ=ルーン!!」

「!?」

後方から放ったエリゼの魔力が凝縮されたレーザーを受けて怯み

「シャアッ!!」

リィンは電光石火の速さで人形兵器に斬撃を叩きこむと共に正面に現れ

「オオオオッ!!」

更に斬撃波を放った!



「あれは”裏疾風”!?”大雪斬”もそうだけど、私の剣技のいくつかは兄様は教えてもらっていないはずなのに……!―――――!それより、今の内にエリスを安全な所に退避させないと……!」

リィンが放った剣技の正体がわかっていたエリゼは驚いた後すぐに気を取り直し、リィンが人形兵器と戦っている隙に二人の様子から一切目を離さずエリスを安全な場所へと運んでいた。

「―――――――!!」

一方敵は自身が受けた傷を回復すると共に自身の物理攻撃、防御能力を上昇させるクラフトで自身を強化してリィンに大剣を振り下ろしたが

「オオオオッ!!」

リィンは太刀を鞘に収めて抜刀の状態で人間離れした動きで攻撃を回避し

「シャアッ!!」

「!?」

太刀を抜刀すると共に刀気の輪を敵に命中させた!



「……………………」

剣技―――光輪斬を放ち終えたリィンはその場で目を閉じて自分が今まで出会った剣を武器に戦う者達―――リウイ、プリネ、ツーヤ、レーヴェ、ラウラ、ユーシス、エリゼ、ヨシュア、ミント、領邦軍との戦いで棒を使いながらも時折神剣で戦っていたエステル、そして自分に八葉一刀流を教えてくれた”剣仙”ユン・カーファイの技を思い浮かべた後、自分が”使える”と判断した技を放つ構えをした。

「オォォォオオオッ!!」

太刀を構えたリィンは刀身に闘気による真空の刃を纏わせ

「シャアッ!!」

敵に向けて解き放った!

「!?――――!」

リィンが放った使い手はごく少数しかいない剣技であり、エステルとヨシュアが使っていた異世界ディル・リフィーナの東方に伝わりし伝説の剣技―――”飛燕剣”の”燐の型”―――紅燐剣によって全身に真空の刃を受けた敵はリィンに向けて巨大な大剣を叩きつけて反撃したがリィンは常人では決して見えぬスピードで回避し

「潰レロッ!!」

闘気を込めた太刀を地面に叩きつけた!するとその瞬間大地が揺らぐと共に衝撃波が敵を襲い

「!?」

ミントが使っていたゼムリア大陸でその名を轟かせるリベールの”英雄”にして”守護神”――――”剣聖”カシウス・ブライト直伝の技――――裂甲断を受けた敵は怯み、その瞬間を狙ったリィンは再び抜刀の構えをし

「シャアッ!!」

敵から離れた状態で抜刀した。すると抜刀による斬撃波が敵の片腕を切り落した!

「!?」

リィンが放ったツーヤが使う我流剣技―――十六夜”斬”によって片腕を切り落された敵は驚き

「死ネッ!!」

その隙を逃さないかのようにリィンは敵の背後に現れて居合い切りを叩き込んだ!

「―――――」

ヨシュアが扱う隠密の技―――朧を受けた敵は振り向いて大剣を叩きつけたがリィンは一瞬で回避して敵から距離を取り

「オォォオオオ――――――――ッ!!」

太刀に膨大な闘気と魔力を纏わせて炎の剣と化させ

「シャアアアアア――――――ッ!!」

敵に詰め寄って連続で斬りつけた後回転斬りと共に炎の竜巻を発生させた!

「!!??―――――」

父親であり、ゼムリア大陸にその名を轟かし、エレボニア帝国の武の名門である”アルゼイド流”の師範を務める”光の剣匠”ヴィクター・S・アルゼイド直伝のラウラの奥義であるアルゼイド流奥義――――洸刃乱舞に炎の魔力を纏わせた奥義――――焔刃乱舞で大ダメージを受けた敵は反撃をしたが、リィンは再び一瞬で回避して敵から距離を取り

「オォォォオオオオォォオッ!!」

「!?」

ヨシュアが扱える膨大な殺気を纏わせた冷たい視線―――魔眼で敵の動きを止めた!

「ッシャアアアアアッ!!」

動きを止めた瞬間を好機と判断したリィンは様々な攻撃を次々と叩き込み始めた!



リィンに秘められている謎の力はベルフェゴールとリザイラがリィンに時折施していた”性魔術”によって得た力を存分に使うかのように次々と本来のリィンは習得していないはずの様々な人物の剣技を敵に叩き込んで、エリゼがエリスを退避させた頃にはリィンは敵をかなり弱らせていた。



「グッ…………オオオオッッ…………!」

敵との戦闘や謎の力によって力を消耗して疲弊していたリィンは胸を抑えた後天井に向けて咆哮しながら今までの”特別実習”で共に協力したクラスメイト達の顔を思い浮かべた。

「な、なんだ……!?」

「”力”を……抑えようとしてんの!?」

「兄様…………」

リィンの行動を見たパトリックとクロウは戸惑い、エリゼは心配そうな表情で見つめ

(さてと。そろそろ私達が止めてあげるべきかしら?そろそろ止めないと不味そうだし。)

(――いえ、どうやらその必要はなさそうですよ?)

リィンを止める為に行動を始めようとしたベルフェゴールにリィンの様子を見守っていたリザイラが制止した。するとその時リィンは元の姿に戻った!



「ぐうっ……はあっ、はあっ…………こ……これ以上……呑みこまれてたまるか…………」

正気に戻って疲弊しているリィンを見た敵はゆっくりと近づき

「くっ………(幸いエリスはエリゼが安全な場所に運んだ……後はこいつを倒すだけだ……あの冬の日を……自分自身を取り戻すためにも!)」

倒れているエリスに視線を向けたリィンは決意の表情で敵を睨んで武器を構え直した。



そして敵が大剣を振り上げてリィンに攻撃しようとしたその時

「そらっ!!」

「二の型―――洸破斬!!」

銃撃と衝撃波が武器を持つ敵の片腕に命中し、攻撃が命中した敵は攻撃が来た方向に振り向いた。

「え――――」

驚いたリィンが振り向くとそこには太刀を構えたエリゼと両手に2丁の導力銃を持ったクロウがいた。

「あの”冬の日”の二の舞にはさせません、兄様!今度はあの時と違って私もいます!」

「加勢するぜ、後輩ッ!パトリック坊やは嬢ちゃんを頼んだからな!」

「ぼ、坊やは止めろ!」

そしてクロウの指示によってパトリックはエリスにかけより、クロウとエリゼはリィンにかけよった。



「すまない、エリゼ!先輩もすみません!」

「おうよっ!ARCUSの戦術リンクも試すぞ!」

「―――来ますっ!」

そしてエリゼとクロウを加えたリィンは再び戦闘を開始した!


「「スゥゥゥ………ハッ!!」」

敵と対峙したリィンとエリゼはクラフト―――軽功で自身の身体能力を上昇させ

「喰らいなっ!!」

クロウは2丁の導力銃で広範囲を攻撃するクラフト―――ダブルクイックで攻撃した。

「!?」

全身に銃撃を受けた敵は怯み

「そこだっ!!」

クロウのARCUSと戦術リンクを結んでいたリィンはその隙を逃さないかのように追撃し

「五の型―――光鬼斬!!」

エリゼは強烈な居合い斬りを敵に命中させた!



「―――――」

するとその時敵は大剣を掲げて雷を異空間から降らせ、降り注ぐ雷はリィン達に命中した!

「グッ!?」

「ギャッ!?」

「いてっ!?」

上からの奇襲にリィン達は怯んだが

「――――」

「「!!」」

「あぶねっ!?」

敵が大剣を振り下ろした時リィンとエリゼは左右に跳躍し、クロウも素早い動作で横に跳躍して回避した。



「今、傷を回復して差し上げます!………………」

そしてエリゼは魔術の詠唱を開始し

「――――」

無防備のエリゼを目標に変えた敵はエリゼを攻撃しようとしたが

「させるかっ!四の型――――紅葉切りっ!!」

「!?」

リィンの剣技を受けて怯み

「先輩!」

「おうよっ!!」

リィンと戦術リンクを結んでいるクロウの追撃で更にダメージを受けた。



「光よ、我らに癒しの慈悲を!――――癒しの風!!」

「ありがとう、エリゼ!」

「サンキュー!」

そして詠唱を終わらせたエリゼは治癒魔術で自分達の傷を回復した。



「さ~てと。とっとと決めちまうか!」

クロウは不敵な笑みを浮かべて両手を広げて2丁の導力銃から特殊な弾丸を乱れ打ちした。すると弾丸は敵を包囲する形で止まり

「―――クロスレイヴン!!」

クロウが指を鳴らした瞬間を合図に一気に敵に襲い掛かって爆発を起こした!



「後輩、嬢ちゃん!可愛い妹を傷つけた怒りをぶつけてやれっ!」

「はいっ!エリゼ、行くぞっ!」

「はい、兄様!」

そしてリィンの号令を合図にエリゼはリィンと共に敵を挟み込んだ後剣技―――”疾風(はやて)”を何度も交互に叩き込んだ。すると二人の”疾風”によって広範囲にカマイタチが発生して敵の全身を切り裂き

「焔よ、我が剣に集え!」

「吹雪よ……お願い!」

それぞれ技を放ち終えて敵を挟み込む位置にいるリィンは太刀に闘気によって発生した炎を纏わせ、エリゼは魔力によって発生した吹雪を太刀に纏わせ、互いの目を見て同時に頷いた後敵に突撃して斜め十字(クロス)の斬撃を叩き込んだ!

「「氷焔ノ太刀!!」」

「――――――――!!??」

リィンとエリゼの協力技(コンビクラフト)――――氷焔ノ太刀を受けた敵の中心部では炎と氷の太刀がぶつかり合った際に発生した水蒸気爆発が起こり、爆発によって発生した煙が消えると敵は地面に倒れて2度と動かなくなった!



「はあっ…………はあっ…………」

「……はあはあ……ったく…………」

「何とか……倒せましたか……」

敵の沈黙を確認したリィン達はそれぞれ疲れた表情で地面に膝をついた。



「こういう修羅場は半年前に卒業してるっつーの……」

「まだまだ修行が足りません……」

クロウは苦笑し、エリゼは疲れた表情で呟き

「はは……助かりました……でも先輩……ARCUSが使えたんですね?」

「おう……お前らⅦ組のための試験導入に参加してな……トワやジョルジュ、ゼリカたちとはその時からの付き合いってわけだ……」

「そう……だったんですか……エリゼ……大丈夫か……?」

クロウがARCUSを持っている理由を聞いたリィンはエリゼに視線を向け

「ええ……問題ありません。」

「そっか……よかった……」

エリゼの答えを聞き、安堵の溜息を吐いた。



「……にいさま……ねえさま……」

するとその時エリスが目を覚ましてリィンとエリゼに微笑んだ。

「エリス……!」

「よかった……目を覚ましたのね……!」

エリスの様子に気付いた二人はそれぞれエリスにかけより、リィンがエリスの身体をゆっくりと起こした。



「だ、大丈夫か!?どこか痛む所はないか!?」

「ええ……地響きに足を取られて転んでしまっただけで……それに……兄様が守ってくれましたから……あの日みたいに……ううん、あの日とは違う形で……姉様と一緒に私を…………そうですよね……?」

「エリス……ああ。何とか乗り越えられたよ。」

「兄様…………」

「ふふ、よかった…………」

リィンの答えを聞いた姉妹はそれぞれ明るい表情をした。するとその時サラ教官やレーヴェを加えたⅦ組のメンバーがエレベーターで降りてきた。

「あ…………」

「っと、どうやら揃ってご到着のようだな。」

そしてエレベーターから降りたⅦ組の面々は次々とリィン達に駆け寄った。



「リィン、大丈夫!?」

「エリスさんは……よかった、無事みたいだね!」

「お二人とも無事で何よりです……」

リィン達にかけよったアリサはリィンを心配し、無事な様子のエリスを見たエリオットやプリネは安堵の溜息を吐いた。



「こ、これは……」

「巨大な甲冑……?」

一方地面に倒れているリィン達が倒した甲冑に気付いたマキアスとガイウスは驚き

「……暗黒時代の魔導の産物のようだが。」

「どうやら尋常ならざる事態が起きたようだな……」

「……ん。激闘の後みたい。」

ユーシスとラウラ、フィーは真剣な表情で甲冑を見つめ

「一体この旧校舎にはこういう存在が後どのくらい残っているのでしょう……?」

「さてな………しかし気になるのは一体何故ここに迷い出たかだ。」

ツーヤの言葉に続いたレーヴェは真剣な表情で考え込んだ。



「みんな、サラ教官とレオンハルト教官も……」

「エリスと兄様の為にかけつけてくれて……本当にありがとうございます。」

自分達の為にかけつけてくれたⅦ組の面々をリィンとエリゼは感謝し

「ふう……やれやれだ。」

何事もなく無事に終わった事にパトリックは安堵の溜息を吐いた。



「えへへ、でも妹さんも含めてみんな無事みたいだね?」

一方Ⅶ組の面々と一緒にかけつけたトワは嬉しそうな表情をし

「おお、聞いていた以上の美少女っぷりじゃないか……!しかも双子とは……!」

アンゼリカは目を輝かせてエリゼとエリスを見つめ

「ふーむ、その扉と甲冑はちょっと調べてみたいなぁ。」

ジョルジュは興味ありげな表情で赤い扉と甲冑を見つめた。



「ったく……マイペースなヤツらだぜ。サラ教官とレオンハルト教官も。駆け付けるのが遅いっつーの。」

トワ達の様子を苦笑しながら見守っていたクロウはサラ教官達に視線を向け

「ゴメンゴメン。でも何とかなったみたいね。どうやらその巨大な扉からデカブツが現れたみたいだけど……」

「現れた瞬間を見ているのか?」

サラ教官は苦笑した後真剣な表情でレーヴェと共にエリスを見つめた。



「はい……私、ちょうど見ていて……」

「……俺達の話と合わせて詳しく報告させてもらいます。」

そしてリィン達が事情を説明し始めたその頃何かを考えていたエマは厳しい表情である方向を見つめた。

「………………………………」

エマが睨んだ方向にいたセリーヌはエマの睨みに対し何も答えず、すました顔でエマから視線を逸らした。 
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