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普通の刑事の特殊な日々

作者:時雨日和
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第6話 決意の連続

 
前書き
前回から結構期間をあけてしまってすみませんでした。今回は前回のさいごのセリフを回収する話とそれを終わった後の展開が凄いことになる話です。 

 
楓「なあ響希、お前また目が見えるようになりたいか?」
響希「え?…何を言って…」
楓「俺は…と言うより多分お前に関わってきた奴ならみんな思ってるはずだ、お前はもっと自分の事を大切にする必要がある」
響希「別に今の生活が苦じゃないんだ、だからと言って前がどうのって訳じゃ無いが」
楓「嘘つけ、お前の事だ目が見えなくなってからみんなに迷惑かけてる事に負い目とか感じてんだろ?」
響希「うっ」
楓「図星だろ、ならまずは目を治した方がいいぞ」
響希「…手術してくれるいい病院でも紹介してくれるのか?悪いが俺の目はもう使い物にならないって聞いたぞ何年かもう経ってるしな」
楓「俺の目を使えば問題は無い」
響希「はぁ!?お前…本気で言ってるのか!?」
楓「こんな真剣な話で冗談なんて言うわけが無いだろ」
響希「なら…」
楓「大和に聞いた、お前の血液型特殊なんだって?AB型RH-…日本人でも確率では2千人に一人、角膜移植何てほぼ絶望的だ」
響希「…」
楓「ただ、俺もおまえと同じ何だわ。AB型RH-、ならやるしかないだろ」
響希「だからって、こんなの俺がこのまま生活して行けばいい話だ。わざわざお前の目を貰うなんて」
楓「響希、お前覚えているのか?お前に雨の事で助けてもらった時の事」
響希「?もちろんだ」
楓「俺は言ったはずだ、今度お前が困ってたら俺が助けてやるって。だからお前のためなら目を一つくらいやるなんて大したことじゃ無いんだよ。目なんて二つあるからな死ぬ訳じゃない」
響希「…楓」
楓「俺にも何かやらせてくれよ、お前ばっかりカッコつけやがって」
響希「ありがとう…楓ありがとう…」
楓「何だ泣いてんのか?」
響希「うるせえな、別にいいじゃねえか冷やかすんじゃねぇ」
楓「はいはい、なら二日後なその時に手術だ」
響希「急だな…お前狙ってたろ」
楓「何のことやらそれじゃあな」
響希「あぁ本当にありがとうな」
そして電話を切った。少し落ち着いた後部屋を出た。
大和「いい友達じゃないか、良かったな」
響希「や、大和!?何で家にいるんだ?!」
大和「恋心から連絡が来てな」
響希「恋心…お前…」
恋心「だってお兄ちゃん部屋で大声で電話しているから…ちょっとね」
大和「まあ聞いたところ楓か、お前の血液型を聞いた時から何か引っかかってたがこうなるとはな」
恋心「流石だよね」
そっからはなんか知らんけど冷やかされた、弥生さんとの事までも。
~~~~2日後~~~~
手術の日、場所はいつもお世話になっている市立病院。何でも素材があれば出来るとかなんとからしいから実際腕はいいらしい。前の日から入院はしていた、ただ引っかかることが一つだけあった。弥生さんが来なかった、連絡もつかないらしい大和が家に行ったらしいが天道さんと夜ちゃんしかいなかったようだ。一応このふたりは来ていた、夜ちゃんも喜んでいた。ただ俺は引っかかっていた。そして手術時間、1度楓に直接お礼を言いに行ったら。
楓「気にすんな、雨とも相談した結果だし、それに片目眼帯の海上自衛隊支部隊長とかカッコイイだろ」
って言ってきた。この人には敵わないな、ひとまず戻ってから手術が始まる。その後は麻酔をかけられ眠りについた。そして気がつくと手術は終わっていたようだ、左目の所に包帯が巻いてあった。俺は包帯を触りながら。
響希「終わったのか」
恋心「お兄ちゃん、起きたんだね」
恋心が隣にいた、少し前の入院の事を思い出した。
響希「どうなったんだ?俺は」
恋心「成功だって!良かったねお兄ちゃん…本当に良かったね」
泣いていた、俺も恋心も
恋心「明日には包帯も取れて見れるようになるって、お兄ちゃん…久しぶりに世界が…人が…色々見れるんだよ」
響希「楓には感謝してもし切れないな、でも行くか」
すぐに楓のところに向かった、楓はまだ眠っていたようだった。
雨「おめでとう響希」
響希「ありがとう、本当感謝してもし切れない。雨にも迷惑をかけた」
雨「気にしないでって、私だって助けてもらったしお互い様だよ。」
何かお礼合戦みたいになった後楓が起きてまたお礼合戦が始まった。ただ俺の中では違和感というか何かモヤモヤしていた。
~~~~次の日~~~~
朝イチに包帯が取れた、俺の風景は白かった。目が光に慣れない、真っ白でぼやけていた。段々となれてきたら最初に見えたのは恋心だった。相変わらず泣いていた。
響希「恋心、お前は俺の前だと泣き虫だよな」
恋心「もお、第一声がそれってやだ!酷いよ」
響希「大和、居るんだろ死角に入っても無駄だぜ」
大和「はいはい、居ますよ。まあ良かったな」
響希「ああ、これで1人でも仕事が出来るぜ」
大和「仕事の話かよ、あ、仕事と言えばひとまずお前の目が見えるようになったって事は黙っておくからな」
響希「何でだ?」
大和「来れば分かる、一応沙耶先輩と華那先輩は知っているが他は検査入院ってことになっている」
響希「気になるな」
大和「とにかく今日は休んで次きた時な、じゃ俺は行くからな。恋心も学校へ行け」
恋心「え?何でさ?今日くらい休んでも」
響希「俺のことは気にするな、目が見えるんだ今までよりは気にかけなくても大丈夫だ」
恋心はしぶしぶ大和と共に病室を出て行った。病室を見渡すとテーブルの上に紙が置いてあった。
『午後3時弥生の家に行け、今日なら居るはずだ』
それを見た瞬間何かが俺の中で弾けるのを感じた。
響希「(弥生さん…何かあったのか…)退院とか出来ないからな…抜け出すか」
脱走しよう。そう決めた。正直警察官が病院脱走はどうかと思ったがそんな考えは速攻で取っぱらった。何となく待ちきれない感じと不安でじっと何かしてられなかったから動き回ってたら何回か注意されたが目を慣らしておきたいと言って何とかしてた。そして1時昼食が終わり病室を出た、玄関付近まで行くと受付などに結構な人が居たからこっちには気にかけていなかったと思う。と言うよりそうあって欲しかった、俺は一応スキをついて玄関を出た。久しぶりの外の景色は変わっている所と変わっていない所が入り交じって新鮮な感覚に襲われた、感傷に浸っていながら俺は走り出した。2年ぶりのダッシュはものの数百メートルで終わった、2年動かないだけでかなり違う、思うように動かなかった。1度立ち止まって電柱に寄りかかって息を整えた。そしてゆっくりと動き出した、正直止まってなんかいられなかった。走れないからジョグ程度で走った、それでも息はすぐに切れる。走る事がこんなにも苦痛に感じたのは初めてだった、息が苦しくなりながら1度自分の家まで行った。久しぶりの家は変わっていなかった、ただ俺がものを出しやすいようにと気を利かして必要になるであろうものは目に付きやすい所にあった。大方恋心がやったんだと思う、多分大和もだと思うがな。とりあえず部屋に入り必要なものを取り家を出て弥生さんの家に向かった。今までと変わらない、いつも通り杖をついて家からゆっくりと向かっていった。歩いてなら普通20分の所わざわざゆっくりと少し寄り道も兼ねて歩いて1時間近くかけて行った。時間は2時半過ぎくらいだった、弥生さんの家は外見は変わっていなかった、少し庭に花が増えていたくらいかなとりあえず1番初めに来た時と違って生活感というのが強くなった。そして呼び鈴を鳴らした。しばらくして出てきたのはいつも通り天道さん…ではなくご高齢のイギリス人女性だった。
メアリー「どちら様ですか?」
英語だった、一応元々英語は出来なくは無かったし弥生さんにも大和にも結構教えてもらったから何となく人並みには出来ると思いたい。聞き取る事は何とか出来るし。
響希「私は藤原 響希と申します、弥生さんに用事がありお伺いしました」
多分拙かったと思う、ただちゃんと伝わったらしいが何か最初より険しい顔をしていた。
メアリー「私はメアリーです。どうぞこちらへ」
しぶしぶと言ったという感じで俺を中へ招いた。俺は一礼し杖をつきながら中へ入ると。
メアリー「杖をつかないでちょうだい!!」
響希「申し訳ありません、しかし私は目が見えない故杖は必要不可欠となってしまうのです。これは弥生さんにも天道さんにも許可を得ていることです」
半分嘘と本当だった、女性は不満そうな顔をしながら案内した。通されたのはリビングだった。
弥生「響希さん!?どうして…」
響希「弥生さん、珍しいですねリビングですよねここ、リビングに居るなんて」
弥生「それよりもどうやって1人で…」
メアリー「待ちなさい弥生、響希さん立ち話は何ですお座りください」
響希「はい」
言われるまま一応まだ目が見えないという感じで座った。
響希「それでどうやって1人で来たかですね?ただ頑張っただけです」
弥生「頑張ったって…危ないじゃないですか、何かあったら」
メアリー「私をのけ者にするんじゃありません、弥生この人は誰なの?」
弥生「この人は響希さん、刑事をしていてその時事件に巻き込まれて目が見えない状態何です。そして私はこの人とお付き合いをさせて頂いています」
メアリー「また日本人か…」
弥生「お祖母様、そのような事を言うのは辞めてください」
メアリー「どうしてあなたもウォーレンも日本人を選ぶんでしょう…私には理解出来ないわ」
弥生「お祖母様には関係ありません、お父さんの事を絶縁してお父さん達のお葬式にも来ないで…私は響希さんが素敵だと思ったから、この人の事は信用できるこの人の事が好きだとおもったからお付き合いしているのです。相手を好きになるのに日本人もイギリス人も関係ありません」
正直こんなにも弥生さんに想われていると改めて実感すると気恥ずかしかった。多分顔も赤くなっているだろう。
メアリー「親子揃って最もらしい事言って、どうせ日本人何てすぐに裏切るのよ。そうでなくてもすぐに身を削ることになるのよそのせいでウォーレンも…」
弥生「あの事故とお母さんは何も関係ない!あれはただの事故、それにお父さんもお母さんも愛し合ってたし私の事も愛してくれた!昔から私はあの2人の様な関係を夢見ていた!それほどなの!」
弥生さんが声を荒らげたのは初めてだった、いつでも冷静で温厚な弥生さんが…だ、俺はもう泣きそうだった。
メアリー「何て孫でしょう…」
弥生「私はあなたの孫ではありません、お父さんを絶縁したあなたをもうお祖母様とは思いません。もう赤の他人です。出ていってください、ここはお父さんとお母さんと私と天道と夜ちゃんの家です。私の許可が無ければ入らないで下さい、私はあなたにもう許可は出してません。私の両親を…増してや自分の息子の事をあんな言い方するような人は出ていってください!!」
メアリー「なんてことを…そんな事を言ってただで済むと思わないことね!」
弥生「関係ありません、あなたがどんな人であろうがここは日本です。あなたの手なんて届かないのですから」
メアリー「私を甘く見ないことね、私の一声であなたなんてどうとでもなるんだから」
響希「間に割って入って悪いですが弥生さんの言ったとおりここは日本です。今の言葉は恐喝に入り逮捕させて頂きますよ?」
メアリー「何よあなた!勝手に話に入って来ないで!!これはこっちの話よ!!あなたは関係ないわ!!」
響希「そうですか、ですが犯罪は犯罪ですので」
メアリー「そんなの知らないわ、それにこの程度すぐにもみ消せるのも」
響希「そうですか、流石はイギリスの中でも高位とされるファーディナンド家のご婦人です。そうですねあなたともあろう方なら私どころか弥生さんの会社もすぐに消すことが出来るでしょう」
メアリー「何よ、分かっているじゃないそれならすぐに謝罪を」
響希「ただ私の職場にかなりコンピューターとか色々な裏の事情に詳しい奴がいるんです。そいつから聞きましてね何回もあるらしいですね、あなたの家がやっていた汚職の数々…中にはイギリス政府も知らないで消された大罪もあるとか…これをバラされたらどうなるでしょうね?」
メアリー「くっ…なんで…」
響希「そんな事はどうでもいいんですよ、俺はただ弥生さんに謝って欲しいんですよ。冷静で温厚な弥生さんがあれだけ怒るんです。亡くしたご両親の事を1番悲しんでいるのは弥生さんです、その事を馬鹿にしたような発言をしたんだ、謝れ!!」
メアリー「誰が…」
響希「では選んでください、このまま捕まってあなたの家と人生をどん底に落とされるのと、今後一切こちらに干渉しないでさっさとここから…日本から出ていくか」
俺は話しながらメアリーさんの前に立った、メアリーさんは怒って立ち上がり俺に向かってビンタしてきた。その手を俺は掴んだ。
弥生「え?…」
メアリー「え?…何で…見えないはずじゃ…」
響希「昨日手術したんですよ、俺が信頼している人から左眼を貰って…その人には感謝してもし切れない。申し訳ありませんね嘘をついてて」
メアリー「あ…あ…」
響希「危うく傷害です、早く立ち去れ。2度と弥生さんに関わるな!!」
そう言うと、急いで出ていった。出ていく時テンパり過ぎたのか言葉にならないことを喚いてから立ち去っていった。
響希「ふぅ…何とかなった…」
弥生「…」
響希「すいません弥生さん嘘をついてしまって」
弥生「響希さん…それよりもすいません、お見苦しいことを、そしてありがとうございます」
響希「気にしないでください俺もあの人の事気に食わなかっただけですから」
弥生「響希さんこちらに来てください」
言われるまま弥生さんの前に行き目線を合わせるためにしゃがむと弱々しくはあるが弥生さんがビンタした。俺は呆気に取られた、一瞬状況が飲み込めず呆然としていた。
弥生「どうしてあんなことしたんですか!!あの脅しが効かなかったらどうするつもりだったんですか!!それでもし響希さんにもしもの事があれば…私…どうすればいいんですか!!それにここまで一人で来て嘘ついて…心配したんですよ!?もしもの事があってたらって…もう…大切な人がいなくなるのは嫌なんです!!」
途中から弥生さんは泣いていた、俺に対して不満ではなく心配をぶつけて…弥生さんは俯きながら泣き続けている。
響希「弥生さん…顔を上げてください」
弥生「…はい…」
ゆっくりと顔を上げた。その時にキスをした。ほんの2、3秒ではあったが凄く長く感じた。弥生さんも驚いた様な顔をしていた。
響希「弥生さんごめんなさい、俺馬鹿で何も考え無しに突っ込んじゃってそれで弥生さんに…みんなに迷惑かけてばっかりで、でもそれはみんなを、弥生さんを助けたいと思うからで…でも弥生さんには心配を掛けてしまうことばかりで本当にごめんなさい。そして…俺は弥生さんの事が大好きです」
弥生「…響希さんずるいです…キスして私を喜ばせるような事言って何も言わせないようにして…」
響希「い、いえそんなつもりは無かったのです」
弁解しようした時弥生さんは車椅子だけを後ろに押して俺に抱きついてきて俺にキスしてきた。さっきと同じ位の時間なのにさっきより長く感じた。離すと弥生さんは真っ赤な顔になってたが少しずつ笑顔になり。
弥生「いつも一生懸命でみんなのために、私のために頑張ってくれる響希さんが私は大好きです!」
それを言い終わると強く抱きしめてきた。俺は静かに泣いた、こんなに想ってくれている…こんな俺を…
響希「弥生さん」
弥生「何ですか?」
弥生さんは力を緩め俺の顔の正面に顔に向けた。
響希「俺今日誕生日何です、ただこの日は弥生さんの御両親の命日でもあるんですよね?」
弥生「…はい」
響希「俺にとってこの日はプラスの日、ですが弥生さんにとってはマイナスの日です」
弥生「…」
響希「なら…2人にとってプラスの日にしたいと思います」
弥生「え?…」
俺はポケットから小さな箱を取り出し開ける。
響希「…結婚記念日にしたいと思います。なので俺と結婚してください」
弥生「あ…ぁ…」
弥生さんはまた涙を流していた。手を口に当てポロポロと涙が流れていた。
弥生「響希さん…私今世界一幸せ者です…私も…響希さんと結婚したいです!こちらこそお願いします」
弥生さんはまた強く抱きしめてきた、俺もそれに答えるように強く抱きしめた。
響希「ありがとうございます。愛しています弥生さん」
弥生「こちらこそ…響希さん、愛しています」
一旦力を緩めて離れてからまたキスをした。もう…この人とは離れたくない。
 
 

 
後書き
まあ無理矢理な部分もありますが最終的にこんな感じになりました。結構ハッピーエンドまっしぐらです。もう少し話は続きます。でもそろそろ終盤に近づいてきてます。最後までゆっくりと待っていてください。 
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