英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~可憐な妹達の嫉妬と決意~
~数日後・エレボニア帝国・緋の帝都ヘイムダル・聖アストライア女学院~
数日後リィンの双子の妹の一人であり、エレボニア帝都にある女学院に通っているエリス・シュバルツァーは中庭でリィンから届いた手紙を読んでいた。
「……?この”使い魔”とは一体何の事でしょうか……?あら、よく見たら説明もちゃんとありますね……」
手紙の内容に首を傾げたエリスだったが、すぐに続きを読んで自分がわからなかった言葉の意味をある程度理解できた。
「よくわかりませんが、ベルフェゴール様……でしたか。その方が兄様を守って下さっているのですから、私も兄様の妹として機会があれば一度御挨拶をしておかないといけませんね。」
手紙の内容を読み終えたエリスは手紙を綺麗にたたんで呟いたが
「そう言えば男性か、女性なのか書いていませんでしたね……………!まさか………………………兄様、もしその方が女性だったら、詳しい説明をしてもらいますからね?」
すぐにある事に気付いてその場で考え込んだ後、やがて膨大な威圧を纏って微笑み始めた!
「あら?エリス、ここで何をして……ヒッ!?」
その時金髪の可憐な女学生が近づいて声をかけてきたがエリスが纏う雰囲気に悲鳴を上げ
「あら?姫様、どうかされたのですか?」
「な、ななな、何でもありませんわっ!(い、今一瞬エリスの背後に”鬼”が見えましたわ!エリスがここまで怒るなんて……一体何があったのかしら?と、とりあえず今後はエリスを怒らせないようにするのが身の為になりそうね……)」
膨大な威圧を纏うエリスに微笑まれた女学生は大量の冷や汗をかいて身体を震わせながら答えた後、心の中でエリスを怒らせない事を強く誓った。
~同時刻・メンフィル帝国・帝都ミルス・マルーダ城・リフィア皇女の執務室~
同じ頃メンフィル帝国にある帝都の城の執務室にてメンフィル皇女であり、現メンフィル皇帝の直系の娘であり、次期メンフィル皇帝となるリフィア・イリーナ・マーシルンは黒髪の清楚な雰囲気を纏ったメイドを目の前にして大量の冷や汗をかいていた。
「全く。油断したらすぐに逃げるんだから。リウイ陛下に連絡して、転移門付近を見張ってもらって正解だったわ。」
「む、むう……エリゼ。お主、余を捕える手際が段々と良くなってきておらんか?何だか余の行動パターンがお前に見破られているような気がするぞ。」
メイド――――リィンのもう一人の双子の妹でありエリスの姉でもあるリフィア皇女専属侍女長のエリゼ・シュバルツァーにジト目で見つめられたリフィアは疲れた表情で溜息を吐いた後指摘した。
「リウイ陛下達から貴女の行動パターンを全て聞いていたお蔭よ。」
「クッ、リウイ達め!エリゼに余計な知恵ばかりつけさせおってからに!」
エリゼの説明を聞いたリフィアは悔しそうな表情をしたが
「その”余計な知恵”をつけさせる”原因”はだ・れ・だ・と・お・も・っ・て・い・る・の~?」
「むう………」
膨大な威圧を纏って微笑むエリゼに見つめられ、冷や汗をかいて唸った。そしてリフィアは現状を打開する為にある事を思い出して口にした。
「そ、そうじゃ!さっきリウイから聞いたが、お主の兄が”はぐれ魔神”を使い魔にしたそうじゃぞ!」
「兄様が?そんな冗談を言って説教から逃げようと思っているのかしら?」
「う、嘘ではないぞ!?何でもトールズ士官学院の旧校舎に現れた”はぐれ魔神”と遭遇し、何故かその”魔神”がリィンの事を気に行って、その場で使い魔契約を結んでリィンの使い魔となったそうじゃ。」
「”はぐれ魔神”が兄様の事を?…………………ねえ、リフィア。その”はぐれ魔神”って、まさかとは思うけど女性かしら?」
リフィアの話を聞いたエリゼは目を丸くした後その場で考え込み、やがてある推測を出してしまい、それを確かめる為にリフィアを見つめて尋ねた。
「む?うむ。睡魔族の女王種――――”リリエール”族の者であり、”七大罪”の”怠惰”を司る女魔神ベルフェゴールだ。リウイも感心していたぞ。一体どうやって唯の人間の身で”七大罪”の魔神に気に入られると……は……?」
完全に話がそれた事に安心したリフィアは得意げに説明したがすぐにエリゼの様子がおかしい事に気付いてエリゼを見つめた。
「まあ……よりにもよって睡魔族の―――それも女王種に君臨する”リリエール”族の方に気に入られてしまったのですか、兄様。となると”契約方法”も十中八九、”性魔術”なのでしょうね。よかったですね、兄様?睡魔族は総じて容姿が綺麗でスタイルがいい上夜伽の技術力が高い方達ばかりですし、それも睡魔族の女王となると、他の睡魔族とは比べものにならないくらい素敵で夜伽の技術力もとても高い女性なのでしょうね?しかもそんな素敵な女性がいつも一緒の上使い魔なのですから、さぞかし鼻の下を伸ばして、主として夜伽を命じて毎晩楽しんでおられるのでしょうね?ウフフフフフフフフ…………………!」
「………………………(余とした事が……!睡魔族が使い魔になる方法を知っていれば、兄を溺愛しているエリゼの反応も予想できたというのに……!)」
膨大な威圧を纏い、背後には魔力によって発生した電撃をバチバチと迸らせ、目にも見えるほどの怒気をメラメラと燃やして焦点が合っていない目で微笑むエリゼを見たリフィアは表情を青褪めさせて身体を震わせて特大の地雷を踏んでしまった事に気付いて自分の発言に後悔し始めた。
「ねえねえ、リフィア。エヴリーヌ、プリネが通っている学院に行って、プリネに会いたいんだけ……ど……?」
その時メンフィル帝国の客将を務め、プリネにとっては姉同然の存在である魔神エヴリーヌが部屋に入って来た時エリゼの様子に真っ先に気付き
「エ、エヴリーヌ!ちょうどよい!今すぐここから転移してこの場から脱出するぞ!」
エヴリーヌの姿を見たリフィアは安堵の表情になってエヴリーヌに助けを求めたが
「え、えっと……二人とも仕事で忙しいようだから、エヴリーヌ、ま、また後で来るよ。」
エリゼの様子を見て一瞬で恐怖を感じ、関わってはいけない事を察したエヴリーヌは大量の冷や汗をかいて身体をガタガタと震わせながら必死にエリゼを見ないようにして答えた後、扉を閉めてその場から逃げるかのように走り去り
「なっ!?こら、逃げるな、エヴリーヌ!お主、それでも魔神か!?」
エヴリーヌの行動を見たリフィアは驚いた後、声を上げたが
「あら……どこに行こうとしているのかしら、リフィア?さっきの話、もう少し詳しく聞きたいのだから。」
「ぬおっ!?わ、わわわわ、わかったから、少しは落ち着くのじゃ!」
エリゼに続きを促されると身体をビクリとさせ、そして再び身体を震わせながらエリゼを見つめて言った。しかし
「何をおかしな事を言っているのかしら、リフィアったら?私は最初から落ち着いているし、怒ってもいないわよ?」
「ぬおっ!?」
微笑むエリゼの背後に見えた”修羅”の幻影を見て悲鳴を上げ
「―――予定変更よ。もうこうなったら兄様が私とエリスの事を女性として意識する事を待つという遠慮は止めてエリスと一緒に兄様を襲って、”既成事実”を作って、無理やり意識させる計画を今から考えた方がいいかもしれないわね………その為にはまず、ペテレーネ様に頼み込んで痺れ薬や媚薬をわけてもらわないといけないわね。後は”その時”に備えてエクリア様から、もっと様々な技術を習っておかないと。私にそこまでの事をさせる兄様が悪いのですよ?私とエリスの気持ちに気付かない所か、学業が本業の学院生活でそんな破廉恥な事をしているのですから。兄様がそのつもりなら私達も”今後は”手加減や遠慮なんて、一切しませんからね?ウフフフフフフフフ……………!」
”魔神”すらも恐怖させるような威圧感を纏い続けるエリゼはリィンの姿を思い浮かべて微笑み続けた!
なお、最愛の妹達に特大の嫉妬や怒りを買わせてしまったという事実に気付いていないリィンは一瞬背筋に寒気を感じて周囲を見回した後何もない事に首を傾げていたという………………
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