普通の刑事の特殊な日々
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第2話 幽霊屋敷?と過去
あの事件から一週間程した後の話になる。あの事件で副会長は学校を退学になり何年か少年院に入れられる事になったそうだ、実際あんまり詳しくは聞かせてもらえなかった。上からはお手柄だとか2人の先輩は何か嬉しがってた、まああの後待ち伏せてた事は2人にバレてたようだけどお咎めとかは、食事を奢るだけになった。これまでの一週間は本当に退屈するような事しか無かった、またそんな感じで出勤した。
響希「おはようございます」
2人「おはよう」
響希「あれ、珍しいですねいつもより早いじゃないですか何かあるんですか?」
華那「まあね、昨日帰り際にね最近ちょっと郊外にある洋館みたいに大きめな家に廃墟探索だと言って夜中にその辺りを散策する若者が現れているらしいからそこを何日か行ってみてここは私有地だからと注意して欲しいそうだよ」
沙耶「それで今回は誰が行こうかって話していた所」
響希「そういう事ですか、なら俺が行きますよ流石に夜に行くこともあるのでしょう?しかも人が来るような所を女性に任せる理由にはなりませんからね」
華那「おお、紳士だね」
沙耶「何だかんだ言って響希1人でもそこら辺の不良が束になっても勝てなさそうだからね」
響希「いや流石にそれは無理です、友人になら1人有り得そうな奴いますけど…」
華那「まあとりあえず今日からよろしくね、小学生とかも遊び半分で行くこともあるらしいから昼からでもよろしく」
響希「了解しました」
一応色々と準備するものを用意して昼からその場所に向かいました。言われた通りその場所には見るからに少し廃墟のように見える大きな家がありその前には庭と塀と門があった、まあまだ昼間という事もあり人通りも少ないのでその場所には誰もいなかった、とりあえずの門の前で家の様子を見てみたが少し古めであまり生活感も無さげな感じで庭にも雑草が生い茂っていた壁や窓もすこしボロボロな感じだった。とりあえず近くの住民の方にも話を聞いてみたところ昔は金持ちの家族が住んでいたが家族が事故にあい亡くなってしまったこと、今は住んでいないそうだということ、昔は良く家族で庭で遊んでいるのを見たことがあるということ、良く子どもやオカルト好きな人とかが入ろうとしているが入らずに終わってしまうこと、幽霊が出ると噂されていることなど意外にもかなりの情報を得ることが出来た。その情報を華那先輩に連絡した、そうしたらその調子で見張りをよろしくと言われ報告終了。そんな感じで報告が終わりまたあの家に向かうと門が開いていた、俺は急いで門の前まで行くと小学生4人がその家に入ろうとしていた。
響希「君たちちょっと待ちなさい」
とその子達を止めた、子ども達はビクッと体をビクつかせ後ろを振り向きこっちをみた。
響希「君たち、勝手に人の家に入ろうとしていは行けないよ、不法侵入というので君たちを逮捕しなくてはならなくなるからね」
少年A「でもここには誰も住んでないって言ってましたよ」
響希「それでも少なくとも君たちの家じゃないからダメなんだよ、そしてこれからもここに来ちゃ行けないよ」
と割と優し目に注意してみた、すると少年達はしぶしぶ帰っていった。大人であり警察だった事ですぐにすんだな。それでもう一度ふと家の方を見ると二階の窓の所に人影が見えた、俺はすぐに門の所にあったインターホンを押してみた。数十秒程経ったが何もない、また何度か押してみると少し経ってからだが初老の男性が扉の方から出てきた。
天道「どうかなさいましたか?」
響希「申し訳ありません、私は衣更市警察署特殊捜査課藤原 響希巡査です。この度はこの家に面白半分で肝試しのようなものをする若者等を取り締まるためにと思いましてこの度見張りを上司に任されたのですが、ご迷惑なら私は立ち退きます」
天道「そうですか、刑事さんでしたかいえむしろこの家のためになさってくださっている事ですこちらからお願いする程です。それで刑事さんは何か御用でしたか?」
響希「実は御近所の方々にここの話を聞きまして、そして人影が見えたので話を聞くことが出来ればお願いしたいです」
天道「そうですか、立ち話も何ですから中へ案内致します」
そう言われ俺は案内されて中に入る。
中に入れてもらいよく見るまでもなく中はよく掃除されていていた、家具も電化製品もそれに素人目でも高価なものだとわかるものまである。
響希「ここは…今は天道さんの家となっているんですか?」
応接室のような部屋に通され飲み物を渡され2人対面するようにソファに座る。
天道「いえ、私はただの使用人です。持ち主は今も昔も旦那様の物です。」
響希「しかし今は天道さんしか住んでいないのでは?」
天道「実は…」
~~~~~割愛~~~~~
天道さんの話を聞き、そして天道さんに許可を貰い二階の部屋に入ることにした。そんな訳で天道さんと二階へと上がりとある部屋の前まで来て天道さんはノックをすると女性の声でどうぞと声がして失礼致します。と天道さんは言い俺もそれに続いて俺も入ってその女性を見た。女性は少し小柄で細身、髪はの肩を少し超えるくらいまである長さのブロンド髪、こちらに向いた顔は目は薄ら蒼く整った顔立ちでかなり美人である。モデルなのではないかと思ってしまうほどだ。
しかし車椅子に乗って力のないような感じだったが少し驚いたような表情をしている。
弥生「どなたですか?」
響希「私は衣更市警察署特殊捜査課藤原 響希巡査です。この度はこの家に面白半分で行く若者等を取り締まるために見張りをしていました者です。」
弥生「そうですか、先ほど聞こえてた声は貴方で…わざわざありがとうございます。せっかくですのでごゆっくりして下さい。あ、自己紹介が遅れました。私はファーディナンド・弥生と申します、実際は弥生・ファーディナンドですが。イギリス人の父と日本人の母の元に生まれたハーフです。」
響希「それではお言葉に甘えさせて頂きます。」
と言った。その通りに俺は彼女と2人で話をしていた、この家のこと、いつもの生活の事、よく若者達が家の前まで来ていたことなど話してくれた、俺は仕事の事、妹の事、この家に入った感想など話した。そんな中彼女は少しトーンを低くして話を切り出した。
弥生「響希さんは私の両親の事を聞かないのですね」
響希「…正直遠慮していました。実は最初にここに来る前に御近所の方々にここの家の家族はみんな亡くなったと聞いていまして」
弥生「そうでしたか、気を使わせてしまい申し訳ありません。ただ…もしかしたら私も誰かに聞いて欲しいのかも知れません」
響希「そういう事でしたら、何も出来ないかも知れませんが聞くだけなら俺でも出来ます」
弥生「それなら…私が生まれると同時にこの家に住みました。お父さんもお母さんも私の事を大事にしてくれてました、仕事が忙しくてあまり一緒に同じ部屋で過ごす事は少なかったんですけど、一緒の時は本当に私の事もお互いの事もとても愛してくれました。そして仕事が休みの日家族揃って車ででかけていたんです。家にはすこしですが何人か使用人がいました。そしてその日その車で事故が起きてしまいました、両親は病院に着いた時に亡くなったそうです。私は何日か目も覚まさなかったそうです、起きた時にはもう私の足は動かなくなっていました。事故の時に足の筋を切った事と骨折した事で欠片が神経を傷つけたようでもう歩く事は出来ないそうです。それが高校に入る頃でしたので約4年前です。それからはずっと家の中に閉じこもってずっと意識を喪失していたかも知れません。そんな感じだったので使用人も今では天道だけになってしまったのです。幸い両親の貯金がかなりあるので今の所はこのまま住めるほどは持っています。ただ、今ではお父さんの仕事を勉強して少しずつお父さんの跡を継いでいます。実はこう見えても社長なんですよ?…大体このような感じです。」
彼女は少し涙を押し殺すような声で終始話していた感覚を持った。
響希(あぁ、似ているのかもなあ)
弥生「すみません、少し湿っぽい話をしてしまってご迷惑ではありませんでしたか?」
響希「いえ…弥生さんは今日あった俺にこんな事を話してくれるんですね、どうしてですか?」
弥生「それは…」
響希「いえ、無理に話さなくても大丈夫ですよその代わり…俺の話を聞いてくれませんか?」
弥生「…はい」
響希「ありがとうございます。俺の家はとりわけ仲が良かったとかお金持ちだとかそういうのはありません。普通のサラリーマン夫婦から生まれたのが俺です。その二年後に生まれたのが妹です。昔から俺は妹の事が好きでいつも忙しかった両親の代わりに妹の世話をしていました。だからといって両親の事を咎めたり嫌いになることはありませんでした、むしろ妹を産んでくれて感謝するくらいです。そして小学校を卒業と同時に両親の転勤で中学はこの街から離れました。しかし二年後両親が二人とも出張先の宿泊地で火事にあってそこに泊まっていた人達、両親を含めてほぼ全員が亡くなってしまいました。それを2人で聞いた時まだ小学生だった妹は一晩中部屋に篭もり泣いていて食事も取りませんでした。それが何日か続いてましたがちゃんと少しではありますが食事はとるようになったのですが口数も少なく元気もない様子でした。ちなみに、うちは祖父母も親類ももういなかったのでこれからは俺と妹の二人暮らしになる事になっていました。そして妹は部屋に篭もるのも続いてましたし時々部屋の前を通る時に聞こえる微かな泣き声を聞いてたら妹の前ではしっかりしよう、俺だけはいつも通り振る舞ってやろうと思って今まで通り接して泣かないようにはしていたんですが俺も部屋に行って泣いてました。昔から妹の事は俺が守るって良く言っていたんですが、この時からは口だけの言葉じゃなくしっかりとした行動で表そうって思い警察官になろうって思いました。そしてこれはもちろんですが妹だけではなく全ての人に恥ずかしくない、誇れるような人間になろうって思いました。そして俺が中学を卒業すると同時にこの街に戻ってきました。この街の方が知り合いも多いと思ったので。その時には妹も少しずつ元気を取り戻してくれました。ただ、その前に合格発表の時、ある程度合格出来る程度なら勉強は出来る方だったので合格は出来たんですが、その時不合格の人がかなり悔しがってそして俺の両親が亡くなって戻って来たことを知っている人で俺に対して『なんでこっち来てんだよ!!黙ってあっちにいたままでいろよ迷惑なんだよ!!親も居ねぇくせに!!!』と泣きながら俺に言ってきました。出来るだけ…正直自分ではどうなってたかわかりませんが冷静のままその場を後にしました、俺が去る時もまだ泣きながら叫んでいました。そんな事があってそのまま俺は高校でイジメ被害を良く受けながら、そして耐えながら卒業して、すぐに警察官になりました。」
少し俯きながら話してて話し終わって顔を上げると弥生さんは静かにポロポロと涙を流していました。
響希「すみません、長い話をするだけでなく泣かせてしまうことになってしまって」
弥生「いえ、大丈夫です。響希さんのせいではありませんから。」
響希「そうですか?」
弥生「はい、むしろ話して下さってありがとうございます。妹さんの事本当に大切に思っているのですね」
響希「お恥ずかしながらよくシスコンだと馬鹿にされていますがね。ただ、前みたいになって欲しくないって言うのが本音かも知れませんが」
弥生「さっき質問されても答えませんでしたけど話を聞いて確信しました。私達似ているからかも知れません、だから話したいと思いました」
響希「そうでしたか。実は俺も思っていました」
弥生「今日はありがとうございました。今までこの話をする人どころか天道以外の話し相手すらいませんでしたから私は嬉しかったです」
響希「あの、もしよろしければですが…俺、仕事の合間とかの時間にここに来て弥生さんの話し相手になります。なのであの、俺と友達になって下さい」
俺はまっすぐ弥生さんの目を見て言った。弥生さんは一瞬驚いたような表情をしたがすぐに優しい笑顔に変わり。
弥生「私でよろしければ喜んで。きっと響希さんにご迷惑がかかると思いますが」
お互い握手をして、今日はもう遅いと言うことで俺は署に戻った
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