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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第42話

~王都グランセル・波止場~



エステル達が波止場に到着した時、シェラザードとルークは何かの気配に気付いて足を止めた。

「はっ……!」

「何か来るぞっ!」

するとかつて特務兵達に従っていた軍用犬達が現れた!

「や、やけに凶悪そうなワンちゃんたちやねぇ……」

「今にも襲い掛かってきそうですね………」

牙をむき出して自分達を睨んでいる軍用犬達をケビンは冷や汗をかいて苦笑し、ステラは不安そうな表情をした。

「特務兵の軍用犬……!」

「うふふ、相変わらず躾のなっていないワンちゃん達ね。」

「……来るわ!」

そしてエステル達は戦闘を開始した!



軍用犬達は牙をむき出してエステル達に飛びかかってきたが

「「烈震!天衝!!」」

ルークとエステルが同時に地面から発生させた衝撃波に呑みこまれて怯み

「ブラッディブレイズ!!」

怯んでいる隙に軍用犬の一体にレンは双銃で集中攻撃をして撃ち殺し

「そらっ!」

「えいっ!」

ケビンとステラはそれぞれの遠距離攻撃武器で軍用犬達の頭を攻撃し、ケビンのボウガンの矢によって脳を貫かれた軍用犬はセピスをいくつか落として消えたが、非力のステラの攻撃では鍛えられた軍用犬は殺し切れず、軍用犬は自分を攻撃した相手―――ステラに飛びかかり、ステラは落ち着いた様子で軍用犬を見つめ

「ブランディス!!」

その場で両手に持ったチャクラムを持ちながら回転して飛びかかって来る軍用犬を弾き

「双牙斬!!」

弾かれた軍用犬をルークが剣技で止めを刺した!



「は~、ビックリした。でも『お茶会』の場所はここで間違いないみたいやね。」

「うん……そうね!」

「さあ、慎重に進むわよ!」

「………………(ユウナはやっぱり結社にいるようね………敵になるのなら、容赦しないわよ。)」

そしてルーク達が先を進んでいると倉庫番達を武器で脅している特務兵達を見つけ、戦闘によって特務兵達を無力化したルーク達が倉庫番達に事情を聞くと、特務兵達の仲間達が『不戦条約』時に2大国に進呈される新型のエンジンを奪った事を聞き、話を聞いたルーク達が急いで奥に向かうとそこには倉庫で無力化した特務兵達が気絶する寸前に呟いた人物―――カノーネ大尉と複数の特務兵、そして特務兵に拘束されたデュナンがいた。

「フン、やはり来たわね。」

「カノーネ大尉!」

「フン、元大尉ですわ。犬どもが騒がしかったからもしやと思って出てみれば……。遊撃士というのはよっぽど鼻が利くみたいね。」

「うふふ、オバサン達ほどじゃないわよ。」

不愉快そうな様子で自分達を見つめるカノーネを挑発するかのようにレンは小悪魔な笑みを浮かべ

「なめんじゃないわよ!あんな真似をしておいて!しかも関係ない子まで……絶対に許さないんだからね?」

エステルはカノーネを睨んで怒鳴った。



「何を言ってるのかしら?私はただ、公爵閣下の王位継承をお手伝いするだけ。部外者はすっこんでいなさい。」

「はあ!?公爵さん!?あんたまた馬鹿なことを……」

カノーネの話を聞いて驚いたエステルはデュナン公爵を睨んだが

「だ、誰がこのような無謀な計画に荷担するかっ!こ、こやつらは私のことを利用しようとしているだけだ!」

デュナン公爵は心底嫌そうな表情で否定した。

「何か本気で嫌がっているようにしか見えないぞ?」

「もしかしたら、脅されているのではないでしょうか?」

デュナン公爵の様子を見たルークとステラは推測し

「元大尉さん、いい加減本音を言ったらどうかしら?本当の目的はリシャール大佐の解放でしょう?」

カノーネ達の狙いに気付いていたシェラザードはカノーネに視線を向けて尋ねた。

「ええっ!?」

「まあ、肝心の『輝く(オーリオール)』は王城の地下にはなかったんだし、例えアリシア女王の身柄を手に入れたとしても唯のテロリスト扱いされるだけ………残る目的と言えばそれぐらいだものねえ?」

シェラザードの推測を聞いたエステルは驚き、レンは小悪魔な笑みを浮かべてカノーネ達を見つめた。



「うふふ、そこまで判っているなら話が早い……。―――これより『再決起作戦』を開始する!あなたたち!2分間だけ持たせなさい!」

「イエス・マム!」

カノーネは特務兵達に指示をした後、数名の特務兵達と倉庫の中に入った。

「こら、待ちなさいよ!公爵さんはともかくユウナは解放してくれても……」

ルーク達はカノーネを追おうとしたが、特務兵達に道を阻まれた。

「大尉殿の決意と覚悟、邪魔させるわけにはいかん!」

「来い、ギルドの犬ども!」

「こ、この~っ……」

「いい度胸ね……可愛がってあげるわ!」

そしてルーク達は倉庫を守る特務兵達と戦闘を開始した!



「「喰らえっ!!」」

刃がついた手甲を装備する特務兵達はルーク達に突撃し

「「死ね、遊撃士共っ!!」」

銃を持つ特務兵達はそれぞれ銃口をルーク達に向けたが

「そらっ!!」

「レイシレーゼ!!」

「「グッ!?」」

ケビンが放ったボウガンの矢とステラが両手からそれぞれ投擲したチャクラムが命中するのが早く、それぞれの攻撃が命中した特務兵達は呻き

「空破!絶風撃!!」

「空破!絶掌撃!!」

「「ガッ!?」」

さらに一瞬で詰め寄って攻撃を繰り出したルークとレンの攻撃を受けて地面に膝をついた。



「ハァァァァ………!!」

エステルはその場で回転して突撃して来た特務兵達を弾き飛ばし

「そこっ!もう一つっ!」

「ぐっ!?」

「ががっ!?」

シェラザードは鞭を次々と振るって特務兵達を吹っ飛ばした。

「まだ……だ……!」

「我らをこの程度で倒せると……思うな……!」

吹っ飛ばされた特務兵達は自らに喝をいれて立ち上がって、技―――影縫いで襲い掛かってきたが

「―――光よ、罪深きものに裁きを!レイ!!」

「「ぐあっ!?」」

ステラが発動した術によって発生した頭上から降り注いだ光のレーザーの雨をその身に受けて怯み

「せいっ!」

「はぁっ!」

「「ガッ!?」」

そこにエステルとシェラザードの一撃を受けると地面に跪いた。



「く、くそっ……」

「何て奴等だ……」

「往生際が悪いわよ!ほら、とっととどきなさい……」

ルーク達の攻撃によって蹲って呟いている特務兵達にエステルは怒鳴ったその時、倉庫の扉が突如内側からへこんだ!

「わわっ……」

「な、なんや!?」

「ほ、砲撃!?」

突然の出来事にエステルやケビン、ステラは驚き

「まさか……これが設計図の……」

「ええ。やっぱり戦車だったようね……」

「ったく、こんな所に隠していたのに何で今までバレなかったんだ!?」

事情がわかっているシェラザードやレンは真剣な表情で呟き、ルークは疲れた表情で声をあげた。



「ははは……間に合ったようだな……」

「じょ、情報部に栄光あれ!」

そして特務兵達が高々と叫んだその時扉が何かによって吹っ飛んだ!

「きゃああっ!」

「こ、こいつは……」

吹っ飛ばされた扉の破片にエステルは怯み、ケビンは真剣な表情で倉庫を見つめると、なんと大型の戦車が倉庫の中から姿を現した!

「せ、戦車……!?」

「これが『オルグイユ』……」

戦車――オルグイユが進んで来るとルーク達はオルグイユに轢かれない為に慌てて後退した。



「どうかしら……この『オルグイユ』は?情報部が独自に開発していた最新鋭・高機動の導力戦車よ。火力はエレボニア製戦車の2倍―――ほぼ警備飛行艇に匹敵するわ。」

オルグイユを見て驚いているルーク達に戦車のハッチの中からカノーネが出てきて、勝ち誇った笑みで答えた。

「ひ、飛行艇に匹敵!?」

「また、ゴッツイもんを……」

「ム、ムチャクチャだわ……」

「そんなとてつもない戦車を持ち出すなんて戦争でも起こすつもりなんですか……?」

「というか幾らスペックが既存の戦車よりも高いとはいえ戦車一台で王都を制圧できると本気で思っているのかしら?」

目の前の戦車のスペックを知ったルークは驚き、ケビンは疲れた表情で溜息を吐き、エステルは呆れ、ステラは不安そうな表情をし、レンは呆れた表情でカノーネを見つめた。



「これを動かせるだけの高出力なエンジンがなかったので完成一歩手前で保管されたけど……。まさか『アルセイユ』の新型エンジンが手に入るなんてね。うふふ、空の女神はわたくしに微笑んだみたいね。」

「ちょ、ちょっと……。そんなものを使って何をするつもりなのよっ!?」

「言ったでしょう。公爵閣下の即位を手伝うと。そのためには女王陛下に認めていただかなくてはねぇ。」

「ま、まさか……」

「狙いはアリシア女王かよ!?」

エステルの疑問に答えたカノーネの説明を聞いたシェラザードとルークが血相を変えて叫んだその時

「ははは!今ごろ気付いても遅いわ!この『オルグイユ』ならたやすく城門も粉砕できる!城詰めの部隊も敵ではない!お前たちはせいぜい指をくわえて見ていなさい!」

勝ち誇った笑みで声を上げて笑ったカノーネはオルグイユの中に入り、オルグイユを進ませた。自分達を轢くつもりで進んできたオルグイユを見たルーク達は左右に分かれて回避した。

「し、しまった……!」

「追いかけるわよ!」

そしてルーク達は急いでオルグイユの後を追い始めた。



「ふふ……完全に引き離せたようね。このまま城を占拠して女王陛下を拘束できれば……」

エステル達を引き離した事をオルグイユのハッチから確認したカノーネが不敵な笑みを浮かべたその時、砲弾がオルグイユの近くに撃ちこまれた!

「な……!?」

予想外の砲撃に驚いたカノーネが砲撃が来た方向を見つめるとそこにはユリア大尉率いる親衛隊が大砲らしき導力の大型武器を設置して待ち構えていた!

「ふう……どうやら間に合ったようだな。」

「お、王室親衛隊……!それに……ユリア・シュバルツっ!」

「久しぶりだ、カノーネ。まさかお前とこんな場所で相見えることになろうとはな。」

「あなたたち……どうしてここに!?レイストン要塞で飛行訓練をしていたのではなくて!?」

予想外の敵の登場に驚いたカノーネはユリア大尉を睨んで叫んだ。



「シード中佐から緊急の応援要請があってね。どうやらグランセル市街で変事が起こるのを読まれていたらしい。そこで我々が飛んで来たわけさ。」

「くっ……ただの昼行灯(ひるあんどん)かと思えば……」

「中佐はリシャール大佐と同じくカシウス准将の元部下だからな。侮ったお前のミスということだ。」

「どうやらそのようね……。それで、あなた達。何をしようというのかしら?」

「なに……?」

「アルセイユに搭載された移動式の導力榴弾砲……。そんなものでこの『オルグイユ』に対抗できるとでも思って?」

眉を顰めているユリア大尉にカノーネは不敵な笑みを浮かべて尋ねた。

「対抗できぬまでも足止めくらいはできるさ。じきにシード中佐の部隊もこちらに到着するはずだ。投降した方が身のためだぞ。」

「うふふ……。アーハッハッハッ!」

「……なにがおかしい。」

自分の警告を聞いて突如笑い出したカノーネが理解できないユリア大尉は訝しがって尋ねた。



「相変わらずね、ユリア……。真っ直ぐで凛とした気性は士官学校の頃のまま……。昔から顔を合わせるたびにいがみ合ってきたけれど……。わたくし、あなたのそういう所は決して嫌いではなかったわ。」

「カノーネ……それは私の方も同じだ。」

「でもね……。リシャール閣下の解放を邪魔するなら容赦しないわ!」

「!!仕方ない……。1番、2番共に発射用意!戦車の足を止めるぞ!」

カノーネの固い決意に説得を諦めたユリア大尉は親衛隊員達に指示をした。

「イエス・マム!」

親衛隊員達が導力榴弾砲にエネルギーを充填し始め

「撃て――」

ユリアが号令したその時、オルグイユに装着されてあった漆黒のオーブメント『ゴスペル』が妖しく輝き、ユリア大尉達の周りの導力が全て停止し、導力で動いている榴弾砲も停止した。



「な……!?」

「だ、だめです!機能停止しました!」

「くっ……導力停止現象か!?だが、そんな事をすれば肝心の戦車だって……」

導力が停止した事に焦ったユリア大尉がオルグイユを見たその時、なんとオルグイユは動き始めた!

「ば、馬鹿な!どうして動ける!?」

そしてオルグイユは砲弾や高出力の導力を放って導力榴弾砲を破壊した!

「なっ……」

さらにオルグイユは銃弾をユリア大尉達に向けて連射して放った!

「うおっ……!?」

銃弾を受けたユリア大尉達は傷つき、跪いた。



「周囲の導力器を停止しながらも接続した機体は動かせるユニット……。うふふ……予想以上の力ですわね。」

「くっ、カノーネ……。その『ゴスペル』はいったい……」

「うふふ、ある筋から入手したのよ。『実験』を手伝うのと引き換えにね。」

表情を歪めて自分を見つめるユリア大尉の様子を見たカノーネは勝ち誇った笑みを浮かべて答えた。

「な、なによあれ!?」

「新型ゴスペルを使った”身喰らう蛇”の実験……!こ、こんな形でやるなんて!」

「そ、それより……どうやって戦車を止めましょう!?」

「一番妥当なのは動けないようにする為に車輪を狙って集中攻撃する事だけど……アーツが使えない事が痛いわね。ま、剣でもできない訳じゃないからこの際試すべきかしらね?」

(仕方ねえ。こうなったら”超振動”で――――)

一方追いついてきて、状況を見たシェラザードとエステルは驚き、ステラは不安そうな表情で呟き、レンとルークは真剣な表情で考え込んでいた。するとその時

「ちっ……マズイな。アレが動いている間はアーツの類も使えへん。こうなったら……奥の手を使うしかなさそうや」

舌打ちをしたケビンが解決方法を口にし、その言葉に驚いたルーク達はケビンに注目した。



「エステルちゃん、シェラの姐さん、ルークの兄さん、レンちゃん、ステラさん。今からやる事が成功すれば少しの間だけあのオーブメントを停止させることができるかもしれん。そのスキに戦車を足止めするで。」

「ハアッ!?」

「なんですって!?」

「そ、そんなことできるの!?」

「あら。」

「一体どんな方法で止めるんですか?」

「確率は五分と五分……。せいぜいみんな、女神に祈っといてくれ。」

自分の提案にルーク達が驚いている中、ケビンは懐から杖を取り出した。

「あ……それって確か!?」

「『封じの宝杖』……。ダルモア市長が持ってたご禁制のアーティファクトや!」

そしてケビンは『封じの宝杖』を持って、オルグイユに突進し

「喰らえッ!」

怪しい光を出しているオーブメントに『封じの宝杖』を叩きつけた!

「きゃあああっ!」

叩きつけられた際に発生した衝撃にカノーネが悲鳴を上げると同時にまばゆい光が辺りを包み、光が収まると周囲の導力が正常に稼働し始めた。また、ゴスペルは故障したのかバチバチと電撃を迸らせていた。



「しょ、照明が戻った……。導力停止現象が止まったのか!」

オルグイユの銃撃によって負った傷を持っていた薬で回復し、レイピアを構えていたユリアは導力が戻った周囲の状況を見回して驚いた。

「そ、そんな……。あなた、一体何をしたの!?」

「へへ、大したことはしてへんよ。アーティファクトが壊れる時に解放される膨大な導力を叩きつけてやっただけや。さすがのゴスペルも壊れたみたいやね。」

「ば、馬鹿な……」

切り札が無効化されるというありえない出来事にカノーネは信じられない表情をし、そこにエステル達が駆け付けてきた。

「ケビンさん、ナイス!」

「やったわね、神父さん!」

「やるじゃねえか!」

「凄いです……!」

「うふふ、レンも神父さんの手際には感心したわ♪」

「いや~、それほどでも。」

エステル達の賛辞の言葉にケビンは照れていた。



「くっ……だからどうしたというの!ゴスペルなど使えなくてもお前たちごとき敵ではない!『オルグイユ』の力、見せてやるわ!」

そしてカノーネは再びオルグイユの中に入り、オルグイユを起動させた。

「ユリア大尉!ゴスペルがショートした影響で戦車の機能も低下しとるはずや!足止めするなら今しかない!」

「そうか……わかった!」

ケビンの説明にユリア大尉は明るい表情で頷いた。

「ユリアさん、よろしく!」

「先生直伝の剣技、見せてもらうわ!」

「フッ……心得た!」

そしてユリアを加えたエステル達はオルグイユとの戦闘を始めた! 
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