英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第16話
牧歌的な風景が広がるロレント地方。その風景に決して似合わない黒装束の男達と犬達――――カノーネ大尉率いる特務兵達と戦闘犬達が街道を進んでいた。
~ロレント郊外・エリーズ街道~
「これよりレナ・ブライトの確保に移る!各自、迅速に行動しなさい!遊撃士共に嗅ぎ付けられる前にさっさと済ませるわよ!」
「イエス・マム!!」
カノーネ大尉の号令に答えた特務兵達は街道の分かれ道に差し掛かると、予想外な人物の声が聞こえてきた。
「へえ、白昼堂々現れるとか、正体を隠すつもりもないようだな?」
「うふふ、こんな時間にみんな揃ってレン達のお家に何の用かしら?そんなにいっぱい来ても貴女達”如き”に出すお茶は一滴もないわよ。」
「!?」
声を聞いたカノーネ大尉が驚いて特務兵達と共に立ち止まったその時、ルークとレンがカノーネ大尉達の道を阻むように現れた。
「貴方達は……”焔の剣聖”のルーク・ブライトと”戦天使の遊撃士(エンジェリック・ブレイサー)”のレン・ブライト!一体何故ロレントに!?昨日の時点ではツァイス地方にいたはずなのに……!」
ルークとレンの登場にカノーネ大尉が驚いたその時
「おっと、俺達もいるぜ?」
「むしろ私達の方が随分前からロレントにいたわよ?」
金髪の青年と女性がルークとレンの背後から現れた。
「なあっ!?あ、貴方達は……”不屈”のフレン・ガルディオスと”暁”のアーシア・アーク!!」
「バカな……待ち伏せだと!?」
「一体どこで情報が漏れたんだ!?」
予想外の強敵の登場にカノーネ大尉や特務兵達は混乱し出した。
「カシウスさんがリベールから離れる際、予め奥様の事を頼まれていたので溜まっていた王都の仕事を片付けた後ロレントに来たのよ。」
「張り込みは”前の職業”で慣れているが、2週間も待たされるなんて久しぶりだぜ。」
「何ですって!?―――まさか……!」
女性―――遊撃士アーシアと遊撃士協会のサポーターとして登録している青年―――フレンの話を聞いたカノーネ大尉は驚いた後ある事に気付いて血相を変え
「お前らの予想通り、父さんは最初からお前らが母さんを狙う事を最初から予想して対策をたてていたんだよ。」
「うふふ、貴女達みたいな”三下”如きの考えくらい、パパはとっくにわかっていたに決まっているじゃない♪」
ルークとレンはそれぞれ驚いているカノーネ大尉を挑発するかのように口元に笑みを浮かべて答えた。
「おのれ、カシウス・ブライトッ!どこまで我々の邪魔をするつもりよ!?」
「我らが”三下”だと……!?」
「誇り高き特務兵どころか閣下をも愚弄するつもりか……!?」
二人の説明を聞いたカノーネ大尉は怒り、自分達や自分達が慕う上官が愚弄された事に特務兵達は殺気だった。
「うふふ、オバサン達みたいなセンスのかけらもない真っ黒い服を来ている人達が”誇り高い”だなんて笑わせてくれるわね。」
「確かにリベールで暗躍している連中が”誇り高い”って色々と矛盾してねえか?」
一方レンは小悪魔な笑みを浮かべ、レンの毒舌に苦笑しているルークはカノーネ大尉達を見つめ
「ちょっと、レンちゃん。それって遠回しに私の事も”オバサン”扱いしているのかしら?」
遠回しに自分の年の事を指摘されたと感じたアーシアは顔に青筋を立てて微笑みながらレンを見つめた。
「そういや、アーシアの年齢って確かカノーネ大尉と同じに……うおっ!?」
そしてアーシアの年齢を思い出したフレンが呟きかけたその時、アーシアは目にも止まらない動作でボウガンでフレンの足元に矢を放った。
「女性の年齢を口にするなんて、マナー違反じゃないかしら?後で貴方の”婚約者”に教えたら何て言うでしょうね?」
「すまん!俺が悪かった!!」
膨大な威圧を纏って微笑みを浮かべるアーシアに見つめられたフレンは両手を合せて頭を深々と下げた。
「うふふ、心配しなくてもレンは容姿でオバサンかお姉さんかを見分けているわ。アーシアお姉さんみたいな美人さんだったら、何年経っても”お姉さん”の気がするわよ?」
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね。」
「ハハ、それを言ったら母さんとか10年も経ってないのにほとんど容姿が変わらねえという謎があるもんな……」
そしてレンの言葉を聞いたアーシアは微笑み、ルークは10年経っても美しい容姿がほとんど変わらない義母の顔を思い出し、苦笑していた。
「ま、そう言う訳で残念だったわね?オ・バ・サ・ン?」
「誰がオバサンよ!?私はまだ20代よ!この小娘が!!」
「カ、カノーネ大尉!」
「落ち着いて下さい!!」
小悪魔な笑みを浮かべるレンの言葉を聞いたカノーネ大尉は顔に青筋を立て、今にも掴みかかりそうな雰囲気を出して叫び、カノーネ大尉の様子に気付いた特務兵達は慌てて諌めていた。
「フン、まあいいわ。―――たった4人でこれ程の数の特務兵と戦闘犬を相手にはできないでしょう?―――――数に圧して一気に制圧し、レナ・ブライトを確保するわよ!」
「イエス・マム!!」
そしてカノーネ大尉の号令によって特務兵達がルーク達に襲い掛かり、ルーク達がそれぞれ身構えたその時!
「―――リミテッド!!」
「うおっ!?」
「な、なんだ!?」
可憐な声が聞こえた後光の柱が突如特務兵達の目の前に落ちて特務兵達の足を止めさせた。するとロレント方面に向かう道から法衣を纏い、森を思わせる緑色の髪を二房に縛っている男性が手甲を付けた拳に闘気を溜め込みながら特務兵達の目の前に飛び込み
「そこですっ!昴龍礫破!!」
「ぐああああああっ!?」
「ぎゃああああっ!?」
闘気を込めた拳を振り上げ、その際に大地から衝撃波をも発生させ、特務兵達を吹っ飛ばし、ルーク達の近くへと跳躍し、更にロレント方面から赤紫色の髪をなびかせる可憐な容姿を持ち、真ん中に”星杯”を刻み込む白い法衣を身に纏い、両手にぬいぐるみを抱え込んでいる女性が手甲を付けた両手の拳を構えている男性の近くに走って近づき、男性の近くでカノーネ大尉達を睨んだ。
「な、何なのよ、貴女達は!?」
新たな自分達の敵対者の登場にカノーネ大尉は狼狽え
「久しぶりですね、ルーク。」
「アリエッタ達、間に合った、です。」
「お、グッドタイミングだぜ。」
「フフ……」
「イオン!?それにアリエッタも!どうしてお前らがこんな所にいるんだ!?」
緑色の髪の男性―――イオンと赤紫色の髪の女性――――アリエッタの登場にフレンとアーシアが微笑んでいる中、ルークは驚いて声を上げた。
「”僕に個人的に協力してくれる方達”の情報で”騎士団”が行方を追っている”ある人物”がリベールにいる事がわかりましてね………その人物が何の目的でリベールにいるのかを調べる為にその人物が最初に目撃されたロレントに昨日訪れた際、”彼ら”に貴方の事情を聞きましてね……ルークを育てているご両親がどんな方なのか気になり、挨拶のついでに可能ならば護衛もするつもりでしたが……どうやら絶好のタイミングだったようですね?」
「手間が省けた、です。」
「まさかお前達が来てくれるなんてな………ハハ、さすがの父さんもイオン達がリベールに訪れている事を知ったら驚くだろうな。」
「うふふ、こんなタイミングで現れるなんて、さすがは”千の腕”の手腕と言った所かしら?」
イオンとアリエッタの話を聞いたルークはカシウスが驚く姿を思い浮かべて口元に笑みを浮かべ、レンは意味ありげな視線でアーシアを見つめ
「さて……ね。”千の腕”なんて異名を持つ人物は私が知る限り今まで聞いた事はないわね。」
「クク……」
見つめられたアーシアは微笑み、フレンは笑いをこらえていた。
「”星杯”が刻まれし法衣を身に纏い、武装している上、”騎士団”という言葉………――――まさか!”星杯騎士”!?」
一方イオン達の正体を自分の持つ知識で悟ったカノーネ大尉は信じられない表情で声を上げ
「せ、”星杯騎士”!?」
「古代遺物を裏で回収している七耀教会の裏組織―――”星杯騎士団”に所属する騎士達か!」
「バカな!?”星杯騎士”がリベールに訪れているなんて情報、聞いたことがないぞ!?」
「そ、それより”星杯騎士”に閣下が手に入れようとしている”アレ”の存在が知られたら不味いぞ!?」
予想外の組織に所属する者達の登場に特務兵達は混乱した。
「僕達―――”星杯騎士”には知られては不味い”アレ”、ですか。」
「もしかして、”古代遺物”、ですか?」
特務兵の一人が口にした言葉が気になったイオンは真剣な表情になり、アリエッタは静かな表情で問いかけ
「!!余計な事を口にしてくれたわね……!」
「も、申し訳ありませんっ!!」
知られてはいけない相手に感付かれた事に唇を噛みしめて殺気を纏わせるカノーネ大尉に睨みつけられた特務兵の一人が表情を青ざめさせて謝罪した。
「まあ、その話は今は後にして………―――加勢しますよ、ルーク。」
「いいのか?お前達の事はあいつらに知られたら不味いんじゃないのか?」
「フフ、”あの力”をこの戦いで使うつもりはありませんから、大丈夫です。それに………――――最も信頼する友人の家族の危機に黙ってはいられませんし、ようやくルークから貰ったたくさんの恩を少しでも返せる機会でもありますしね。」
「イオン様が決めたのなら、アリエッタ、ルーク達と共に戦う、です。」
ルークに心配されたイオンは微笑みながら答え、アリエッタは静かな表情で淡々と答え
「イオン………相変わらず優しい奴だな。むしろ俺の方がお前にたくさん”恩”があるってのに………アリエッタもありがとな。」
ルークは明るい表情をした。
「クッ!こうなったら閣下の理想を叶える為にもまずは奴等を制圧するわよ!ただし、星杯騎士達は七耀教会との後々の関係を考え、拘束に留めなさい!遊撃士達の命の有無は問わないわ!」
「イエス・マム!!」
目の前の脅威となる人物達―――イオンとアリエッタが自分達の最大の障害になる可能性を考えたカノーネ大尉や特務兵達はそれぞれ武器を構え
「その方は絶対にやらせないわよ!」
「俺もその娘達には恩があるんだ。―――全力で戦わせてもらうぜ!!」
カノーネ大尉達に対抗するようにアーシアは法剣を、フレンはトンファーを構え、全身から闘気を解放し
「力がみなぎる!剛招来!!」
「フゥゥゥ…………ハッ!!」
フレンに続くようにルークとレンもそれぞれ気功技等で闘気を溜め込んで自身の能力を上昇させると共に闘気を解放した!
「う……あ……」
「ヒッ!?」
ルーク達がさらけ出す闘気に圧された特務兵は表情を恐怖に歪め
「怯むなっ!敵は少数よっ!!」
カノーネ大尉は声を上げて恐怖によって怯んでいる特務兵達を叱咤した。
「この場にはいないアガットやエステル達の分も含めて、今までの”借り”を返してやるよっ!!」
「うふふ、レンの大好きな”家族”を狙った事、後悔させてあげるわっ!」
「―――友の為に私闘に挑む事、お許しください、空の女神よ………――――”星杯騎士”イオン・ジュエ、参ります!!」
「同じくアリエッタ・タトリン、アリエッタとイオン様の敵、みんな倒します……!」
そしてルーク達はカノーネ大尉率いる特務兵の部隊との戦闘を開始した!
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