英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第13話
~ロレント・地下水道~
灯のオーブメントで照らされた道をエステルとヨシュアが歩いていた。
「ふふ~ん、ま、ちょろいもんよ♪」
「油断は禁物だよエステル。」
研修用の依頼の捜査対象物を2人は見事見つけ、エステルは上機嫌で帰っている途中だったのだ。
「それにしても、オーブメントの扱いを実戦で覚えるなんてやっぱりエステルだね。」
「なによ~その言い方は。頭で覚えるより体で覚えたほうが速いに決まってるじゃない。」
「まあまあ、いいじゃないか。無事対象物は見つけたんだから。」
「そうね♪これで、もうすぐブレイサーの仲間入りね♪」
ヨシュアの言葉でエステルは膨れていたがもうすぐ依頼を達成できるという言葉に笑顔になった。そこに魔獣が現れた。
「っと、行くよエステル。」
「了~解!」
魔獣をみた2人は浮ついていた表情を引き締め武器を構え魔獣に攻撃を仕掛けた。
「セイ!」
先制攻撃に放ったヨシュアの双剣は一撃で魔獣を斬り伏せ
「とりゃっ!」
続くように振るったエステルの棒は蝙蝠のような魔獣を地面に叩き伏せ二度と起き上がらなくなった。そこに倒された魔獣の血を嗅ぎつけ複数の魔獣が現れた。
「今度は結構数があるね……」
「あたしに任せて!………闇よ敵を吹き飛ばせ!黒の衝撃!」
エステルが放った暗黒魔術はすさまじい勢いで固まっていた魔獣達を吹き飛ばし、吹き飛ばされた魔獣は水路に落ち、気絶した。
「相変わらず凄い威力だね……今の魔術ってそんなに威力がない奴だよね?下手したら中級アーツ並なんじゃ……」
「シェラ姉が言うには魔術は使用者の魔力で威力が決まるらしいよ。でも、最初は苦労したわ~。魔力の制御が出来ないせいで数回使っただけで疲れるし……後、パズモが言うにはあたしの適性属性は無属性だからえ~と……自然界の四属性?は契約した守護精霊とかに影響されるらしいわ。だからどんどん友達を増やしていきたいわ~。
あたしなら、後2、3体なら契約しても大丈夫って言うし。」
「ハハ………でも、エステル。使い魔や守護精霊は存在自体が珍しいからそんな簡単に見つからないと思うよ?」
エステルが自分の才能の凄さにイマイチわかってないことを彼女らしいとヨシュアは苦笑した。
「まあね~。それに一つの属性に特化してない分、高度な魔術を使えるようにするにはほかの人より努力が数倍必要らしいから得をしているかわかんないわ~」
エステルはより高度な魔術を使うのにはさらに努力しなければならないと思って溜息を吐いた。
そして街への道を再び歩こうとした2人の目の前で突如霧状の魔獣が複数現れ、突然攻撃してきた。
「ッツ!」
「わっ!」
2人は驚きながらも回避に成功した。
「何よこれ~!今まで倒した魔獣でこんな魔獣いなかったわよ!?」
「下手をしたら手配魔獣かもしれないね……どうしよう……数はそんなにないけど僕達で倒せるかな?」
2人は武器を構え見た事のない魔獣を警戒した。
「もちろん、倒すわよ!それにこの上は街だし、このまま放っておく訳にはいかないわ!」
「確かにそうだね……行くよ、エステル!」
気を取り直した2人は新たな魔獣に武器で攻撃したが攻撃はすり抜けた。
「いっ!?」
攻撃が効いていないことにエステルは驚いて後退した。
「物理攻撃は効かないのか……なら!………時の刃よ!ソウルブラ―!!」
ヨシュアが放ったアーツが敵の一体にあたり、怯んだ。
「よし、効いてる!エステル、アーツや魔術主体で行くよ!」
「オッケー!……風よ切り裂け!旋刃!!」
エステルが放った風の魔術は霧を切り裂くように重傷を与えた。そして2人はアーツや魔術を使って攻撃し、怪我をした時は薬やエステルの魔術で回復して、残り一体まで減らした。
「……今のでEPが最後か……エステル、後一体だけどそっちはどう?」
ヨシュアは自分のオーブメントのEPが切れアーツが放てなくなったことを確認した後、エステルの様子を聞いた。
「こっちもオーブメントのEPは空よ。魔力も結構使ったから一気に決めるわ!」
エステルは勝負を決めるために棒で残り一体の魔獣に立ち向かった。
「エステル、何を!?」
物理攻撃が効かない魔獣にエステルが再び棒で攻撃しようとする無謀さにヨシュアはギョッとした。そしてヨシュアはエステルの棒に雷を帯びているのを見て驚いた。
「まあ、見てなさい!これで決める………ハァァァァァァ!雷波!無双撃!」
雷を帯びた棒でエステルは残りの魔獣を連続で攻撃した。それをまともに喰らった魔獣はその場にほかの倒された魔獣と同様セピスを残し、消えた。
「ま、こんなもんね♪ぶっつけ本番の技だったけど上手くいったわ♪」
「エステル、今のは?」
ヨシュアは今まで見た事のないエステルの技に驚き聞いた。
「今のはあたしが考えた魔術の力を帯びた武器攻撃よ!棒と魔術を合体できないかとずっと考えてカンで試しに使ってみたけど、案外いけるわね♪」
「武器と魔術を合体させるって……エステルの野生のカンは本当に凄いな……」
ヨシュアは武器と魔術の力を合体させるという誰も考えないようなことを、やってのけたエステルを感心した。
「さてと……行きましょ、ヨシュア!」
戦闘が終わりホッとしたエステルはヨシュアに共に戻るよう促した。
「いや………どうやら、まだいるみたいだよ……」
「へ………?」
新たな魔獣の気配を感じたヨシュアはエステルに警告し、その警告にエステルは目を丸くした。すると先ほど現れた霧状の魔獣より一際大きい同じ魔獣が現れた。
「い!?まだ残ってたの!?」
「ク………どうしよう……」
ヨシュアは劣勢を一瞬で悟り、どうするか考えた。
「……しょうがないわ……パズモ!」
(ようやく私の出番ね!)
エステルは溜息を吐いた後、己の守護精霊を呼んだ。呼ばれたパズモは2人を守るように現れた。
「エステル、シェラさんの言ってたことを忘れたのかい!?」
パズモを見たヨシュアは驚き、エステルに聞いた。
「覚えているわよ!でも、緊急事態だからシェラ姉も許してくれるって!パズモ、お願いできるかしら!?」
(大丈夫!私に任せて!………光よ!我が仇名す者に裁きの鉄槌を!贖罪の光霞!!)
パズモが放った魔術は薄暗い地下道全体を照らすような強力な光が走り、それをまともに受けた魔獣は消滅した。
「フゥ~……助かったわ。ありがとう、パズモ。」
今度こそ戦闘が終了したと思ったエステルはパズモにお礼を言った。
(フフ、あなたを守るのが私のやるべきことだから気にしないで。………!?エステル、ヨシュア!後ろ!)
お礼を言ったエステルにパズモは笑顔で答えた後、エステル達に襲いかかろうとした魔獣に気付きエステルに警告した。
「へ……」
「しまった……!」
警告されたエステルは後ろを振り向き、それに気付いたヨシュアも後ろに振り向いたとき魔獣はすでに2人に襲いかかろうとしていた。
(ク………間に合って……!)
パズモは焦りながらも魔獣に魔術を当てようとした時
「……雷よ落ちなさい!落雷!!」
魔獣に強烈な雷が落ち、雷を受けた黒焦げになって息絶えた。そして2人は振り向いて雷を放った術者であるシェラザードを見てホッとした。
「シェラ姉、来てくれたの!?」
「助かりました、シェラさん。」
「2人とも油断はするなって言ったでしょ。遅いと思って一応様子見に来て正解だったようね。」
シェラザードは溜息を吐いた後、エステルの肩に乗っているパズモに気付いた。
「エステル、あんたね……私の言ったこと忘れたの?」
「う”!これには訳が………」
シェラザードの言葉を聞いてのけ反ったエステルはヨシュアと共に理由を話した。
「ああ、それはごく最近姿が見られた新しい魔獣よ。別に手配魔獣でもないわよ?」
エステル達が苦戦した魔獣のことを聞くとシェラザードはなんでもない風に言った。
「へ……じゃあ、どうして教えてくれなかったのよ!?あんな魔獣がいるとは聞いてないわよ!?」
エステルは呆けた後、シェラザードに詰め寄った。
「不足の事態や未知の魔獣と出会っても冷静に対処するのが遊撃士の心得の一つ。あたしが教えたこと、もう忘れたの?」
「(ギクッ!)そ、それぐらい覚えてるわよ!やぁね、シェラ姉ったら、アハハ……」
シェラザードに理由は言われたエステルは渇いた声で笑い誤魔化した。
「エステル、今回は僕達のミスだよ。やっぱり今回は不合格でしょうか?」
納得したヨシュアは合否を聞いた。
「………そうね。本来は不合格と言いたいとこだけど、今回はいい勉強になったってことで特別に目をつぶってあげるわ。」
シェラザードは少しの間だけ考えた後、答えた。
「ありがとう~シェラ姉!」
(よかったわね、2人とも)
エステルはその言葉を聞いてホッとした。
「そんなことより、2人とも私が言った捜索物を見つけたかしら?」
「うん、ハイ。」
「お願いします。」
そして2人は捜査対象が入った小箱をシェラザードに渡した。
「……うん、本物ね。途中で開いた形跡もなし、と。」
(あ、あぶな~)(やっぱりね……)
シェラザードの言葉を聞き帰りの途中で中身が気になり箱を開けるのをヨシュアに止められたエステルは冷や汗をかき、ヨシュアは予測通りでよかったと思った。
「2人とも、おめでとう。実技試験は合格よ。」
「ふふん、あのくらい楽勝よ。それでシェラ姉その小箱には何が入ってるの?」
エステルはずっと気になってた小箱の中身を聞いた。
「まあ、それは研修が終わってからのお楽しみよ。さあ、ギルドに戻りましょ。」
そして3人はギルドに戻り2人は無事試験に合格し準遊撃士になった。
そしてエステル達が準遊撃士になってさまざまな出来事が起こった数日後……
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