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ペットマニア

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第一章

                 ペットマニア
 ウィリアム=グリッグストン卿は爵位、それも侯爵位を持っている貴族であり今も立派な屋敷に住んでいる。相続税には困っているが事業で収入があるから昔ながらの生活が出来ている。
 趣味はゴルフにテニスと貴族らしい。そして。
 動物が好きだ、彼はいつも家のペット達を見て言ったいた。
「動物はいい」
「あなた趣味ですね」
「趣味というか生きがいだね」
 妻のメアリーにもだ、こう言うのだった。
「まさにね」
「そうですね。本当に」
「私は犬が好きでね」 
 その整った口髭を触りつつ言うのだった。
「猫も好きだよ」
「どちらも一ダースずついます」
 妻は落ち着いた声で夫に言った。
「このお屋敷に」
「そうだね」
「しかもです」
 妻はさらに言った。
「ハムスターにです」
「亀もインコもいてね」
「日本から取り寄せた金魚もいますね」
「熱帯魚もいいね」
 卿はそちらも飼っているのだ。
「何種類いてもいいよ」
「そうですね、そしてですね」
「先日取り寄せたザリガニはどうですか?」
「金魚と同じく日本からね」
「あちらもいいですね」
「うん、いいペットだよ」
 そのザリガニもというのだ。
「気に入ってるよ」
「あと兎も蛙もオウムも」
「ははは、ジュウシマツもいいね」
 この鳥もいうのだ。
「小鳥も好きだよ、ただね」
「はい、一度飼ったらですね」
「公平に深く愛さないといけない」
「それが旦那様の信条ですね」
「生きものも愛されたいんだ」
 こう言うのだった、気品のある青い目を輝かせて。茶色の髪はオールバックにしていて茶色のベストと黒のズボンと赤いネクタイ、白のブラウスがよく似合っている。
「公平にね」
「人と同じく」
「だからね」
 それでというのだ。
「皆公平に愛さないとね」
「深く」
 妻も言う、整えたブロンドの髪と青い目が貞淑な整いを見せている。服は現代風のロングスカートだが何処かビクトリア朝時代の雰囲気がある。 
 その夫婦がだ、こう話しているのだ。
「私はそう考えているからね」
「それ故にですね」
「そう、皆をね」
「一度迎え入れられたら」
「公平に接しているんだよ」
「毎日ですね」
「その通りだよ、それでだけれど」
 卿はメアリーに今度はこう言ったのだった。
「イグアナはもうすぐかな」
「はい、明日来ます」
「そうだね、じゃあそのイグアナもね」
「家族としてですね」
「迎え入れてね」
 そしてというのだ。 
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