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戦国異伝

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第二百五十話 信長の先陣その十二

「わしはこれ以上ないまでの幸せ者じゃ」
「そう言われますか」
「やはりな」
 こう言うのだった。
「これだけ幸せでよいのか」
「何か申し訳ないともですか」
「思うのう」
「しかしその幸せはです」
 秀長は微笑んで兄に話した。
「兄上がご自身で手に入られたもの」
「だからか」
「それもよいかと」
「そうなるか」
「はい、兄上がご自身の努力と資質で手に入れられたもの」
 その幸せはというのだ。
「ですからそれでよいかと」
「そうか、ではな」
「はい、より精進されてです」
「より多くの幸せを手に入れてもよいか」
「そうかと。大名になられ官位に富も手に入れられ」
 今の羽柴の状況も話すのだった。
「そしてです」
「子も出来てな」
「それよりさらに精進されれば」
「さらによいことがあるか」
「これ以上の幸せとなれば何を望まれますか」
「ううむ、そう言われるとな」
 羽柴は考える顔になってだ、弟に答えた。
「思いつかぬわ」
「今で満足ですか」
「最高じゃ」
「ではその最高の気持ちを他の者に与えますか」
「幸せをか」
「政でそうされては」
「そうじゃな。わしは政をしてな」
 それも善政をだ、羽柴は言った。
「より多くの者を幸せにしようぞ」
「では」
 秀長も応えた、そしてだった。
 羽柴は今は寝た、そのうえで次の戦に向かうのだった。


第二百五十話   完


                          2015・11・1 
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