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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第32話

~領邦軍詰所・地下区内~



「ここか……!」

「いかにもな地下牢だね。」

「……人の気配を感じる。多分この地下牢にいるね。」

「ああ、きっとどこかに―――」

地下牢を見つけたリィンやフィー、ヨシュアとユーシスが呟いたその時

「その声は……!?」

聞き覚えのある男子の声―――マキアスの声が地下牢から聞こえてきた。

「マキアスさん……!」

そしてリィン達はマキアスが閉じ込められてある地下牢に駆け寄った。



「よかった………特に痛めつけられるような事はなかったようですね。」

傷ついていない様子のマキアスを見たツーヤは安堵の表情をし

「君達……一体どうしてここに?この状況で、領邦軍の連中が僕を解放するわけが……!ま、まさか忍び込んできたのか!?」

リィン達の救助を信じられない表情で見つめていたマキアスはすぐにリィン達が秘密裏に救助しに来た事に察して驚いた。

「ああ、バリアハートの地下水道を通ってね。」

「とりあえず開くね。」

フィーは牢屋の扉の取っ手に爆薬を仕掛け

「いったい何を―――」

フィーの行動にマキアスが戸惑ったその時、取っ手の部分が爆発し、扉が開いた!



「なあっ……!?…………………」

「アハハ……まだ持っていたんだ。」

「一体どれだけ持っているのだ?」

その様子を見ていたマキアスは驚いた後口をパクパクさせ、エステルは苦笑し、メティサーナは呆れていた。

「ま、まあ今のについては後ほどゆっくり……」

「時間がない。とにかく脱出しよう。」

「この場をしのげれば何とか誤魔化せるはずだ。」

「領邦軍がかけつけて来ない内に早く。」

「わ、わかった……!」

エマやリィン、ユーシスとヨシュアの言葉に頷いたマキアスは急いで牢屋を出た。



「……ありがとう。しばらく出られないと覚悟していたところだった。………そう言えば貴女達は誰ですか?よく見たら天使?みたいな方までいますし……」

リィン達に感謝したマキアスは初対面のエステル達を不思議そうな表情で見つめ

「遊撃士のエステルよ。リィン君達が君の救助について話し合っていたのがたまたま聞こえてきたから、遊撃士としてリィン君達を手伝っているのよ。」

「同じく遊撃士のヨシュアで、そちらの天使の名前はメティサーナ。訳あって僕達の手伝いをしてくれているんです。」

「エステル達の手伝いの為でもあったが、天使として不当な理由で拘束されている事を見逃す訳にもいかなかったから、メティ達がこうして助けにきたんだ。感謝するがいい!」

「遊撃士の方達だったんですか……見ず知らずの僕なんかの為にわざわざ危険を冒してまでここに助けに来てくれるなんて、本当にありがとうございます。―――しかし、リィンやエマ君達はともかくまさか君まで来るとはね。」

エステル達の事情を聞き、目を丸くした後エステル達に感謝の言葉を言い、自分と険悪な仲が続いているユーシスを信じられない表情で見つめた。



「フン、貴様のベソをかいた顔を確認しに来ただけだ。それと……父にこのくらいは一矢報いようと思ってな。」

「そうか…………」

ユーシスの説明を聞いたマキアスは真剣な表情でユーシスを見つめた。

「なんだ……?」

「……どうして話し声が……」

その時、兵士達の声が聞こえてきた!



「あっちゃ~……もう駆けつけてきたようね。」

声を聞いたエステルは疲れた表情をし

「チッ……」

ユーシスは舌打ちをした。するとその場に領邦軍の兵士達が3人駆けつけてきた!



「お、お前達……!」

「ユ、ユーシス様……!?」

リィン達の姿を見た兵士達が驚いたその時!

「ヨシュア、メティ!」

「了解!」

「任せろ!」

「せいっ!」

「ヤアッ!」

「がっ!?」

「へぶっ!?」

ヨシュアとメティサーナに号令をかけたエステルはメティサーナと同時に兵士達に一瞬で詰め寄ってそれぞれ棒と大鎌を振るって兵士達を壁に叩きつけて気絶させ

「獲った!」

「グアッ!?…………」

ヨシュアはまるで瞬間移動をしたかのように一瞬で兵士の背後に現れ双剣でみねうちして気絶させた!



「す、すごい……!」

「まさに”電光石火”といってもおかしくない速さでしたね……」

「これが遊撃士の実力……」

「ほう……噂には聞いていたが、まさかこれ程とは。」

「さすがだね。」

エステル達の電光石火の攻撃にリィンとエマ、マキアスは驚き、ユーシスとフィーは感心していた。



「――時間が無い。追手が追いついてくるまでにバリアハートから脱出するよ!エステル!僕は先頭を務めるから君は殿(しんがり)を!」

「わかったわ!メティはヨシュアの援護を頼むわ!」

「ああ!―――お前達も準備はいいな!?」

エステルに頼まれたメティサーナは頷いた後リィン達に視線を向け

「はい……!」

「ええ……!」

「了解。」

「言われるまでも無い。」

「わ、わかりました……!」

「さあ、行きましょう……!」

視線を向けられたリィン達はそれぞれ力強く頷き、脱出を開始した!



「な、何だこれは……!?」

リィン達が脱出を開始したその頃、他の兵士達や隊長が地下牢にかけつけて、倒れている兵士達を見て驚いていた。

「だ、駄目です。完全に気絶しています!」

「お、おそらく地下水道から侵入されたのかと……!」

兵士達は慌てた様子で気絶している兵士を調べたり、マキアスが逃亡した理由を推測した。

「おのれ……あの学生どもの仕業か。どうやら痛い目に遭ってもらう必要がありそうだな……―――獣どもを出せ!あの生意気な学生どもを実戦テストの標的にしてくれる!」

報告を聞いた隊長は怒り心頭の様子で呟いた後兵士達に指示をした。



地下水道を走っていたリィン達は突如聞こえてきた咆哮に足を止め、振り向くとなんと遠くから巨大な獣の魔獣が2体リィン達に向かっていた。



~地下水道~



「な、何よ、あれ!?」

「敵2体……かなり大きいぞ!」

自分達に迫って来る魔獣を見たエステルとリィンは驚き

「しかも速い……!」

「このままじゃ、追いつかれる……!」

「いっそ、迎撃しますか!?」

「ここは一本道になっていて不利だ。広い所に出て迎撃する!」

フィーとヨシュアは警戒の表情をし、ツーヤの提案を聞いたメティサーナは周囲の状況を見た後指示をし

「とにかく急げ!」

「は、はいっ……!」

「くっ、何て厄日だ……!」

ユーシスの言葉にエマは頷き、マキアスは疲れた表情で文句を言った後リィン達と共に再び走り始めた。そしてリィン達が広間に出た時、リィン達に追いつきかけていた魔獣の一体が跳躍して脱出ルートを防ぎ、残りの一体と共にリィン達の周囲をゆっくり歩いていつでも攻撃できる態勢に入っていた。



「くっ……退路を断たれたか!」

「かなり訓練されている……」

「猫科……いえ、犬科の魔獣!?」

「まさか領邦軍が軍用魔獣まで飼っているなんて……!」

退路が断たれた事にリィンは唇を噛みしめ、フィーは魔獣達を警戒し、エマは魔獣をよく見て驚き、ツーヤは厳しい表情をし

「何なの、コイツら!?”結社”が連れている軍用魔獣よりも強いんじゃないの!?」

「ああ……!それに身体の大きさも桁違いだ……!」

信じられない表情で声を上げたエステルの言葉に頷いたヨシュアは魔獣達の動きを警戒し

「フン、犬ごときがメティ達に歯向かえばどうなるか思い知らせてやる!」

メティサーナは鼻を鳴らした後不敵な笑みを浮かべ

「き、君のところの軍隊はこんな化物まで使ってるのか!?」

「くっ、俺に言うな……!」

驚きの表情のマキアスに尋ねられたユーシスは声を上げて自分は知らない事を遠回しに言った。



一方魔獣達は襲い掛かる事無くリィン達の周囲を徘徊していた。

「……あくまで退路を塞ぐつもりですね。」

「くっ……獣のくせに知恵が回る。」

魔獣達の行動を見て推測したエマの言葉を聞いたマキアスは唇を噛みしめ

「だったらこちらも遠慮なく撃破するだけ。」

「ええ……!」

「ああ!メティ達に歯向かった事、後悔させてやる!」

「ああ……せいぜい躾けてやる。」

フィーの言葉にツーヤとメティサーナ、ユーシスは頷き

「あたし達も勿論手伝うから安心して!」

「領邦軍が追いついて来ない内に迅速に撃破しよう!」

エステルとヨシュアもそれぞれの武器を構えて魔獣達を睨み

「特別実習の総仕上げだ……――――士官学院”Ⅶ組”A班……」

「――並びに遊撃士協会所属エステル・ファラ・サウリン・ブライト以下3名―――」

「「全力で目標を撃破する!」」

「おおっ!!」

リィンとエステルの号令に仲間達は頷いて戦闘を開始した! 
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