英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第5話
リィン達が探索をしている一方プリネとツーヤは時折襲い掛かってくる魔獣達を瞬殺しながら進んでいた。
~旧校舎~
「あら?」
「……………」
通路を歩いていたプリネはある事に気付いて立ち止まり、プリネと共に立ち止まったツーヤは静かな表情で柱を見つめた。
「―――そこにいるのはわかっていますよ、”西風の妖精”―――いえ、フィー・クラウゼルさん。」
そしてツーヤが静かな口調で柱を見つめて呟くと
「ふぅん。噂通りだね。というかわたしの事も知っていたんだ。」
なんと柱の陰から銀髪の少女―――フィーが姿を現してプリネ達を見つめた。
「……本人を前に言うのは失礼とは思いますが”国”の方があたし達とクラスメイトになる方の中で要注意人物がいないか、”Ⅶ組”全員分の経歴は全て調べていますので。」
「……ま、そりゃそうか。あの”姫君の中の姫君”と蒼黒の薔薇”が他国に……それも元敵国に留学するんだから、私達の事も調べて当然か。……で、大方その要注意人物の中にわたしが入っているのでしょう?かつてリベールの”異変”で団長達――――”西風の旅団”がメンフィル軍と殺し合いをしたんだし。」
ツーヤの説明を聞いたフィーは頷いた後プリネ達を見つめて尋ねた。
「……否定はしません。ですが私達自身は貴女の事はそれ程危険な相手とは思っていませんよ。」
「何で?」
プリネの答えを聞いたフィーは首を傾げ
「答えは今こうして貴女が学院生として生活を送ろうとしている…………この事で十分ですよ。それに”赤い星座”の”赤き死神”も今はクロスベル警察で仲間の方達と働いていますから、その例から考えて貴女も事情があって今ここにいる……と思っていますから。」
「………”闘神の息子”が”赤い星座”を抜けてクロスベル警察に?それは初耳………」
プリネの話を聞いて目を丸くし
「……ま、いいや。それじゃあ先に行くね。」
すぐに気を取り直してプリネ達に背中を向けた。
「あ、待ってください。」
「?」
そしてプリネに呼び止められたフィーは首を傾げて振り向き
「私達の事は他のクラスメイトの方達と同じ扱いをしてもらって構いませんよ。私達自身、皆さんには対等に接して欲しいと思っていますし。」
「ん。それじゃあお先。プリネ、ツーヤ。」
「ええ。」
「はい。」
プリネの言葉に答えた後素早い動作で壁を蹴って上の通路へと移動して去って行った。
「そなた達は………」
その時ラウラ達が二人に近づいてきた。
「あら………」
「貴女達は………」
ラウラに声をかけられた二人は振り向いてラウラ達を見つめ
「よかった、無事だったんですね。」
エマは安堵の溜息を吐いた。
「えっと……ラウラ・S・アルゼイドさんにエマ・ミルスティンさん……それにアリサ・ライン……いえ、Rさんでしたね。」
「え……」
「ど、どうして私達の名前を?(というか今私のフルネームを言いかけてたけど……何で知っているのよ!?)」
ツーヤの言葉を聞いたエマは呆け、アリサは戸惑った表情で尋ねた。
「シルヴァンお兄様達――――メンフィル帝国が私達と同じクラスになる方達の経歴や出身を調べ上げ、私達はその情報を教えてもらっていますので。」
「ええっ!?な、何で!?」
プリネの答えを聞いたアリサは驚き
「まあ皇族が他国に留学するのだから、そのぐらいは当然だな。万が一二人の身に何かあれば、外交問題にまで発展するしな。」
「な、なるほど…………」
ラウラの推測を聞いたエマは納得し
「え、えっと…………」
アリサはプリネ達から目を逸らしていた。
「……アリサさんにも何か事情があって”R”を名乗っていると思っています。アリサさんから事情を話すまであたし達の方からその事について追及するつもりはありません。」
「アハハ……わざわざ気を使ってくれてありがとう。えっと……それとこれからは他の人達と一緒の扱いでいいのよね?さっき普通のクラスメイトとして扱っていいって言ってたし……」
ツーヤの答えを聞いたアリサは苦笑した後恐る恐るの様子でプリネ達を見つめて尋ねた。
「ええ。これからはツーヤ共々クラスメイトとしてよろしくお願いしますね。」
「わかったわ。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
そしてプリネに微笑まれたアリサとエマは頷き
「差し支えなければ二人がこのトールズ士官学院に留学して来た理由を尋ねても構わないだろうか?」
ラウラは静かな表情で二人を見つめて尋ねた。そして二人は留学して来た理由―――――エレボニア帝国とメンフィル帝国の関係やエレボニア帝国人の”闇夜の眷属”に対する見方を変える為に留学した事を説明した。
「両国が友好な関係になる為と私達―――帝国人の”闇夜の眷属”に対する見方を変える為にわざわざ留学するなんて……凄いわね……私達と大して変わらない年齢なのに……」
「そ、そうですね………………」
説明を聞き終えたアリサは驚き、アリサの言葉に頷いたエマは複雑そうな表情で黙り込み
「なるほど………という事は二人は親善大使のような役割なのか。」
ラウラは頷いた後静かな表情でプリネ達を見つめた。
「フフ……さすがにそれは言いすぎですよ。基本トールズ士官学院の私達に対する扱いは皆さんと変わらないのですから。」
ラウラの言葉を聞いたプリネは苦笑した。
「あら……」
「…………!」
「む…………」
その時何かに気付いたプリネは声を上げ、ツーヤとラウラは真剣な表情になって武器を構え
「え?」
「み、皆さんどうしたのですか?」
3人の様子を見たアリサは呆け、エマは戸惑った。すると魔獣が数体、上の通路から姿を現してプリネ達を見下ろしていた。
「―――出でよ、鋼輝の陣!イオ=ルーン!!」
するとその時プリネは魔術を発動し、プリネの魔術によって魔獣達の中心地に爆発が起こり
「―――クリスタルランス!!」
そしてツーヤの魔術によって足元から現れた水晶の刃に貫かれて消滅した!
「………!」
魔術を見たエマは見開き
「す、凄い……!」
「ふむ……オーブメントを使った様子はなかったが……まさか今のが異世界の魔法―――――魔術とやらか?」
アリサは驚き、ラウラは考え込んだ後尋ねた。
「ええ、そうですよ。」
「へ~……今のが異世界の魔法なんだ。アーツとは全然違うわよね……オーブメント無しで魔法を放てるなんて正直、この目にしても信じられないわね…………というか異世界の人達って皆、さっきみたいな魔法が扱えるのかしら?」
ラウラの質問に頷いたプリネの答えを聞いたアリサは目を丸くした後プリネ達を見つめて尋ね
「フフ……何も魔術は私達の世界の人達のみが扱えるという訳ではありませんよ。その気になればアリサさん達だって習得できますよ。」
「ええっ、嘘!?」
プリネの答えを聞いて驚いて声を上げた。
「嘘ではありませんよ。クローゼさ……いえ、クローディア姫もプリネさん達に習って魔術を習得しましたから。」
「ええっ!?ク、クローディア姫って、あのリベールの!?」
「ほう………まさかクローディア姫が魔術を扱えるとは……」
「………………あの。そんな簡単に教えてもいいのですか?その……何も知らない方に未知の力を教える事なんて、普通に考えたら禁じられていてもおかしくないですし。」
ツーヤの話を聞いたアリサは驚き、ラウラは目を丸くした後感心し、考え込んでいたエマは真剣な表情で尋ね
「ええ。私達の世界では魔術を教える事は禁じられている訳ではありませんし。」
尋ねられたプリネは頷いた。
「そうなんですか……………………」
プリネの答えを聞いたエマは頷いた後複雑そうな表情をし
「えっと………それじゃあさ。プリネ達がもしよければでいいんだけど……時間がある時でいいから、私にも魔術を教えてくれないかしら?」
目を伏せて考え込んでいたアリサは目を見開いてプリネ達を見つめて尋ねた。
「む?」
「アリサさん?」
アリサの言葉を聞いたラウラは目を丸くし、エマは不思議そうな表情でアリサを見つめ
「それはまた……どうしてですか?」
意外そうな表情をしていたプリネは尋ねた。
「私ってラウラやプリネ達と違って戦闘は素人だしさ。士官学院だから実技試験で戦闘とかあるでしょ?もしその時魔術が扱えたら評価とか高くなるかなーと思って。それにいざという時の為の護身にもなるでしょう?」
「なるほど…………万が一敵に武装解除された場合、いざという時の攻撃手段にもなるな。」
アリサの説明を聞いたラウラは頷き
「アハハ……そこまでは考えてなかったけどね。」
ラウラの言葉を聞いたアリサは苦笑していた。
「………………」
一方エマは何も語らず複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「ええ、いいですよ。私で教えられる範囲でしたら。」
「あたしもできる範囲でした教える事はできます。」
「本当!?二人ともありがとう!」
そしてプリネとツーヤの答えを聞いたアリサは表情を明るくし
「お二人はどうされますか?お二人が望むのでしたら私達でよければ魔術を教えますが。」
「私は自分の剣もまだ未熟ゆえ、遠慮させてもらおう。今は他の武の道の業を学ぶ時間の余裕はないしな。」
「私も……今は遠慮しておきます。奨学金を頼りに入学しましたので、今の成績を保つ為にももっと勉強しなければなりませんし……」
プリネに尋ねられたラウラとエマはそれぞれ答え
「……わかりました。」
二人の答えを聞いたプリネは頷いた。
「えっと……これからどうしましょうか?先程出会ったリィンさん達と別れたようにプリネさん達とも別行動をして残りの二人を探しますか?」
「そうだな……その方が効率がいいな。」
エマの提案を聞いたラウラは頷き
「私も異存ありません。」
「あたしもです。」
「私も。」
プリネ達もそれぞれ頷いた。
「―――アリサ、エマ。それでは行くとしようか。」
「ええ。」
「また後で……それでは失礼します。」
そしてラウラ達はプリネ達から去り
「……私達も残りの二人を探しましょう、ツーヤ。」
「はい、プリネさん。」
プリネとツーヤはラウラ達が去った方向とは違う方向の通路に向かって歩き始め、その場から去って行った……
ページ上へ戻る