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パニッククリスマス

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6部分:第六章


第六章

「しかもまた騒ぎになっているし」
「おい、自衛隊呼ぶか?」
「そうだな。これはもうどうしようもないからな」
「それじゃあ駐屯地に連絡して」
「知事にも要請頼もう」
 こうしてだった。町に自衛隊が呼ばれることになった。それによりだ。
 自衛隊、マスコット、ブリーフ13の三つ巴の死闘がはじまった。そうしてだ。
 佳美は銃撃と砲撃の中をだ。何とかだ。
 爆発を潜り抜けそうして。駅に向かう。だがその彼女の後ろがだ。
 大爆発が起こった。それで前に吹き飛ばされる。
 前に倒れ込む。しかしすぐに起き上がりだ。
 彼女はだ。顔をあげてこう言うのだった。
「行かないと。遠山君のところに」
 彼女にも意地があった。だからこそここまで来たのだ。
 そしてだ。再び立ち上がり全速で駆けるのだった。
 町の混乱は続く。それを背景にして。
 駅前まで来た。すると前からだ。
 悟志、何処か気障に青いブレザーにフロックコート、白いマフラーとズボンの彼が来てだ。そのうえでこう佳美に言ってきたのだ。
「あっ、今来たところなんだ」
「遠山君もなの」
「うん、今来たところなんだ」
 そうだとだ。悟志はよしみに微笑んで話す。
「それは佳美ちゃんもなのね」
「そうなの。それにしてもね」
 佳美は苦笑いを浮かべながら悟志に応えつつだ。町の方を見た。町ではまだ戦闘が続きだ。銃撃と砲撃の音が止まない。
 クリスマスソングと喧騒の中で行われる戦闘を見ながらだ。こう悟志に言うのだった。
「おかしなクリスマスね」
「ああ、それに港じゃね」
「あの港ね」
「万景峰号も来てたらしいし」
 悟志は大変なことをあっさりと話す。
「それで今警察、自衛隊と戦闘になってるらしいよ」
「何かもう滅茶苦茶ね」
「そうだね。今年のクリスマスはちょっと違うね」
 悟志は実にあっさりとした口調で述べる。
「ただ。佳美ちゃんあちこち汚れてるけれどどうしたの?」
「あっ、ちょっとね」
 見ればこれまでの騒ぎの中でそうなっていた。白い服なのでそれが余計に目立つ。
「色々あったから」
「そうだったんだ。それでなんだ」
「けれど何とか間に合ったわ」
 そのことを幸いとする佳美だった。
「そのことはよかったわ」
「そうだね。時間通りになったし」
「じゃあ今からね」
「うん。僕の家に行って七面鳥にケーキを食べよう」
 悟志はにこりと笑って佳美に告げる。
「それとワインもね」
「ワインは赤よね」
「勿論だよ。クリスマスだから」
 クリスマスには赤ワイン、これは七面鳥、ケーキと共に外せなかった。
 だからだ。悟志もそのことについてこう答えたのだ。佳美もそれを受けてだ。
「じゃあ。二人でね」
「僕のお父さんとお母さんもいるけれどね」
 それでも楽しい時間を過ごそうと二人で話し。そうしてだった。
 二人で手を組み合ってそのうえで悟志の家に向かおうとする。その時にだ。
 港の方から何か音がした。それでだ。
 二人でその港の方を見る。するとだ。
 花火があがっていた。それを見て悟志が言った。
「警察も自衛隊もやってくれたね」
「万景峰号を沈めたのね」
「うん、花火が幾つもあがってるよ」
 その工作船が沈み爆発が起こっているのだ。
「よかった、悪は滅びたね」
「そうね。町からも花火が幾つもあがってるし」
 戦闘は絶賛継続中だった。
「奇麗なクリスマスよね」
「そうだね」
 二人は微笑みながら町の喧騒を見ていた。町では相変わらずだ。マスコットとブリーフ13、そして両者を止めんと自衛隊が戦っていた、聖なる夜に賛美歌をBGMとしてだ。花火が次々とあがっていた。


パニッククリスマス   完


                  2011・11・21
 
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