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発進!!最凶マスコットせん○くん

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1部分:第一章


第一章

              発進!!最凶マスコットせん○くん
 今巷では。あるマスコットが注目されていた。
 注目といってもいい意味ではない。実に悪い意味でそのマスコットは注目されていた。しかもそれは日本中での話になっていたのだった。
「このマスコットなあ」
「最悪!?っていうか最凶!?」
 いきなりここまで言われる始末であった。
「可愛くないっていうかねえ」
「不気味っていうか」
 不気味と言われるマスコットキャラも滅多にない。少なくともそれは妖怪変化に対して向けられるような言葉ではあってもマスコットキャラに対して向けられる言葉では決してなかった。
 しかしそれでも人々はそのマスコットキャラを見て。また言うのだった。
「可愛くないよねえ」
「気持ち悪いって」
「あれでよく採用されたよ」
「採用した人何考えてたんだろうね」
 ここまで酷評されるのだった。そしてその酷評のままさらにグッズまで売られる。売る方も最早逆の意味で注目されていることを利用するしかなかった。
「だからこんなのが映ってるカップで飲んだら食中毒起こすって」
「グッズも不気味だし」
 何をやっても不気味という妖怪に対する評価は変わらなかった。
「着ぐるみになってもねえ」
「やっぱりキモイんだよね」
 とにかくぼろくそに言われ続けている。その無茶苦茶な評価はあの天本博士の耳にも入っていた。まずは小田切君達が研究所のコンピューターでネットサーフィンをしている時だった。なお博士はこのコンピューターで普通にありとあらゆる国にハッキングし極めて悪質なウィルスを流したりする。これも博士の破壊活動の一つである。
 ネットの記事を見ながら小田切君は。ライゾウとタロに対して言うのだった。
「何時見てもこのマスコットはねえ」
「可愛くないよな」
「そうだね」
 彼等もこんな意見であった。
「何でこんなのにしたんだろうね」
「選んだ奴のセンスがおかしかったんだよ」
「お酒飲みながら選んだとか?」
 ライゾウもタロも実に容赦がない。
「そんなところだよ、これって」
「とにかくこんなの普通はマスコットキャラにしないよ」
「その通りだよ。その一家にしろ」
 調子に乗って一家まで作ったのである。それがさらに不気味だと評判であった。人間悪ノリ、開き直りをすれば何処までも暴走するものである。
「これまた何かねえ」
「ゲゲゲの鬼太郎だったら絶対に攻撃されてるよな」
「あの髪の毛の針が飛ぶね、絶対に」
「だよね。やっぱりマスコットキャラニは見えないよ」
 モニターに映るそのキャラを見ながらまだ言う小田切君だった。
「これはとてもね」
「いや、中々いいのう」 
 だがここで。不意に後ろから声がしたのだった。パソコンのサイズに収めた博士が設計、開発したスーパーコンピューターの席の後ろで。
 なおこのスーパーコンピューターの性能はまさに神である。たった一台で全世界に災厄を与えることが可能な程のコンピューターである。
 そのモニターに映る新しい顔は。やはりこの人であった。
「博士、お昼寝中だったんじゃ?」
「今起きたのじゃよ」
 こう小田切君に答える博士であった。
「今しがたのう」
「そうだったんですか」
「前に少し考えておったんじゃがのう」
 話を単刀直入に切り出す博士であった。
「このマスコットキャラじゃ」
「はい。全然可愛くないですよね」
「じゃがそれがいい」
 ここでこう言い出す博士であった。
「それがのう。実にいいのう」
「こんなのがいいんですか?」
「巨大ロボットには丁度いい」
 モニターに映るその不気味な姿を見ながらの言葉であった。
「前に言ったが戦闘員のように大量に作るのも考えておる」
「巨大ロボットだけじゃなくてですか」
「それだけでは面白くない」
 これが博士の行動の根幹であった。面白いかそうでないか、この博士はそれを基準にしてありとあらゆる災厄を引き起こしているのである。
 
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