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第二章

「この街もいいがな」
「ガイドさんが言ってたな」
「ああ、北の方な」
「そこに何があるかだな」
「オーロラを観る」
 このことをだ、慎吾は言った。
「それは確かにツアーの予定にあったな」
「ああ、けれどな」
「買いものって何だ」
「それが気になるよな」
「やっぱりな」
「大きい街がなくてな」
「買いものをする様な場所もない」 
 そうした街には行かないというのだ。
「それじゃあな」
「別にな」
「特にないだろ」
「それで買いものか」
「誰から何を買うんだ」
「それがわからないな」
「どうもな」
 二人で言う、このことはどうにもわからなかった。
 だがツアーは続いてだ、北欧各国の名所に料理を食べた、スウェーデンではあの伝説の缶詰も体験した。
「噂通りだったな」
「凄かったな」
「匂いも状況もな」
「まさに兵器だったな」
「全くだ」
 吾朗も慎吾もその缶詰を見た後で話をした。
「本当にな」
「噂は嘘じゃなかったな」
「爆弾の扱いだったな」
「恐ろしい匂いがしたな」
「いや、凄かった」
「あんなのはない」
「貴重な体験だった」
「それだけでもこのツアー来た意味があったな」
 二人で話す、その彼等もいるツアーにだ。ガイドはさらに言った。
「ではいよいよです」
「はい、北に行きますね」
「北極圏の方にオーロラを観に」
「それでお買いものですね」
「それもですね」
「はい、お楽しみ下さい」 
 そのどちらもとだ、ガイドはツアー客達に微笑んで話した。
「これから行きますので」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「北にですね」
「北極圏に行きますね」
「そうします」
 ツアー客達に言ってだ、実際に。94
 一行は北極圏に来た、そしてそこでだった。
 見事な、この世のものとは思えないまでに見事な光のカーテン、オーロラがあった。そのオーロラを見てだった。
 そのうえでだ、誰もが言った。
「これがオーロラ」
「この目で見たのははじめてにしても」
「凄いな」
「凄く奇麗」
「何か嘘みたい」
「幻想的っていうか」
「このオーロラは特にですね」 
 ガイドもそのオーロラを観て言う。
「いいですね」
「そうですか、いいんですね」
「普通の時よりもですね」
「さらにいいんですね」
「これは別格です」 
 彼等が観ているそのオーロラはというのだ。
「特に奇麗ですね」
「そうですか、本当に」
「このオーロラは違いますか」
「そこまで奇麗なんですね」
「はい、ここまで奇麗なものは」
 それこそというのだ。 
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