戦国異伝

「なっ、何っ！？」
「幕府の軍勢か！」
「まさか待ち伏せしてていたのか！」
「ここで！」
「さあ、攻めよ！」
　義久は後ろに三人の弟達を従えつつだ、己の橙色の軍勢に告げた。
「まつろわぬ者達を討ち手柄を立てよ」
「ですな、では」
「これよりです」
「一気に攻めましょうぞ」
　長兄にだ、義弘と歳久、家久が応えた。
「そしてそのうえで」
「魔界衆をここで、です」
「踏み潰しましょうぞ」
「この釣り野伏せは我等の戦い方じゃが」
　義久はさらに言った。
「上様も見事にな」
「使いこなされていますな」
「それも我等以上に」
「こうも見事なまでに」
「お流石じゃ、では攻めようぞ」
　こうしてだ。、島津の軍勢も他の軍勢もだ。
　魔界衆に四方八方から襲い掛かった、そして。
　信長もだ、先陣の軍勢に言った。
「ではじゃ」
「はい、これからですな」
「我等も」
「攻めるぞ」
　毛利と服部に答えた。
「これよりな」
「わかりました」
「それではです」
「再び踵を返しそのうえで」
「敵を攻めましょうぞ」
「もう逃げずにな」
　退かずにというのだ。
「攻めるぞ」
「そして、ですな」
「そのうえで」
「奴等を思う存分に攻め」
「勝つのですな」
「そうじゃ」
　まさにというのだ。
「わかったな」
「はい、では」
「これより」
「先陣反転じゃ」
　今ここでというのだ。
「よいな」
「そして我等も」
「攻めよと」
「うむ、先陣の采配じゃが」
　信長は池田と森を見て言った。
「御主達に任せた」
「では上様はですな」
「これより」
「わしは本陣に戻る」
　まさにそこにというのだ。
「そしてそこで全体の采配をな」
「奇妙様と共に」
「執られますな」
「そうする、では任せた」
　こう告げてだった、信長は蘭丸達を連れてだった。
　そのうえで本陣に戻った、そこで迎えた信忠に言った。
「ここまでよくやってくれた」
「いえ、それがしはです」
　信忠は微笑み父に答えた。
「ただ」
「わしの采配に従っていただけというのか」
「それだけのことです」
「いや、兵をそのまま動かすことはな」
　この大軍をと返す信長だった。