美食
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6部分:第六章
第六章
「間違いなく」
「それでも美味しいんだね」
「はい、凄いですよ」
語るその顔はまさに。秘宝を見つけ出した少年のものであった。その輝かしい顔で蝮酒とはどんなものかを語っていくのである。
「それもまた」
「ううん、僕は無理だな」
彼は話を聞いて自分について述べた。
「やっぱりな」
「そうですか」
「うん。それでだけれど」
ここで友人は話を変えてきた。
「今度は何を食べるつもりなんだい?」
「そうですね。犬ですね」
それだというのである。
「犬を食べてみようかなって思ってます」
「ああ、犬か」
犬と聞くと今度はわかったようであった。
「となると韓国料理になるかな」
「はい、韓国には行ったことありますけれど犬を食べたことはなかったですから」
「それで食べるんだね」
「どうですかね。美味しいですかね」
「まずくはないと思うよ」
こう利樹に答える彼だった。
「まずくはね」
「そうですか」
「韓国の人達も何も好き好んでまずいものを食べるとは思わないし」
食べられるのには訳があるということだ。
「ただ」
「ただ?」
「やっぱりあれじゃないかな」
前置きの後で出した言葉であった。
「味は豚の方がいいじゃないかな」
「豚の方がですか」
「僕も韓国に行ったことがあるけれど」
自分のことを話す。
「あれだよ。あの国は肉っていったら豚じゃない」
「はい、そうですね」
「犬と豚あったら豚の方を絶対に食べるから」
韓国ではそうだというのである。
「それを考えたらね。やっぱりね」
「豚肉の方が美味しいですかね」
「そうじゃないかな」
これは予想だった。
「ただ、食べてみて悪くはないと思うよ」
「美味しいからですか」
「そして医食同源だし」
このことも理由にする彼だった。
「確か犬を食べれば精がつくって言われてるしね」
「無効では精力鍋っていうそうですしね」
「だから食べてみて悪いとは思わないよ」
「はい、じゃあ本当に」
「猫はなかったよね」
ついでに猫のことも尋ねる彼だった。
「猫鍋とかは」
「あっ、それはなかったですね」
メニューを思い出しての返答である。
「猫は。それは」
「まあ猫は実際に美味しくないそうだし」
このことも何故か知っている彼だった。
「アクが強くてね。食べられないらしいよ」
「そうなんですか」
「中国人が猫食べたかな?」
少し首を捻っての言葉だった。
「確か」
「何か食べるそうですけれどあまり食べないそうですね」
「まあ当然かな」
利樹の今の言葉にこう返した彼だった。
「食べる場所少なそうだしね」
「そうですよね。猫は」
「まあないならいいよ」
彼はそれでいいとして猫に対する話に区切りをつけた。
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