想甲機ヴァルヴレイヴ
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第1話 引き裂かれた平和
ここは私立咲森学園。
放課後、運動場にて2人の陸上部員がかけっこをしている。
かけっこをしているのは、時縞 ハルトと指南 ショーコ。
激しいデッドヒートの末、ショーコが先にゴールにたどり着いた。
ショーコ「ぶい!」
ショーコは笑顔でハルトにVサインを向ける。
陸上部の男子部員「あれだけ練習したんだろ、しっかりしろよ…。」
同じ部の部員に責められるハルト。
そして寮に戻るとき。
ハルトはかなりしょんぼりしていた。
ショーコ「悔しいの?だったら1つ聞いていい?」
ハルト「何を?」
ショーコ「あなた、本気で私に勝とうと思ってなかったでしょ!?」
ハルト「うう…。」
ハルトは自分の部屋に戻り、今日のことは水に流そうと、ロボットアニメのビデオを観た。
そして翌日の咲森学園。
授業開始前にて、不良番長の山田 ライゾウはハルトの肩をつかみ、ハルトにこう言った。
ライゾウ「お前、あの女に負けたんだって!?男だろーが、もっと力出せよ!」
ハルト「確かに男だから、もっと力出すよ、山田くん。」
ライゾウ「山田じゃねえ、サンダーだ!これからはサンダーと呼べ、わかったな!」
ハルト「わかったよ、サンダー。」
ライゾウ「その調子だ、俺の仲間にならねえか!?」
ハルト「うう…。」
そして、ハルトの親友の犬塚 キューマと桜井 アイナがハルトの前にやってきた。
キューマ「どうしたんだ、元気でなさそうな顔をして。」
ハルト「何も言いたくないよ…。犬塚先輩…。」
アイナ「元気でいるハルトさんの方が好きです!ハルトさんらしくないですよ!」
それを影で見る、流木野 サキ。
サキ「(ハルト、だらしのない男ね…。)」
そして授業。
ハルトはあまりのショックに、やる気のない態度を見せていた。
するとハルトのスマートフォンに、こんなメールが届いた。
『男でしょ!しっかりしなさいよ!』
そのメッセージは、サキからのものだった。
ハルトは喝を入れられた気分になり、元気になって、授業をしっかり受けた。
それを影で見つめる野火 マリエ。
マリエ「(面白い男…)」
そして授業が終わり、放課後になった。
土曜日なので、授業は午前中のみなのだ。
ハルト達は外出し、ファミレスで昼食を摂った。
キューマ「陸上部の部員から聞いたぞ、お前、ショーコとのかけっこで負けたんだってな。」
ハルト「そんなことどうでもいいよ。」
アイナ「でもハルトさんは、あれなりに頑張って走っていたと思いますよ!」
ハルト「アイナちゃん…。」
そして食事を終えたハルト達。
その後、ゲーセンに行ったりといつもの様な行動をとるハルト達。
ドルシア軍は、長年の計画であったジオール侵略を実行に移そうとしていた。
ドルシア軍の戦艦であるバァールキート級宇宙重巡洋艦。
その中には、大佐のカインと、少佐のクリムヒルト、特務大尉のエルエルフに、他何人もの軍人が搭乗していた。
カイン「エルエルフ、多数の部下を率いてジオールに奇襲せよ。自分たちの国がどれだけ平和ボケしているのか思い知らせてやるのだ!」
エルエルフ「ブリッツン・デーゲン!」
クリムヒルト「ご健闘を願うぞ!エルエルフ。」
エルエルフは、ドルシア軍エージェント用パイロットスーツを着用し、イデアールに搭乗。
多数のバッフェを率いて、戦艦を出てモジュール77に向かった。
そしてモジュール77を天蓋を破って侵入。
ドルシア軍の兵器の群れが、モジュール77内で空襲を行っていく。
それを止めるべく、ジオール軍の兵器・スプライサーが、海や山、地中から次々と現れ、ドルシア軍の兵器を蹴散らそうとする。
スプライサーの群れと、ドルシア軍の兵器の群れとの激しい闘いは何時間も続いた。
激しい戦いの末、ジオール軍の兵器は全滅。
ドルシア軍の兵器は数機にまで減ったもののジオールはかなりのピンチに追いやられた。
モジュール77の地下研究所。
ジオールの科学者A「そろそろあの兵器を使いましょうか!?」
ジオールの科学者B「このままドルシア軍に降伏するわけにはいかないからな。」
ハルト達の近くにある空き地に穴が空き、その穴の底からヴァルヴレイヴIが鉄の床とともに地上に出てきた。
キューマ「何だ、これは!?」
ハルト「乗ってみる、これ以上ジオールを滅茶苦茶にされたくないから!」
キューマ「ちゃんと動かせるのかよ!」
ハルトは、構わずヴァルヴレイヴIに搭乗する。
ハルト「(アニメやゲームでしか語られなかった巨大ロボットが現実のものになるとは…。)」
そしてヴァルヴレイヴIを操縦しようと操作パネルをいじると、モニターにて、お姫様の衣装を着た女の子が映る。
彼女の名はピノ。
ピノ「初めまして。あなたの名前は何ですか?」
ハルト「僕は時縞ハルト。君の名前は?」
ピノ「時縞ハルト、縮めてハルトですか。私の名前はピノです。これからヴァルヴレイヴIの操縦法を説明します。」
ハルト「そんな長ったらしい話聞いてられないよ!さっさと動かしたいんだ!」
ピノ「なら操縦中にアドバイスします。私の話、ちゃんと聞いてくださいね。」
するとハルトの体から、黄緑色の光が放たれる。
ハルト「何だこの光は!?」
ピノ「ルーンの光です。」
ハルト「ルーン!?」
ピノ「ルーンは、記憶や感情といった心のエネルギーです。ヴァルヴレイヴはそのエネルギーに反応して動きます。なので貴方の、敵機を殲滅してジオールを守りたいという思いに、ヴァルヴレイヴは反応しているのです。」
ハルト「そうか!」
ヴァルヴレイヴは立ち上がる。
それを目撃したバッフェは、ヴァルヴレイヴIに向かって突進し、弾を放つ。
ハルト「武器は!?」
ピノ「フォルド・シックルという鎌があります!」
ヴァルヴレイヴIはフォルド・シックルを右手に持ち、接近してきたバッフェを一刀両断にしていく。
ピノ「ジー・エッジという刀も使用できますよ!」
高いところにいるバッフェに対しては、ヴァルヴレイヴIはジャンプしてジー・エッジで一刀両断にした。
そして残る敵機は1つ、イデアール。
ハルト「あんな高いところにいるとは、この兵器で空を飛ぶことは出来ないのか!?」
ピノ「飛べますが、熱量が一気に上がりますよ!」
ハルトは、モニターにて熱量インジケータがあることに気付く。
ヴァルヴレイヴは、熱量が100を超えるとオーバーヒートになり、動けなくなる。
そのような事態を怖れたハルトは、ジャンプしつつイデアールに攻撃を当てることにした。
ジャンプしてシックルやエッジを振りつつ、イデアールに攻撃を当てようとするヴァルヴレイヴI。
しかし、並みでないほど華麗な動きで操縦されているイデアールには当たらない。
エルエルフ「強い兵器を持っていても、我等ドルシアに敵うものか!こなごなにしてくれる!」
空を飛ぶイデアールにはなかなか手も足も出ない。
ハルト「ここまでなのか…」
ピノ「頑張ってください、ハルトさん!」
悩んでいると、こんな言葉を思い出す。
それはショーコの、「本気で勝とうと思ってなかったでしょ」という言葉だった。
ハルト「僕は…、本気で勝ちたい!」
ピノ「その調子です!」
すると、ハルトの体からルーンの光が強く光る。
そしてハルトは1つ閃いた。
ハルト「飛び道具はないのか!?」
ピノ「敵機、こちらに砲撃を仕掛けようとしています!」
気が付くと、イデアールはヴァルヴレイヴIに向かって砲筒を向けて弾をチャージしていた。
ピノ「ストライク・ブレイズという防御用兵装を使ってください!」
ヴァルヴレイヴは少し動き、ストライク・ブレイズを使ってイデアールの砲撃の直撃を免れる。
エルエルフ「ジオールの兵器、少し見くびりすぎたか…!」
ピノ「バス・バスターという飛び道具があります!」
ハルト「そんな飛び道具が何処に!?」
ピノ「肩部にて展開できます!」
ヴァルヴレイヴIは、イデアールに向かってバスターを放つ。
イデアールはそれを避けようとするが、そのバスターに少しだけ当たってしまった。
ピノ「少し当たりました!見事です!」
ハルト「相手、やっつけなきゃ!」
するとイデアールは、モジュール77の外に向かって飛んで行った。
ハルト「逃がすものか!」
ピノ「相手は撤収しようとしているのではないですか!?」
エルエルフ「傷つけられたことのない俺の兵器に傷をつけるとは…、この借りはいつか返させてもらうぞ!」
イデアールはモジュール77から出て、戦艦に入った。
ハルトはヴァルヴレイヴIから降りるべく、その兵器から顔を出した。
すると周りの人が驚き、彼を撮影。
咲森学園の生徒も、ハルトがヴァルヴレイヴに乗っていたことに驚き、彼にメールを送る。
ドルシア軍は、ネットでハルトに関する情報が蔓延していることを知る。
カイン「あの兵器…。ジオールはそんな兵器を隠し持っていたのか…。」
エルエルフ「時縞ハルト…、あいつが俺のイデアールに傷をつけたのか…。覚えていろ、時縞ハルト。あの借りはいずれ返す。」
後書き
次回予告
ヴァルヴレイヴ打倒のために新たな作戦を練るドルシア軍。
エルエルフの乗る戦艦には、元王子様だった特務大尉もいた。
第2話に乞うご期待!
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